Story
パリでコンサート会場に足を運んだアンリ・ユッソン(ミシェル・ピコリ)は懐かしい女性を見かけ声をかけようとするが、彼女は逃げるように立ち去る。かつての友人の妻で今は未亡人のセヴリーヌ(ビュル・オジェ)。彼女を追って入ったバーで、バーテンダー(リカルド・トレパ)から滞在中のホテルを突き止めるが、またしても逃げられてしまう。38年前、夫を愛しながらも密かに裏切り、昼間だけの娼婦「昼顔」として別の顔を持っていた人妻。彼女の秘密を知るのはアンリだけだった。(goo映画より)
2006年/ポルトガル=フランス/マノエル・ド・オリヴェイラ監督作品
評価 ★★★☆☆
この映画の前編の「昼顔」も、オマージュを捧げたと言うルイス・ブニュエルの映画も観てません。本で読んでどんな映画か知っている程度です。オリヴェイラ監督の作品は「クレーヴの奥方」しか観てませんが、とても静謐な印象を残す映画でした。
その程度の予備知識だったので、映画を観る前は、お洒落でウィットに富んだ会話が繰り広げられる、年配の男女の恋の駆け引き、みたいな物語と想像していたんですが、実際はまったく正反対の映画でした。
ピコリ演じるアンリの話す内容と言ったら、サドとマゾの話やら、男の欲望めいた事ばかり。
果たして、遂にアンリとセヴリーヌが会食をする場面。終始無言で食事をしながら、なんとなく場がほぐれて行く過程はスリリングでもあります。
しかし、アンリが買って来たプレゼントときたら、さぞや素敵なものかと思いきや、ふたをあけると蚊の羽音みたいなのが聞こえて来るとんでもない代物。ついには、アンリの挑発にセヴリーヌが怒って出て行く始末です。
私にとっては全編が予想を覆す展開で、ブニュエルが「自由な幻想」(観てないけど)で描いた価値観の逆転を彷彿とさせるものがありました。
それから、カトリーヌ・ドヌーブがこの映画に出なかったのがなんとなくわかるような。前作でカトリーヌが演じたセヴリーヌ。彼女が会食の場から去った後にニワトリが登場するのですが、自分をニワトリに擬せられたとしたら、誇り高きフランスの大女優もさぞやプライドを傷つけられたのでは、と思ってしまいました。
評価 ★★★☆☆
ルイス・ブニュエル監督の「昼顔」の続編を、100歳のマノエル・ド・オリヴェイラ監督が映画化!
映画の前半は、セヴリーヌを追いかけるアンリを主軸に展開します。2人の再会がなかなか実現しないせいか、物語の後半でやっと再会できたシーンに緊迫感と盛り上がりを感じました。
会話が性の倒錯やサディズムやマゾヒズムについて進んで行くので、一見グロい感じがありますが、全体的にオシャレな印象を残すのは100歳の監督が撮った映画だからでしょうか。
内容の割りには映像や演出がオシャレなので、昔の名画を観ているような印象が残りましたね。
場面転換の時に、パリの昼や夜の風景を写真のように切り取って映し出すのは、小津安二郎の技法とよく似ているなと思いました。
私は「昼顔」は観てないのですが、やっぱりカトリーヌ・ドヌーブに演じて欲しかったです。セヴリーヌという女性の雰囲気からして今回の女優は今ひとつ魅力に欠けた感じがしました。
映画『夜顔』公式サイト
(「夜顔」2008年10月 塩尻市 東座にて鑑賞)
パリでコンサート会場に足を運んだアンリ・ユッソン(ミシェル・ピコリ)は懐かしい女性を見かけ声をかけようとするが、彼女は逃げるように立ち去る。かつての友人の妻で今は未亡人のセヴリーヌ(ビュル・オジェ)。彼女を追って入ったバーで、バーテンダー(リカルド・トレパ)から滞在中のホテルを突き止めるが、またしても逃げられてしまう。38年前、夫を愛しながらも密かに裏切り、昼間だけの娼婦「昼顔」として別の顔を持っていた人妻。彼女の秘密を知るのはアンリだけだった。(goo映画より)
2006年/ポルトガル=フランス/マノエル・ド・オリヴェイラ監督作品
評価 ★★★☆☆
この映画の前編の「昼顔」も、オマージュを捧げたと言うルイス・ブニュエルの映画も観てません。本で読んでどんな映画か知っている程度です。オリヴェイラ監督の作品は「クレーヴの奥方」しか観てませんが、とても静謐な印象を残す映画でした。
その程度の予備知識だったので、映画を観る前は、お洒落でウィットに富んだ会話が繰り広げられる、年配の男女の恋の駆け引き、みたいな物語と想像していたんですが、実際はまったく正反対の映画でした。
ピコリ演じるアンリの話す内容と言ったら、サドとマゾの話やら、男の欲望めいた事ばかり。
果たして、遂にアンリとセヴリーヌが会食をする場面。終始無言で食事をしながら、なんとなく場がほぐれて行く過程はスリリングでもあります。
しかし、アンリが買って来たプレゼントときたら、さぞや素敵なものかと思いきや、ふたをあけると蚊の羽音みたいなのが聞こえて来るとんでもない代物。ついには、アンリの挑発にセヴリーヌが怒って出て行く始末です。
私にとっては全編が予想を覆す展開で、ブニュエルが「自由な幻想」(観てないけど)で描いた価値観の逆転を彷彿とさせるものがありました。
それから、カトリーヌ・ドヌーブがこの映画に出なかったのがなんとなくわかるような。前作でカトリーヌが演じたセヴリーヌ。彼女が会食の場から去った後にニワトリが登場するのですが、自分をニワトリに擬せられたとしたら、誇り高きフランスの大女優もさぞやプライドを傷つけられたのでは、と思ってしまいました。
評価 ★★★☆☆
ルイス・ブニュエル監督の「昼顔」の続編を、100歳のマノエル・ド・オリヴェイラ監督が映画化!
映画の前半は、セヴリーヌを追いかけるアンリを主軸に展開します。2人の再会がなかなか実現しないせいか、物語の後半でやっと再会できたシーンに緊迫感と盛り上がりを感じました。
会話が性の倒錯やサディズムやマゾヒズムについて進んで行くので、一見グロい感じがありますが、全体的にオシャレな印象を残すのは100歳の監督が撮った映画だからでしょうか。
内容の割りには映像や演出がオシャレなので、昔の名画を観ているような印象が残りましたね。
場面転換の時に、パリの昼や夜の風景を写真のように切り取って映し出すのは、小津安二郎の技法とよく似ているなと思いました。
私は「昼顔」は観てないのですが、やっぱりカトリーヌ・ドヌーブに演じて欲しかったです。セヴリーヌという女性の雰囲気からして今回の女優は今ひとつ魅力に欠けた感じがしました。
映画『夜顔』公式サイト
(「夜顔」2008年10月 塩尻市 東座にて鑑賞)
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