若い時からシンビジュームは好きで買うのだが・・夏を越したことがない。
それでいつの間にかシンビジュームを買うことはしなくなっていた。
このシンビジュームはワケありである。
演奏会会場にいち早く届いたのがこのシンビジュームであった。
送り主もピンとこない、ようやく解ったのは演奏会が終わってホッと一息ついた頃である。
あ~Nちゃんだったのか。
聞くと演奏会に行けなかったから花屋さんから送ってくれたというのだ。
そういう花なので私は、決心した。
よし、このシンビジュームは夏を越してみせる。
過去においてもこんな気持ちになればよかったのに・・。
人様からいただいたというその気持ちだけで夏を越せるんだ。
自分で買ったからだめだったと都合の言い訳をしているa green hand である。
春のころ、近くに住む、こちらはグリーン・フィンガーのTさんにシンビジュームの株分けについて聞いてみた。
というのは、夫から「Tさん、この花の株分けをしていたぞ」という情報が入ったからだ。
さすがにTさん、診るなり新芽を見つけ出した。
私には新芽とはわからなかった。
凄い8本ぐらいある。
しかしながら、Tさん、余計な新芽を次々と欠いでいる。
残したのは5本である。
今年は株分けをやめてこのままの状態で過ごさせましょうというのだ。
綺麗でない日に焼けた古い葉が気になって切ろうとする私に、待ったがかかった。
その葉から養分を得るという。
醜いからとそれを切ってしまっては最悪なわけである。
夏の暑いさなか、木陰に鉢を置いて見守っていた。
汚い葉が気になる、でも切ってはいけないと我慢した。
夏が過ぎ、しばらくすると、硬い花芽のようなものが出てきた。
それもTさんが発見したのだ。
一体私は何を観察していたのだ?
霜が降りる前に、部屋に取り込んで綺麗に伸びてきた新しいグリーン葉に惚れ惚れしていた。
だんだんその花芽が育ってきた。
私の少し寒い部屋に1月まで置いといたが、心配なことに蕾が黄ばんできたのである。
黄色の花だから黄ばんできたと思うのには無理があった。
何だか遠い記憶が呼び覚まされる思いがした。
だんだん心配になり、遂に寒さのせいだと思い、心地よい夫の住むリビングに移動した。
ところがますます黄色の蕾が元気を無くしていく・・。
水不足と気づいたのは、しばらく経ってからである。
水をあげるとドンドン吸い込むのである。
気になる黄色の腐りかけた蕾は摘んでしまった。
2本分であり一番立派な花芽を付けたものだった。
その後、居心地のいいリビングで順調に生長し、2本目が開き始めたのだ。
そして記憶をかすめたことを想い出していた。
息子か娘か判断できないのだが、誕生し、退院し帰ってきた寝室に1鉢のシンビジュームがあったのだ。
自分で買ったものだった。
そのシンビジュームが最初はきれいだったのに、やはり今回のように蕾のまま咲かないで終わったのだ。
今回のことと合わせて考えてみた。
夜中の授乳がとても寒く、ずっと暖房をしていたことが原因だったのではないか・・乾燥し、水不足だったのだということがわかった。
黄色に近いグリーンのシンビジュームだった。
とにかく、今回、夏を越し、花を咲かせることができたシンビジュームは嬉しい限りである。
半分以上成功したことにしたいが、失った2本の摘んだ蕾のことを思うと心が痛む。
Nちゃんに、咲いた花の写真を差し上げることを約束していた。
一番いい状態で咲いた時の写真を持っていこうと思っている。
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