ふたつ、思ったことがありました。
ひとつは、この20年という歳月の積み重ね。
先生がバレエ教室を始めたのは、おそらく20代後半くらいで、それから貸教室から自宅を改装した自前の教室づくりとステップを経て、生徒さんもたくさんになり、これだけ立派な発表会を市の大きな会館を借りて成し遂げたということ。好きなことを仕事にすることは生きがいであるだけでなく、継続していく大変さを思うと、すごいことだと思いました。私が小学生だったときに大学生で、当時から彼女は本当にバレエが好きで、あと教えることや子供も好きで、それを生業としてちゃんとやってきた、ここまでに育ててきたということに感銘を受けました。発表会全体の企画・構成を考え、振り付けを考え、子供たちにも振り付けを覚えさせ、ゲストの出演者にもネットワークを通じて出演要請をし、パンフレットにも識者のコメントを掲載していただき、当日、自分も踊りながらすべてをやり遂げること。一気通貫で責任を負ってやっているからこその大変さと醍醐味があるのだと思います。
もうひとつは、生徒さんたちが本当に楽しそうに踊っているということ。
構成や振り付けを見ると、その先生のポリシーが見えてきますが、ある意味、力量からすると相当高度な振り付けを課し、基礎ができていなくても音楽に合わせて楽しそうに踊っている子供たち。私がいたバレエ教室の先生は、完璧主義で、できないことは発表会ではさせない、もちろん、多少難度の高い振り付けにして、発表会を目標として練習を通じて力量をあげることはやっていたけれど、どんな子供であってもミスを許さないような(いい意味での)厳しさがありました。
これはどちらがよいとかわるいとかではなく、方針の違い。
子供の情操教育にとって、音楽に合わせて自分を表現すること、全体の中で自分の位置を考えて個性を発揮しながら周囲と協調すること、すごく大事だと思います。そういう意味では、スキル面ではおぼつかなかったとしても、マインド面でバレエが好きになり、大勢の人たちと何かを形にしていくという手ごたえを感じ、経験をし、一発勝負の中で舞台の上に立ち、自分の責任を果たすという経験は、この後対象がバレエから変わったとしても好影響を及ぼす貴重な経験になるのだと思います。教室の方針として、中途半端ではなく、そのポジションをとっている、ということは、観ていても清々しいです。
好きなことを、ある目的・目標のために、仕事としてやり続けること。その先生をうらやましいなと思ったとともに、自分自身もそうありたいと改めて思った貴重な時間でした。