精神科ナースマン

精神科で働く看護師さんのブログ

東北地方太平洋沖地震ドキュメント。。。2

2011年03月14日 | 安全管理

いつものように読む前に、こちらクリックお願いしまぁ~す♪クリックお願いします。

こんにちわ。
nursmanです。

東北地方太平洋沖地震で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。

さて、前回の東北地方太平洋沖地震ドキュメント。。。1のつづき。

2回目の避難完了確認のため、すべての部屋を確認して、女性病棟の非常口が見えてきたときに大きな地震が来た。

まっすぐ歩くことなんか出来なかった。
病棟は、ガタガタと大きな音を立てて揺れた。
床は上下左右に揺れた。
数秒の間に色んなことが頭の中を巡った。
このまま建物に押しつぶされるのか?
患者は避難できたよな。
もしかしたら、このまま死ぬのかも。
もし死んだら、英雄扱いしてもらえるかな。(笑)
↑このときには、笑う余裕はなかった。

今、こうして更新できているんだから、死なないで済んだけど。。。

非常口を出ると避難をしている多くの人の姿が見えた。
避難場所のグランドに行くと、避難誘導をお願いした看護師達によって患者および職員の人員確認が既に終わっており、全員の避難完了が確認された。

通常の避難訓練だと避難者数と避難不能者数の報告を行うのだが、院長と防火管理者が居ない。汗
でも、ちゃんと尊敬する大先輩がその役割を果たしていた。

自分の病棟の避難が完了して一安心するや否や高層階の病棟に担送、護送の避難困難者が残っているという情報が入った。
それと同時に避難した患者さんが座れるようにブルーシートを運んで来る人、寒くないようにとリネン室から掛け布団やマットレスパッドを運んで来る人たちの姿が目に入った。
それらを見ていて災害時に全員避難することは当たり前なことで、大事なことは避難をした後、何をすべきかということに気付いた。

避難を完了した患者さんは、避難誘導をお願いした看護師に頼み、何人かの男性に声を掛けて避難困難者の避難誘導に加わった。
高層階のフロアでの避難が遅れたには、理由がある。
大きな揺れを感じるとエレベーターは止まる。
つまり、階段を使った人力に頼る搬送になるのだ。汗
一番上のフロアにある病棟へ行って、「あと何人?(避難困難者)」って聞くと「あと二人ーっ!」って返事が返ってきた。
その患者さんの部屋に駆けつけるともう担架に移され、何名かの職員によって搬送されるところだった。
そして、「この人で完了ーっ!」っていう声も聞こえてきた。
この声を聞いて、下のフロアに移動した。
下のフロアでは、避難完了を確認した後に1名の患者さんが避難場所に来ていないことがわかって、病棟師長が病棟に引き返してきてた。
何人かと一緒にそのフロアを隈無く確認して病棟内に避難困難者は居ないことがわかった。
この頃になると自分の家族は、友達は、大丈夫なのかということが心配になってくる。
電話をしてみるけど、全くつながらない。
何度も電話をかけてみたけどつながらない。
父親は、茨城で外仕事をしているから、資材の下敷きにはなったりはしていないだろうか。
茨城県に住んでいる仲間も何人かいる。
不安は、募るばかりだった。
そんな中、災害時、電話は使えなくてもメールは使えるということを聞いたことがあったから、ひとまず、メールをしながら下のフロアに降りた。
すると、そこには、驚くことに日常の光景が広がっていた。
ナースセンターで看護師さんが何か書き物をしていて、食堂では、車いすに乗った患者さんが5~6名地震のニュースをTVで見ている。
その傍らで洗濯物を畳んでいる職員。
正に日常。汗
一体何なんだと思った。
「全員避難だよ」と看護師さんに言うと「だって、車いすだから、重いんだもの」と避難訓練級の発言。驚

これは、後々問題になったけど、ここに居た職員は「避難しなくても大丈夫」と判断したわけなのですが、なぜそんなことが起きたのか?

