今回は、月経移動(生理日変更)についてお話させて頂きます。
月経移動(生理日変更)とは、旅行や結婚式などの大事な予定に月経が重なると色々と大変だなぁというときに、月経が重ならないよう前もって月経を移動させることです。その方法は、ホルモン剤(卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合剤)を服用して頂き、月経開始日をコントロールします。方法は2通りあり、月経開始日を①遅らせる方法と②早める方法があります。ただ、早める方法は、ホルモン剤投与の開始時期が限られる上に失敗も多いので、遅らせる方法を選択する方が確実かと言えます。
以下に一般例を挙げます。
【月経を遅らせる方法】
■月経を遅らせる方法は、排卵後の黄体期を延長させる方法です。
■予定月経の少なくとも3日前(できれば5日前)から必要な日まで1日1回ホルモン剤を毎日服用します。
■月経を1週間以上遅らせる場合には、途中で出血が始まることがありますが、その場合は内服量を増加します。
■ホルモン剤の服用が終わると、個人差はありますが2~5日程度で月経が起こります。
月経が起こるしくみは、ホルモン(卵胞ホルモンのエストロゲンと黄体ホルモンのプロゲステロン)によって受精卵の着床を迎えるために子宮内膜が肥厚し維持されていた子宮内膜が、妊娠に至らなかった場合にホルモンが減少することで子宮内膜が維持できなくなり、剥がれ落ちることで月経が始まります。(ホルモンが消失することで出血するので「消退出血」とも言います)
そこで、エストロゲンやプロゲステロンが含まれているホルモン剤を内服薬で投与してあげれば、ホルモンが消退しないので子宮内膜の肥厚が維持され月経が来ないということになります。つまり、このホルモン剤を服用している間は月経が来ないので、予定月経をうしろに移動させることができるのです。
内服終了から2~3日すると消退出血がおきます。 その後は、これを新しい月経として月経周期が始まります。
ちなみに、月経予定日の5日くらい前からホルモン剤を飲み始めるのですが、それは、元々分泌されているエストロゲンやプロゲステロンが減少し始めてからでは遅すぎるからです。 内服開始が遅くなると、月経を止めることができなくなります。
【月経を早める方法】
■月経を早める方法は、卵胞発育を抑制する方法です。
■卵胞発育がある程度進行した時期以降は使用できないので、卵胞発育が開始する前に内服を始め、一定の期間以上使用する必要があります。よって、月経開始5日目から服用開始し、少なくとも10日間以上使用して、月経を起こしたい日の3~5日前まで続ける必要があります。結果的には7~10日程度早めるに過ぎない上に、卵胞発育が起こって失敗する場合もあるので、確実に投与方法を守れない場合は選択しない方がよいとされています。
【注意点】
●生理不順の方は、月経移動に失敗したり、月経移動後に生理不順が悪化する場合もあります。
●飲み忘れると出血が始まることになるので、飲み忘れないことが大切です。
●一般的に、ホルモン剤の服用初期に頭痛、めまい、吐き気(ムカムカ感)、倦怠感といった副作用を感じる方がいます。しばらく服用すると感じなくなるのですが、月経を遅らせる場合は、結婚式など重大な時期に“月経を遅らせることはできたが、吐き気がして逆に苦痛だった”ということも有り得ます。よって、月経移動をご希望の場合は、時間的な余裕を持って受診し、十分な月経移動の計画を立てられる方が安心できると思います。できれば、移動させたい月経の予定日より約1ヶ月前に産婦人科にご相談されるのがよいかと思います。
●保険はききませんので自費となります。
月経移動をご希望の場合は、いつでもご相談ください。
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