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a green hand

なんといって良いのか複雑な日

朝、電話が来た。
「えっ?今日よ」
電話に出た私にTさんの驚きの声。
私も恐ろしいことが起こったと瞬時に気づいた。

夫と息子のお弁当を作り終え、のんびりとコーヒーを飲みながら庭を見回り、さてメールのチェックに取り掛かろうとしていたそのときだった。

今日は、AさんとTさんと出かける日、昨夜から準備をし、2~3残した準備のほかはすべて整っていた。

一時間の間違いに気づいた私は行くのを即諦めた。
Aさんは直行で駅へ、私はTさんの家に車を置いて便乗するつもりでいた。

これ以上の迷惑はかけられないと思った私は、二人で予定通りの時刻に行って欲しいと頼むと、遅れてもいいから来るようにと言われ車をとばした。

あわてて化粧道具を持ち、信号待ちで口紅を塗り、またの信号待ちで眉を書いた。
今日は一日小さくなっていなければならないことを思うとユーツだった。

二人ともとってもいい人、それを思うと余計・・・。

Sさんの駐車場に車を入れ、Tさんの車に乗った。
Aさんがずっと予定よりも早く着いていると思うと・・。
「大丈夫よAさんはいくらでも待ってるの苦にならない人だから」と慰めるTさん。

車の中でファンデーションを塗り、あとはストッキングを買う時間があったら買おうと思っていた。
めったにしないながら運転だ。

待合室で何かを読みながらAさんが待っていた。
ごめんなさいと誤ると「安心したわぁあなたもそんなことがあるのねえ」といつもの通りお優しい。

ストッキングも買えた。

車中の話題はハワイ在住のAさんの同級生が書いた長い長い手紙の感想で二駅だけ停車する電車はあっけなく東京駅に着いた。

上野に戻り、改札は「公園口がいいわね」「ここで券を買ったほうがいいわね」の二言で今日の私の失敗は無効というお許しが出た。

30分待ちぐらいで、「国宝阿修羅展」も「ルーブル美術館展」も入ることができた。
昼食は良かったら「レカン」でということで遅めのランチにありついた。

大変充実した絵画展だった。
特に阿修羅を360度方向から見られたのはうれしかった。
1300年も前に作られた仏像と向き合った。

正面の表情はもちろん魅力的だが私は左側の横顔の美しさにとても感動を覚えた。
なんともいえない深い美しさだ。

一体ずつ手を合わせながら拝顔している人がいて鑑賞の違いに気づく。

ルーブル美術館展も昨年、高校時代の友から送られてきたルーブル美術館展のカレンダーのお陰で主だっ12枚の作品がスッと入ってきた。
その一枚、「リュートを弾く道化師」がとても印象深く心に残った。

それとムリーリョの「無原罪のお宿り」にスペインを懐かしむことができた。

少しはTさんやAさんに絵の説明ができたことはうれしかった。

4時台の電車で帰り、Tさんのご主人のお勤め帰りの時間が丁度合い、待ち合わせした。

朝から大変お騒がせをした私はご主人さまにお目にかかるのはちょっと気が引けたが、Tさんのユニークさで気を使わずにご一緒させてもらえた。

Tさんの庭のミヤコワスレの群生を見て、Tさんとご主人に見送られ非常に気が散っていた私はTさんの家の茶色の門柱に白い車の塗料を残してしまった。

誘導してくれていたTさんが申し訳なさそうにしていたが私はそれ以上に門柱の方が心配だった。

今日は思い出に残りすぎる、なんと言ったらいいのかわからない一日であった。
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