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クロノ太陽・・・・・17

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健一は草加に一喝されて落ち込みはしたが健一が20代の時に見た映画でカラテのドキュメントだったが真剣白羽取りをするシーンが頭から離れずに実践してみたがやはり草加の達人技に敵うはずもなかった。ここ一~二年本格的に稽古をしたとはいえ何十年も剣の修行をした草加の技と比較することの愚かさと武道の奥の深さを思い知らされていた。そして、また明日からの稽古に励む決意を胸に家に帰った。また、草加は健一の明日からの稽古に新たな試みをしようとしていた。
 次の日、健一は学校帰りにいつものように道場へ向かうと門の前に草加と柿杉が待ち構えていた。
「遅かったな。今日から新しい稽古をするために待っていたぞ!」
「学校から寄り道せずにきたんですが。」
「まぁ~、そんなことはどうでもいい。まず説明を先にしておく、稽古の内容は筋肉の速筋と遅筋を鍛えて瞬発力と持久力を同時に養う稽古だ。単純に見えるが奥は深いぞ!で、裏山の駆け上がりと駆け下りだ。柿杉はどうする?」
「俺はその後の健一の組手の稽古に付き合うから遠慮しておくよ。」というと道場の方へ引っ込んでいった。
「やはり思ったとおりだな。あれで稽古をすれば、すぐ師範になっていたのに元々稽古嫌いだったからな~。」
「健一、俺も走るからついて来いよ!」
「はい、」と言うやいなや草加は走り出し、健一も慌てて後を追った。健一も走りこみをやっていたので自信があったが
草加の走りは尋常ではなかった。このようにして新たな稽古が始まった。真夏のギラギラした日差しの下来る日も来る日もこの稽古をかわきりに特訓が行われた。そして、季節は秋へと移っていった。
 ついに、武術大会の前日となり草加、柿杉、健一の三人で熊本の陸軍士官学校へ鉄道と船を使ってのりこんでいった。
この頃になると戦局は悪化しているのを国民の大半が感じてはいたがそれを口に出そうものなら憲兵が飛んできて厳しい尋問されていた。そのため誰一人、日本の負けを口にしなかった。ゆえに軍部も戦意高揚の目的で武術大会を開いたのであった。
 「いいか健一、お前にプレッシャーをかけるわけではないがここでの成果が問われることになる。とは言っても今までやるべきことはやった後は平常心で試合に望め、俺に言えるのはそれだけだ。」と神妙な顔で柿杉が言った。
草加は「うん。」とうなずいただけで言葉はなかった。
健一は歯がガチガチとなり体が震えて気が遠のいて行きそうな感じがした。気を取り直して草加に言った。
「先生、僕の頬を叩いて気合を入れてください。」
「わかった。歯をくいしばれ。」バチッと秋空に平手打ちの音が響いた。平手打ちで健一の震えはとまった。
いよいよ大会の幕開けである。柳川少佐の顔も見えたが、陸軍士官学校の講師とは言え端のほうに席を設けてあった。
暇をみて柳川少尉のほうから健一に声をかけてきた。
 「健一君、久しぶりだな。結婚式以来だね。」
「柳川少尉も元気そうで安心しました。ところで芙美ちゃんは元気にしていますか?」
「ああ~、元気にしているよ。今日は用事で来れなかったが頑張ってと伝えてくれるように伝言を頼まれたよ。僕も応援しているから思う存分、力を発揮してくれ。」
「あまり、頑張れ言わないでください。いままで稽古してきたことをそのまま出すつもりですから。」
「さては、君もプレッシャーに弱いほうだな!わかったよ。いつもとかわらない稽古だと思ってやりなさい。僕は席の方へ戻るから。」と柳川は立ち去った。
 開会式と選手入場が告げられた。次々に軍部の将校並びに幹部の挨拶と来賓の挨拶、長い時間列を乱すことなく整然と終わり、やっと試合が始まった。各流派の演武を終え組手のトーナメントが、健一は他流派の空手の黒帯にあたった。
 名前を呼ばれた健一と対戦相手が試合場の真ん中に立ち対面して礼を交わした。


続く・・・・・
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