2,000人以上の経営者と面談してきた、東証一部上場の元ベンチャーキャピタリスト

楽天ブックスにて電子書籍を出版しております。 https://bit.ly/2R5qMZu

憲法改正は日本国民の意思ではなく、今回もまたアメリカの意思で決まるのか?~安倍首相の危険な最終目標、徴兵制復活~

2021-07-25 16:53:56 | 政治

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 


■憲法改正は日本国民の意思ではなく、今回もまたアメリカの意思で決まるのか?

ヤフーニュース(2017/6/1)山田順

 


~~~


だいたいトランプは、選挙期間中、日米安保の片務性、米軍駐留経費を不公平として、「全額払え。そうしなければ撤退もありえる」と言ったことがある。

 

しかも、NYT紙やWP紙のインタビューで、「もし中国が日本を攻撃したらどうするか?」という質問に対して、「アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史がある」などと、ピント外れのことを平気で言っていた。

 

彼は安倍首相との会談で、「アメリカは100%日本と共にある」と言ったが、いっしょに戦うとは言っていない。

それに、この大統領は嘘つきだ。

 

アメリカはいかに同盟があろうと、同盟国の戦争に自動参戦などしない。

第一次大戦でも第二次大戦でも、どんなに英仏が窮地に立たされても参戦しなかった。

 

第二次世界大戦にアメリカが参戦したのは、日本に真珠湾を奇襲されたからであり、それでも独伊には宣戦布告をしなかった。

独伊のほうが、日本が攻撃したから仕方なくアメリカに宣戦布告をしたのである。

 

かつて、アーミテージ国務副長官(当時)は日本プレスクラブでの記者会見で、「安保条約は、日本あるいは日本の施政権下にある領土に対するいかなる攻撃も、米国に対する攻撃とみなされることを定めている」と述べた。

これは2004年のことで、当時は、尖閣問題も北朝鮮問題も深刻化していなかった。

 

先日のこのコラムで書いたが、アメリカ国内には、北への先制攻撃論が根強くある。

ジョン・マケイン上院議員とともに共和党穏健派を代表するリンゼー・グラム上院議員がその筆頭だ。

 

彼は、大統領は米本土を守る責任があるとし、北を攻撃せよと主張している。

それとともに、アメリカ国内で、高まってきたのが、「日本に改憲させろ」という声だ。

 

民主党、共和党を問わず、こう主張する議員がいる。

昨年夏の大統領選挙中にトランプは、日本の核保有を容認する発言をしたことがある。

 

このとき、バイデン副大統領(当時)は、トランプをバカにして「彼は私たちが書いた憲法で日本が核兵器保有国になれないことを理解していない」と批判した。

アメリカでは、日本国憲法はアメリカ(マッカーサー)が書いて日本に与えたのは常識である。

 


だから、今回もまた、書き換えさせろと言うのだ。

そんな声を代表して、5月9日のWSJ紙は、オピニオン欄で「Japan’s Constitutional Gamble」(日本の憲法ギャンブル)という記事を掲載した。

 

この記事の主張は、北朝鮮や中国の脅威が高まっているいま、日米は共同して防衛と抑止に努めなければならないが、第9条を持つ日本国憲法はそのためのリスクになっているというものだ。

憲法第9条が集団防衛を阻んでいるからだ。

 

つまり、この状況をなんとかすべきと、暗に示唆している。

WSJ紙の主張は、アメリカ国民と議員たちの主張の代弁と思っていい。

 

トランプが日米安保の片務性を批判したように、いまや憲法も批判の対象になっている。

 

たとえば、民主党のブラッド・シャーマン下院議員は「日本は私たちが攻撃されても憲法を口実に助けようとはしないから、私たちは尖閣諸島を守る必要はない」と主張している。彼は、「北朝鮮のテロ指定国家を解除すべきではなかった」とも言っている。

 

初外遊を「どこにいってもホームラン」などと自慢するトランプの定見のなさ、不誠実さは、いまや世界中に見透かされている。

ドイツのメルケル首相は彼を完全に見放し、「もうアメリカを頼らない」と宣言した。

 

中国の習近平主席も、北朝鮮の金正恩党委員長もトランプを舐めきっていると見ていい。

しかも、アメリカ国内では、今後、ますますトランプ弾劾の動きが強まっていく。

 

ブックメーカーによる弾劾のオッズ(2017年中)は、つい先日までは2/1(3倍)だったが、先週から1/1(2倍)になった。

弾劾が近づくと、そこから目をそらさせるため、このナルシスト大統領トランプはなにをしでかすかわからない。

 

北朝鮮を本当に先制攻撃するかもしれない。

かつて、弾劾裁判にかけられることになったクリントンは、アフガニスタンやスーダンへの爆撃を行い、「スキャンダルから目をそらさせるためだ」と散々批判された。

 

そして今週、とうとう3番目の空母打撃群ニミッツ艦隊が派遣された。

これで、3打撃群体制となり、北朝鮮攻撃の準備は整った。

 

とはいえ、日本の本当の脅威は、北朝鮮より中国だろう。

中国の拡張主義は、これ以上放置しておくと、わが国の安全保障にとって最大の障壁となる。

 

民主主義を尊重せず、外交を国益拡大の手段としか考えない拡張主義国家が存在する限り、日本が日本国憲法内に留まることは危険である。

中国にも北朝鮮にも、政治に「公正」と「信義」が存在しない。

国民の「自由」も存在しない。

 

それなのに、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」を守っている場合ではない。

憲法を改正するのは、とりあえず第9条を、次のようにすればいいだけだ。

 

原文《第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。》

 

改正《9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力を保持する。》

 

安倍首相はもっと明確に、このままでは憲法によって、日本は自国防衛ができない。

平和と安全を維持できない。

 

アメリカにも見捨てられる。それでいいのか?と、国民に伝えるべきだ。

このままいくと、またもアメリカの圧力で新憲法をつくることになる。

 

それでもいいのだろうか?

 


~~~
■憲法改正は日本国民の意思ではなく、今回もまたアメリカの意思で決まるのか?
ヤフーニュース(2017/6/1)山田順
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20170601-00071588/

 

 

 

 

 

 

本日は3つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

 

■憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~

週刊現代(講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)

 


~~~


自民党の衆院選大勝を受けて、安倍晋三首相は今後、日米同盟の強化を図りながら、北朝鮮の脅威に立ち向かっていくという。

 

だが、ちょっと待ってほしい。

その勇ましい強硬路線は、本当に日本のためになるのか? 

 

結局、アメリカの都合のいいように利用されるだけではないのか?

アメリカが日本を支配する構造を解き明かしたベストセラー『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』の著者・矢部宏治氏と田原総一朗氏が、徹底議論。

 

戦後、日本がずっとアメリカの「いいなり」であったことの理由や北朝鮮ミサイル危機の行方、さらには、日本がアメリカに核兵器を持たされる可能性について、意見を交わした。

まず、田原氏が着目したのは、在日米軍の特権が認められた、不当ともいえる日米地位協定だった――。

 

 

・日米間で結ばれた密約

 

田原: 最初の最初から、おうかがいしたいんですが、そもそも矢部さんが日米地位協定に関心をお持ちになった理由は何ですか?

 


矢部: きっかけは、2010年に鳩山由紀夫政権が「何か、わけのわからない力」によって退陣したことです。問題は沖縄の米軍基地にあるらしいというので、私は沖縄の基地すべてを撮影する書籍の企画を立て、写真家と二人で沖縄に撮影に行ったのです。ここがスタートですね。

 


田原: なるほど。鳩山首相が辞任せざるを得なくなったと。それは一般的に、普天間の移設先を辺野古ではなく「最低でも県外」と言ったことに起因していて、鳩山さんはどうも徳之島をその候補として考えていたらしいけど、その徳之島がダメになった。

それで結局、アメリカと交渉して辺野古を認めざるを得なくなり、沖縄を裏切るかたちで鳩山さんは首相を辞任したわけですが、矢部さんが沖縄を訪れて最初に「これは大変なことだ」と思ったのは、どういう点でした?

 


矢部: 沖縄では、米軍機が民家の上を低空飛行していたことですね。ものすごい低空飛行をしていますから。

 


田原: アメリカ国内ではもちろん、沖縄でも米軍の宿舎の上を米軍機は低空飛行しない。ところが、日本人の民家の上は平気で飛んでいる。

 


矢部: その区別がわかったのは撮影後、かなり経ってからなんですけれど、要するにアメリカ人の人権は守られているのに、日本人の人権に関しては一切ケアされていません。

それはなぜかというと、日本には航空法特例法というものがあり、米軍機は安全基準を守らなくても飛行できることになっている。ですから、米軍住宅の上は飛ばないけれど、日本人の住宅の上はいくら低く飛んでもいいという、ものすごくグロテスクな状況が起こっているのです。

 


田原: 今回矢部さんの出した本の8ページには、たとえば「アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる」と書いてある。

しかも、「日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない」ということが、なんと外務省が1983年12月につくった高級官僚向けの極秘マニュアルに記されている、と。

これ、どういうことなんですか? まあ占領下ならともかく、なんで戦後40年近く経った1983年の段階で、こんなことが通用したの?

 


矢部: それが今日、本当に説明したかった点なんです。1952年にできた日米行政協定が改定されて1960年に日米地位協定となったのですが、この地位協定をよく読むと、アメリカは日本国内の基地と区域の使用を許可されると書いてある。

さらに米軍は日本国内の米軍基地や区域に出入りし、その基地と基地や、それらと日本の港や飛行場との間も自由に移動できるという特権についても、記されています。

 


田原: だけど、これについてはね、1951年に締結された最初の吉田安保はこのとおりだったんですよね。でも、1960年に改定された岸安保では、事前に日本政府と相談をしてOKを得なきゃダメだっていうふうになったのでは?

 


矢部: そこで出てくるのが、改定のウラで結ばれていた密約なんです。日本国内における米軍基地の使用と米軍の法的地位は、行政協定にかわる地位協定によって規律されると。

 


田原: そうすると、地位協定はできたけれども、実は52年の行政協定がそのまま続く。

 


矢部: そうです。それで、この密約ですね、在日米軍の基地権は、地位協定の改定された文言の下で、行政協定の時代と変わることなく続くと。

 


田原: これは、岸信介は知っているわけ?


矢部: もちろん知っています。


田原: 知っていて密約を結んだ。


矢部: その通りです。

 


田原: 岸が仮に裏があることを承知でやらざるを得なかったとしてね、現在までそれが続いているというのは、その後の総理大臣はどうしているんですか?

 


矢部: だから、みんな知らないんです、そうした密約を。


田原: なんで知らないんだろう?


矢部: 引き継ぎがないんです、一言でいうと。


田原: 「ない」っていったって……。


矢部: 僕もそれはびっくりしたんですけど。


田原: 官僚も言わないの?

 


矢部: 官僚も知らないです。なぜかというと、これは、元外務省国際情報局長の孫崎享さんがおっしゃっているんですけど、外務省でしかるべきポストに就いたとしても、ちゃんとした情報がもらえるのは、その地位にいる3年間ぐらいだけだと。その前後のことは、よくわからないというふうに証言しています。

 


田原: なんで調べようとしないの?


矢部: 密約について日本の外務省には、政権が変わったら引き継がなくていいという悪しき伝統があるんです。


田原: でも、守ってるんでしょう?

 


矢部: もちろん米軍側に文書があるから、守らざるを得ない。だからこっちは否定するけど、いざとなったら力で押し切ってくれてかまわないという「暗黙の了解」があるわけです。

 

 

・東京のど真ん中で秘密会議

 

田原: 話は飛ぶけど、日米合同委員会っていうのがあるんですね。これ、僕は矢部さんの本で初めて知ったんだけど。できたのは……。

 


矢部: 1952年ですね。日本のエリート官僚と在日米軍の幹部が月に2度ほど、都内の米軍施設(南麻布にあるニューサンノー米軍センター)と外務省で行っている秘密の会議です。

ここで決まったことは国会に報告する義務も外部に公表する必要もなく、何でも実行できる。つまり、合同委員会は、日本の国会よりも憲法よりも上位の存在なのです。

 


田原: 合同委員会の日本側のトップが外務省の北米局長で、ほかに法務省大臣官房長や防衛省地方協力局長などがいる。一方、アメリカ側のトップは在日米軍司令部の副司令官で、メンバーのほとんどが軍人ですね。1952年にできて、まだ続いているんでしょう?

 


矢部: 65年間続いているんです。1600回ぐらい。


田原: 続いていることを、総理大臣は知らないわけ?


矢部: 鳩山さんは、合同委員会の存在そのものを知らなかったとおっしゃっています。

 


田原: 鳩山は民主党だからね。たとえば、中曾根(康弘)や小泉(純一郎)も知らなかったのかな?

 


矢部: あることは知っていたかもしれませんが、その実態については、知らなかったかもしれません。議事録がほとんどオープンになっていませんから。

 


田原: そういえば以前、石原慎太郎が横田基地の返還と日米での共同使用を訴えていたことがあった。結局うまくいかなかったけど、なんでダメだったんだろう?

 


矢部: 外務省がまったく協力してくれなかったと石原さんは記者会見で言っていましたけど、合同委員会の実態を見ると、外務省が交渉してどうこうなるっていう話ではないんですよね。要するに、合同委員会で米軍側が決めたら、日本側はそれを聞き入れるしかないという関係なんですよ。

 


田原: 実は、森本(敏)さん(元防衛大臣)に、矢部さんの本に合同委員会のことが書いてあるよと伝えたところ、彼は知っていたんです。「自分も合同委員会に出たことある」と。そこで、「なんでこんなもの変えないんだ」と尋ねると、森本さんは「それを変えようという意見がどこからも出てこないんだ」と言っていた。

 


矢部: 合同委員会には本会議の他に、30以上の分科委員会があるんですが、森本さんは自衛隊から外務省北米局日米安保課に出向していた時期があるから、そのころ出ていたのかもしれませんね。

ちなみに合同委員会のアメリカ側のメンバーには、一人だけ外交官がいます。それはアメリカの大使館の公使で、つまりアメリカ大使館のナンバー2なのですが、これまでの何人かはものすごく批判しています、その体制を。

なぜかと言うと、それは当たり前の話で、本来、日本政府と交渉して、決まったことを軍部に伝えるのが自分たち外交官の仕事なのに、頭越しに軍が全部決めちゃっている。これはおかしいと、ものすごく怒っているんです。

 


田原: 一番の問題はね、なんで日本側がね、日米地位協定にしても日米合同委員会にしても、それをやめようと言わないのかと。言ってみりゃこれは、日本はまだアメリカに占領されているようなものですよ。独立したのに。

でも、いまの体制を続けたほうが得だと思っているのかな、実は。アメリカの従属国になっていることで、安全なんだと。そのために自衛隊も戦う必要もないし。現に72年間、戦死者は1人も出なかったと。平和だったと。それで、経済は自由にやってりゃいいと。

 


矢部: とくに冷戦時代は、軍事的にも守ってもらえるし、経済的にも優遇してもらえるし、日本にもすごくメリットがあったんですよね。だから変えられなかったんだと私も思います。

 

 

・「核の傘」に意味はあるのか

 

田原: 歴代総理大臣はこれまで、憲法九条を盾に、アメリカの戦争には巻き込まれないようにしてきた。たとえば佐藤(栄作)内閣のときに、アメリカが「ベトナムに来いよ、自衛隊、一緒に戦おう」と。佐藤はそれに対して、「もちろん一緒に戦いたい。ところが、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、行くに行けないじゃないか」と返している。

小泉のときも、ブッシュから「一緒にイラクへ来て戦ってくれ」と求められたので、「行くには行くけれども、あなたの国が難しい憲法を押しつけたから、水汲みにしか行けない」と言って水汲みに行ったの。

その一方で、山崎拓から「憲法改正しよう」と持ちかけられた小泉は2005年、舛添(要一)とか与謝野(馨)、船田(元)らに「新憲法草案」をつくらせるじゃない。

これは2012年の「日本国憲法改正草案」よりよっぽどいいと僕は思っているんだけど、山拓が「さあ、草案をつくったんだから憲法改正を打ち出そう」と小泉に言っても、小泉は「いや、郵政民営化が先だ」と。頭に来た山拓が僕に電話を掛けてきたんです。「小泉の野郎に逃げられた」と。小泉もやっぱり、憲法改正しないで、従属したほうが得だと思ったの。

 


矢部: 今年8月の内閣改造で沖縄及び北方担当大臣になった江崎鉄磨さんも、就任直後に地位協定を見直すべきだって発言したあと、すぐに引っ込めましたよね。

 


田原: 日本は「核の傘」の下でアメリカに守ってもらっている。だから、今年7月、国連で採択された核兵器禁止条約に日本は反対したし、条約の交渉会議にも出なかった。アメリカの従属国のままのほうが、安全だと思っているのかな。

 


矢部: いままではそうでしたけど、今回、北朝鮮のミサイル問題を見てもわかるとおり、核の傘なんて何の意味もありませんし、かえって危険だという状況はありますよね。

 


田原: もしね、北朝鮮が核を持てば、韓国も核を持とうとするでしょう、当然。日本も持とうとするんじゃない?

 


矢部: うーん。持とうとするというか……。

 


田原: 日本が核を持つのに、一番反対したのはアメリカなんだよ。僕はキッシンジャーに、そのことを何度か聞いたことがある。絶対反対だと。

 


矢部: ところが、いまはむしろ、持たされる可能性が高い。


田原: トランプがそう言ってるじゃない、大統領選挙のとき。

 


矢部: ですよね。1970年代にヨーロッパで起きたことですが、中距離核ミサイルを持たされて、ソ連とヨーロッパが撃ち合いの状況をつくられてしまった。でもアメリカはその外側にいて、自分たちは絶対安全と。そういう体制が今後、日本・韓国と中国・北朝鮮の間でつくられてしまう可能性があります。

あと、今日はもう一つ、田原さんにどうしてもお話ししておきたいことがあるんです。安倍首相が2015年に安保関連法を成立させて、集団的自衛権の行使が認められるようになりましたよね。もう、あれで自衛隊は海外へ行けるわけですから、米軍側の次の課題っていうのは憲法改正とかじゃなくて、違うフェーズに移っているということを、いま調べているんです。具体的には全自衛隊基地の共同使用なのですが。

 


田原: どういうこと?

 


矢部: 要するに、すべての自衛隊基地を米軍と自衛隊が一緒に使って、米軍の指揮の下で共同演習をやるようになるということです。たとえば静岡県にある富士の演習場というのは、もともと旧日本軍の基地で、戦後、米軍基地として使われていました。それが1968年、自衛隊に返還されたのですが、その際、年間270日は米軍が優先的に使うという密約が結ばれていたのです。

 


田原: いまでもその密約は続いているの?


矢部: ええ。年間270日ですから、日本に返還されたと言ってたら、事実上、米軍基地のままだったわけです。


田原: 本当は米軍基地じゃないんでしょう? 残ってるわけか、少し。

 


矢部: ちょっとだけ残っているんですよね。全部米軍基地だったのを少しだけ残して、いちおう日本に返したのですが、密約で270日間は自分たちが使うと。そうすれば、基地を管理する経費がかからないし、米軍基地じゃなくて自衛隊基地のほうが周辺住民の反対運動も少ないので、はるかに都合がいいんです。

下手したらね、たとえば辺野古ができたあと、普天間を日本に返して自衛隊の基地にする、でも米軍が優先的に使いますよ、ということだってあり得るわけです。ですからこれから日本では、米軍基地の返還が進み、表向きは自衛隊基地なのにその実態は米軍基地、というかたちがどんどん増えていくかもしれません。

どのような政権枠組みになるにせよ、今後厳しく注視していく必要があります。

 

 