つづく。。。

 
*精神科医療相談(無料)*
NPO法人精神医療サポートセンター
精神医療ホットライン:090-4295-9743
080-3825-0267(繋がらない場合)
mail: 
mail@seishinkango.jp
※携帯電話からメールされる方は、「seishinkango.jp」の
ドメインからのメール受信が可能な状態に設定をお願いします


~ 書 籍 紹 介 ~
「精神科看護師、謀反」 
 

精神科医療を知るっ!
ご購入は、こちらから。。。

「精神科セカンドオピニオン2」
発達障害への気づきが診断と治療を変える

ご購入は、こちらから。。。


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東北地方太平洋沖地震ドキュメント。。。1

2011年03月13日 | 安全管理

いつものように読む前に、こちらクリックお願いしまぁ~す♪クリックお願いします。

こんにちわ。
nursmanです。

東北地方太平洋沖地震で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。

さて、nursmanも今回の地震で今までに体験したことのない大きな揺れを感じました。
3月11日(金)14:00頃
この頃は、大きな地震がくることなんて全く知る由もなかった。
新入職者研修の打ち合わせで下の階の副師長がうちの病棟に来ていた。
「CVPPPの研修をどうやって進めていこうかなぁ~」なんてことを考えていた。
14:30頃
スタッフナース達とブレイクアウエイと称して「ちょっと胸ぐらつかんでみて」とか言って、離脱しながら「どーだ」なんて言ってふざけていた。
そんなときに、14:46を迎えた。

誰かが「地震じゃない?」と言った。
nursmanも地震の揺れを感じた。
そのときは、「いつもの地震だろぅ」という感じで揺れを感じていたけど、次第に揺れは強くなり、女性看護師の悲鳴が聞こえ始め、下の階の副師長が「大丈夫だから落ち着いて」と言っている声を聞いて、初めて、「これは、まずい」と感じた。
そして、その揺れは、もっと強くなり、何かに捕まっていないと立っていることが出来ない状態になった。
nursmanのいる病棟は一番古い病棟だけど、一番頑丈に出来ているとは聞いていたが、2階部分が1階に落ちるのではないかと感じるほどの揺れ方だった。
その頃から、次第に一人ひとりが目的を持って行動を始めた。
「保護室開けてきます」(地震で隔離室のドアが歪みドアが開けられなくなるのを防ぐため)と言って数名の看護助手と共に看護師が保護室へ走っていった。
「患者さん、食堂に集めますか」
「避難はどうしますか」
次々に看護師、看護助手達は行動を始め、nursmanは、患者さんに向けて放送を入れた。
「患者様にお知らせ致します。大変強い揺れを感じています。ガラスから離れて下さい。」
「患者様の皆様は、食堂へ移動して下さい。」
そんな中、内線で「サンダルを履いている患者さんがいたら、靴に履き替えてもらって、頭部を保護するものを準備するように」という連絡が来た。
正直、こんな状況でそんなことを内線で連絡するな!
全館の非常放送で連絡しろ!
とやや憤りも感じたけど、そんなことを言っている場合じゃないことは、分かっていた。
その電話を切ると病棟の放送で「サンダルを履いている患者さんは靴に履き替えて下さい。頭部を保護するような洗面器や枕を用意して下さい。」と放送した。

その後、全館の非常放送で「ただいま、大きな揺れを感じました。患者様は、職員の指示に従って落ち着いて避難をして下さい」という放送が入った。
それを聞いて、nursmanは、男性看護師へ「女性病棟の非常口から避難をするから、頭
(避難誘導の先頭)を頼む。俺は、病棟を全部見て最後に出る」女性看護師へ「避難が完了したら、人員確認をして」と指示た。
どちらの看護師も優秀で看護師としての経験もあるいつも信頼している看護師だった。
いつもは、ふざけてばかりの彼らだけれども、そのときの彼らの目は、いつもと違う目だった。
だから、彼らに避難誘導の指揮を頼むのに何も心配はなかった。

数回、
病棟の放送で女性病棟の非常口から避難を開始することを告げ、避難完了の確認を保護室から始めた。
このとき、「何人か避難しないって言っている患者さんがいます」と職員から声を掛けられ、「わかった。病棟、回りながら俺が連れて行く」と言いながら、保護室につながる通路に面した師長室に置いたリュックを背負って保護室に向かった。
保護室のエリアに着くと一度開け放ったはずの保護室のドアは
大きな揺れのためか、べて閉まっていた。

