今日は、ホルモン療法の1種であるカウフマン療法についてお話したいと思います。
名前だけ聞くと何か難しい感じがしますが、カウフマン療法は、一般的に、卵巣機能不全(無月経、稀発月経、無排卵など)や更年期障害などホルモンバランスが崩れている人に対して女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンを補充してあげる治療法で、規則的に月経を起こします。
卵巣からの正常なホルモン分泌は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が交互に分泌されています。
①月経が始まり、月経が終わると卵胞ホルモンが分泌されて卵胞や子宮内膜を育て、排卵の準備をします。卵胞ホルモンは、排卵前と排卵後にかけて分泌が高まり、排卵前に分泌がピークとなります。
②卵胞が育ち、大きくなると排卵が起き、黄体ホルモンが分泌されます。黄体ホルモンは、排卵から次の月経までの間(黄体期)に約2週間分泌され、妊娠が成立すると黄体ホルモンの分泌が持続して妊娠を維持していきますが、妊娠が成立しないと黄体ホルモンと卵胞ホルモンが急激に低下し、受精卵を迎えるために厚く育った子宮内膜が剥がれて月経が起きます。
以上のような正常なホルモン分泌と同じような流れになるように、薬を使って人工的に正常な周期と同様のホルモンバランスを作り出します。前半(低温期にあたる時期)は卵胞ホルモン(商品名:プレマリン、エストラーナ)を、後半(高温期にあたる時期)は卵胞ホルモンに加えて黄体ホルモン(商品名:ルトラール、デュファストン)を飲み薬や貼り薬で投与します。
薬の投与が終了すると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが急激に低下してくるので、数日以内に月経が起こるというわけです。結果、カウフマン療法を行うと、規則正しく月経を起こしたり、逆に不正出血を抑えたりすることができるのです。また、薬を使ってホルモンを補充することになるので、脳は体内ホルモンが足りていると判断して分泌命令を弱め、その間、一時的に卵巣は働きを止め、卵巣は休むことができます。
体外受精を行う患者さんでカウフマン療法をされる方がいらっしゃいますが、これは、排卵誘発剤で卵巣を刺激する前に①卵巣機能を整える、②卵巣を休ませることを目的としてカウフマン療法を行っているのです
ちなみに、カウフマン療法自体には排卵誘発の作用はないので排卵はしませんが、連続してカウフマン療法を数周期行ったあとにカウフマン療法を中止すると、数周期休んでいた卵巣が働き出すことで①卵巣機能が活性化され、正常な月経周期が回復できるため、無月経の人であれば月経が起こることが期待でき、また、無排卵の人であれば②卵巣機能が活性化されることで自力での自然排卵を促すことができるので、排卵が復活する可能性があります
以上、カウフマン療法についてお話しましたが、文章だけではわかりにくいかもしれませんので、何か聞きたいことや教えてほしいことがありましたら、看護師にいつでもお声かけください
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