朝夕冷え込む季節となりましたが、体調は崩されていないでしょうか
今回は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)についてお話したいと思います。
不妊治療をされている方は、もしかしたら聞いたことがあるかもしれませんし、症状が出た方もおられるかもしれませんね。
女性の卵巣は親指大ほど(3~4 cm)で、その中の卵(卵胞)が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって、卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水がたまるなどの症状が起こることを、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。
重症になると様々な合併症を起こすこともあります
どんな症状がでるの?
・腹痛および腰痛
・急激な体重増加
・吐き気
・尿量が減る、少ない
・下痢
・息苦しさ
原因は何だろう?
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵誘発の際に、過剰に卵胞が刺激されることが1つの原因です。
経口剤のクロミフェン療法で発症することは稀で、注射のhMG-hCG療法(ゴナドトロピン)で,
卵胞が一気に成長し発生しやすいことが知られています。
卵胞が複数できるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のhMG-hCG療法では、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)発症頻度が高くなります。
OHSSのリスク因子
・比較的体重が軽い
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)患者
・小卵胞が卵巣皮質周辺に多数存在(ネックレスサイン)
・血中エストラジオール(E2)が3000pg/ml以上
・黄体機能補充にhCGを使用
・難治性不妊症に対する過排卵刺激
・体外受精(IVF-ET)の調節卵巣過剰刺激にGnRHを併用
OHSSが発症するかどうかは、その個人の体質が大いに関係しています
一般的には、排卵誘発による刺激に卵巣が敏感に反応する人が起こりやすくなります。
卵巣に5~8ミリ程度の多数の卵胞がネックレス状に並ぶPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の人は、特に発症しやすいことが知られています。
PCOSの人が排卵誘発を行なうと、20個から30個、時にはそれ以上の卵胞が発育してしまって、卵巣がこぶし大以上に腫大してしまうこともあります。薬による卵巣過剰刺激症候群では、原因となった薬を中止することにより改善することが多いです。
当クリニックでは、患者様のお体の特性、卵巣の状況を事前に把握した上で、投薬の量や種類を選択しこのような症状を予防できるように努力しています
またOHSSリスクのある方に対しては、自己で症状が出現していないかをチェックしてもらうシートを活用し、早期発見に努めています。
治療中に何か異変を感じられたり、不安を感じられた時には遠慮なくおっしゃって下さいね。
不妊治療はただでさえ辛い道のりです。
投薬でさらに苦しまれることのないよう、スタッフともども看護の目をもって皆様と向き合っていきたいと思います
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