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a green hand

夫の初めての無駄使い。

2.3日前だった、ここに行ってみないかと夫から誘われた。
ポーセリン、リアドロとある。
オッ?リアドロだと即、賛成した。
その後、広告の裏を見せて「俺はこっちに用事があるんだが」という。

掛け軸がずらっと並んでいる。
なんでも掛け軸が欲しいのではなく、表具をしたい掛け軸があるのだ。

子どもの頃に、悪いことをしては蔵に入れられ、その中で昔のお金を
掛け軸などに投げて遊んだりしていたらしい。
もっともそういうことをするから、蔵に入れられたのだろうが、今は
その片鱗も残っていない夫である。
小さい時に暴れすぎたのだろう。

結婚するときに、その閉じ込められた蔵から数本の掛け軸を失敬してきたらしい。
父親も兄という人もそんな事には全く興味のない人だったらしいのだ。

黙って持ってきたの?
と聞くと、断ってきたに、とこうである。

中でも大変に気に入っていたものがボロボロになり、捨てるしかない状態
であり、捨てるに忍びなく、いくらぐらいで表具できるだろうかと相談に
持って行ったのである。

岐阜から来たというその掛け軸やさんは、大変な数の作品を所有して
いたというか、大きな会社が付いていての販売と表具の相談に応じるというのである。

夫が素手で持ち寄った、みすぼらしいその掛け軸は床に広げられ、痛ましさを晒していた。
どんな経路で手に入れたのですかときかれていた。
昔、質屋をしていたという先祖が手に入れたものと話すと納得の表情であった。

大変いい表具の仕方であるのでここまで持った。が、今が限界でちょうどいい時に
持ってこられたと若いながら上手い商談である。

丁寧にびっしりと描き込まれた花々と鳥が数羽、それは素人目にも、
いい仕事をしたなあと感じさせるものだ。

飾られているものを見ても、そこまでの根を詰めた作品はなかったように見受けられた。

10万円で、表具をお願いした。
夫が、文化的なものにお金を出すのは大変に珍しいことであり、驚いた。

10月末には出来上がってくる。
蔵で遊び、あちこちにお金をぶつけて破いた罪滅し料かもしれない。

それとも、描いた人の魂がそうさせたのかもしれない。

ところで、リアドロだが、見たこともないほどの素晴らしい作品の陳列。
まえから欲しかった、ドン・キホーテを手に入れた。



が、これは夫の買い物と比べたら記録する程でもない。
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