五代目・桂 文枝師 逝く
五代目・桂 文枝師が亡くなった。
文枝師というと、思い出す噺は多いが、別けても「三十石」を思い出す。
京都を出発し一晩かけて淀川を下る船の、船出迄の待ち時間に、船の中の大阪人と物売りの京都人が罵りあう場面は、この噺の圧巻だ。
京「え~、オチリニアンポンタン…」
阪「なんやて? アンポンタン? ナンカシテケツカル!」
東京の噺家の「三十石」は、喋り言葉の面で違和感を多く . . . 本文を読む
「人間ばば」
夏目漱石の「吾輩ハ猫デアル」がもてはやされた1906(明治39)年頃の話。
「新小説」(1906年5月号)という雑誌に掲載された「猫文士気炎録」という一文である。作者は、「カーテル、ムル口述、素人筆記」とだけあり、誰だかワカラナイ。
話は、欧州で百年も前に死んだ猫の親分が、「吾輩ハ猫デアル」の作者は「夏目の猫」であると誤解する処から始まる。
以下、「新小説」(1906年5月号)と . . . 本文を読む