葉室麟の「冬姫」を読了した。
冬姫は織田信長の次女。
近江六角氏の家臣であった蒲生賢秀が臣従した折、人質に取ったその子鶴千代(後の氏郷)の才を信長が早くに見抜いて娘冬姫を嫁がせて取り立てたという。
栄華と混乱、むしろほとんど混乱の中を過ごし蒲生家の嫁として生き抜いた人である。
その血筋と美貌、才気ゆえ羨望と怨嗟・・どろどろ、刃、毒が交錯する。
史実かは不明としても十分過ぎるほどあり得るストーリーである。
冬姫を守るもずと又造・・忍である。敵もまた忍あり。
信長の血筋の話である。ハッピーエンドではない。
しかし、氏の作品は読後感がいい。
因みに「冬姫」は実在であるが、その名には典拠がないとのこと。
・・永禄12年冬姫が嫁した・・というのがそれにあたるようであるが、これは永禄12年冬、姫が嫁した・・と読むのではないかという誤読説があるようである。
誤読説が正しいようだと冬姫は本名、通称も知られていない。