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うつ病社員のもろもろの話

カタルシスウエーブの功罪

 「星雲仮面マシンマン」
(1984年東映)の必殺技、
カタルシスウエーブ。


「人間の悪い心を善に変える作用があるのだ」(画像は13話)


「パチン」(指を鳴らす音)
 悪人は、これで改心し善人となって罪を償うのだ。
 他のヒーローには無い、素晴らしい能力である。

 しかし...。

 前に映画秘宝か何かで読んだのだが、
カタルシスウエーブで、根っからの善人となってしまった人間に罪を償う事ができるのだろうか? という話がある。

 本人には罪の意識はもう無い。浄化してしまったのだから。でも改心しようと警察へ出向けば、無自覚のまま刑罰を受けることになる。

 その点を問題提起した話が、

「特救指令ソルブレイン」
(1991年東映)

第43話「二つの顔をもつ女」

 脚本は杉村升(のぼる)さん。

 銀行の現金輸送車が強盗に襲撃される。ソルブレインが駆けつけるが、主犯の女は通りかかった少女を拳銃で撃ち殺して逃走。



 女は逃げ切ったところでソルブレインの宿敵、高岡隆一に拉致される。高岡は別の善人の記憶を女に複写してしまう。 


      
 すっかり善人となった女は施設でボランティアを始める。ソルブレイン隊員の捜査にも素直に応じる。女に犯罪者としての自覚はないため、隊員達は本当に犯人なのか疑問をもつ。


 ここで宿敵高岡は、ソルブレイン本部と女に、事の次第を写したビデオテープを送りつける。


 「お前は人殺しだ」と事実を告げられた女は、激しく動揺して家を飛び出す。いったん施設に寄った後、駆けつけたソルブレイン隊員達の目の前で屋上から飛び降りる...。
 

 結果的に、女はソルブレインに助けられるのだが、高岡の話では記憶は二度と戻らない。しかも特救本部長は、女に対しもう一度犯人の記憶を呼び戻させるという。
 
 つまり罪を償うためには、他人の記憶とはいえ、一度善人となった人間をもとの凶悪犯人に警察の力で戻す、という事だ。「人の命と心を救う」とうたうソルブレインにとって辛い現実を突きつけられたのだ。
 高岡は言う「思い知ったか、ソルブレイン。人の心など救えないことがな」


 この話を書いた杉村升さんは
「杉村のぼる」名義でマシンマンの脚本を執筆している。
 カタルシスウエーブという夢のある優れた能力を否定しかねない話を何で書いたのか。
 もしかして、杉村さんはカタルシスウエーブが嫌いなのか?
 
 
 実はここからが本題である。

「星雲仮面マシンマン」で
杉村のぼるさんはカタルシスウエーブを
どう描いているのか?

第13話「Kのそっくりさん」
第18話「のっぺらぼうだ!」
第21話「雨雨降れ降れ!」
第24話「対決!忍者泥棒」
第26話「こわい!笑う人形」
第28話「好き!好き!真紀」
第29話「海賊の宝を探せ!」
第31話「危険なひょうたん」

 杉村のぼるさんは全35話(最終回の総集編を除く)のうち8本書いている。
数としては多い。

 特に第28話はトンチンカンに花嫁としてさらわれた真紀さんを「俺は真紀さんが好きだ。マシンマンとしてではなく、高瀬健として行く」と言って変身しないで戦った「あの」名作である。
決して異色作を書く人ではないはずだ。

 結 果
第13話「Kのそっくりさん」
→Kのそっくりさんの彫刻家、ボーッとした後、子供好きになると宣言する。

第18話「のっぺらぼうだ!」
→眼鏡の女、顔が悪いコンプレックスから犯行に及んだが、マシンマンに「大事なのは心だ」と言われて改心。

第21話「雨雨降れ降れ!」
→怪盗ソルトマ、キョトンとして悪いことしたの?悪いことしたのなら警察行かなきゃ、と言ってフラフラと歩き出す。

第24話「対決!忍者泥棒」
→伊賀の猿丸、キョトンとした後、おとなしく山へ帰ると言って歩き出す。

第26話「こわい!笑う人形」
→怪人マリオン、キョトンとして悪いことしたの?悪いことしたのなら警察行かなきゃ、と言ってフラフラと歩き出す。

第28話「好き!好き!真紀」
→元力士の男、腹が減ったんで悪いことをした、これから警察へ行くと言う。

第29話「海賊の宝を探せ!」
→フック船長、キョトンとして悪いことしたの?悪いことしたのなら警察行かなきゃ、と言ってフラフラと歩き出す。

第31話「危険なひょうたん」
→ソンゴクウ(サル男)登場。人間は登場しないので、使用せず。

 なんだ、ちゃんと描いているのね。
マシンマンのエピソードでは、カタルシスウエーブを使わない話もいくつかあるので、もしやと思って観てみた。

 ただ悪人が「すみません」の一言も言わずに記憶喪失のような状態が多いのは気になるが。(例えば高久進さんの脚本では悪人が最初に「すみません」と言っているパターンが多い)
 
 それにしても8話見続けるの辛いな。

 でも、マシンマンってストーリーが、明るく軽快なので他の特撮ヒーローよりずっと観やすいのね。

 やっぱり名作だな。


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