一室一室のドアを開けて避難を完了していない患者がいなか確認して回った。
誰もいない音のしない保護室は、どこか不気味な感じがした。
続いて浴室、配膳室を確認して、男性病棟へ足を進めた。
男性病棟には、数名の患者さんが残っていて「強制ですか?」「俺、行かないよ」などと言い事態をよく飲み込めていない患者さんもいた。
「念のため避難します」「ほら、一緒に行くよ」なんて言うと彼らは、容易に避難をしてくれた。
すべての男性の病室を確認した後、食堂へ行くともう一人、避難を拒否していた患者さんが居た。
手を引いてもnursmanの手を振りほどき、何としても避難はしないと言う。
避難しない理由は、よくわからなかったが、理由を考える余裕は、そこにはなかった。
女性病棟を覗くと、避難はまだ完了していなく、非常口付近に何名かの患者さんと職員が目に入った。
一人の職員を呼んでその職員が来るとすんなり、その患者さんは、避難をした。
何で、いきなり避難を開始し始めたのかもよくわからなかったけど、ひとまず、避難を開始してくれて一安心に思った。
この患者さんで最後の避難誘導になった。
続いて、女性の病室を一つひとつ確認し、女性病室の確認をし終えると、その先に非常口がある。
すべての患者さんの避難完了を確認したときにハドソン川に不時着した飛行機の機長の話を思い出した。
その機長は、客室を2往復確認して一番最後に脱出したそうだ。
これを思い出すと、もう一度、ナースセンターを通って保護室から病棟に避難を完了していない患者さんが居ないか確認を始めた。
この間、何度も余震が続いていた。
余震の続く病棟に自分しか居ないと思うとやっぱり、不気味な感じがした。
このとき記録のために師長室に置いてあるデジカメを持って出た。
保護室のエリアに行くと開け放ったはずのドアがまた閉まっていて一室一室またドアを開けて確認した。
再び、浴室、配膳室、男性病棟、食堂を通って女性病棟の非常口が見えてきた頃に大きな地震が来た。
まっすぐ歩くことなんか出来なかった。
病棟は、ガタガタと大きな音を立てて揺れた。
床は上下左右に揺れた。
数秒の間に色んなことが頭の中を巡った。
このまま建物に押しつぶされるのか?
患者は避難できたよな。etc...

つづく。


 

*精神科医療相談(無料)*
NPO法人精神医療サポートセンター
精神医療ホットライン:090-4295-9743
080-3825-0267(繋がらない場合)
mail: 
mail@seishinkango.jp
※携帯電話からメールされる方は、「seishinkango.jp」の
ドメインからのメール受信が可能な状態に設定をお願いします


~ 書 籍 紹 介 ~
「精神科看護師、謀反」 
 

精神科医療を知るっ!
ご購入は、こちらから。。。

「精神科セカンドオピニオン2」
発達障害への気づきが診断と治療を変える

ご購入は、こちらから。。。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リードバックとヒアバック。。。

2010年08月26日 | 安全管理

いつものように読む前に、こちらクリックお願いしまぁ~す♪クリックお願いします。

こんばんわnursmanです。

和文通話表というものがあるが、医療では馴染みがなく、どなたも和文通話表って何だ?ってレベルではないでしょうか。
例えば。。。
「時刻9:00」を「時刻キュウ、マル、マル」と表現する。
「ね」という一文字を「ネズミのネ」と表現する。
これを聞くとあ~、あ~、何となく聞いたことがあるという感じになるのではないでしょうか。

通話表は、帯域が狭く、歪や雑音の多い無線や有線電話等で、話者の発音の癖などがあっても、原文を一文字ずつ正しく伝達する目的で生まれた。
※出展:フリー百科事典Wikipedia

最近は、医療でも医師からの口頭指示は、聞き間違えや期待聴取を避けるために文字情報での指示伝達にシフトされてきたが、それでもこういった通話表の活用は現在でも十分必要だと考える。
緊急を要する場面で薬剤伝票なんか書いている時間はないし、薬を取り扱う時には数量や単位情報は、極めて重要だ

薬は一度、体に入れてしまえば、やり直すことも取り出すこともできない。
だから、こういった通話表が重要なんだ。
1=「ひと」、2=「に」または「ふた」、3=「さん」、4=「よん」、5=「ご」、6=「ろく」、7=「なな」、8=「はち」、9=「きゅう」、0=「まる」
こういった具合に表現する必要がある。
こういう話をすると多くの医療関係者は、「そんなの関係ないよ」という反応だろう。
そもそも、そういうリスク感覚の低さにも問題を感じる。

さて、情報伝達は、何を持って成立したと言えるか?

