「平光真彌ブログ」だけど、今日はちょこっと うたがジャックします。
音楽とも平光ともなんの関係もありません。ごめんね~
CS出場に安心して、「もうこの時期の引退はナイな」とたかをくくっていたもので、チケット争奪戦に完全に乗り遅れてしまいました。
でも、平光の「(行かないと)後悔するよ」の声に後押しされて、とにもかくにも駆けつけた10月3日、マツダスタジアム。
ずっとずっと大好きだった、前田智徳選手の引退試合です。
午前中の合わせを終えて、4時半頃到着の新幹線からは、球場に続く赤い帯が。
前田さんの出場機会が減るのに合わせて球場に行くことが少なくなっていた私は、実はマツダスタジアムへ行くのは初めて。
とても開放的で、外から中の様子を窺うことができます。(旧市民球場は、隣のバスセンターの窓からぎりぎり覗けたんです。市民球場のそういう奔放さを受け継いだ、ほんとにいい球場ですね。)
ほんの薄くて低い金網を隔てて、バックスクリーンの見える場外で、たまにスクリーンに映る前田さんに興奮しながら一時間強、中を往来する背番号1をつけたファンの人たちをながめていました。
金網の内側すぐに置いてあるベンチでは、8歳くらいを頭に、3人兄弟の男の子たちが遊んでいました。
私の隣(場外)には、ブラザーズのお母さんが。
ジュニアファンクラブの兄弟は入場できて、お母さんはチケットが入手できなかったのでしょう。
スタメンが発表されて、日がだいぶ暮れてきた頃、しばらくその場を離れていたお母さんが、「入れるようになった!!」と戻ってきました。
ぎりぎりでチケットが工面できたようです。
ブラザーズは「やったぁ」と飛び上がり、傍にいた私達(その頃には同志が増えてきてたんです)も「よかったね!」などと他人事ながら喜んでいました。
「そこから離れたらいけんよ!」と兄弟たちに言い置いて入場ゲートに向かったお母さんが金網の向こう側に現れたのは、始球式の始まる直前でした。
私の目の前に金網の合間から、にゅっと突き出た、丸めたポスター。
「はい。」
お母さんが、まっすぐ私にむかって差し出してくれたんです。
この日、来場者全員に配られる赤いA2の前田さんポスター。
前田さん筆による「謝」という文字と前田さんのシルエット、裏側がまたよくて、セピア地に各年の成績と、群像のように前田さんの写真が重なっているのですが、中でも背番号31の写真がとてもすてきで、「これを作った人、趣味あうわー」と思うような、前田さん愛にあふれたポスターです。
金網の向こうでみんなが手にしてて心底うらやましくて、よっぽど目の前のベンチに座る人に「すいません、写真撮らせて!」と声かけようかと思ってました。
それを、「はい」って。
何が起こったのかよく分からなくて、「え?私?? いいんですか???」と戸惑ってたら、
「自分は入れたから。ずっと見てて、同じだと思ったから。」
と言って、「さ、行くよ!」と3兄弟をひきつれて、颯爽とスタジアム内に出陣されて行きました。
たぶん私と同じくらい、前田さんを好きなんでしょう。だから私の気持ちを想像してくれたんだし、私も、そこに居た記念の来場者配布の限定ポスターが、彼女にとってどのくらい貴重か分かります。
それを、「好きなんだな」と思ったからと言って、見ず知らず、直接話もしてない人にあげちゃうことができるなんて。
まるで、ポスターと交換に、私の想いを金網越しに場内に持ち込んでくれたようで、感謝、感謝、感謝。
その親子だけじゃなく、その日そこに居る人は皆、ひとつの同じものを見てて、すごいエネルギーに満ちてるんだけど、じんわりと感謝と思いやりが支配しているというか、興奮してるんだけど皆がやさしくなってる、不思議で感動的な場所でした。
それを生んだのは「苦しいことばかりだった」という前田さんの野球人生なわけで、本当にすごい人だな、と。
9回には、前田さんは守備につきました。
ライトスタンドのファンが、心底うらやましかった!
