２００８年渓流解禁！

仕事に追われシッチャカメッチャカな日々を過ごしているうちに、渓流が解禁した。
いつもの年なら解禁日に向け胸の内がふつふつと燃え上がり、夜な夜なフックを研いだり、リールを無意味にくるくる回したりして、その日が来るのをまんじりともせず待ちかまえているところだ。
だが、今年は「ありゃりゃ、もう解禁？　何はともあれ行かねばならぬ…」という場当たり的な心境で、当日朝を迎えてしまった。


行き先は、我が心の「カーティスクリーク」。昨シーズンの解禁もこの沢で迎えた。
自分にとってはとても大切な沢だ。
規模は小さく、魚影も決して濃いわけでなく、でも釣れるヤマメは可憐で美しい。
一年に一回だけ訪れるとっておきの沢だ。


仕事の疲れと寝不足も手伝ってか、デジカメを忘れてきたことに気づく。
あー、ついてない。携帯で撮るか…。


日陰に雪が残る入渓路をゆっくり歩き、渓に降り立つ。
水量はわずかだが、澄み切った流れだ。
手をつけると切れるような冷たさに目が覚めた。


定番のストゥープＭＲを結び、ちょっとした深みをゆっくり丁寧に引く。
キャストの感覚がだいぶ鈍っていて、思ったところに放れないのも解禁日のお約束。
岸を釣ったり、落ち葉を引っかけたりしながら、ぶらぶら遡行する。
１５分くらいしてようやくテンポがつかめた頃、水中のきらめきと同時にロッドに生命感が伝わってきた。

５ヶ月ぶりのパーマーク。ちょっとやせ気味。
渓の宝石との再会をじんわり味わう。
携帯のカメラなんぞで撮影するのは、この宝石に対して失礼にさえ感じた。


程なくして、解禁２尾目がヒット！

サビた魚体がいかにもこの時期らしい。
わずか１８ｃｍほどの魚体だが、越年魚としての風格すら漂う。
こんな小さな沢で代々生命をつないでいることに素直に感動する。


２匹の美しいワイルドに出会えて、もう十分満たされた。


我が心のカティスクリークよ、ありがとう、また来年来るよ。