午前6時に起床する
とっくに目は覚めていたけれど布団から抜け出る勇気が無かったのだ それくらい寒い
台所の床はまるで氷だ あわててダウンジャケットを羽織り朝飯作りに取りかかる
以前に作ったのは半割にした魚肉ソーセージの天ぷらだったが
四つ割にしたら細長くなってフォトジェニックなのではないか?と考えて今朝は・・・
マルハの魚ソを縦に四つ割にして天ぷらにする ニンジンの細切りも揚げる
蕎麦つゆでうどん玉を煮て器に装い魚ソとニンジンの天ぷらを積み上げ沢庵を添える
四つ割の魚ソ天は細い分早く揚がったので歯触りがカリッとしているし
魚ソ独特の魚臭さも無くなって頬張ると魚ソとは思えない上品なものになった
これはイケる! 流行りそうな味だ
うどんなのに蕎麦つゆで煮たのは上京した頃にショックを受けた真っ黒なつゆの
東京の立ち喰いうどんを再現しようと思い立ったからで
どんなショックかといえばそれまで四国で喰っていたうどんのつゆといえば
醤油はほんのり色づける程度の使われ方だったから黒いつゆに驚かないはずもなくて
初めて喰った東京の立ち喰いうどん屋は・・・といっても正確には立ち喰いそば屋だったけれど
駿河台の坂を神保町のほうへ降りる途中にあったその店に吸い込まれるように入ったのは
看板の下に書かれた「天ぷらそば100円」の文字のせいだった
というのもそれまでの私が知っている天ぷら蕎麦や天ぷらうどんというものは
大きな海老の天ぷらが2本乗ったものだったからで
それがたったの100円で喰えるのだとすると東京という街は天国に違いないと勘違いして暖簾を潜り
天ぷら蕎麦くださいと言って数分後に出てきたのは丸いかき揚げの乗った丼だった 驚いた・・・
私にとってかき揚げというものは家庭で喰うものだったしそれに天ぷらにしては柔らかかったからだ
フニャフニャの丸いかき揚げの具はオキアミと玉ねぎだけで具よりも衣の方が体積が大きくて
それが黒くて塩辛い蕎麦つゆを吸って膨張しそのうちホロホロと崩れていくのを
これまた素早く伸びる蕎麦を手繰りながらドロドロ溶けていく衣ごとすすり込むのだった
子供の頃から出された食べ物は残してはいけないと教えられて育った私は
真っ黒なつゆもドロドロの衣も残さず喰い尽くし100円をカウンターに置いた
汚れた暖簾をかき分け通りに出るとさわやかな風が吹いていた
郷に入りては郷に従え 5分で東京に慣れたような気がした
次の日は同じ店で天ぷらうどんを喰った
やはり真っ黒な蕎麦つゆにうどんが入った丼にオキアミと玉ねぎのかき揚げが乗ったものだった
もう昨日のようなショックは無かった
ふやけるかき揚げを楽しみみるみる黒くなっていくうどんをすすった
もういっぱしの東京人になったような気分だった
その後の丸1年朝飯は立ち喰いそば屋で済ませるようになり
酷い時には朝昼晩と立ち喰いそば屋に寄るようになった
そして浪人生1年目の夏に栄養失調で倒れた
青梅から通う先輩宅に1週間お世話になった
それからは蕎麦は1日1度だけと決めて食事のバランスを取るようになった
過ぎたるは及ばざるが如しである 「若気の至り」と笑わば笑え
還暦を過ぎても朝飯はほぼ麺類である 今度は「年寄りの冷や水」だろうか?
感冒薬とビタミンC を服んでおく
いつもなら仕事の前に公園を歩くのだが今日は大事を取ってやめておこうかな?
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