~~~

■憲法よりも国会よりも強い、日米「秘密会議」の危ない実態~これが日本の現実だった~
週刊現代(講談社)2017.10.24(田原総一朗×矢部宏治)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53252?page=5

 

 

 

 

 

最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

 


■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念

Business Journal 2014.12.13

 


~~~


衆院選投票日が今週末14日に迫っているが、国民の関心は薄く、報道機関の世論調査でも「関心がある」と答えているのは全体の6割でしかない。

 

年代別でみると、70代以上が最も関心が高く8割に迫る水準だが、20代は4割強でしかなく、実際に投票に行くかどうかとなると世代間の差はさらに広がる可能性が高い。

このことは、70代以上の意思が国民の意思になり、若年層の利益と高齢者の利益が相反しても、国政には高齢者の利益しか反映されないことを意味する。

 

そんな若年層が投票日までに目を通しておくべきだと考えられるのが、『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(合同出版)である。

著者は司法試験予備校伊藤塾の塾長であり、憲法研究をライフワークと位置づけている護憲派の伊藤真弁護士と、改憲論者で「コバセツ」の愛称で知られる小林節慶応義塾大学法学部教授。

 

2人の対談形式になっており、実際に読む部分は137ページしかない薄い本で文字も大きい。

内容も平易な上に衝撃的で、決して眠くなるような内容ではない。

 

2~3時間で読めるので、特に20~50代の方にはぜひとも読んでほしい。

なぜ20~50代なのか。

 

それは安倍晋三首相という政治家の悲願実現の暁には、最も被害を被る層だからなのだが、詳細は後述する。

同書は昨年7月に刊行されたもので、自民党がまだ野党だった2012年4月に発表した、同党の、というよりは安倍首相が考えた憲法改正草案を批判した本である。

 

ポイントは、改憲論者の小林氏ですら徹底的に批判しているという点だ。

 

『NEWS 23』(TBS系)キャスターで毎日新聞政治部特別編集委員の岸井成格氏も、テレビ番組でこの改憲案を「あまりにも幼稚な内容で、いくら野党になったからといって、こんな無分別なものをつくるとは、とあきれ、政治部の記者は相手にしなかった。だがそれがいけなかった。即座に徹底的に批判すべきだった」と語っている。

 

筆者は経済専門の記者で、社会部系でも政治部系でもなく、人権に関する報道を熱心にやってきたわけでもない。

 

従ってこの憲法改正案の内容をほとんど知らなかったのだが、同書を読んで仰天した。安倍首相は、改憲こそが最終目標であり、集団的自衛権容認は何がなんでも実現したいという悲願を持ち、それが国家にとって最善の道だと信じて疑わない政治家なのだということがわかる。

 

強い信念を持って正しいと信じて突き進む政治家ほど怖いものはない。

2年間の政権運営で、自分の信念は国民受けが悪いこともすでに承知している。

 

受けがいい経済政策を隠れ蓑にしながら票をかき集めないと、自分の信念は実現できない。

自民党総裁選が来年9月では、それまで安倍人気は持たない。だから今なのだ。

 

 

・権力者を縛る憲法があってこその立憲主義

 

同書で小林氏と伊藤氏の2人ともが一致して批判しているポイントは、憲法96条と99条に関する改正案。

両条文に共通するのは、「安倍首相は憲法を憲法とは別のシロモノに変え、立憲主義を捨てたがっている」という点だ。

 

「国民を縛るのは法律。その法律のつくり手である権力者を縛るためのものが憲法」であり、「法の上に憲法があるのが立憲主義」だと記憶している人は少なく、両氏はそれこそが問題であり、日本国民は「立憲主義とは何か」を理解していないと指摘する。

 

憲法は英語で「constitution」であり、権力をカサに着て国民の人権を不当に侵害するような法律を、権力者につくらせないためのものだ。

そもそも権力者を縛ることを目的にしているのだから、主語は基本的に権力者でなければならない。

 

よって、国民については権利を盛り込むことはあっても義務を盛り込む余地はない。

ちなみに義務教育のくだりは「教育を受ける権利」を意味する。

 

現行憲法では、99条で「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」としているのに、改憲案ではわざわざ102条を新説し、国民に対し憲法を守れとしている。

国民の義務を謳った新設条文はほかにもあり、「家族は互いに助け合わなければならない」として、本来憲法が踏み込むべきではない道徳に踏み込んでいたりする。

 

96条で憲法改正に必要な衆議院、参議院での賛成数を3分の2と定めているが、これも過半数に緩和するとしている。

だが、これでは憲法が一般の法律程度の賛成多数で変えられるようになってしまい、それでは憲法は憲法でなくなる。

 

一般の法律は定足数が総議員数の3分の1で、その過半数の賛成で成立する。

これと同じレベルにするということは、権力者である安倍首相が自らを縛る規律を大幅に緩めようとしているわけで、これは間違いなく立憲主義の否定になる。

 

天皇の権限を大幅に増やす条文が新設されていることについても、小林氏は「政治利用が行われ得ない様にすべき」と批判的だ。

公務員による拷問や残虐な刑罰を禁じた36条では、「絶対にこれを禁ずる」から「絶対に」だけが削除されている。

 

明確に「国防軍」という条文も新設されている。

とにかく全体的に、戦前の家父長制度を基本とし、国家の利益が個人の利益に優先する明治憲法への回帰を志向しているとしか思えない細かい「改正」箇所が随所に登場するのである。

 

 

・現実味帯びる徴兵制

 

当然、集団的自衛権を容認する前提で必要な改正も盛り込まれている。

今回の選挙の争点である経済政策、原発再稼働容認の有無、集団的自衛権容認の有無は、3点がセットである。

 

経済政策には賛成でも残り2つには反対という人が自民党に投票すれば、もれなく反対である残り2つにも賛成したことになってしまう。

自民党内に反対派が事実上おらず、政権与党内に誰も安倍首相を牽制できる政治家がいないからだ。

 

集団的自衛権について、安倍首相は海外の紛争地域での邦人保護など、耳当たりの良い事例だけを引き合いに出して説明しているが、要するに国民が国家から「海外へ行って人殺しをしてこい」と命じられることなのだ。

人間の約95%は人殺しをすると心を病むということが、科学的に立証されている。ボタン一つで人殺しができる現代でも、心を病む兵士は後を絶たない。

 

それでは海外へ行って人殺しをしろと国から命令されるのは一体誰か。多くの人は自衛隊員と答えるはずだ。

それでは「自衛隊員にあなたは志願しますか」「あなたの子供を自衛隊員にしますか」という質問をされたらどう答えるのだろうか。

 

自衛隊員には、任期がない隊員と、任期がある隊員がいる。防衛白書によれば、任期がない隊員は14年3月末時点で20万5333人、任期がある隊員は2万379人いる。

「曹」「准尉」「将」といった幹部クラスの人数は18万4983人と、5年前に比べると1230人増えている。

 

定員に対する充足率も96.8%と高水準だ。

だが、最下層の「士」は4万729人と、5年前に比べて4783人、率にして1割減っている。

 

この「士」は任期付きの隊員が半数を占め、その任期付きの隊員に限っていえば、2割も減っている。

「士」全体としての定員に対する充足率も72.6%と低水準だ。

 

集団的自衛権の容認が実現すれば、おそらく自衛官への志願者は激減するだろう。

ただでさえ18歳以下の人口は減少の一途を辿っている。

 

必要な頭数が揃わなくなれば、にわかに徴兵制度が現実味を帯びてくる。

実際に海外から派遣要請が来たときに、「頭数が揃わないので派遣できません」などと言えるわけがない。

 

 

・まったく戦争を経験していない世代

 

なぜ20~50代に本書を読んでほしいのかといえば、徴兵の対象になるのは、まさにこの年齢層だからだ。

今、小学校4年生の子供も10年たてば成人である。

 

だがこの層には選挙権はない。

30~40代は自分のことに加え、自分の子供の将来も考える必要がある。

 

太平洋戦争当時、応召の対象になった年齢は当初は20~40歳だったが、1943年に下は19歳に引き下げられ、上は45歳に引き上げられた。

翌44年に下は17歳に再度引き下げられている。

 

ストレプトマイシンが発見されるのは戦後なので、このときはまだ結核が死の病。

平均寿命は男性42歳、女性43歳。

 

それでも45歳まで応召されている。

今なら上は50歳、場合によっては55歳くらいまで引き上げられてもおかしくない。

 

男女平等だから女子もという話もあり得るかもしれない。

絶対安全なところにいて、なおかつまったく戦争を経験していないのが60代から上の世代だ。

 

戦前生まれでも、昭和一桁年後半あたり以降に生まれている世代は応召されていない。

それどころか、子供だったので疎開していて空襲すら経験がない人も少なくない。

 

35年(昭和10年)生まれは今79歳。

応召年齢が引き上げられた43年生まれは73歳。

 

第一次就職氷河期が到来した95年当時、雇用を守ってもらえた世代そのものだ。

若者の就職難は、中高年社員の雇用維持の反作用であった。

 

 

・憲法解釈の変更を閣議決定でできる、と語った安倍首相

 

筆者の肌感覚では、この60~70代以上の層には、安倍首相と同じ考えを持つ人が他の世代に比べて多い気がする。

 

この層には「若者を叩き直すためには戦地へ行かせるのがよい」などと発言する人が多いが、自分は戦争を経験しておらず、それがどれだけ人の心に壊滅的なダメージを与えるのか想像がついていないからではないのか。

 

そしてこの世代こそが、最も選挙に熱心で投票率が高い。

この世代から仕事を奪われた20~50代は、今度は国から「国のために戦争に行ってこい」と言われかねない事態に現在陥っているということを、まったく自覚していない。

 

実際に戦地で人を殺した経験を持つ人の多くは、終戦70年近くたった今も、心理的ダメージゆえにその悲惨な経験を口にすることができないといわれる。

応召された最年少世代がすでに87歳。経験を口にすることなく鬼籍に入る人はどんどん増えている。

 

とにかく安倍首相は、憲法解釈の変更という重大な決定を閣議決定でできると言ってのけた人物である。

高齢者はあなたたちを守ってはくれない。

 

~~~
■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念
Business Journal 2014.12.13
https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html

 

 

 

 

 

 

昨今、子どもたちに人気のオンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」はご存じでしょうか。

小学生や中学生に大人気の「戦争ゲーム」です。

 

アメリカ企業「Epic Games(エピックゲームズ)」が運営するゲームなのですが、すごいのがその「リアル感」。

まるで本物の「銃」を打っているかのような臨場感です。

 

火力の大きい「銃」を打つと、その反動や衝撃をも、リアルに映し出されるほどの「完成度」なのです。

相手を倒すために「ヘッドショット」と呼ばれる頭を打ち抜き、一発で仕留めることが最高の技術と評されています。

 

まるで、日本の子どもたちに「リアル戦争の技術」を学ばせているかのような、完成度の高いゲームです。

ただ、同じチーム内でも殺しあうことができる仕組みや、「キック」と呼ばれる仲間外れの仕組みなどもあり、いじめの原因にもなると言われています。

 

一部の親からは、非常に評判の悪いゲームでもあります。

ただ。

 

この戦争ゲームと現実の戦争。

少し懸念点としてあるのが、今の日本の状況です。

 

欧米諸国と、急激に成長を遂げている中国との「戦争リスク」です。

実際、コロナが世界を席巻してから、世界各国は保守的な思考に移行し、自国国益ファーストを強めてきました。

 

食の輸入や水道資源の確保、自国での製薬事業の強化、医療体制の補強など、多くの国は様々な面で自国防衛を強化しています。

一方、日本は「無策」を続けています。

 

ワクチン政策では、欧米ワクチンを最優先し、自国産ワクチンを軽視。

オリンピックは欧米主導のIOCの言いなりで「ノー」と言えない状況。

 

安倍政権発端の「食」輸入や水道民営化の外圧の言いなりの状況。

このままでは、日本国民の「健康」や「命」をも、欧米の意思決定に委ねてしまうリスクまで現実性を帯びてしまいます。

 

昨今、米中戦争のリスクは高まっています。

自衛隊と米軍の軍事共同訓練では、自衛隊が米軍の実質指揮の下で動いている、というニュースも各所で見受けられます。

 

もし、自衛隊が、米軍の実質指揮下で動いているとしたら。

万が一、米中戦争勃発した際には、自衛隊が対中戦争の最前線で戦争する羽目になるという、最悪のケースも考えられる状況ではないでしょうか。

 

アメリカやイギリス主導で始めた対中戦争に、日本の意思ではない「自衛隊参加」の戦争となる可能性があるのかもしれません。

平和憲法「日本国憲法」は戦争参加を否定しています。

 

ただ、この憲法改正を進めているのが、安倍元首相だと言われています。

もし、憲法改正で自衛隊による戦争が可能となった場合、最も恐れる事態が起こる可能性があります。

 

米中戦争に、自衛隊が最前線となるリスクです。

当然、自衛隊が参戦したら、日本国土も、一般日本国民も、戦争に巻き込まれるでしょう。

 

すべてを他国に依存してしまうことは、他国の国益に巻き込まれることにつながります。

巻き込まれるだけならまだましです。

 

都合の良い形で使われ、多くの命を他国の指示で失う、という最悪のケースも考えられます。

アメリカは同盟国です。

 

ただ、盲目的に依存するのでは、大きなリスクを背負ってしまうのではないでしょうか。

同盟国でも、一線を画し、言うべきことは言う、伝えるべきことは伝える。

 

しっかりと「ノー」と言える関係は重要かもしれません。

なぜか、日本政府も、日本のマスコミも、対中国批判に一生懸命。

 

一方、対米従属のリスクや危険性を報道するニュースは一切見られません。

まるで政府も、マスコミも「アメリカ一辺倒」のように感じられます。

 

アメリカは、対中ミサイル配備に、日本の国土が最有力というニュースもありました。

今後、欧米諸国と中国との戦争が現実味を帯びてきた際、地理的な最前線はまさに「日本」です。

 

麻生元総理も、日米による対中国との有事の可能性について発言しています。

そして、この状況でさらに懸念されるのが「徴兵制」ではないでしょうか。

 

もし、万が一、憲法改正と、徴兵制が実現されたとしたら・・・。

日本の子どもたちの存亡、そして日本そのものの存亡に直結するでしょう。

 

今、子どもたちが夢中でやっているゲーム「フォートナイト」。

そのゲーム技術が生かされるという「最悪の未来」も、その可能性は否定できない状況ではないでしょうか。

 

憲法改正で自衛隊明記を宣言している安倍元総理。

対中有事に言及した麻生元総理。

 

米国一辺倒の議員は、この事態をどのように考えているのでしょうか。

正しく憂いているのでしょうか。

 

それとも・・・・。

 

 

 

 

 

 


【参考資料】

 

 


■米、対中ミサイル網計画 配備先、日本は「最有力候補」

「米国は配備先として第1列島線の延長線で中国に近接している日本国内を最有力候補地と考えており、実際に配備となれば、日本は米中対立の最前線として軍事的緊張を強いられることになる」

朝日新聞 2021年7月8日

 

 

 

■なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?

・知ってはいけないウラの掟

「日本の空は、すべてアメリカに支配されている」

「自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」

週刊現代(講談社)2017.08.05 矢部宏治


https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52466

 

 

 

 

 


■なぜアメリカ最優先なのか?

・なぜそこまでアメリカを優先するのか

・米国の「言い値」で高額な武器を購入

― 安倍政権[米国ゴマスリ政策]リスト ―

日刊SPA!(2018年03月01日)横田一


https://www.google.com/amp/s/nikkan-spa.jp/1456868/amp

 

 

 

 


■「属国」という最悪の形態

「安倍政権とそれを取り囲む縁故政治受益者たちの群れはもうアメリカから独立して国家主権を回復するような壮図はありません」

(ハーバー・ビジネス・オンライン:扶桑社 2019/12/23)<内田樹氏>

 

 

 


【日本に“危険食品”大流入危機】安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品~発がん性ある米国産牛肉等輸入急増~

2021-07-18 07:22:25 | 政治

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

■安倍政権下、発がん性ある米国産牛肉等の輸入急増…EUで輸入禁止のホルモン剤使用

Business Journal 2020.01.29

 


~~~

 

2018年12月30日に発効した、米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の協定「TPP11」、19年2月1日に発効した日EU経済連携協定、そして今年1月1日に発効した日米貿易協定。


これにより、世界のGDPの59%、貿易額23兆ドル、人口13億4000万人という巨大市場が形成され、日本はかつて経験したことのないメガ食料輸入自由化に直面することになった。

これらの貿易協定で、農水産物の関税削減・撤廃がなされ、これまで以上に農畜産物が輸入される。


TPP11により牛肉と豚肉の関税が削減され、TPP11発効半年で牛肉輸入量は前年同期比5%増の24万5720トンに及んでいる。

カナダ産(同82%増)、ニュージーランド産(同56%増)の輸入も急増している。


同様に豚肉輸入量は同4%増の39万4913トンに上り、メキシコ産(同13%増)、カナダ産(同4%増)の輸入が目立っている。

そして日米貿易協定により米国産の牛肉、豚肉、農産物が雪崩を打つように輸入されることになる。


現に1月に入り大手スーパーなどでは米国産の牛肉や豚肉の大幅値引きセールが展開されている。

しかし、安い牛豚肉が手に入ると喜んではいられない事態に日本の食卓は直面している。


輸入牛肉は、米国産、オーストラリア産、カナダ産、ニュージーランド産牛肉ともに発がん性が指摘され、EUやロシアや中国で輸入が禁止されている成長促進ホルモン剤が使われた牛肉が、日本に輸入されている。

米国産牛肉は、成長促進ホルモン剤の使用が禁止されている国産牛肉に比べて、女性ホルモンのエストロゲンが600倍も高いという検査結果も出ている。


オージービーフとして定着しているオーストラリア産牛肉にも成長促進ホルモン剤は使われている。

輸入牛肉の輸入量の増加に伴い、乳がんなどのホルモン系がんが増加しているというデータも公表されている。


それだけではない。

アメリカをはじめほとんどの輸入豚肉には、成長促進目的の飼料添加物である塩酸ラクトパミンが残留している。


発がん性があるとしてEU、中国、ロシアでは塩酸ラクトパミン残留の豚肉の輸入を禁止している。

また、β作動薬作用があり、心疾患を持っている人は摂取を避けるべきだと指摘されている。

 

・ポストハーベスト農薬問題

 

チーズも輸入が急増している。

昨年2〜6月のEU産チーズの輸入量は4万6000トンで、前年同期を20%上回っている。


輸入チーズはインフルエンザ様の症状を招き、妊婦の流産を引き起こすリステリア菌の汚染が懸念されている。

また、輸入チーズに抗生物質のナタマイシンが保存料として使われていることも知られていない。


以前は、日本は食品への抗生物質使用を禁止していた。

そのため、抗生物質を含有しているとしてナタマイシン使用のチーズは輸入が禁止されていた。


それが外圧で使用が認められ、今や堂々とナタマイシン含有チーズが売られている。

関税撤廃された果実の輸入も急増している。


昨年1~5月のブドウの輸入量は、TTP 11で関税撤廃されたため、前年同期比3割増の2万6728トンにも及ぶ。

同様に昨年1~7月のリンゴの輸入量も関税削減され前年同期比33%増の4764トンで、過去10年で最高水準となっている。


懸念されるのが、残留濃度が高いポストハーベスト農薬である。

これまで柑橘系に使われてきた防カビ剤の大量使用でカビに耐性ができ、新たな防カビ剤の使用が増えている。


フルジオキソニルやピリメタニルなどの新防カビ剤は、輸入リンゴにも使用が認められている。

輸入小麦を原料としている食パンから、15年3月に国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と結論づけられた発がん物質グリホサートが検出されたことは、消費者に衝撃を与えている。


農民連食品分析センターが、流通している食パンおよび菓子パン15製品を検査し、そのうち食パン9製品、菓子パン2製品からグリホサートを検出(痕跡を含む)した。

さらに、日本政府は17年12月に海外農薬メーカーの求めに応じて、グリホサートの残留農薬基準の大幅緩和を実施した。


これにより残留農薬基準は、以下の通り大幅に緩和された。


・小麦:5→30ppm

・ライ麦:0.2→30ppm

・トウモロコシ:1→5ppm

・そば:0.2→30ppm

・ごま種子:0.2→40ppm


今回のメガ輸入自由化で、グリホサート高濃度汚染小麦が、これまで以上に日本に輸入してくるのである。

このように、日本の食卓は発がん物質に汚染された農畜産物に占拠されようとしている。

 


~~~
■安倍政権下、発がん性ある米国産牛肉等の輸入急増…EUで輸入禁止のホルモン剤使用
Business Journal 2020.01.29
https://biz-journal.jp/2020/01/post_138868.html

 

 

 

 


本日は2つの記事をご紹介いたします。


2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

【安倍政権】米余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大流入危機

日刊ゲンダイ(講談社)2019/08/27

 


~~~

 


トランプ大統領に米国産牛肉や豚肉の市場開放をのまされた安倍首相。

さらに“おまけ”とばかりに、米国で余った飼料用トウモロコシ250万トンの購入まで押し付けられた。


トランプは「中国がトウモロコシ購入の約束を反故にした」「安倍首相が全て買ってくれる」と大喜び。

実は、このトウモロコシが厄介なのだ。


米国のトウモロコシは、雑草を除去する「除草剤」の耐性を持たせるため、遺伝子組み換えが大半だという。

鳩山由紀夫元首相は26日、〈このトウモロコシは遺伝子組み換え作物と思われる〉とツイート。


農業問題に詳しいジャーナリストの天笠啓祐氏は、「米国産トウモロコシの約9割が遺伝子組み換え」と日刊ゲンダイに語った。

食べると動物や人体に悪影響を及ぼす恐れがある。


フランスの大学教授の実験だと、組み換えエサを2年間、食べ続けたマウスの50~80%ががんを発症。

米国環境医学会は09年、「アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康」に悪影響を及ぼすと発表したほどだ。


日本では基本的に、食品や飼料の原料に遺伝子組み換えの農作物を使用する場合、商品に明記することが義務付けられている。

消費者庁は公式HPで〈健康や環境に対しての問題を引き起こすことがあってはなりません〉とうたっている。


米国から大量に入ってくる危険なエサで育った牛や豚を、ヒトが食べて大丈夫なのか。

「間接摂取については研究が進んでおらず、詳細は不明。しかし、危険性がないとは言い切れないでしょう。多くの消費者から不安の声が上がっています」(天笠啓祐氏)

 


・中国は「怪しい作物」を徹底拒絶

 

実は、輸入を拒否したという中国は、遺伝子組み換えの農作物を危険視しているという。

購入拒否の原因は貿易摩擦というより、危険な農産物を忌避した可能性がある。


「この数年、中国政府は国産農作物の安全性を、米国や国際社会に向け徹底アピールしている。いわくつきの作物を受け入れるつもりはないということ。今回の購入拒否は『危険な遺伝子組み換え作物は使わない』という意志の表れだろう」(在中ジャーナリスト)


安倍首相は今回の貿易交渉で、牛肉の関税引き下げ、豚肉については将来的に撤廃する方針を受け入れた。

国内農家からは、早速「輸入拡大につながる恐れがある」との声が上がっている。


トランプに「シンゾー、また農作物を買ってくれよ」と言われれば安倍首相は断れない。

今後は、飼料用の危ないトウモロコシだけでなく、ヒトが直接食べる危険な農産品が大量流入してくる恐れがある。


「遺伝子組み換え作物についてはトウモロコシの他、大豆、菜種、ワタの種子が流通しています。中国はかたくなに受け入れを拒否していますし、欧州も敬遠しています。トランプ大統領は今後、余った組み換え農作物の受け入れを日本に迫ってくる可能性があります。今回、受け入れに応じてしまった代償は大きくなるでしょう」(天笠啓祐氏)


武器も言われるがままに“爆買い”してきた安倍首相。今度は危険な食料を“爆買い”することになりかねない。

 


~~~
【安倍政権】米余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大流入危機
日刊ゲンダイ(講談社)2019/08/27
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/260893

 

 

 

 

 


最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

 

