これもまた去年の春のことです。
以前「鹿男あをによし」で奈良町のことがたびたび話題になり、
どんな所なのか一度行ってみたい、と連れ合いと話していたのでした。
そこでこの年に奈良を訪れる前に奈良町についても少し調べたのです。
そこではじめて「元興寺」というお寺が世界遺産になっていることを知りました。
法隆寺や薬師寺や東大寺が世界遺産になっているのはよく知っていましたが、
元興寺という名前は恥ずかしながらはじめて知ったわけです。
「これは是非行ってみる必要がある。」と心に決め、はじめて奈良町に足を踏み入れました。
途中「奈良町格子の家」に立ち寄り、奈良の旧家の雰囲気を味わった私たちは、「元興寺」を目指すことにしました。
この格子の家から北に向かってに少し歩いた所に、「元興寺塔跡」と書かれた門がありました。
「ここがあの元興寺か」と、ひと気が無いお寺の入り口を中に入っていきました。
「世界遺産というのに全くひと気が無いなー。」と思いながら境内に入っていくと、
世界遺産というのには程遠い、(失礼ですが)朽ち果てたようなお堂の前に大きな四角形の石の土台がありまし
た。
全くのひと気の無さに少し怖くなった私たちは「これは何かの間違いだろう。」と、さっさとこのお寺を出てしまいました。
ガイドブックに載っていた写真とは全く違う風景の境内で、訳が分からないままその場を離れたのです。
歩きながらよく地図を見たら、もう少し北のほうに「元興寺極楽坊」と書かれた場所が見つかりました。
「何だ、こっちが本物じゃないか?」と訳が分からないことを言いながら、この日はあの寒さのために結局世界遺
産の「元興寺」を見られないまま終わってしまった訳です。
今年になって「鹿男・・」をDVDで見返したとき、何と、小川先生と藤原先生が下宿していた家のそばにこの「元
興寺塔跡」の門が映っていたのです。
もちろんあの家はセットで、実際にはお寺のそばにあのような場所は無いのでしょうが、私たちにとっては「元興
寺塔跡」はメモリアルポイントになったのです。
つづく