ちょっと前にヤフオクで1970年代の古いスピーカーを探して買った。本当のところ、当時憧れたJBLか高級機タンノイあたりを選びたかったがそれらは今現在でも高くて買えない。結局、当時評価が良かった記憶のあるビクターを買った。今でもちゃんと良い音がする。
ところで、当時のトレンドに乗らなかったことで評判が良くなく、その為出回っている数が少なく価格も安い良い出物が実はいくつかある。このソニーもそのうちの1つ。
ソニーのスピーカーはこの後の大ヒット作、SS-Gシリーズの前に開発された物で、名前はULMシリーズという。ソニーはこのスピーカーをゼロベースで開発し、そのコンセプトは周波数特性の完璧なフラット化に加えて超低歪。過度にエモーショナルに訴えかける当時の風潮とは全く違うアプローチをとっていたと言える。(だって当時のオーディオマニアはジャズとかクラシック音楽+真空管アンプ最高って感じだったから)営業的に成功しなかったけれども隠れた名器なのだ。

自分はこの兄弟機種を聴いていて全くこれではないが、シリーズを通して言えることは、「静か」に鳴るということ。最初聴いた時には何か物足りない感じを受ける。当時の多社スピーカーはちょっと派手目な音がしていたが、これは全く違う方向なのでそう感じた。けれど、少し長く聴いていると印象が逆転する。人の歌声が素晴らしくきれい(特に女性ボーカル)だし、どんな楽器の音からも雑な印象を受けないのがわかってくる。トレンドを無視して別方向へ先走り過ぎてコケたけれど、このULMシリーズは本当に名器と言える。お勧めしたい。
ところで、この機種の良いところはもう一つある。それは耐久性があること。ユニット故障は少ないらしいし、古くてもエッジがボロボロになりにくい。ヤフオクやメルカリでチェックしてもエッジボロボロな物があまり無い。
メルカリだともう1つULMシリーズが出品されているけれど、コッチはちょっと高いのでお勧めしない。