野叟解嘲(やそうかいとう)ー町医者の言い訳ー

老医師が、自ら患者となった体験から様々な症状を記録。その他、日頃、感じていることや考えていることを語ります。

その後の闘病

2023年01月02日 | 日記

さて、術後の経過ですが、前回はお尻の痛みを述べましたが、これから暫くの間、術後経過を色々と紹介していきます。

手術から2か月程してから、様々な症状(現象)が起きてきます。

まずは、ハムストリングスや大腿二頭筋の異常な緊張です。

術後、快調に過ごしていたのですが、動いた際に突然に襲ってくる肛門付近の鋭い痛みが落ち着き始めた頃、別の現象が出現します。それは、就寝中の大腿後面の「こむら返り」です。仰向けに寝ているとハムストリングスと大腿二頭筋が硬直するのです。これは一種の異常な反射と思われ、脳卒中後の患者さんで痙性亢進に伴い、クローヌスが出現しますが、それに似て、仰臥位で下肢を真っ直ぐにしていると、ハムストリングス、大腿二頭筋が硬直してくるのです。クローヌスとは異なり、間代性ではなく強直性の動きです。これを軽減するには、クローヌスを止めるのと同様に両筋の緊張を解放してやることでした。つまり膝関節を90度ほどに曲げた姿勢を維持するのです。このために、就寝時には布団を丸めて下腿の下に置き、膝が屈曲した姿勢を保ちます。これにより両筋のこむら返りは避けることができるようになりました。側臥位になった際には、決して下肢を真っ直ぐにしないように努めました。

さて、上記の方法でなんとか睡眠時間を少し確保したのですが、その後、右膝の痛みが出てきました。膝と言っても、脛骨内側の所謂鵞足と呼ばれる部分(写真の青矢印のところ)です。変形性関節症も出てきたのかとあきらめていたのですが、ある日、トイレに座っていた時、自分の膝の様子がおかしいと気づきました。写真は最近のもので、問題の現象が起きた時のものではありませんが、黒い矢印の部分、大腿四頭筋内側頭の下方には誰でも多少は窪みが見えますが、それが異常に深かったのです。何だろうと大腿に触れてみたところ、ハムストリングスが異常に張っていることに気づきました。どうやら鵞足の痛みは、この筋の異常緊張が原因と思われました。これをどうやって解決しようかと考えました。中々、自分の思い通りにはコントロールできませんでしたが、どうしようと「フと」お腹の力を抜いた途端、窪みが浅くなる様子が見えました。

何が起きたのかというと、お腹の力が抜けると同時に無意識のうちに背中を丸める姿勢になっていたのです。逆に、背中を反らせる姿勢になるとハムストリングスが緊張し「窪み」が深くなる様子がリアルタイムに観察できました。

この現象について、次の機会に大腿二頭筋の緊張とともに説明したいと思います。