前田さんを眺める時間の累積で、一番長いのが、守備の間の後ろ姿です。
常に体のケアをしながら、ずっとストレッチぽいことをしてる前田さんを眺めて、投手がセットに入ると前田さんは動くのをやめて す、と腰を落とすので、それを合図にマウンドに視線を移すのが常でした。
私は前田さんを通して野球を見てたようです。
前田さんの背中があんなにカッコイイのは、多分いろいろ背負っちゃう性分の人が、背負ったものとちゃんと逃げずに対話してたからだと思います。外野の声援も、しっかり受け止めてくれてた。
街頭TV中継の画面では、せっかくの前田さんの後ろ姿は眺められませんでしたが、代わりに守備の間のチャーミングな表情や、みるみる流れていく汗を見ることができました。
いつの間にか、守備がそんなに負担になるようになってたのですね。
かつて「全試合出場しないと」と言っていた人が、そんなになるまで留まり続けることは、どんなにかプライドや自分に対して辛いことだったかと思います。
でも、結局最後の最後の一滴まで、耐えて絞りきってくれた前田さん。
ファンとして、こんなに誇らしい引退はないです。
かつて、大好きだった大野(豊)さんの引退試合に行くことができず、TV中継を見ながら「前田さんのときは必ず行く!」と心に決めました。
いざ来てしまったその日、球場内に入ることはできなかったけど、すごくいい想いをさせてもらいました。
こんなカッコイイ選手の現役時代を堪能できたこと、幸せに思います。
ほんとにほんとにありがとうございました。
うた
音楽とも平光ともなんの関係もありません。ごめんね~
CS出場に安心して、「もうこの時期の引退はナイな」とたかをくくっていたもので、チケット争奪戦に完全に乗り遅れてしまいました。
でも、平光の「(行かないと)後悔するよ」の声に後押しされて、とにもかくにも駆けつけた10月3日、マツダスタジアム。
ずっとずっと大好きだった、前田智徳選手の引退試合です。
午前中の合わせを終えて、4時半頃到着の新幹線からは、球場に続く赤い帯が。
前田さんの出場機会が減るのに合わせて球場に行くことが少なくなっていた私は、実はマツダスタジアムへ行くのは初めて。
とても開放的で、外から中の様子を窺うことができます。(旧市民球場は、隣のバスセンターの窓からぎりぎり覗けたんです。市民球場のそういう奔放さを受け継いだ、ほんとにいい球場ですね。)
ほんの薄くて低い金網を隔てて、バックスクリーンの見える場外で、たまにスクリーンに映る前田さんに興奮しながら一時間強、中を往来する背番号1をつけたファンの人たちをながめていました。
金網の内側すぐに置いてあるベンチでは、8歳くらいを頭に、3人兄弟の男の子たちが遊んでいました。
私の隣(場外)には、ブラザーズのお母さんが。
ジュニアファンクラブの兄弟は入場できて、お母さんはチケットが入手できなかったのでしょう。
スタメンが発表されて、日がだいぶ暮れてきた頃、しばらくその場を離れていたお母さんが、「入れるようになった!!」と戻ってきました。
ぎりぎりでチケットが工面できたようです。
ブラザーズは「やったぁ」と飛び上がり、傍にいた私達(その頃には同志が増えてきてたんです)も「よかったね!」などと他人事ながら喜んでいました。
「そこから離れたらいけんよ!」と兄弟たちに言い置いて入場ゲートに向かったお母さんが金網の向こう側に現れたのは、始球式の始まる直前でした。
私の目の前に金網の合間から、にゅっと突き出た、丸めたポスター。
「はい。」
お母さんが、まっすぐ私にむかって差し出してくれたんです。
この日、来場者全員に配られる赤いA2の前田さんポスター。
前田さん筆による「謝」という文字と前田さんのシルエット、裏側がまたよくて、セピア地に各年の成績と、群像のように前田さんの写真が重なっているのですが、中でも背番号31の写真がとてもすてきで、「これを作った人、趣味あうわー」と思うような、前田さん愛にあふれたポスターです。
金網の向こうでみんなが手にしてて心底うらやましくて、よっぽど目の前のベンチに座る人に「すいません、写真撮らせて!」と声かけようかと思ってました。
それを、「はい」って。
何が起こったのかよく分からなくて、「え?私?? いいんですか???」と戸惑ってたら、
「自分は入れたから。ずっと見てて、同じだと思ったから。」
と言って、「さ、行くよ!」と3兄弟をひきつれて、颯爽とスタジアム内に出陣されて行きました。
たぶん私と同じくらい、前田さんを好きなんでしょう。だから私の気持ちを想像してくれたんだし、私も、そこに居た記念の来場者配布の限定ポスターが、彼女にとってどのくらい貴重か分かります。
それを、「好きなんだな」と思ったからと言って、見ず知らず、直接話もしてない人にあげちゃうことができるなんて。
まるで、ポスターと交換に、私の想いを金網越しに場内に持ち込んでくれたようで、感謝、感謝、感謝。
その親子だけじゃなく、その日そこに居る人は皆、ひとつの同じものを見てて、すごいエネルギーに満ちてるんだけど、じんわりと感謝と思いやりが支配しているというか、興奮してるんだけど皆がやさしくなってる、不思議で感動的な場所でした。
それを生んだのは「苦しいことばかりだった」という前田さんの野球人生なわけで、本当にすごい人だな、と。
9回には、前田さんは守備につきました。
ライトスタンドのファンが、心底うらやましかった!
前田さんを眺める時間の累積で、一番長いのが、守備の間の後ろ姿です。
常に体のケアをしながら、ずっとストレッチぽいことをしてる前田さんを眺めて、投手がセットに入ると前田さんは動くのをやめて す、と腰を落とすので、それを合図にマウンドに視線を移すのが常でした。
私は前田さんを通して野球を見てたようです。
前田さんの背中があんなにカッコイイのは、多分いろいろ背負っちゃう性分の人が、背負ったものとちゃんと逃げずに対話してたからだと思います。外野の声援も、しっかり受け止めてくれてた。
街頭TV中継の画面では、せっかくの前田さんの後ろ姿は眺められませんでしたが、代わりに守備の間のチャーミングな表情や、みるみる流れていく汗を見ることができました。
いつの間にか、守備がそんなに負担になるようになってたのですね。
かつて「全試合出場しないと」と言っていた人が、そんなになるまで留まり続けることは、どんなにかプライドや自分に対して辛いことだったかと思います。
でも、結局最後の最後の一滴まで、耐えて絞りきってくれた前田さん。
ファンとして、こんなに誇らしい引退はないです。
かつて、大好きだった大野(豊)さんの引退試合に行くことができず、TV中継を見ながら「前田さんのときは必ず行く!」と心に決めました。
いざ来てしまったその日、球場内に入ることはできなかったけど、すごくいい想いをさせてもらいました。
こんなカッコイイ選手の現役時代を堪能できたこと、幸せに思います。
ほんとにほんとにありがとうございました。
うた
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