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クロノ太陽・・・14

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久々のクロノ太陽です。

健一は自分の状況を忘れて、その対戦に見入っていた。
戦闘機も男めがけて丘にぶつかりかねない勢いで銃撃を続けた。
 距離がもっとも縮まったところで、男は物凄い跳躍をし、すれ違い様に刀を振り下ろした。
ガッ~ンと鈍い音がしたかと思うと戦闘機の右水平尾翼が切断され、揺ら揺らと裏山に安定を失って突っ込んでいった。
男はと言うと無事に丘の上に着地していた。その直後、裏山で爆発音とともに火の手が上がった。
 健一は自分の置かれた状況を把握しつつ、ある策を思いついた。それを実行すべく肥溜めから近くの小川へと向かった。
逸る気持ちを抑えるかのように水の中へ入り頭から潜り体に浸み込んだ臭いを洗い流した。そして、パンツ1枚で通りにある松の木に登った。そして、その時が来るのを待った。
 間もなくすると村の人たちが松の木の下を通って裏山へ向かった。そう、裏山へ行くには松を通るしかなかった。
あたりは日が暮れて健一に気づく者は誰一人いなかった。
そして、その時がきた古屋巡査が嫌々そうに自転車に乗って一番遅れてやって来たのだ。松の木の真下にくる直前に健一は木から飛び降り、巡査の肩口に手刀を一撃、「うぅ~。」と
いって気を失った。健一は直ぐの巡査の左腕にはめていた腕時計を奪い急いでその場を走り去り、服を隠していた所へ戻り身につけ家へ駆けて帰った。
 実は古屋巡査が巡回のときに健一から取り上げた山本長官の腕時計を自慢気に見せびらかしていたのは村では噂になって、これを取り戻す機会を狙っていたのだ。そして、事件があるたびに一番最後に登場するのが巡査で村では相当嫌われていた。だが、これを契機に思いがけないかたちで健一に牙をむくことになる。
 「巡査さん!巡査さん!」村人が倒れた巡査を抱き起し、
「こんな、ところで寝てる場合じゃなかばい!しっかりせんね。肝心なときに役に立たんね!」
「なんば言いよるか!おれは米兵と取っ組みあって取り逃がしたとばい!」
「まぁ~どうでもよかけん飛行機の落ちた現場にはよ~いかんと。」
「後から調書ば書くけん、お前が証人になれ!」とわけのわからないことを口走りながら裏山へいった。
 一方、健一はずぶ濡れの状態で母、そして、芙美、タミが迎えた。 
「どうしたとね!ずぶ濡れでおまけに何か臭うね!」と母が言うと、今度はこの騒ぎと健一の様子を察して芙美が、
「さっきの爆音と銃撃の被害にあったのね?」
「うん。肥溜めに落ちて助かった。」
「なんてこと、無事でよかった。父さんも裏山の火事で出ていったから、健一のこと心配していたんよ。とにかく、風呂に入って汚れを落とし!服は洗濯しとくけん。」母に促され風呂へ向かった。
「体を洗ってから湯船に浸からんとみんな後から入るけんね。」と母がつけたした。
冷たくなった健一の体にお湯が優しくしみた。
「とりあえず怪我はないようだ。」まだ、健一は今日の出来事に興奮していた。
(さすがに、俺も50年生きてきたけど機銃掃射受けたのははじめてだ。おまけに飛行機を斬るなんて人間技じゃないぜ。)体を洗おうとしているそのとき、芙美がいきなり入ってきて健一は手で前の部分を隠した。
「びっくりした!何で入ってくるのさ!」



続く・・・・・・
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