たまたま本屋で目に留まり、開いたページが、
「人間の肝臓をこれから食べる軍人たちがいる」
という内容だった。
遠藤周作。
昔、読書好きな友人に勧められて
「沈黙」を読んだ時の衝撃が思い出され、
すぐに買って読み始めた。
沈黙と同様、
「許されない罪」に向かって、
人々の感情がどのように動いていくのか、
が様々な角度から詳細に描かれており、
このテーマに関しての、
遠藤周作の一貫した想いがひしひしと伝わってきた。
そして沈黙ももう一度読んでみたいと思った。
毎日ニュースで流れているような、
悲劇的で猟奇的で理解不能な事件は、
すべて人間性や社会適合性に致命的な問題を持つ人のみ
によって起こされているわけではない。
どこにでも、誰にでもある日常の延長線上に、
そのような「罪」が存在するということを忘れてはならない。
そのような日常の延長線上に自分が足を踏み入るような状況になったとき、
自分を止められる理性と勇気と強さを忘れてはならない。
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