お散歩ギャラリー

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奈良珍道中(完結編)~平城宮跡へ行くの巻2

2010年12月30日 21時51分08秒 | Weblog

大極殿の前に近づくと、脇に行列が出来ていました。

大極殿に入る人の行列ですが、かなり長く続いています。

私たちも大極殿の中に入ろうと行列の最後部につきましたが、この混雑では何時入れるのか分かりません。

30分位並び、やっと大極殿の脇の入り口にたどり着きました。

中に入ると、真ん中にどーんと高御座(たかみくら)があり、中には玉座が据えられています。

建物の外に出ると、正面から前庭が見え、その遥か前方に朱雀門が見えます。

前庭では午後3時からのフィナーレのためにステージが用意されています。

「さぞかし華やかなステージになるんだろーなー。」と楽しみでしたが、

そこで突然連れ合いが何を思ったか、「もうここはいいから、奈良公園に行って鹿を見たいよ。」などと言い出しました。

「何言ってんだよ。ここまで来てフィナーレを見なかったらどうしようもないじゃないか。」と私。

そういえば昨日ホテルの部屋でTVを見ていたら、地元の放送で奈良公園の鹿が出て来るシーンがあって、

それを見て「ああ奈良公園の鹿、懐かしいなー。」と連れ合いが言っていたのを思い出しました。

私たちが最初に奈良を訪れたときは、東大寺や春日大社や奈良公園で思いきり鹿と接したので、そのときの記憶が甦ったのでしょう。

仕方なくここを切り上げて、奈良公園に戻ることにしました。

平城宮跡に別れを告げて、ホテルに戻り自転車を返した後、タクシーで奈良駅に向かいました。

奈良駅から奈良公園に向かって歩き出すと、興福寺の前の鹿せんべい屋さんの周りには全く鹿がいませんでした。

時間は午後2時少し前ですが、辺りを見回しても鹿の影が見えません。

もう少し歩いて行くと、右側の広場の中に鹿が2~3頭見えました。

寝そべっている1頭に近寄ると、何か疲れ果てたようにあまり動きません。

鼻の下の地面には鹿せんべいが転がっていましたが、全く食べません。

ほかの2頭はゆっくりと歩いていましたが、そのうちの1頭は私たちのほうに近づいてきて、すぐに離れていってしまいました。

連れ合いはもう1頭の立ち止まっている鹿のところに行き、頭をなでていましたが元気が無く、逃げるそぶりも見せません。

先程離れていった1頭は子供に追っかけられて迷惑そうにしていました。

「何か今日は鹿が元気ないなー。体の具合が悪いのかな。それとも観光客疲れしているのかな。」

とベンチに腰掛けて自分勝手に想像しながら、

「そうか。今日は正倉院展をやっているんだった。」と鹿とは全く関係ないことを言い出しました。

「ちょっと行ってみようか。」と私が言うと、「TVで見たらすごい行列だったよね。」と連れ合い。

私は「行ってみて駄目そうだったら帰ろう。」

まだ帰りの電車までにはたっぷり時間があります。早速国立博物館に向かって歩き出しました。

博物館の前まで来ると、入り口から池の脇まで長い行列が出来ていました。

「どうしようか。」しばらく立ち止まって考え込んでしまいました。

行列を見ていると、全く動かないわけではなく時折ぞろぞろと動き出します。

それを見ているうちに何かお腹がすいてきました。そういえば昼ごはんがまだだったのです。

池の脇の広場にはテントがあってテーブルが並んでおり、、その横で色々食べ物を売っていました。

テーブルに座っていたおっさんが美味しそうにカレーを食べているのを見て、「あれにしよう。」と

カレーを2つ買いました。テーブルに座って食べ始めると、これが中々旨いのです。

スパイスが効いたカレーと、赤い十穀米の歯ざわりがめっちゃよく合って、とても美味しいです。

食べ終わってお腹が満ちたので元気が出たせいか、行列に並ぶ気力が起きてきました。

行列は来たときよりも若干ですが短くなっていたような気がします。

切符を買って最後尾につき、しばらく行列の中で時間が流れていきました。

やっと博物館の入り口にたどり着いたときにはもう4時近くになっていました。

入って2回に上ると、フロアには人が溢れていました。

とくにTVなどで紹介されていた「螺鈿紫檀五弦琵琶」のケースの前は長い行列が出来ていました。

「伎楽面酔胡王」とこの琵琶だけでも見ていかなくてはと、ぎゅうぎゅう詰めの行列に入りました。

押し合い、へしあいしながらケースの前に近づくと螺鈿が散りばめられた琵琶が目の前にありました。

「これが1300年も前の物なのか?信じられん。」形も色もまるで新品のようです。

写真に収めたい衝動に駆られましたが、それは出来ません。

伎楽面は思ったより大きく、重そうでした。「こんなの被って踊れたのかなー。」

もっと空いている時に全ての宝物をゆっくり見て回りたかったのですが、何しろこの人です。

30分もこの中にいると人の熱気だけで頭がふらふらしてきました。

書もいっぱい展示されていたのですが、もう体力も限界に来ていたのでざっと流してみることしか出来ませんでした。

一旦休憩室に入って一息ついていると、休憩室の窓ガラスに向かって人々が盛んに写真を撮っています。

「何なんだろう?」と、窓のほうを見ると、真っ赤な夕日が窓ガラスに差し込んでいるのでした。

「平城宮跡でこの夕日を見たら綺麗だったろーなー」と後悔をしながら博物館を出ました。

さて、近鉄奈良駅に戻って一番近い時間の特急電車を探したら20分後の特急が空いていました。

少し時間があったので、お土産を買うことにしました。

私は地酒の春鹿を買っていくのが目的だったので、駅の中を探したのですが売っている店がありません。

仕方なくまた外に出て、東向き商店街に入り、お土産やさんに入りました。

ここで春鹿を売っていたので早速購入し、また駅のほうに向かいました。

行基さんの噴水の前に来たとき、何やら人が集まっているのが見えました。

そこには古代衣装をまとった若い女の子たちが人々と写真を撮っていました。

私も急いでシャッターを切り、駅の中に入っていきました。

あの女の子達は平城宮跡のイベントから戻ってきてここで打ち上げでもやるのでしょうか?

私たちは特急電車に乗り込んで「やれやれ」と、短いようで長かった2日間の出来事を思い出しながら、うとうととし始めました。

「ああ、疲れた。」

 

おわり