医師:プリンペラン10ミリ、IVしておいて。
看護師:はーい。

これで、情報伝達が成立したことになるでしょうか?
まず、単位を看護師はmLで理解するかも知れない。
あるいは、別の薬剤に聞き間違えたかも知れない。
筋肉注射と間違えるかも知れない。
このほかにも様々なことが考えられる。

では、情報伝達を成立させるためには、何をすべきか?
まずは、「リードバック」(復唱)。
聞いたことを復唱して相手に伝える。
それから、最初に言った側は、自分の言ったことをちゃんと復唱できているか「ヒアバック」できて初めて情報伝達は成立する。
バーバル(音声)コミュニケーションでは、こういった作法が極めて重要であることを我々医療関係者は認識しなければならない。。。

いつも最後まで読んで下さいまして、ありがとうございます。


 

*精神科医療相談(無料)*
  NPO法人精神医療サポートセンター
  精神医療ホットライン:090-4295-9743
                080-3825-0267(繋がらない場合)
  mail:
mail@seishinkango.jp
      ※携帯電話からメールされる方は、「seishinkango.jp」の
        ドメインからのメール受信が可能な状態に設定をお願いします


~ 書 籍 紹 介 ~
「精神科看護師、謀反」    

 精神科医療を知るっ!
   ご購入は、こちらから。。。

「精神科セカンドオピニオン2」
発達障害への気づきが診断と治療を変える

   ご購入は、
こちら
から。。。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エラーはなぜ起こるのか。。。

2010年02月25日 | 安全管理

いつものように読む前に、こちらクリックお願いしまぁ~す♪クリックお願いします。

ご無沙汰しています。
こんばんわnursmanです。

「注意していないから」「意識が低いから」エラーが起こると理解している人が非常に多いと感じる。
某有名病院でこんなやり取りがされているというのを聞いた。
お昼の薬を患者に飲ませ忘れた看護師がいました。
看護師長は、その看護師にこう言った。
「あなたは、自分のお昼ご飯は、食べるのを忘れないでしょ。なんで、患者さんのお昼の薬は忘れるの?」
物事の考え方の履き違えもいいところです。
この看護師長の言い分は、「あなたがしっかりしなかいからエラーが起きたのよ」「あなたの注意不足よ」ってことでしょうか。
このようでは、問題が個人の中から一歩も出ないまま始末書的に事故報告書が取り扱われてしまう。
では、なぜエラーが起こるのか?
注意しないからエラーが起こるのではなく、システム上にエラー誘発要因が潜んでいて、それによってエラーが起きている。
したがって、システム改善をして、エラーが起こりにくいシステムを構築しなければ同じエラーは延々と続くことになる。
例えば、分かりにくい間違えやすい手順であれば、その方法を変える。
見間違えやすい表示があれば、見やすくする。
使いにくい物によって、エラーや事故が引き起こされているのであれば、その物を変えていかなければならないということだ。

「注意をしろ」なんて言いますが、そもそも人間の注意力なんて当てにならない。
その持続性や強度は、その人が置かれている環境によって大きく変化する。
記憶に関していえば、48時間も経過すると20%しか残らない。
人間の注意力や記憶は、非常に不安定なもので不確実な存在であると認識しなければならないということだ。

冒頭で、いまだにエラー発生のメカニズムを人間個人の意識の問題であると考えている人が多いように感じると書きました。
「意識が足りないっ!」「注意しろっ!」「気をつけろっ!」という意識に対する対策だけを信じている「竹やり精神主義」では、何も解決されないし、再発防止になんかならない。
再発防止は言うならば、「意識の問題」ではなく、「知識の問題」だろう。
「何をしたら、エラーを防止できるのかを知らない」という知識不足からいつまでも竹やり精神主義から抜け出すことが出来なくなっているように見える。
しかも管理者がこの「竹やり精神主義」でいる限りは、医療を低リスクにすることは、非常に難しい。

  ・エラーはなぜ起こるのか
  ・エラー誘発要因とは何か
  ・どのようなことをすると有効な再発防止につながるのか
  ・事故には、構造がある


これらのことを是非多くの管理者に理解していただきたい。
そして、以前記事にした「看護師逮捕」なんていうことが起こらないようにしたい。

いつまでも『竹やり精神主義』でいると次は、あなたやあなたの部下が逮捕されますよ。

いつも最後まで読んで下さいまして、ありがとうございます。

 

*精神科医療相談(無料)*
  NPO法人精神医療サポートセンター
  精神医療ホットライン:090-4295-9743
  
mail:
mail@seishinkango.jp

~ 書 籍 紹 介 ~
「精神科看護師、謀反」    

 精神科医療を知るっ!
   ご購入は、こちらから。。。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする