もんく [とある南端港街の住人になった人]

この子

最近、近所の猫の世話をしている。

ご近所さんが少しだけ長く外出している間にエサをやっているだけだ。自分は朝から仕事に行ってしまうので猫の係りは主にキャサリンさんがする。


キャサリンさんはこれまでの人生で自らの意思で動物を飼ったことがない。子供のころに家に犬がいて散歩させた程度のことはあるそうだが、猫については接点はなかった。自称猫嫌いである。

が、猫のエサ係を始めて2週間、毎日飼い主のいない猫がどうしているか気にかかる。エサは足りているか、何かあったらどうしよう、誰もいない部屋に1匹ではさびしいのでないかと時間を過ごすうちにどうも親近感がわいてしまったらしい。


今日何と、よその猫を「この子」と呼んだ。


その瞬間に本人も「あっ!」と口を押さえた。やってしまった、と思ったに違いない。




家にペットを飼っている人であれば「この子」と言う言い方はよくするものだけれども、飼っていない人から見ると少し滑稽な感じがしないではない。滑稽だとは誰も面と向かって言いはしないが、特にキャサリンさんのようにペットにほとんど接して来なかった人には大変に違和感があるらしい。

それにしても毎日猫に接して生活しているだけで、それもたった2週間でこうも変わるとは。猫が「この子」になってしまった。
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