日本のロック、フォーク、そして欧米のロックと少しづつかじりながら、聴いてきて、天国への階段の曲調をもっと突き詰めたような、バンドに突き当たりました。それがキング・クリムゾンです。まだ自分が高校生の頃でした。天国への階段を教えてくれた友達の友達が、(すごいアルバムがあるよと、、)と教えてくれたのが、キング・クリムゾンのクリムゾン・キングの宮殿というアルバムでした。自分も何とかLPレコードを手に入れて、何回も聴いているうちにすっかり虜になってしまいました。抒情的で、心のデリケートな部分を優しく刺激するような旋律や奥深い叫びや悲しみの詩など、今まで聴いたことのないジャンルでした。ジャケットも素晴らしく、黒人の男性のような顔のアップで、叫んでいるのか、驚いているのか、悲しんでいるのか、不安でいるのか、そんな感情を全部表して、目を見開き、鼻を広げ、口を大きくあけて叫ぶのか、声も出ないのか、そんな感じで、耳の穴の奥から、体外に向かって、宇宙らしき空間に、惑星らしき、星が浮かんでいる絵画です。うまく表現できませんが、とてもインパクトのあるジャケットでした。あと、このレコードの解説文も自分は好きで、曲を聴きながらよく読みました。それは、1971年4月17日記の北山幹夫さんの文です。少し引用してみると、イギリスは伝統の国である。この国が生む音楽には何故かそんな伝統の深さがある。同じフォーク、ロック、ブルース、ジャズ、リズム&ブルース、ニユーロックなどでもアメリカのそれとは大いに異なる。第1に深さがある。第2に影がある。第3に色調がある。第4に詩がある。そして第5に哀感がある。それが半面、若さの無さ、近づき難さを伴う危険があるが,新生音楽についてのみ言えば,それはより芸術性を高める意味で利点となっている。中略、モダンロックのグループには強力なパワーで訴える楽団と深く沈静し音楽を掘り下げる派とがあるようだ。キング・クリムゾンは勿論後者の音楽を掘り下げる楽団であるそんな中にあって、ブリティッシュ派の、しかも古典派にはいる。彼らの音楽は美しさ、幻想的さ、悲しさなどの点においては史上最高のものがある。中略、、、
自分が、このアルバム、クリムゾン・キングの宮殿で好きなところを上げると、まず、①風に語りて、のフルートの旋律の素晴らしさがある。これは、質のいい中世を舞台にした映画で流れるような旋律で、うっとりと心に届き、悲しみも感じられる。あと、②エピタフのボーカルの出だし部分のベース音、(聴いたその当時、これが重低音なんだなぁ、などと感心してました、、)③ムーンチャイルドのボーカルの出だしの部分の、それに絡む周りの演奏の優しさ、デリケートさなど、④クリムゾン・キングの宮殿のコーラスの素晴らしさ、⑤21世紀の精神異常者のユニゾンによる完璧な迫力のある間奏などなどです。自分が今まで聴いたアルバムのなかで、最高かもしれません、本当にすばらしいです。