■安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>

ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22

 

~~~

 


・日本の食と農が崩壊する!

 

安倍政権はアメリカが要求する農協改革の名のもとに、農業への企業参入、農業の大規模化・効率化を推進してきた。


規制改革推進派の小泉進次郎氏が自民党農林部会長に就き、「農業が産業化し、農協が要らなくなることが理想だ」と公言する奥原正明氏が農水省事務次官に就いた。

諮問会議で農業改革の議論をリードしたのは、農業の専門家ではなく、金丸恭文氏、新浪剛史氏といったグローバリストである。


結果、農業分野への参入に成功したのは、新浪氏が社長を務めていたローソンファームや竹中平蔵氏が社外取締役を務めるオリックスである。

安倍政権が掲げてきた「稼げる農業」というスローガンは、その実態は、グローバル企業やお仲間企業だけが稼げる農業なのである。


こうした中で、農産物の自由化によって日本の農業は弱体化に拍車がかかっている。

『月刊日本 2020年1月号』では、第3特集として「日本の食と農が崩壊する」と銘打ち、日本の食糧自給を巡る危機的な状況に警鐘を鳴らしている。


今回は同特集の中から、東京大学大学院農学生命科学研究科教授である鈴木宣弘氏の論考を転載・紹介したい。

 

・農業を犠牲にする経産省政権

 

── 日米貿易協定が2020年1月に発効します。

鈴木宣弘氏(以下、鈴木): この協定について、安倍総理は「ウィン・ウィンだ」などと言っていますが、日本の完敗であることははっきりしています。

自動車に追加関税をかけるというトランプ大統領の脅しに屈して、日本は農業分野を犠牲にしたのです。


日本側の農産品の関税撤廃率は72%ですが、アメリカ側の関税撤廃率はわずか1%に過ぎません。

日本農業は、さらに大きな打撃を受け、食料安全保障の確立や自給率向上の実現を阻むことになります。


安倍政権は、「アメリカは自動車関税の撤廃を約束した」と述べていますが、署名後に開示されたアメリカ側の約束文書には「さらなる交渉次第」と書かれています。

自動車を含まなければ、アメリカ側の関税撤廃率は51%に過ぎません。


これは、少なくとも90%前後の関税撤廃率を求めた世界貿易機関(WTO)ルールに違反することになります。

安倍政権では、経産省の力がかつてないほど強まっており、自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼、電力などの業界の利益拡大が最優先されています。


かつて、貿易交渉においては、財務、外務、経産、農林の4省の代表が並んで交渉し、農業分野の交渉では農水省が実権を持っていましたが、今や農水省は発言権が奪われています。

内閣人事局制度によって官邸に人事権を握られた結果、農水官僚たちも抵抗できなくなっているのです。


「農水省が要らなくなることが理想だ」と公言する人物が農水省の次官になるような時代なのです。

 

・危機に陥る食料自給

 

── 協定が発効すると、アメリカ産の牛肉や豚肉の関税が一気に下がります。


鈴木:牛肉の関税は、現在の38・5%から26・6%に一気に引き下げられ、2033年度には9%となります。

豚肉も、高級品については関税を段階的に下げ、最終的にゼロとなります。低価格部位については、現状の10分の1まで下がります。


日本は、TPP11で、牛肉を低関税で輸入する限度(セーフガード)数量について、アメリカ分も含めたままの61万トンを設定しました。

ところが今回、アメリカ向けに新たに24万トンを設定したのです。日本にとっては、アメリカ分の限度が「二重」になっているということです。


しかも、付属文書には「セーフガードが発動されたら発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」と書かれているのです。

実際にセーフガードを発動することは次第に難しくなるということです。


政府は、牛肉や豚肉の価格が下がった分は補填するので、農家の収入は変わらず、生産量も変わらないと強弁しています。

しかし、生産量が低下し、自給率がさらに下がるのは確実です。


すでに牛肉の自給率は36%、豚肉の自給率は48%まで低下していますが、2035年には、牛肉、豚肉とも10%台にまで落ち込む危険性があります。

農水省は平成25年度の39%だった食料自給率を、令和7年度に45%に上げるなどと言っていますが、それを実現する気などありません。


食料自給で最も深刻なのは酪農です。

所得の低迷によって国内の酪農家の廃業が相次いでいます。


乳価を安定させ、個々の酪農家の利益を守るために機能してきた指定団体が改定畜安法によって廃止されたからです。

これに乳製品の関税引き下げが加わり、酪農家は危機感を高めています。


2018年には、北海道のブラックアウトの影響で東京でも牛乳が消えました。

これは決して一過性の問題ではありません。


さらに酪農が弱体化していけば、店頭から牛乳が消えるという事態が実際に起きます。

牛乳を飲みたがっている子供に、お母さんが「ごめんね。今日は牛乳が売っていないの」と言わなければならなくなるのです。


欧米諸国ならば、暴動が起きるような事態です。

ところが、政府は「不測の事態には、バターと脱脂粉乳を追加輸入して水と混ぜて、還元乳を飲めばよい」などと言っています。


安全で新鮮な国産牛乳を確保するために、国産牛乳の増産を図るのが国民の命を守る国の使命のはずです。

ところが、政府はその責任を放棄しているのです。


食料自給は、国家安全保障の要です。

食料を安定的に国民に供給するために、自国の農業を守るのが、国の責任です。


「日本の農業所得は補助金漬け」などと批判されることがありますが、日本は3割程度です。

スイスは100%、フランス、イギリスも90%を越えています。

 

・日本にだけ輸出される危険な食品

 

── アメリカ産牛肉は安全性も問題視されています。

鈴木:日本は、BSE(牛海綿状脳症)が問題となったため、アメリカ産の牛肉輸入を「20カ月齢以下」に制限していました。

ところが、野田政権は2011年、TPP交渉への「入場料」として、「20カ月齢以下」から「30カ月齢以下」へ緩和してしまいました。


実は、24カ月齢の牛のBSE発症例も確認されているのです。

しかも、アメリカのBSE検査率は1パーセント程度で、発症していても検査から漏れている牛が相当程度いると疑われます。


また、アメリカの食肉加工場における危険部位の除去が不十分なため、危険部位が付着した輸入牛肉が日本で頻繁に見つかっています。

「20カ月齢以下」は、日本人の命を守るための最低ラインなのです。


しかし、安倍政権はアメリカに配慮して、2019年5月に月齢制限を完全撤廃してしまったのです。

また、アメリカ産の牛肉には、エストロゲンなどの成長ホルモンが使用されています。


札幌の医師が調べたところ、アメリカ産牛肉からエストロゲンが通常の600倍も検出されたのです。

ウナギ養殖のエサにごく微量たらすだけで、オスのウナギがメス化するほどの成長ホルモンなのです。


エストロゲンは乳がんや前立腺がんとの関係が疑われており、日本では牛肉生産への使用は認可されていません。

しかし、アメリカからは、エストロゲンを使用した牛肉が輸入されている疑いがあります。


検査機関は「検出されていない」と言っていますが、40年前の精度の悪い検査機械をわざわざ使用し、検出されないようにしているようです。

EUは、1989年から成長ホルモンを使用したアメリカの牛肉を輸入禁止にしています。


禁輸してから7年で、乳がんの死亡率が顕著に低下したという学会誌データも出てきています。

さらに、アメリカでは、牛や豚の餌に混ぜる成長促進剤ラクトパミンが使用されています。


ラクトパミンは、発がん性だけでなく、人間に直接中毒症状を起こす危険性があり、EUだけではなく、中国やロシアでも国内使用と輸入を禁じています。

日本でも国内使用は認可されていませんが、これまた輸入は素通りになっているのです。


アメリカの乳製品も危険です。

ホルスタインには、モンサントが開発した遺伝子組み換え成長ホルモンが使用されているからです。


この成長ホルモンを注射すると、乳量が2~3割も増えるとされています。

アメリカでは、1994年に認可されましたが、1998年に勇気ある研究者が「数年後には乳がん発症率が7倍、前立腺がん発症率が4倍になる危険性がある」と学会誌に発表したのです。


その結果、アメリカの消費者が不買運動を展開、今ではアメリカのスターバックスやウォルマートが「当社の乳製品には成長ホルモンを使用していません」と宣言せざるを得ない状況になっているのです。

ところが日本では、これほど問題になった成長ホルモンを使用した乳製品の輸入が野放しになっています。

── 安倍政権には、日本の食の安全を守る気がありません。我々は、どのようにして食の安全を守っていけばいいのですか。

鈴木:2019年10月には、ゲノム編集食品の販売が解禁されました。

しかも、表示義務もありません。


2023年には遺伝子組み換えでないという食品表示も実質的にできなくなります。

安倍政権は、世界に逆行するように、発がん性が指摘される除草剤成分「グリホサート」の残留基準値も大幅に緩和しました。


そして、貿易自由化が加速することによって、危険な輸入食品がさらに氾濫し、国産品を駆逐しようとしています。

しかも、表示がなくなれば、安全な食品を選択することも不可能です。


まさに今、日本の食の安全は瀬戸際に来ているのです。

 

~~~
■安倍政権が切り捨てる日本の食と農。日本だけが輸入する危険な食品<鈴木宣弘氏>
ハーバー・ビジネス・オンライン(扶桑社) 2019.12.22
https://hbol.jp/pc/209175/

 

 

 

 

 

 


人が生きる上で欠かせないのが「水」と「食」です。

日本人は農耕民族でもあり、長らくお米を中心とした食文化を培ってきました。

 

また、日本は四方に海に囲まれていることもあり、肉よりも魚を多く食べてきた歴史もあります。

「米」と「魚」は、日本の食の文化ともいえる食べ物かもしれません。

 

しかし、戦後、パンなどの小麦製品や肉製品の輸入が急増。

いまやマクドナルドなどのファーストフードや、ステーキ・焼き肉店などが日本人の外食でトップクラスの人気となっています。

 

若い方は特にその傾向は顕著かもしれません。

ただ。

 

今、日本の食に、大きなリスクがあるのはご存じでしょうか。

海外からの食の自由化が進み、欧米から食肉やトウモロコシ、小麦などの輸入も増加しています。

 

拍車がかかったのが、トランプ元大統領と安倍元首相による貿易交渉。

EUやロシア、そしてあの中国でさえ、輸入禁止指定となっているものまで、日本に輸入されています。

 

なぜ、安倍元首相以外の政治家は反対しないのでしょうか。

なぜ、官僚組織は危険に対する防御体制を構築しないのでしょうか。

そして、なぜ、マスコミは、この危険な状況をより強く報道しないのでしょうか。

 

少なくとも、他国で輸入禁止や使用制限している食品や添加物は、まずもって見合わせるべきだと思います。

もし、仮に、危険が断定できず「リスクの可能性が否定できない食品」であっても、まずは使用制限をするべきではないでしょうか。

 

日本国民の食卓に並ぶことを根本から排除する仕組みを導入する必要があると思います。

食肉やトウモロコシだけではありません。

 

昨今、人工甘味料・防腐剤、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸なども危険性があると言われています。

これらは危険と言われながらも、法的に問題なく日本国内に流通されています。

 

今や、日本のスーパーやコンビニでも、その危険な可能性のある「食」が溢れています。

農薬残留食品や遺伝子組み換え食品もリスクの高い食品と指摘されています。

 

リスクの中には、海外製の輸入品が指摘されています。

海外製の輸入品すべてが悪いというわけではありません。

 

当然、真摯に製造し、真摯に流通している食品も多くあるでしょう。

ただ、万が一、日本に対し「悪意」ある人たちが製造・加工していたらどうでしょうか。

 

農薬残留が高い食品や安全が担保できない遺伝子組み換え食品を加工していたら、、、。

流通でもリスクは伴います。

 

特定の国向けの輸出食品に「悪意」が潜んでいたらいかがでしょう。

もし「悪意」ある人たちが流通を担っていたらどうなるでしょうか。

 

これは、食だけではなく、飲料やワクチンなどの医薬品などにも当てはまります。

海外製輸入品は、当然リスクは高まります。

 

特に、食品や薬、飲料などは、直接私達日本人の体内に入ります。

仮に、政治や法令、貿易体制が「筒抜け」であれば、ダイレクトに、日本国民の健康や命に影響が出る可能性があります。

 

そして、このような食品や飲料などは、比較的安価な食材に多く見られます。

私たちのすぐ身近なスーパー、知名度もあるスーパーでも、リスクのある輸入食材が多く陳列されています。

 

他国で禁止されている食材や添加物などが、実際に私たちの体内に入っているのも事実です。

食や飲料における情報。

 

私たちの健康が、情報感度の高い方と、低い方で分岐されている可能性もあります。

それでよいのでしょうか。

 

知っている人は健康で、知っていない人は病気リスクを高める。

本当にそれでいいのでしょうか。

 

情報のある人、ない人に関わらず。

同じ国民を「リスク」から遠ざけることが必要かもしれません。

 

今、先進国の中で唯一、日本人だけが、「がん」で亡くなられている方が増加しています。

日本以外の先進国は「がん」が減っているのです。

 

もちろん「食」だけではない多くの要因はあるでしょう。

ただ、食べ物や飲み物、医薬品などは「がん」リスクに影響がまったくないとは言い切れません。

 

ワクチンなど医薬品の輸入も急激に増加しています。

大事なのは飲食や医薬品等の安全を担保できる政治。

 

海外からの圧力に屈せずに、日本国民の健康と命を守り切るという、強い意志を持った国際政治。

そして、高い志・道徳心を持った官僚組織と、圧力に屈しない国民側に立ったマスメディア。

 

総力を挙げて、日本国民の健康と安全を優先できる「体制」が必要かもしれません。

中でも「外圧に屈しない政治リーダー」が最も重要ではないでしょうか。

 

国際政治では、様々な思惑が渦巻いているのは事実です。

残念ながら、様々な世界史を顧みると、「残忍な」国際政治は、今でも存在しています。

 

だからこそ。

本当に国民側に立った政治ができる人が、日本のかじ取りをしなければならないのかもしれません。

 

日本国民の健康と命。

今、戦後の中でも、最も危険な状況に置かれているといっても過言ではないかもしれません。

 

私たち一人一人は、考え、そして行動する必要があるのではないでしょうか。

「海外」を優先する政治なのか。

 

それとも「日本国民」を優先する政治なのか。

いま、私たちの「健康」と「いのち」が、問われています。

 

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

 

 

 

■EUでは輸入禁止、米国産「ホルモン牛」に発がんリスクの危険

女性自身 2019/10/02

 

 

 


【安倍政権】日本は見下された国 米国が食の安全に配慮するわけがない

日刊ゲンダイ:2019/12/27

 

 

 

 

TPP、危険な海外食材が大量輸入&流通の恐れ 発がんリスクある米豪牛肉、検疫率は1割

gooニュース(2015/10/11)

 

 

 

 


■3世代にわたる安全性は分かっていない人工甘味料やカラメル、乳化剤…本当は怖い市販飲食品の裏側!

