女子看護師寮の看板がかかった藍原の宿舎の前について、村崎は藍原をそっと下ろした。
「アイハラさん、部屋でゆっくり泣いて下さい。もう誰も見てないから」
漢字が変換されていない顔で村崎が言った。
「藍色の藍の藍原です。きっとまたお会いするから、私が泣いていたことは忘れて下さい」
「俺は村崎一。紫色のじゃなくて村に崎だけど。名前だけは覚えていていい?ここには時々来ると思うし」
藍原は黙ってうなずいて、そのままお辞儀した。黒木の部署に移ったら、清掃に配属されることもあるかも。そうしたらここではないところで村崎と会うことになる。
院長や師長は優しくて大好きだけど、担当の患者さんが亡くなったことだし、院長も心配していたように他の看護師からハブられているのも辛いから、配置換えにはいい時期なのかも。
看護師や医師ではなくて、黒木や村崎みたいな男性達と働くのもきっと悪くない。
在宅看護の患者さんの家に村崎と掃除に行ったら楽しそうだ。背の高い村崎と一緒に掃除をする様子を想像するとクスクス笑いがまた沸きあがってきて、手帳を忘れたまま帰ってきてしまったことを思い出した。まあいいわ、明日師長や院長に話をしに行くとき持って帰ってくれば。
「アイハラさん、部屋でゆっくり泣いて下さい。もう誰も見てないから」
漢字が変換されていない顔で村崎が言った。
「藍色の藍の藍原です。きっとまたお会いするから、私が泣いていたことは忘れて下さい」
「俺は村崎一。紫色のじゃなくて村に崎だけど。名前だけは覚えていていい?ここには時々来ると思うし」
藍原は黙ってうなずいて、そのままお辞儀した。黒木の部署に移ったら、清掃に配属されることもあるかも。そうしたらここではないところで村崎と会うことになる。
院長や師長は優しくて大好きだけど、担当の患者さんが亡くなったことだし、院長も心配していたように他の看護師からハブられているのも辛いから、配置換えにはいい時期なのかも。
看護師や医師ではなくて、黒木や村崎みたいな男性達と働くのもきっと悪くない。
在宅看護の患者さんの家に村崎と掃除に行ったら楽しそうだ。背の高い村崎と一緒に掃除をする様子を想像するとクスクス笑いがまた沸きあがってきて、手帳を忘れたまま帰ってきてしまったことを思い出した。まあいいわ、明日師長や院長に話をしに行くとき持って帰ってくれば。