日暮しトンボは日々MUSOUする

夜風の優しさ



笹くれ立った気分に 入り込んでくる

夜に訪れた一帯の涼 

たったこれだけのことで 実に様々な瘡蓋が剥がれ落ちてゆく

あの日の忘れじと誓った記憶をしまい込んだ細胞は

脳みそのどの部分だったか 思い出せないでいる


それは嘘偽りなく 

中身のない楽しさよりも 意味のある辛さの方がいい と

誰かと確かめ合った 三文芝居のような誓いだった

そんな事を思い出して 独り口元が緩むと

またも夜風が優しく 私の伸びきった前髪をなでていく


このまま 秋になればいいのに






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