こんな夢を見た。
大きなショッピングセンターの中を、私は歩いていた。
横には背が高く、長い髪の女性が歩いている。
別に付き合っているというわけではなく、つい最近、仕事の関係で知り合った女性で、山田さんと言う。
気さくな女性で、明るくて話しも面白い。
その日、私は仕事が休みで、暇をもてあまし、車でパチンコに行く途中に、街中で歩いている彼女を見つけたので車を止め、声を掛けると、彼女は買い物に行くのだと言った。
そして、暇ならちょっと買い物に付き合ってくれと言う。
なんでも引っ越したばかりで、新しい家具が欲しいのだそうだ。
私は良いよと言い、町一番の何でも売っている大型ショッピングセンターにやってきたのだった。
家具売り場に直行すると、山田さんはソファーやベットを見て回り、実際に座ってみたり、寝ころんでみたりして、子供のように無邪気にはしゃいでいる。
そういえば、ずっと大昔に、当時付き合っていた彼女とこんなデートした事があったなぁなどと、ほろ苦い思い出を思い出しながら、私は山田さんを見ている。
そんな時、ソファーから立ち上がろうとした山田さんが、苦痛に顔を歪ませ、蹌踉めいた。
「いたたたたた……」
「どうしたんです?大丈夫ですか?」
山田さんは苦痛に耐えながらも、大丈夫だと私に右手で合図した。
左手は左足の膝を押さえている。
「ちょっとはしゃぎ過ぎただけ。義足の付け根の所がスレちゃって」
そう言って山田さんは笑う。
「……義足?」
私は一瞬、その言葉の意味も解らなくなり、山田さんは私の鳩が豆鉄砲を喰らったような顔を見てピンと来たようで、
「そう言えば言ってなっかったでしたっけ?私、左足の膝から下が義足なんですよ」
山田さんはそう言うと、長いスカートをまくり膝を出し、慣れた手つきで義足を外して見せた。
「全然、気が付かなかった。普通に歩いてたし」
「もう何年も付けているし、最近は義足の性能も良いから。慣れてしまえば解らないのね」
「……そうなんですか」
それ以外に言葉が見つからず黙ってしまった私を見て山田さんは言った。
「子供の頃に猪と出会い頭に出会って格闘になったんですよ。その時の傷が元で切断したんです」
「猪かよ!?」
「実家が山奥で、野生児でしたからね。私も」
「普通は戦いませんよ」
「勝つ自信はあったんですよ。もちろん勝ちましたけど。でも、代償は大きかったですけどね」
「勝ったのかよ!?」
「晩ご飯は牡丹鍋でしたよ」
「っていうか、怪我して病院じゃん」
「その日は行かなかったんですよ。山奥なんで麓の村まで行かないとお医者さんはいなかったですし」
「山奥過ぎるだろ!」
「そう言えば中学に入って初めてお金を見ましたw」
「経済活動すら無いのかよ!」
「自給自足が原則の生活でしたから」
そんな会話が延々とソファーに座る山田さんの膝下から義足が外れた状態で、山田さんの太股がチラリと見える絶対領域な隙間が悩ましい中で続いていた。
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