~カロリーゼロにだまされるな 本当は怖い人工甘味料の裏側~

「米国心臓協会と米国糖尿病学会が人工甘味料に関する合同声明」

ダイヤモンド 2013.10.3

 

 

 

 

■危ない食品を見分けられない人が被るリスク

・発がん性などが指摘される危険な食品添加物

「欧米では危険性があると採用されていない食品添加物が、日本では認可され、使用されているというこわい現実」

東洋経済 2019/05/25

 

 

 

 

■恐怖の人工甘味料、人体と生態系を破壊 発がん性物質生成、アレルギー発症の恐れ

「アスパルテームはフェニルケトン尿症を悪化、精神に異常」

「ネオテーム、亜硝酸塩と反応して発がん性物質のニトロソ化合物が生成」

exciteニュース 2015年5月26日 Business Journal

 

 

 

 

 


■人工甘味料、甘く見ると砂糖より怖い?

肥満、糖尿病の要因に

「神経伝達物質に悪影響を及ぼすため、鬱や不眠などの精神疾患を引き起こす恐れ」

「腎機能が低下したり、脳卒中や心筋梗塞などの血管系疾患の発症」

NIKKEI STYLE(日本経済新聞)

 

 

 

 


【水道資産120兆円のゆくえ】安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も

2021-07-12 16:16:52 | 政治

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 

■世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念

ヤフーニュース(2020/5/17)

 


~~~

 


・水ビジネスの巨人「ウォーター・バロン」と言われた2社

 


水ビジネス世界大手仏ヴェオリアが、同業仏スエズを買収することで最終合意したと発表した。

買収総額は約260億ユーロ(約3兆4000億円)。

 

売上高約370億ユーロの巨大企業が誕生する。

 

「仏ヴェオリアがスエズ買収で合意 3兆4千億円」(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR150CH0V10C21A5000000/

 

ここでは水ビジネスの巨人「ウォーター・バロン」と言われた2社の歩みを振り返る。

 


・日本にも進出しているヴェオリア

 

ヴェオリアは、仏リヨン市で1853年に創業したジェネラルデゾー社が母体となっている。

 

フランス共和国の第二帝政時代、ナポレオン三世は都市部の水道システムを運営する民間企業が必要と考え、勅令によって誕生した。

事業は上下水道に止まらない。

 

1960代以降、廃棄物処理やエネルギーも取り扱い、いわゆるライフライン事業を主体にしている。

1980年代以降、通信・メディア事業、都市交通などにも進出したが、現在は本業に集中する方向だ。

 

2019年のグループ連結売上高は271億ユーロ(約3兆4200億)で、水部門が41%、廃棄物部門が37%、エネルギー部門22%という比率だ。

 

日本にも進出しており、西原環境(エンジニアリング)、ジェネッツ(料金徴収・顧客サービス)、フジ地中情報(漏水管理・料金徴収)などを傘下に収め、上水道事業や廃棄物処理の業務を行っている。

 

2019年度は、69か所の浄水場運転、80か所の下水処理上運転、180自治体の料金徴収、999件の漏水調査受託を行っている。

現在宮城県で進む水道事業のコンセッションにおいても、ヴェオリア・ジェネッツ社は運営候補グループのなかの1社である。

 

・スエズ運河とも縁あり


スエズは、もともと1880年に創業したリヨネーズ・デソーという企業で、水道と電力を事業の柱にしていた。

 

フランス国内の建設会社と合併してリヨネーズデゾー・デュメズとなった後、スエズ運河の建設・運営会社であるスエズと合併し、スエズ・リヨネーズデゾーとなった。

 

その後、グループ内の再編、建設部門の売却などを経て、スエズ・エンバイロメントとなった。

2006年にはイタリアの電力大手エネルから敵対的買収を仕掛けられた。

 

これに対し、ドビルパン仏首相(当時)は、「フランス企業を守れ」のスローガンを掲げ、スエズ買収を阻止すべく、フランスのガス公社(GDF)との合併を主導した。

 

国営企業と民間企業の合併ゆえ、労務問題や利益配分、支配権の確立など数多くの難題があり交渉は難航したが、2007年5月に就任したサルコジ大統領(当時)が先頭に立ち、急転直下で合併合意にこぎつけた。

 

電力事業はGDFに移し、GDF傘下のスエズ・エンバイロメント(水道・廃棄物事業)となった(2016年4月に再度スエズに社名変更)。

2019年度の年間売上げは、連結売上高は180億ユーロ(約2兆2700億円)で、水部門56%、廃棄物部門44%という割合になっている。

 

日本での事業活動はないが、水道事業のコンセッション等の獲得に向け、2018年12月に前田建設と共同取組を行う覚書を締結している。

 


・2大水メジャーがフランス企業である理由


両者ともフランス企業だが、偶然ではない。

フランスは自治体の規模が小さく、人口6500万人に対し、自治体数は3万7000ある。

 

9割の自治体の人口は2000人足らず。そのため自治体は、都市交通、廃棄物の収集や処理、上下水道などの行政サービスを独自に行うことができず、民間企業に任せてきた。

 

シラク元大統領はパリ市長時代に、市内をセーヌ川で二分し、片方の水道事業をヴェオリアに、もう片方をスエズに任せた。

その結果、両者は水道事業のノウハウを蓄積することができた。

 

転機が訪れたのは1980年代。

フランスの国内上下水道市場が飽和した。

 

そこで大統領のトップ外交によって海外進出を図った。

ヴェオリア、スエズは先行者の利を活かし、世界の民営化された水道事業のほとんどを握り、「水メジャー」「ウォーターバロン(水男爵)」などと呼ばれた。

 

かつては「3大水メジャー」といわれ、英国のテムズウォーターを含んだが、現在同社は国内に特化して事業を行っている。

ヴェオリア、スエズの「2大水メジャー」だったわけだが、今回の買収によりついに世界最大の水メジャーが誕生した。

 


~~~
■世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念
ヤフーニュース(2020/5/17)
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20210517-00238333/

 

 

 

 


本日は2つの記事をご紹介いたします。

2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 

■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も

Business Journal 2019.11.14

 

~~~

 

10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げられたのと同時に、「改正水道法」が施行された。

 

実質的な水道民営化を推進する同法は、その是非をめぐって物議を醸した末、昨年12月に臨時国会で成立していた。

そして、いよいよ施行されたわけだが、世の中の関心が消費増税ばかりに向いていたため、知らなかったという人も多いだろう。

 

これによって、数年後には水道事業に「コンセッション方式」が導入されるとの見方も出ている。

コンセッション方式とは、公共施設などの「運営権」を民間事業者に売却する仕組みのことだ。

 

所有権は自治体などの公的機関が持ったままだが、公的機関は売却によって利益を得ることができるほか、経営を民間に任せることで運営のリスクを抱えなくても済むことになる。

表向きは「民間による効率的な運営」や「地方自治体の財政健全化」がうたわれているが、公共性の高い水道事業が民営化されることへの反発も多い。

 

経済ジャーナリストの荻原博子氏は、以下のように語る。


「民営化というのは、決してバラ色ではありません。それは、今のJR各社を見ればわかることです。1980年代、赤字に陥っていた国鉄が分割民営化されましたが、JR東日本やJR西日本が儲かる鉄道会社として成功している一方で、JR北海道やJR四国は赤字が続いており、いわば格差が激しくなっています。また、株主構成を見れば、JR東日本の株主の約3分の1は外国資本が占めていますが、JR北海道は実質的に国営のままです。つまり、民営化によって、企業は儲かりそうなところにしか参入しないということです。水は人間の生活にとって必要不可欠なものですから、それが利益重視の民間に抑えられてしまうというのは大きな不安要素です」(荻原氏)

 

・危惧される水道料金の高騰と質の低下


懸念されるのは、“水メジャー”と呼ばれる国際的な巨大企業による日本の水道インフラの掌握だ。

 

すでに、フランスのスエズ・エンバイロメントとヴェオリア・ウォーター、イギリスのテムズ・ウォーターなどの名前が取り沙汰されている。

荻原氏は、「大きく問題になるのは料金高騰と品質低下です」と語る。


「世界の事例を見ても、民営化によって料金の高騰や質の低下が起きています。フランスのパリでは25年間で水道料金が約3倍になった結果、再公営化されました。また、南アフリカでは民営化で水道料金が跳ね上がり、支払えない貧困家庭の人々が汚染された川の水を飲むなどして、約25万人がコレラに感染。やはり、再び公営に戻されています。前述したように、民間は都市部などの“おいしいところ”にしか入ってこないでしょう。それは、儲かるところという意味です。そういう地域は人口が多いため、必然的に多くの人が料金高騰などの煽りを受けることになります。一方で、地方はいわば見捨てられ、インフラ維持のために少ない住民が高いコストを負担するという構図が続きそうです。ただでさえ、水道料金は管轄する自治体によって大きな差があるのが実情です。そして、たとえば財政再建中で水道料金も全国トップクラスの北海道夕張市に、わざわざ外資が参入して状況が好転するとは考えにくい。そのため、過疎地をはじめとする地方ではサービスや水質が低下する一方で料金は高くなり、現状の地域格差がさらに広がっていくことが危惧されます」(同)

 


民営化によって、水道事業に“第2のJR北海道”が生まれかねないというわけだ。

「水はなくてはならないものなので、高くなっても買わざるを得ません。しかも、ミネラルウォーターは軽減税率が適用されるので消費税8%ですが、水道水は10%なのです」(同)

 

昨年12月の臨時国会では、「70年ぶりの大改革」として漁業権を企業に開放する「改正漁業法」が成立した。

さらに、今年6月の通常国会では「改正国有林野管理経営法」が成立、来年4月に施行される見込みだ。

 

これは、最長50年間、全国の国有林を大規模に伐採・販売する権利を民間事業者に与えるものである。

「民間に水を売り、海を売り、森林を売り……。さらに、米国との日米貿易協定では日本の農業が脅かされるような内容で合意されました。これから、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか」(同)

 

安倍晋三首相の通算在任日数は11月20日で計2886日の桂太郎を超え、憲政史上最長を記録する。

長期政権を謳歌する安倍政権は、日本のインフラや産業をどうするつもりなのだろうか。

 


~~~
■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も
Business Journal 2019.11.14
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html

 

 

 

 

最後3つ目の記事はこちらです。

 

 

 


