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noriba-ba's garden

レモン哀歌

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白いあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
   高村光太郎「智恵子抄」より

我がガーデンのレモンは夏の間、
葉っぱを全部あおむし君に食べられてしまい
丸裸の枝に必死にぶら下がって命をつないで来た。
それでも私はレモンを待っていた。
かなしく白いあかるい冬空の下で
ほんのり黄色く色づいた一つのレモンを
私のきれいな歯ががりりと噛んで
トパアズいろの香気を嗅ぐのももうすぐだ。

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