信濃路一人旅①

９月２１日の夜、東京を出発して上田菅平ICをおりたときは２３時だった。
窓を開けると、爽やかを通り越して薄ら寒い風が車内に入る。
気温表示は１７度だ。
市内のスーパーで食材を買い込み、親父の小屋についたときは日付が変わる寸前だった。
明日の釣りに備え、そそくさと寝る。

禁漁間近の長野釣行「信濃路一人旅」も今年で３年目になった。

今回は依田川支流のさらに枝沢に入る予定。
だが、運が悪いことに、予定していた２本の沢には先行者の車があった。この沢に車が止まっているのを見るのは初めてである。ちょっと驚いた。県外ナンバーなので、まず釣りに間違いないだろう。

あんまりぐずぐずもしていられない。
新たに沢を開拓するのもちょっと精神的にハードなので、２年前に実績のあった沢に向かう。
なぜ、最初からここにしなかったか。それは昨年度釣果ゼロの沢だったからだ。今シーズンも入っていなかった。

ここで釣れなかったら…もう次に入る沢を頭の中であれこれ選択しながらロッドを振る。集中していないときは、ろくな事がない。最初のバイトを合わせ損なってしまった。
「なんだ、魚いるじゃん。」
モチベーションが一気に上がる。

１尾目は、手のひらサイズのかわいいヤマメ。
このあと同サイズのヤマメの入れ食いとなってしまった。最初のうちは写真を撮っていたが、あまりに似たようなサイズばかりなので面倒になって画像は残さず即リリース。

沢が二股になっている所まで来た。右に行く。
以前は、ここから上がイワナの領域だったが、釣れるのはヤマメばかり。
イワナは淘汰されてしまったのだろうか？

魚止めの滝まで来た。この淵が最後のポイントとなる。

白泡に向かってルアーをキャスト。ゆっくりめのトウィッチで引いてくると、コツンという小さなアタリ。

あ～、やっと会えました、イワナくん。１８ｃｍ、ちょっと痩せ気味。
立ち位置を変えてルアーを通すと、さらに２尾連続でイワナがヒット。
計３尾のイワナで大満足。
ぼちぼち納竿しようかな…、最後の１投を淵を斜めに横切るようにルアーを引いてくると、ガツン！という強烈なアタリと共にドラグが出る。
ちょっと最近味わったことのない引きと重みだ。
ネットを持っていたのに、強引に岸に引き上げてしまった。

出ました、びっくり。尺ヤマメ。

３１ｃｍ。
今シーズン初の尺モノが、この時季に来るとは。

立派な尾ビレだ。
本流からの遡上モノだろうか？
イワナを追いやって、こんな源流域まで来たのか？

リリースすると、ゆらゆらと淵に戻っていった。