「こんど」と「つぎ」
(写真:新浦安駅上りホームの例)
先日、NHKテレビで面白いことを言っていた。ご紹介をかねて、以下、番組の大意を述べてみる。
例えば、JR京葉線の市川塩浜駅(どの駅でも良いのだが)の下りホームには、電車の発車時刻・案内板が掲示されており、「こんど」と「つぎ」と言う表現で表示が為されている。
上段に【こんど:〇〇時〇〇分発 蘇我行き各駅停車】
下段に【つ ぎ:〇〇時〇〇分発 府中本町行き快速】
という具合である。
この場合、『どっちが先に出るのだろうかと、一瞬だが、考えてしまう』というのが、話の発端となる(尤も、時刻が表示されているのだから、それを見れば判るわけだが、「“一瞬” 考えてしまう」という意味)。「こんど」が先か、「つぎ」が先か。
この原因は、「こんど」という言葉の持つ曖昧さ・幅広さにあると言うのが番組の趣旨である。
「今度、飲みに行こうね」と誘われた場合と、「次は飲みに行こうね」と誘われた場合とでは、受け取り方が違ってくる。
前者は漠然としており、「そうね」と同意しても、結局約束そのものが曖昧で漠然としているから、実行されないことも多い。後者は「じゃ、何日に何処で」という具合に進む可能性を残している。この場合の「こんど」は将来を指している。
ところが、「今度の旅行は面白かったねえ」という場合の「こんど」は、直近の過去を指しており、「今度は誰の番だ?」というのは、限りなく「現在」に近い。
ことほど左様に、「こんど」という言葉は、曖昧であり、また曖昧であるが故に、実に幅広い意味で使われる。過去にも、現在にも、そして将来形にもつかわれるのが、「こんど」という語の持つ特徴的用法であると。
そこで一部の私鉄などでは、「こんど」「つぎ」という曖昧さを避けて、「先発」「次発」「次々発」という表現を用いるところもある。
以上が大意。
皆さんはどのようにお考えでしょうか?