第7話-5

　「なんか想像できないけど、村崎さんもかわいいって言われたかった？男としては、あんまりいいもんじゃないですよ」
　「そうかもね。でも考えてみろよ。デカい俺は小学生の頃は中学生か高校生に間違われて、高校生の時は完全に大人扱いだぜ。
高校の頃は居酒屋やパチンコ屋によく親を迎えに行ってたけど、止められたこともないし。便利って言えば便利だし、あきらめた」
　黄はちょっと笑って、「ワタシの初めての芝居は少女の役で３歳の頃なんだけど、評判が良くてお袋は大喜びで、親父は怒ってました。ワタシの芸名は小さい花と書いてシャオファで」と懐かしそうに表情を緩めた。「子役に完全に食われたって、ワタシの父親役をやった団長も怒っていたネ。
　父はワタシを男らしい男にするために少林寺拳法を教えて、上達の早かったワタシも楽しかったネ。山の中を走り回ったりするのも、かわいい女の子をからかうのも」
　「男としてそれはわかるな。からかいすぎて泣かせちゃったり」

　「ワタシ、高校生の時やっとデートに誘い出した女の子に、シャオロンは私よりきれいだから嫌いと泣かれたことがある」

　もちろん、村崎には経験として理解はできない。でも、黄が孤独なのは分かった。