■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ

Business Journal 2019.12.08

 

~~~

 


・水メジャーを太らせたのは「水事業の民営化」を煽る国際金融機関


世界には、水メジャーの支配で高騰した水道料金を払えず、あろうことか「天から降ってきた雨水」の取水まで禁じられた人々がいる。

 

日本が平成に改元してしばらくした頃に、南米・ボリビアの主要都市コチャバンバ市の公営水道民営化で起きた悲劇だ。

同市の水道民営化では、灌漑施設も井戸も雨水も、すべての貯水を水企業アグアス・デル・ツナリ社の管理下に置く契約が交わされていた。

 

あまりにも理不尽だったため、多くの人々に知れわたった実話である。

ツナリ社は、多国籍巨大建設企業ベクテル社の傘下企業だ。

 

実は、これまで「水事業の民営化」を煽ってきたのは、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関である。

ハイパーインフレで瀕死のボリビア政府に対して、多国間債務600万ドルの免除を条件に、この理不尽な契約を促したのも世銀だった。

 

彼らは、経済の自由化や公的機関の民営化を途上国政府への融資条件として課してきたのである。

この30年間は「小規模農家への支援」や「教育・医療」の予算削減まで強要し、結果、多国籍巨大企業の市場はさらに拡大し、世界の貧困と格差が悪化した。

 

国際金融機関のこうした“前科”が日本の一般常識として広く認知されていないのは、官製情報に依存し巨大資本に抗えない国内マスメディアが国民の知る権利にこたえていないからである。

 

事実として重要な情報がオーソライズされないまま、今日本人の「水道の水」も巧妙な仕組みで「市場」化されようとしている。

黙認して放置すれば、冗談抜きで、いずれ「清浄な空気」も商品として市場化されるかもしれない。

 

「市場」は商品・サービスとカネの取引で成り立っている。

カネがなければ取引はできず、人は何も得られない。

 

公共/公益の概念は、そこに生まれる悲劇の類いを回避するための知恵でもある。


従って、生存の最低条件である「水道の水」まで弱肉強食の市場で扱おうとする発想は、非常識を通り過ぎて、もはや「民営化原理主義」とでも名付けてもいい「文明の退化」だ。

 

今、日本も世界もその見識を問われている。

 


・安倍内閣・水メジャー・金融/証券と組んで法改定を仕掛けた面々


「水メジャーによる接待疑惑」で官邸を追われた福田隆之氏が、36歳の若さで内閣官房長官の「公共サービス改革」担当補佐官に抜擢されたのは2016年1月。

 

もとは野村総合研究所主任研究員や新日本有限責任監査法人のインフラ・PPP支援室室長・エグゼクティブディレクターなどを務めた証券のプロである。

表舞台から姿を消した同氏は現在、「行政官」という官職を持つコンサルタントを務めながら、都内の大学にも籍を置いている。

 

その大学は東洋大学。

そこでの肩書きは「国際学部客員教授/グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員」(2019年10月22日現在。以下同)。

 

2名在籍する客員研究員のもう1人は、前述の「水道民営化を煽ってきた世界銀行」で上級インフラファイナンス専門官を務める人物だ。

このグローバル・イノベーション学研究センターを統括するセンター長は、「東洋大学国際学部教授」の竹中平蔵氏である。

 

著名な人物は「毀誉褒貶あり」と評されることがよくある。

しかし、政府の「官民連携」施策が、実は一般庶民の生活経済を追い込むものであることを直感する人々の多くは、そこから「誉・褒」の2文字を抜いた「毀・貶」で、あの「竹中平蔵」氏を連想しがちだ。

 

立身出世を絵に描いたような竹中氏の華やかな肩書きは、あまりに多すぎてここには書き切れない。

小泉純一郎内閣で要職を歴任し、郵政担当大臣として「郵政民営化」の道を開いた竹中氏は、日本国民の富をどこかに移動する仕組みづくりに自信を持ったかのようにもみえる。

 

麻生太郎副総理は表通りで「水道の公設民営」を外資の面々に“報告”したが、竹中氏は裏通りで地道にそれを準備し、実行してきたといえる。

小泉内閣以降も「行政を束ねて采配するノウハウ」に磨きをかけ、派遣大手のパソナ役員を兼務しながら労働法制に手を入れ、ヴェオリアもたじろぐほどの「利益相反」を問われながら、今もマスメディアを黙らせ続けている。

 

学者としては、大学で学生たちに「金持ちを貧乏人にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない」などと“その道の粋”を教えてきた。規制緩和/撤廃で世界に名を轟かせた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの言葉だ。

教え込まれた学生が政官界に進めば、「自己責任論」で弱肉強食を正当化する新自由主義の施策になんの迷いも抱かず加担し、政治と行政が担うべき本来の役目を蔑ろにするかもしれない。

 

安倍内閣は規制緩和を御旗として掲げ、水道法改定など数多の法改定と施策を強行してきた。

その権勢を上手に利用して「昇進や第二の人生にまっしぐらの幹部官僚ら」を動かし、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)/PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ:民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の導入を見事に完遂したのが、竹中・福田の両氏である。

 

両者の「阿吽の呼吸」の痕跡は、政府による数多の議事録を見れば腐るほど目にできる。

 

・官民連携インフラファンド→民間インフラファンドへの流し込み


2009年に設立された「産業革新機構」は2018年9月、竹中氏も議員として名を連ねる「未来投資会議」によって官民出資の投資ファンド「産業革新投資機構(JIC)」に改組された。

 

その子会社として新設された「INCJ」には、金融機関からの資金調達で政府保証1兆8000億円がつき、最大2兆円規模の投資能力がある。

同ファンドの出資金は95%が財政投融資の拠出だ。

 

つまり、「ハイリスク、ハイリターン」というヘッジファンド同様の資産運用を行うリスクマネーの拠出を、国民のカネを預かる政府が担っているということである。

従って、換言すればこういうことだ。

 

「官民連携インフラファンドに巨額の政府保証をつけさせて莫大な資金調達を可能とし、PFI 法で認められている官民連携インフラファンドから民間インフラファンドへの投資で国民のカネを民間企業に流し込む仕組みづくり」の礎を、すでにここで仕立て終えていた、と。

 

その仕掛けは、2014年5月19日に官邸4階で開かれた「経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」でもうかがい知ることができる。

竹中氏は「コンセッション制度の利活用を通じた成長戦略の加速」という書類を配布し、幹部官僚の尻を叩いて「官民連携インフラファンド」についても強く打ち出しているからだ。

 

同会議録から、「コンセッション推進」と「インフラファンド推奨」にかかわる要所を抜粋する。

 

<……これに応えるために以下の施策を実施する必要がある>


<平成26年4月から向こう3年間」「に実施する案件について」「少なくとも、(筆者注:コンセッション成約を)国土交通省(空港)6件、国土交通省(下水道)6件、国土交通省(有料道路)1件、厚生労働省(水道)6 件とし、これら4分野の目標のうち地方公共団体分に相当する15件」「については、地方制度を所管する総務省もその目標の達成に協力する」「内閣府の数値目標として、上記案件で行われる投資金額の合計」「2~3兆円」「を目標とする>


<株式会社民間資金等活用事業推進機構(官民連携インフラファンド)」「の有するノウハウや地域金融機関との協力関係の活用を図りつつ」「PFI 法上」「官民連携インフラファンドに認められている民間インフラファンドへの投資について、支援基準を踏まえ、取り組みを開始する>


この産業競争力会議は、2年後の2016年9月9日に新設された「未来投資会議」と入れ替わる形で廃止された。

安倍晋三議長・麻生太郎議長代理で開かれた未来投資会議でも、「公的資産と公的サービスの民間開放」が幾度もテーマとされてきた。

 

・「インフラファンドとリンクしたインフレーションに最適の投資資産が公共料金」


福田氏が補佐官在任中の2017年2月17日、「未来投資会議・構造改革徹底推進会合~第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」(PPP/PFI)の第4回は、竹中会長が中心となって議事が進められていた。

 

当日のメインゲストは、マッコーリーキャピタル幹部としてアジアのインフラ投資を動かすジョン・ウォーカー氏と、日本におけるマッコーリーキャピタル証券代表の大橋純氏。

既述のように、マッコーリー・グループは3大水メジャーから消えた英テムズ・ウォーターを買収した豪州メガバンクで、非銀行部門に証券業務がある。

 

従って、マッコーリーキャピタル証券は銀行系証券会社ということになる。

実は、2011年2月に国土交通省航空局が開いた「第3回・空港運営のあり方に関する検討会」でも、マッコーリーキャピタル証券の舟橋信夫副会長(当時)が招かれていた。

 

菅官房長官の下で竹中氏のパートナーとして動いていた福田氏は、同じ証券マンの先輩である舟橋氏にコンセッション等の指南を受け、事情を知る証券関係者の間では「昵懇の仲」だと見られてきた。

これらの経緯をたどれば、舟橋・福田・竹中の3氏が「PPP/PFIによる国内コンセッション」を起案し、同調する安倍内閣が政府としてこれを実現した構図が透けて見える。

 

水道コンセッションにインフラファンド市場ができれば、あとはそこに公的資金を流し込むだけだ。

「新PFI法」が施行された2018年10月の下旬、宮城県では県が主催する「上工下水一体官民連携運営事業シンポジウム『水道の未来を考える』」が開かれた。そこに講演者として招かれたなかに、水メジャーのツートップであるヴェオリア・ジャパンとスエズ・アジアの幹部数名がいた。

 

このなかから「スエズ・アジア アドバイザー」の肩書きで登場したのは、マッコーリーキャピタル証券副会長を辞めた後も福田氏と昵懇だった舟橋氏である。

インフラファンドが生まれたのは、マッコーリー社の母国・オーストラリアだ。

 

2011年に国交省が開いた前述の会合で、舟橋氏はマッコーリーキャピタル証券副会長として、こんな話をしている。

 

「マッコーリー・グループがひとつだけ世界一の分野がある。インフラファンドの残高だ」

 

「なぜインフラか? インフラのような投資資金にとって一番重要なのは、使う期間が随分と先になるため、購買力を喪失するのが一番怖いという点。逆に、インフレーションに一番いい投資資産が公共料金である。公共料金はほとんどがインフレにリンクしている」

 

「グループのインフラ投資で最大の案件はテムズ・ウォーター。当時、企業価値は1兆8000億円という投資だった」(以上、要約抜粋)

 

東日本大震災が勃発する約1カ月前の話だ。

「インフラファンドはインフレとリンクしており、インフレに最適の投資資産が公共料金」「水道会社への投資額は1兆8000億円」――日本で、その原資はどこから調達されるか。

 

改定水道法の行方を透視するためには、日銀・メガバンク等の動向を横目に官民インフラファンドと水道インフラファンドの動きを注視する必要がある。

金融・証券のプロが政府の施策に影響を及ぼせば、巨額の公的資金が裏で流れ始めるからである。

 

・水道のインフラファンド経由で公的資金が民間企業へと流し込まれる


閑話休題。

既述の通り、2017年10月下旬に「新PFI法の施行」「2大水メジャーのシンポ参加」「福田氏の接待疑惑文書」の3つの動きが重なっている。

 

水道法改定に対して国民が不安を抱いているにもかかわらず、水面下では巨額「水道マネー」をめぐる利害関係者の暗闘がすでに始まっていたようだ。

民間企業の事業目的は「果てしない営利」である。

 

平成の世に日本にも上陸したPPP/PFIによる官民連携「水道コンセッション」と「インフラファンド」は、間違いなく莫大な「水道利権」を生み散らかす。

平成に準備されて令和に本格始動する改定水道法には、「自治体がこれまで及び腰だった料金値上げを、法制度間の整合性で容易にする仕掛けがあったこと」、そして「巨額水道マネーを担保に、インフラファンド経由で公的資金を民間企業へと流し込む仕掛け」があること、などを本連載で検証した。

 

既存のマスメディアに期待できないからには、今後、住民/国民自らが「PPP/PFIに踊り狂う自治体と政官財のカネの動き」を厳しく監視するしかない。

多くの若者が手にしたネットは、そのためにも有効だ。

 

黙認したり監視を怠ったりすれば、国民の水道資産120兆円は、そのうち利権まみれで真っ黒に濁ってしまうだろう。

 

 

~~~
■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ
Business Journal 2019.12.08
https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html

 

 

 

 

 


私たちが毎日、口にする水。

お米を炊くとき、料理するとき、歯を磨くとき、お風呂に入るとき、等々・・・。

 

私たちは蛇口から流れてくる水が安心・安全であると信じて疑いません。

 

ただ、今、この安心である「日本の水」がリスクにさらされています。

 

背景にあるのが「水道の民営化」。

特に影響力を高めているのが、フランスの水メジャー「ヴェオリア」です。

 

圧倒的資金と規模で世界的覇権を握りつつある超巨大企業です。

売上は訳450億ユーロ(約5兆5,000億円)規模、あのスエズ運河の運営会社でもあり、スエズ運河にも深い関わりのある企業です。

 

すでに日本政府や日本行政にも影響力を有しており、宮城県の水道運営権をも取得しています。

 

水道水だけではありません。

 

ヴェオリアは放射性廃棄物処理も手掛けており、将来的に福島原発の汚染水処理も念頭にあると言われています。

福島原発の汚染水処理は日本の大きな課題の一つですが、外資系による処理手段の影響力・コントロールは大きなリスクにもつながる可能性があります。

 

そもそも日本は水源が豊富でもあり、世界でも稀に見る水資源大国でもあります。

 

ただ、世界の情勢は違います。

環境変化や人口増加などを背景に、今後世界の4割の人が水不足問題に直面するともいわれ、将来的には「水戦争」も勃発すると言われています。

 

安心・安全な日本の水。

上下水道の経営権のみならず、森林や水資源地域の土地買収など、外資系企業に「権利」を奪われることは、日本人の健康や生命にも直結する部分ではないでしょうか。

 

そもそも国営事業の民営化は失敗するケースが多くありました。

例えば「郵政民営化」。

 

「郵政民営化」では海外企業買収失敗で多額の損失を発生、ゆうりょマネーはリスクの大きい外国債で運営されています。

民営化で撤退した郵便局、不正の増加など郵便サービス低下などの問題も浮上しています。

 

民営化リスク。

影響力の強い外資系企業等がその「権利」を取得する手段でもあり、外資系企業にその運営主導権すら奪われかねません。

 

特に水道事業は、金銭的損失にとどまりません。

日本国民の健康と、生命に関わる分野です。

 

主導権を奪われることは、日本国民にとって「不幸な結果」となる可能性が高まります。

 

例えば、ワクチン政策がよい例ではないでしょうか。

政府のリーダーシップの遅れで国産ワクチンは大幅な遅れ。

 

海外ワクチンメーカーの都合で契約、金額や成分など情報開示も不明瞭のまま。

入手時期や入手する量も、詳細は開示されていません。

 

そして、オリンピックもそうです。

一時期、8割近くの方々が延期か中止を望んだオリンピック。

 

日本人の過半数以上の反対の中、強行開催。

緊急事態宣言も、何故か、オリンピックのため?とも思える不可思議なタイミング。

 

ワクチン政策、オリンピック政策などなど、私達日本人の意思が通じない国際政治と、その意向に毅然とノーと言えない日本政府。

まさかの政治民営化?とも思える、笑えない状況ではないでしょうか。

 

このままでは、水道事業は、ワクチン政策、オリンピック政策、そして郵政民営化と同じような失態を重ねることとなりかねません。

国際政治、国際資本に「日本国家」すら、奪われかねません。

 

譲れない部分は何か。

言うべき点はどこか。

 

未来の子どもたちに残すべき「絶対に譲れない部分」はどこなのか。

 

改めて、政治家や官僚、民間企業、そして、私達日本国民全員が、真剣に考える時がきているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

 

 


■外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託

日本経済新聞 2012年3月13日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/

 

 

 


■宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初

毎日新聞 2021/7/5

https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c

 

 

 

■水道事業民営化 外資に売却で「高価な水」買わされる危険性

「福田補佐官の出張記録を取り寄せてみたところ、2016年の就任以来、頻繁にフランスなど欧州出張を繰り返して特定の水メジャーと接触」

週刊ポスト 2018.11.06

https://www.news-postseven.com/archives/20181106_795763.html?DETAIL

 

 

 

■日本人は知らない「水道民営化の真実」

・水道料金は上昇、嗤う投資家と株主たち

「多くの日本人は気付いていないが、コンセッションでの水道事業運営を受託するのは外国企業になる可能性が高い」

週刊現代(講談社)2018.08.31

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56865

 

 

 


■水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報

「(日本の)水道はすべて国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものをすべて民営化します」

日刊ゲンダイ(講談社)2018/12/12

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479

 


【日本の基幹産業はメルトダウン?】日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?~裏に米国の強力な圧力~

2021-07-04 18:42:28 | 政治

【今日の気になったニュース・記事】

 

2,000社以上の経営者と面談した、元東証一部上場のベンチャーキャピタリストが厳選!

新旧問わずに、その日、気になったニュースをピックアップ!

新しいニュースから、古い記事まで「新たな発見」をお届けいたします。

 


【本日のニュース・記事】

 


■日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?

