「鈴木芙美です。よろしくお願いします!」
「母さんも健一も芙美ちゃんは始めてではないはずだが?」
母「そうですね。あれは6年前ですかね。健一が3歳のとき横浜の義兄さんの家に遊びに行って以来ですかね?まあこんなに立派になって綺麗になったたい。こっちこそよろしくね。」
健一「よろしく。」(どこが綺麗なの?まあ、利発そうには見えるけど)
芙美「健一君!こんなに大きくなって。」と言うやいなや健一をぎゅっと抱きしめた。健一もこの行動には面食らいびっくりした。また、芙美がこんなことを言った。
「何、このゴツゴツした体!」
健一は顔が真っ赤になりながら芙美にこう言った。
「空手で体を鍛えているから。」(危ない、危ない、9歳の鍛えた体とは言え中身は50代のオヤジなんだから思わず理性を失いかけるところだった。)だが、まだ体の一部が反応するほどの成長はしていなかった。
母「さあ、さあ、二人ともご飯たべるけん、はよう、はよう」
淳之介「さあ、みんなで食事しよう、明日は芙美ちゃんも学校へ顔出しに行かんといかんから。」
これで、小椋家の住人は行儀見習いのタミを含めて5人となり、戦中とはいえ食べ物にもまだ不自由した状態ではなかった。
次の朝、食事の終わった淳之介、芙美、健一は母とタミの見送りで三人揃って学校へと向かった。
校門の前には耕太とその仲間が待っていた。健一は内心、またかと思っていたら、耕太は健一のカバンを持って教室へ走って行った。健一も耕太を追いかけて行った。淳之介と芙美は呆気にとられながらも子供たちの元気な姿はまだ救いがあると職員室に向かった。
「耕太!お前まだ、懲りてないのか!ぶちのめすぞ!」
耕太と仲間たちは健一の前で土下座して
「健一君、この間はごめんなさい!自分たちを子分にしてください!お願いします!」
健一と耕太の立場が逆転した一瞬であった。
「勝手にすれば!もう、俺にチョッカイ出すなよ!」
そして、全員校庭に集合して朝礼が始まった。そのなかで
新任の代用教師、芙美が紹介された。この頃になると男性教師は軍に取られて教師が不足していた。
子供達にとっても若い女性の教師はめずらしく、何とか気を引こうと悪戯したりするのは当たり前のことであった。当然のことながら芙美もその対象となったが、思った以上に器が大きくいつしか学校のマドンナ的な存在となっていった。
健一も芙美の影響かどうかは別として空手にまた熱中するようになっていった。
そんなときに、ある事件がこの小さな村を襲った。それは、健一が道場以外の裏山での一人稽古の日にそれは起こった。
「健一君!健一君!」耕太の声だ。耕太は健一の稽古を仲間と一緒に教えてもらおうと裏山へ来ていたのだ。
「耕太!何でお前がここにいるんだ。」健一は耕太の表情からただならぬことが起きていることが窺えた。
「ここに来る途中で変なものを見つけたんよ。」
「だから、どうしたんだ。」
「健一君、お願いだから、一緒について来て!」と耕太は健一に半泣きの状態で頭を下げた。
「わかった!じゃー僕を連れて行け!」
耕太が先頭に立ち、次に健一、あと耕太の子分が二人全力でその場所まで走って行った。
そこには大きな楠の木が夕日の逆光を浴びた黒っぽい大きな果実がなっていた。よくよく目を凝らして見るとそれは自ら命を絶ったであろう首をくくった遺体であった。
続く・・・・・
短編エッセイ書庫、先回まで次男のホスト体験日記を掲載してきましたが次回から短編小説を連載します。 これは後輩が目標を失い、うつ病になった時に好きなことをやるようにアドバイスした時書くことが好きと言うことで頑張って書いてくれた作品です。
処女作で手直し前ですので完成度は期待しないでください。それなりに面白い作品です。
あらすじは、現代にて仕事中気を失い目覚めると太平洋戦争中長崎のある町の雷を打たれた少年に
入れ代わり長崎原爆(戦争)を止めようと努力するも時間は着々と進んで行く・・・・・そんな作品です。
著作権問題もありますので過去の文面はファン登録のみの公開にしています。
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