ヤフーニュース(2018/12/24)遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

 

~~~

 


・日本の半導体産業を徹底して潰したアメリカ:常に「ナンバー1」を求めて

 

1980年代半ば、日本の半導体は世界を席巻し全盛期にあった。

技術力だけでなく、売上高においてもアメリカを抜いてトップに躍り出、世界シェアの50%を超えたこともある。


特にDRAM(Dynamic Random Access Memory)(ディーラム)は日本の得意分野で、廉価でもあった。

それに対してアメリカは通商法301条に基づく提訴や反ダンピング訴訟などを起こして、70年代末から日本の半導体産業政策を批判し続けてきた。


「日本半導体のアメリカ進出は、アメリカのハイテク産業あるいは防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の問題がある」というのが、アメリカの対日批判の論拠の一つであった。

日米安保条約で結ばれた「同盟国」であるはずの日本に対してさえ、「アメリカにとっての防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の問題がある」として、激しい批判を繰り広げたのである。


こうして1986年7月に結ばれたのが「日米半導体協定」(第一次協定)だ。

「日本政府は日本国内のユーザーに対して外国製(実際上は米国製)半導体の活用を奨励すること」など、アメリカに有利になる内容が盛り込まれ、日本を徹底して監視した。


1987年4月になると、当時のレーガン大統領は「日本の第三国向け輸出のダンピング」および「日本市場でのアメリカ製半導体のシェアが拡大していない」ことを理由として、日本のパソコンやカラーテレビなどのハイテク製品に高関税(100%)をかけて圧力を強めた。


1991年7月に第一次協定が満期になると、アメリカは同年8月に第二次「日米半導体協定」を強要して、日本国内で生産する半導体規格をアメリカの規格に合わせることや日本市場でのアメリカ半導体のシェアを20%まで引き上げることを要求した。


1997年7月に第二次協定が満期になる頃には、日本の半導体の勢いが完全に失われたのを確認すると、ようやく日米半導体協定の失効を認めたのである。


(中略)

 


・見るも無残な日本半導体の現状

 

アメリカの半導体市場調査会社IC Insightsの統計によれば、2017年の世界半導体メーカー売上高トップ10の第一位を飾っているのはサムスン電子で、あのインテルを追い抜いている。

2018年ではサムスン電子の前年比成長率は26%であるのに対し、インテルは14%と、インテルとの差を広げている。


日本は1社(東芝)が辛うじて滑り込んでいるありさまだ。

ファブレス半導体メーカーに至っては、日本勢は1社もトップ10に入っていない。


同じくIC Insightsが2018年初頭に発表した統計によると、2017年のファブレス半導体メーカー世界トップ10は、アメリカ6社、中国2社、シンガポールと台湾各1社となっており、日本の半導体メーカーの姿はないのである。


消えてしまった。

ファブレス半導体トップ10の第7位はHuaweiのハイシリコン社だが、Huaweiでさえ、ハイテク製品企業の研究開発部門を本社から切り離し、半導体の研究開発だけに特化できる会社としてハイシリコン社を立ち上げている。


日本は、これができなかった。

総合電機が半導体事業を抱え込んだまま沈んでいき、分社化する決断と経営の臨機応変さが欠けていた。


そして韓国が虎視眈々と東芝を狙っていた、あの「狡猾さ」というか「窃盗まがいの逞しさ」に気づかず、日本の当時の通産省が主導した半導体先端テクノロジーズ(Selete、セリート)に日本国内の10社以外に、なんとサムスン電子だけを加盟させて11社にし、サムスンの独走を許してしまったのである。


中国の半導体の動向に関しては新刊『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』で詳述したが、アメリカは同盟国である日本に対してさえ、アメリカを追い抜くようなことを絶対に許さず、「アメリカにとっての防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の問題がある」として日本半導体を潰してしまった。ましてや最大のライバル国(敵国?)である中国に対してなど、どんな手段でも取り、いかなる容赦もしないだろう。


言論弾圧をする一党支配体制の国を潰すのは歓迎する。

ただ、日本はアメリカの同盟国だったからこそ、抵抗できずに潰されてしまったが、中国の場合はそうはいかない。


致命傷でも負わない限り、徹底して抵抗し続け、逆に強大化していく可能性(危険性?)を大いに孕んでいる。

それは「中国製造2025」を完遂させるための中国の執念や人材の集め方などをご覧いただければ、ご理解頂けるものと信じる。


今やっかいなのは、日本が、中国のハイテク製品メーカーに日本半導体を使ってもらおうと、政府丸抱えで必死だということだ。

特に半導体製造装置に関しては日本はまだ優位に立っており、中国の日本への視線は熱い。

 


・さて、いま日本はいかなる立ち位置で、どこにいるのか――。


東芝の経営体制や韓国側のモラルが問題なのか、日本全体の産業政策が間違っていたのか。


あるいはアメリカには何を言われようとも、何をされようとも、日本は文句が言えない立場にあるのか?

東芝の元半導体技術者のモラルも問われないわけにはいかないだろうが、少なくとも東芝と当時の通産省(のちの経産省)などの脇が甘かったことだけは確かだ。


サムスンとの経緯を踏まえながら、ともかく日本の国益をこれ以上は損なわないよう、日本国民は強い自覚を持たなければならないし、日本政府には熟考をお願いしたいと思う。

 


~~~
■日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?
ヤフーニュース(2018/12/24)遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20181224-00108787/

 

 

 

 


本日は2つの記事をご紹介いたします。

2つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚 

Business Journal(2015.09.01)

 


~~~

 

JAバンクは、農協と信用農協、農林中央金庫で構成され、預金残高は90兆円を超え、みずほ銀行を超え国内2位である。


また、農協共済は資産52兆円、保有契約高289兆円で国内3位となっている。

これだけの規模でありながら組織形態は協同組合で、法人税も軽減税率が適用される。


また、株式会社でないため、株式保有による経営介入もできないし、買収もできない。

これに対して、民間企業との競争条件の同一性を要求しているのが、米国政府と米国金融、保険の多国籍企業である。


在日米国商工会議所は、米国政府の通商代表部(USTR)や米国商工会議所とも連携している、著名な米国多国籍企業で構成員される商工団体である。

意見書をまとめ、日本政府に対して絶えず圧力をかけている。


今回の農協改革にも、意見書で次のような見解を明らかにしている。

「J Aグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資するかたちで組織改革を行うべき」


「JAグループの金融事業は、金融庁の規制を受けないことによって利益を得ている」


「JAグループの金融事業と、日本において事業を行っているほかの金融機関との間に規制面での平等な競争環境を確立し、JAグループの顧客が金融庁規制下にある会社の顧客と同じ水準の保護を受けるために、JAグループの金融事業を金融庁規制下にある金融機関と同等の規制下に置くよう要請する」


さらに、JA共済についても「日本政府は国際通商上の日本の責務に従い、共済を外資系保険会社と同等の規制下に置くべきである」との意見書を発表している。


この在日米商工会議所の意見書は、株式会社と同等の規制、すなわち農協の信用、共済事業を株式会社へ転換することを要求しているのであり、それにこたえようとしたのが、今回の農協法などの一部改正なのである。

 


・米韓FTAで韓国農協も株式会社化


農協の株式会社化は、すでに韓国で先行して実施されているが、それも米国政府の要求を受けてのものであった。


2007年6月に調印し、12年3月に発効した米韓FTA(自由貿易協定)で、米国政府は金融サービスにおいて金融機関の規制の同等性を要求し、韓国政府もそれを受け入れたのである。

これによって、農協の株式会社化への道筋ができたのである。


韓国政府は11年3月に新農協法を国会で成立させ、これにより韓国農協中央会の金融共済業務は分離され、持株会社の下で農協銀行、農協生命保険、農協損害保険にそれぞれ株式会社化されたのである。

さらに、経済部門も同様に株式会社化された。


この韓国農協の株式会社化は、日本の農協の株式会社化の先行事例になるのであろうが、日本の農協は、金融部門の預金量や共済の保有契約高も韓国農協をはるかに上回り、世界有数の規模を持っているだけに、その株式会社化の衝撃度は極めて大きい。


今、米国の穀物多国籍企業は、全農の株式会社化で全農の子会社である全農グレインを傘下に収めることを狙っているともいわれている。

全農グレインは、米国ルイジアナ州ニューオーリンズに世界最大の穀物船積み施設を保有しており、そこでは遺伝子組み換え(GM)作物を分別管理している。


GM小麦の導入を目指している米国にとって、GM作物を混入しないように管理している全農グレインは不愉快な存在でしかなく、全農をまずは株式会社化して、その後に全農グレインを買収するというシナリオは十分にあり得る。


いずれにせよ今後、農協、全農、経済連の株式会社化がどう進展するのか、注視していく必要がある。

 

~~~
■政府の農協改革、裏に米国の強力な圧力が発覚
Business Journal(2015.09.01)
https://biz-journal.jp/2015/09/post_11338.html

 

 

 

 

 

最後、3つ目の記事はこちらです。

 

 

 

 


■コロナ危機が暴いた日本の没落<日本総合研究所会長・寺島実郎氏>

infoseekニュース 2021年7月3日 日刊SPA!

 

~~~

 

・進行する「日本の埋没」

 

―― コロナ禍が始まってから1年半が経ちます。現在の状況をどう見ていますか。

 

寺島実郎氏(以下、寺島) 今年5月末で、日本国内で初めて感染者を確認した昨年1月から500日が経ちました。

私たちはここで「コロナ500日」を総括する必要があります。

 

重要なことは、問題はコロナそのものにあるのではなく、コロナがあぶり出した日本の構造的な課題だということです。

結論を先に言えば、今の日本には物事の本質や全体像を体系的・構造的に捉える「全体知」や課題解決のための「総合エンジニアリング力」が決定的に欠落している現実が暴かれたのです。

 

まず政府にはこの500日の政策を総括して国民に語る責任があります。

しかし、政府はそういう政策科学的な説明や総括を一切することなく、ただ緊急事態宣言の延長の可否を判断することだけが政策決定であるかのような錯覚に陥っている。

 

このような迷走そのものが、日本に大変な閉塞状況をもたらしているのです。

象徴的なのは、500日を経て、現段階で日本は国産ワクチンの開発ができていないという事実です。

 

関係者からは、これほど早くmRNAワクチンが登場するなどということは想定外だった、日本では過去にワクチンの副反応問題で厚労省と製薬会社の責任が厳しく追及された経緯から新規開発に及び腰だったというような理由が挙げられていますが、現実には海外からワクチンを購入することに腐心するしかない状況になっています。

 

 

・「やがて日本は間違う」ある臨床医の言葉

 

ここで思い出すのは、昨年お亡くなりになりましたが、ある臨床研究の最前線にいた医師が私によく話していたことです。

 

「やがてこの国は間違う。再生医療にだけ傾斜している。確かに基礎研究は重要だが、最も重要なのは生身の人間に向き合う臨床研究だ」と。

基礎研究の理論は臨床研究で人体にどう作用するかという検証を経て、初めて実用化されますが、基礎研究と臨床試験の間には「死の谷」(デスバレー)が横たわっていると言われます。

 

それほど基礎研究を臨床研究に応用するのは難しいということです。

日本の医療研究は基礎研究ではそれなりの成果をあげられていますが、デスバレーを超えて臨床研究で成果をあげる総合エンジニアリング力が欠けている、ということなのです。

 

その結果、ワクチンをどう入手するか、ワクチンの打ち手をどう確保するかという議論に埋没しているのが、現下の日本の状況なのです。

 

 

・ワクチン以外でも欧米に大きく劣後する日本

 

―― それ以外のコロナ対策も成功していません。

 

寺島 昨年5月から1年間でコロナ患者は5倍に増えた一方、コロナ病床は2倍にしか増えていません。

 

当初、日本は一人当たりの病床数が世界一と誇っていましたが、一般病床とコロナ病床は違います。

今年1月下旬の時点でコロナ病床は欧米の10分の1以下にとどまっていることが判明しました。

 

その結果、政府は昨年から現在に至るまで感染拡大・病床逼迫・緊急事態宣言というルーティーンに陥っています。

コロナ病床が不足するから緊急事態宣言を出すという説明は、「コロナのトンネル」に入った昨年時点なら通用したかもしれませんが、500日経った今では本来通用しません。

 

なぜこの間に、コロナに対応する病床を増やしたり、専門病院を作ることができなかったのか。

1年以上、何をしていたのかということです。

 

また、政府は昨年度に第1次補正から第3次補正まで、総額76・6兆円の補正予算を組み、「1人10万円」の特別定額給付金をはじめとする総額55・9兆円の経済対策を行いました。

それに対して、医療対策は9.2兆円であり、予算全体の1割程度にすぎません。

 

しかし、その経済対策が果たして効果的だったのか、これはしっかり検証しなくてはなりません。

たとえば、特別定額給付金の効果により、昨年の勤労者世帯のひと月当たりの可処分所得は47.7万円(2019年)から49.9万円に増加しました(ただし、給付金を除いて試算すると47.1万円となり、19年から0.6万円減少)。

 

それに対して、昨年の全世帯家計消費支出は29.3万円(2019年)から27.8万円に減少しています。

つまり、給付金によって使えるお金は増えたが、実際に使われたお金は減ったということです。

 

消費刺激という政策的な効果については、ほとんどなかったと言えます。

生活保障政策ならば、全国民に一律10万円を給付するより、年収二百万円以下の低所得者層に重点的に現金を給付した方が効果はあったでしょう。

 

その分浮いた予算を特効薬・ワクチン開発を中心とする医療対策に回していれば、現在の状況も変わっていたはずです。

政府がこうした政策科学を重視しないという事実の中に、日本の政治的貧困が滲み出ているように思えます。

 

 

・日本の産業を弱体化させたアベノミクス

 

―― 日本は先進国から転落したと言っても過言ではありません。

 

寺島 ここで指摘しておきたいのは、日本はこの10年の間にコロナ禍と東日本大震災という二つの災禍に見舞われたという視点です。

 

この二つの危機を冷静に総括する必要がある。

東日本大震災から10年が経ちますが、この間に政府は復興庁を創設し、2019年度までに37兆円の復興予算を投入しました。

 

その結果、被災地はどうなったか。

まず人口減です。

 

東北6県の人口減は震災前から進んでいましたが、震災がその流れを加速させ、2019年時点で、岩手、宮城、福島の被災3県では人口が32.9万人(6.1%)も減っています(2010年比)。

厚労省の予測によれば、2015年から2045年の30年で、東北6県の人口は30%以上減るとされています。

 

次に産業構造の歪みです。

被災3県の県内総生産について2017年度時点で、1次産業は33.9%減少した一方、2次産業は29%、3次産業は6.2%増加しています(2010年度比)。

原発事故の影響で1次産業が打ちのめされた一方、復興予算の投入によっ

て2次産業の建設土木関連が急拡大を遂げ、その恩恵にあずかった3次産業も潤ったという構図です。

しかし、現実として復興予算が投下されなくなるにつれ、2次産業、3次産業もシュリンクし始めています。

 

つまり、37兆円の復興予算が土木建設業を中心に投入され、ハード優先の復興が進められた結果、被災地の産業構造が歪められ、人間の顔の見えない地域に変質したということです。

そのため、県別・市町村別の復旧復興計画はがれき処理、高台移転、防潮堤建設はそれぞれ何%進んだと、数字上は復旧復興が進んだことになっていますが、人口は減っている。

 

ハコモノだけは作ったが、人間の生活は戻ってきていないのです。

それは、被災3県を含む東北6県の全体を見渡した上で、この地域にどういう産業を興し、いかなる生活の基盤を築き上げるのかという総合的な構想、グランドデザインが描かれていないからです。

 

その結果、本当の意味での創造的復興は実現できていないというのが、東日本大震災から10年後の現実です。

 

 

―― 総合的構想力の欠如により、日本は二つの危機を克服できていない。


寺島 その間に、アベノミクスなるものがあったわけです。

 

私は以前から日本の危機的状況について警鐘を鳴らしてきたのですが、「株価が高いからいいではないか」という楽観視が先行して、危機感を共有する人は少なかった。

株高円安というアベノミクスの上辺だけの効果で、「日本もそこそこ上手くいっている」という幻想にまどろむ経済人が多かったのです。

 

しかし、すでにアベノミクスが公的資金、すなわち日銀マネーとGPIFの年金資金をダイレクトに株式市場に突っ込み、異次元の金融緩和を進めるだけの人為的な株高円安誘導政策にすぎなかったことは一目瞭然です。

その結果、我々は今まさにコロナ危機によって「経世済民」という意味での実体経済の虚弱化が顕在化し、それによって著しく弱体化した日本産業の凋落が白日の下に晒されるプロセスを目撃しているのです。

 

 

・日本の基幹産業はメルトダウンした

 

―― コロナ禍で日本唯一の優位性だった経済力も打撃をうけています。

 


寺島 いま国際社会の中では「日本の埋没」という認識がコンセンサスになりつつあります。

 

たとえば、世界全体のGDPに占める日本のGDPの割合はピーク時の17.9%(1994年)から既に6%(2020年)まで縮小しています。

わずか四半世紀のうちに世界経済における日本経済の存在感は3分の1に圧縮されてしまったのです。

 

私は様々な企業の経営者と議論してきていますが、コロナ危機を機に彼らが心の中に押しとどめていたトラウマがはっきりと浮かび上がってきたと感じます。

最大のトラウマは、MRJ(三菱リージョナルジェット、現MSJ)の挫折です。

 

これは三菱重工を中心とする中型ジェット旅客機の国産化計画であり、「自動車産業一本足打法」と言われる産業構造から脱却して新たな宇宙航空産業を切り開くという、日本産業界の希望とビジョンを託した一大プロジェクトだったのですが、巨額の開発費をかけた末に、昨年凍結に追い込まれました。

 

表向きはコロナ禍によって航空機需要が見込めなくなったと説明されていますが、現実には総合エンジニアリング力不足から頓挫したのが実態です。

 

これまで日本は部品や部材を開発製造する要素技術は世界一流、ボーイングのパーツの半分以上は日本が作っているなどと胸を張っていましたが、実際に自分たちでやってみたら、個々のパーツを作ることと完成体を作ることでは次元が違うという事実に直面したわけです。

 

自前でジェット機を完成させるには、個々の要素技術だけではなく、総合エンジニアリング力が必要だったのです。

 

その力が不足していたために、たとえば当初は最先端のパーツを投入することで燃料費を2割削減するという大きなビジョンを掲げて動き出したプロジェクトが、そのうちアメリカの型式認証をクリアするためにはボーイングで認証済の部材を使ったほうが速いという話となり、計画が徐々に矮小なものに収斂していったというのが実際のところなのです。

 

 

・アベノミクスという幻想に寄りかかり、衰退した日本の産業

 

―― 他の日本企業も惨憺たる状況です。

 

寺島 戦後日本は鉄鋼・エレクトロニクス・自動車を基幹産業とする工業生産力モデルの優等生として成功を収めてきたという自負心がありましたが、それらの基幹産業の実態は深刻です。

 

鉄鋼分野では、すでに日本製鉄が国内高炉4基の閉鎖に着手しています。

それにより、数年前まで1.1億トンを維持していた日本の粗鋼生産量は、今年中に8000万トンを割り込むことになります。

 

エレクトロニクス分野でも、東芝が原子力事業に躓いたことから「ファンド」と称するマネーゲーマーに振り回され、株主利益を最優先する超短期的経営を強いられた結果、医療機器から半導体まで有望な分野は次々と売却させられています。

 

「技術の東芝」は、まるで生体解剖のようにバラバラにされてしまい、もはや見る影もないという状態まで追い込まれてしまいました。

自動車分野ではトヨタがしっかりと持ちこたえているように見えますが、国際的なルール形成に後れをとったため、後手に回ってジリジリと追い詰められています。

 

国際社会ではいつの間にか「Co2ゼロ」が既定路線にされた結果、突如として欧米ではガソリン車・ハイブリット車禁止の方向が決まり、今後は電気自動車(EV)でなければならないというルールが形成されつつあります。

それにより、世界で1000万台近くの自動車を生産しているトヨタの時価総額よりも、36万台程度しか生産していないテスラの時価総額のほうが高いなどというパラドックスが生まれています。

 

環境問題を理由とする自動車業界のルール変更は、見方によれば「トヨタ潰し」とも言えるような状況になっているのです。

日本の技術力は世界最高峰だ、円高株安のアベノミクス万歳などと安易に寄りかかっているうちに、日本の基幹産業はメルトダウンして国際競争力を失いつつあるのです。

 

ワクチン開発の遅れ、MRJの挫折、基幹産業のメルトダウン、さらに言えば東日本大震災からの復興の歪み、アベノミクスへの耽溺、コロナ禍での迷走、これらの問題の根源はいずれも総合エンジニアリング力、構想力の欠如なのです。

これこそが東日本大震災から10年、コロナ500日の今、日本人が肝に銘じるべき教訓です。

 

 

・「ジャパノロジスト」が復権したバイデン政権

 

―― 経済的影響力の低下は、政治的・外交的影響力の低下に直結します。

 

寺島 外交構想力の欠如も深刻です。先日、日米首脳会談が行われましたが、ここで明らかになったのは、トランプ政権時代に排除されていた「ジャパノロジストの復権」です。

 

リチャード・アーミテージやマイケル・グリーン、カート・キャンベルといった日米同盟をワシントンでのビジネスにしている、いわゆる「ジャパノロジスト」が、バイデン政権になって日米関係の中枢に舞い戻ったのです。知日派と親日派は違います。

 

首脳会談では菅総理とバイデン大統領はファーストネームで呼び合い、日米安保条約第5条を尖閣諸島に適用するとされたことで、日本では成功であるかのように報道されました。

しかし、こうしたバイデン政権の対応は、明らかにジャパノロジストから「こうすれば日本人は喜ぶ」と入れ知恵されたようなものです。

 

たとえば、アメリカは米中国交正常化以来、尖閣諸島に対する日本の施政権は認めるが、領有権については態度を示さないという曖昧戦略を続けています。

だからアメリカから「日米安保第5条を尖閣諸島へ適用する」と言われたならば、「では、アメリカは尖閣諸島に対する日本の領有権を認めるのか」と即座に聞き返さなければならない。

 

「第5条尖閣適用」の一言を有難がり、本領安堵された御家人のように安心して帰ってくるようでは話になりません。

ファーストネームも第5条尖閣適用も、いわば日米同盟の固定化を自らの利害とするジャパノロジストに仕掛けられたものにすぎません。

 

ところが、日本人は相変わらず彼らの手のひらで踊らされ、喜ぶような自虐の構造にはまり込んでいるとも言えます。

日米首脳会談では台湾問題にも言及しましたが、仮に中国が台湾に侵攻した場合、米軍が動くとなれば、台湾に米軍基地は一つもなく、沖縄から出撃することになり、日本は否応なく米中戦争に巻き込まれる危険性をはらんでいます。

 

米中対立でどちらにつくのかという議論が先行していますが、これでは日本の21世紀は開かれません。


日本の貿易相手国のシェアは、2000年にはアメリカ25%、中国10%でしたが、2020年にはアメリカ14・7%、中国23・9%と逆転し、2030年にはアメリカ12%、中国26%とダブルスコアになると予想されています。

 

日本は中国との関係によって経済を成り立たせるという実態の中で、日米同盟を強化して中国の脅威に対抗するという歪んだ戦略を進めることで、自らパラドックスの中に突っ込んでいるのです。

こうした状態から脱却し、米中対立という枠組みを超えて、大国の力学に揉み潰されない主体性を取り戻さなければなりません。

 


~~~
■コロナ危機が暴いた日本の没落<日本総合研究所会長・寺島実郎氏>
infoseekニュース 2021年7月3日 日刊SPA!
https://news.infoseek.co.jp/article/spa_20210703_01763990/

 

 

 

 

 

 

 

 

たびたび目にする半導体不足のニュース記事。

ご存じ、半導体とは、トランジスタや集積回路などコンピュータ・電子機器や装置の頭脳部分として中心的役割を果たしています。

 

半導体はあらゆる家電やスマホ、PC機器、自動車、エレクトロニクス産業などにおいて非常に重要で「産業の米」と言われています。

特に、製造業大国日本において、半導体は「なくてはならないモノ」です。

 

半導体が入手できない場合、日本の各メーカーは出荷ができない状況に陥り、多くの日本の多くのメーカーは苦境に陥ります。

 

今や、すでに日本の経済は製造業に頼っている状況となっています。

家電は韓国サムスン、中国ハイセンスなどが世界市場を大きく席巻し、日本メーカーは見る影もありません。

 

今や日本の製造業は、ほぼ自動車産業の一本足に頼っているような状況だと言われています。

つまり、日本経済は、すでに自動車産業に左右される状況ともいえます。

 

さらに、自動車産業も、ゴーン政権で、すでに日産は半分外資系企業となり、今やマツダ、スバルを傘下に持つトヨタ1社が担っているような産業構造になりつつあります。

 

もし、トヨタ系列企業に半導体が入手できない状況となった場合、日本経済崩壊という最悪のシナリオも考えられる状況も考えられます。

 

最悪の日本経済。

さらに、「この下」がありうるという、本当に怖い話かもしれません。

 

この半導体不足が、偶然突発的に引き起こされていたわけではない可能性があります。

すでに、1980年代中曽根元総理の時代から、アメリカによる日本の半導体産業弱体化の思惑がみられます。

 

日本の半導体大手東芝も、米国政府や国際政治、外資系投資ファンドによる「解体ターゲット」となり、日本の半導体産業は壊滅状態となりつつあります。

 

ただ、今ターゲットとなってりうのは自動車産業や製造業だけではありません。

日本の「金融分野」や「農業・食料・水」分野に至るまでターゲットとなりつつあります。

 

例えば、金融分野。

銀行業界のみならず、証券業界や保険業界も、すでに外資系企業が日本国内で力をつけており、日本企業の弱体化が懸念されています。

 

特に、懸念する点は、金融業界の大きな潮流、IT化です。

すでに米国では金融(Finance)と技術(Technology)の融合が進み「FinTech」(フィンテック)と、デジタルトランスフォーメーション(DX)化が急速に発展しています。

 

この流れは、日本の金融業界にも大きな影響が出てきています。

IT化が進む金融業界では、社内システムも富士通やNTT系列企業を締め出し、外資系企業のシステム導入が進められています。

 

すでに、政府系システムはAmazon系列企業が基盤システムを受託しており、東京証券取引所にも外資系企業のシステム導入が進められています。

 

米国主導の日本金融システム。

日本の金融業界のIT化が進むことにより、合理化の半面、大幅な人員削減も進む可能性があります。

 

銀行もATMや窓口人員の削減が見込まれます。

おそらく、多くの支店も統廃合されるでしょう。

 

都銀だけではありません。

地銀や信金などの小さな銀行そのものが統廃合される可能性があります。

 

日本には外資系銀行しか残らない、という未来が来る可能性すらあり得ます。

 

そしてさらに、銀行だけではありません。

すでに多くの外資系が市場を占めている保険業界、そして証券業界もそうです。

 

膨大な日本の金融市場が、外資系に席巻されるリスクを背負っているとも言えそうです。

さらに、金融業界はビットコインなどの「仮想通貨」との融合の可能性も論じられています。

 

世界の金融IT化と、その先にある「仮想通貨と世界経済の融合」。

既存の貨幣経済は、国際的仮想通貨との融合で、「日本の資産もバーチャル化」という未来も考えられます。

 

この「金融バーチャル化」は、おそらく欧米主導となる可能性が高くなります。

この場合、日本人による日本の金融企業の有無次第では、「日本資産のゆくえ」すら、危ぶまれる可能性もあります。

 

つまり、日本の金融業界に、日本の企業が残らなかった場合、日本人の資産や日本の財産も、自らの日本人の手で守れなくなるという、最悪のシナリオさえ考えられます。

 

今の日本の金融業界、日本企業を支援するのか、外資系企業を支援するのかで、その後の日本の資産全体をも左右する状況になりつつあります。

 

そして、この状況は、製造業界、金融業界にとどまりません。

今や、製薬業界も、日本企業の衰退が進んでいます。

 

欧米のビッグファーマ(多国籍巨大製薬企業)は、日本を含め、すでに世界の影響力をさらに拡大させています。

日本の製薬市場は、すでに輸入超過、大幅な赤字に転落しており、日本人が海外製の薬に依存している状況が続いています。

 

今回のコロナワクチンもそうです。

海外製ワクチンに依存しなければならない、リスクを背負っています。

 

そして、農業分野もそうです。

今や遺伝子組み換え食品や人工甘味料などは、普通にコンビニやスーパーで売られています。

 

他国で禁止されている種類も、日本だけに許可されている危険なものまであります。

 

つまり、いまや、日本の製造業、金融業、そして医療や食品に至るまで「外圧」は高まっており、日本人による日本の意思は、日本国内だとしても、殆ど通らなくなってきていると言えるかもしれません。

 

日本の経済だけではなく、日本の個人資産や日本人の健康、生命に至るまでリスクを背負っているのが、現状ではないでしょうか。

 

圧倒的な権力、多国籍大企業(国際資本)。

多国籍大企業(国際資本)は、すでに多くの政府や政治家にも大きな影響力を及ぼしていると言われています。

 

日本人の財産、日本人の健康、日本人の生命は、誰が守るべきなのでしょうか。

今、私達の選択した政治家は、私たちを守っていると言えるのでしょうか。

 

私たちができること。

私たちがやれること。

 

一人一人が、考え、行動することが必要な時代と言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

【参考記事】

 

■郵便局再編のタブー視続く M&A失敗の源流に

「200億円を投じた巨額買収は事実上、失敗」

「日本郵政はなぜ拙速なM&A(合併・買収)で過ちを繰り返すのか」

日本経済新聞 2021年5月24日

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13CQ30T10C21A5000000/?n_cid=SNSTW005

 

 

 

 

■日本はなぜ、アメリカに金を盗まれるのか?

~狙われる日本人の金融資産~

「米国は、TPPで郵政、年金、農協マネー総額500兆円の収奪を企てる」

「アベノミクスからTTP問題で日本の富を奪う」

ベンジャミンフルフォード(2016年)『フォーブス』元アジア太平洋局長

https://books.rakuten.co.jp/rb/13255294/

 

 

 

 

 

■「野党も与党も関係ない」「こんなときこそリーダーシップを」 コロナ対応へ450人の声

「国民」の「生活」に寄り添わない政治への不満、不安、いら立ち、怒りを募らせた声の数々。

毎日新聞 2020/5/7

https://mainichi.jp/articles/20200507/k00/00m/010/073000c

 

 

 

 

 

■政治に殺される」見開きで批判~宝島社、コロナ政策巡り新聞広告~

「この一年は、いったい何だったのか」

「無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか」

「今こそ、怒りの声をあげるべきだ」

共同通信(2021/5/11)

https://this.kiji.is/764678549068218368?c=39546741839462401