セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

議論~開発者の「売れない」叫び

2009年06月17日 00時28分05秒 | 【旧】コンテンツ集
「まだ死にたくない、、、」マーベラス和田プロデューサーの悲痛な叫び・・・『王様物語』はぜひ予約を
iNSIDE様より】


最近のマーベラス・エンターテイメントは意欲的に新作を出してきており、しかも大体は完成度が水準には達していると思うので、その点は好印象だったりします。
…と言いつつ、まだ『朧村正』や『ルーンファクトリー フロンティア』をクリアしていない私なんですが、どちらも良作でしたからね。地道に進められてはいます。

しかし売れない。売れないんです。
というか、マーベラスの新作タイトル郡は、新作としては売れているほうだと正直思っていたのですが…それでも、現実は厳しいものなんでしょうね。


ここに、私が考える「売れない法則」というものがあります。



●完全新作は「売れない」
任天堂くらい予算をつぎこみまくってアピールをしない限りは、納得のいく売上はなかなか出てくれません。

どんなに面白くても、それを「知っているユーザーの絶対数」がまず少ないです。
そしてその中で、興味を持ってくれる人は、さらに少ないです。
さらにその中で、実際にソフトを購入してくれる人は、さらに少ないのです。
これは、Wiiに限らすどのハードだってそうです。PS3やXbox360なんかは濃いゲーマー層が集まっているので「知っているユーザーの絶対数」の割合は多いかもしれませんが、本体売上の差を考えると、結局はWiiとどっこいどっこいの結果になるでしょう。


●前回の作品が評判悪いと「売れない」
シリーズもので、平均的に面白くないと思われたタイトルの続編として出たタイトルは、大抵売上がガクッと落ちています。
それが、どんなに改善されて面白くなっていたとしてもです。というか、ほとんどの場合はあまり改善されていないような気がしますが。

まあ、これは「身から出たサビ」で、開発者側に大きな責任があるわけですからどうこう言えませんが、問題なのは、単純に面白くないタイトルだけではなく、「受け入れられなかったタイトル」も含まれます。


●前回の作品が受け入れられなかったら「売れない」
シリーズものというのは、長いものだと20年とか続いているものもあるわけです。
大抵のシリーズは、そのままの内容では飽きられてしまう(特に1人で遊ぶものはその傾向が強い)ということで、どこかで大小に関わらず変化を入れざるを得ないわけです。

しかし、その変化はユーザーに「受け入れられない場合」が多いです。なぜなら、変化した場合は、それによる面白さが以前より「遥かに」増していないとダメだからです。「ちょっと」増したくらいでは、以前の内容の印象が勝ってしまい、受け入れてもらえないことが多いのです。
人間がそういう存在なので仕方ないわけですが、初めて見て「面白い!」と思って遊び続けてきたシリーズが変化をした時に、そのユーザーに初めて見た時の衝撃を超える魅力を感じてもらうのは、「容易ではない」を超えて「至難の技」だと思っています。



もちろん、この概念を理解したうえで売上を着実に伸ばしている作品もあります。個人的には『龍が如く』シリーズなんかは、特に目立った成長を見せているように思いますね。
マーベラスの新作タイトル郡については、長~い目で見れば、新作タイトル郡の中からシリーズ化して売上を伸ばす精鋭がいるかもしれないわけです。
個人的には『朧村正』の続編とかはけっこう欲しいと思っていますし、『ルーンファクトリー』シリーズなんかは、個人的には最新作のフロンティアが今のところ一番面白いと思っているので、いい方向に伸びていったらいいな~と思っています。

逆に今、苦労しているんだろうな~と感じる一例が、『スーパーロボット大戦』シリーズなんですよ。個人的には。
スーパーロボット大戦Z』が大体50~60万本で、αシリーズと呼ばれる頃に比べると売上が落ち始めていますし、PS2版『スーパーロボット大戦OG』は50万本に達していなかったハズです。
そこで、『無限のフロンティア』や『スパロボ学園』などのスピンオフ作品を制作して、そこから新たな形のものを派生できないか?ということだろうと思っています。
あるいは、そこから生まれたアイデアでユーザーから好評だった部分を、本編に利用するなんてこともできるでしょうし。スパロボって、毎回細かいシステムが変わるので、システムにおいては毎回色々と悩んでおられるんだろうな~と思っているわけです。


売上を伸ばすためには、まず、ゲームソフトの存在を知ってもらう「ユーザーの絶対数」が、それなりに多い(または増える)こと。やっぱり、知ってもらわないとどうしようもありませんからね。
そして何より、面白いものを作るということ。何だかんだ言って、やっぱりこれが大事ですよね。本当に面白いゲームというのは、その噂が広まり、じわじわと売れてくれるものなんです。そしてそれが定着して、次へ次へと繋がるわけです。
過去のシリーズ作品でも、初代があまり売れなくて2作目や何作目かに売上がグンと伸びたタイトルは、わりと多いものです。任天堂の脳トレも初代より2代目のほうが売れていますし、かの『モンスターハンター』シリーズも、PSPでその魅力を開花させましたしね。
また、シリーズもので変化を付ける時は、完成されていたものを崩す覚悟と、よりいっそうの面白さへの追求が必要でしょう。その覚悟なくしては、ユーザーに新しい変化を受け入れてもらうことは、夢のまた夢です。

「ゲームを売る」というのは、いま作っているゲームだけ考えていては、なかなか難しい。もっと未来を見据えていかないと、最終的に商売として成功するのは、難しいものです。
いま存在する大規模のゲームメーカーというのはむしろ「それをなし得た者たち」とも言えるわけです。
色々な業界がゲームに注目が集まる一方で、生き残ることの厳しさもひしひしと感じる。ゲーム業界には今、そんな冷たい風が吹いているのですね。


…と、まあ知ったかぶったような言い方をしましたが、あくまで私個人の考えなので、参考程度にどうぞ。
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7 コメント

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非常に難しい問題ではあります‥‥ (グルグル)
2009-06-17 01:57:42
なんかこれでまた、新作が売れないとかWiiサードソフトがどうのこうのとかいう問題が色んな意味で盛り上がりそうです

(関係ない…かも?) 時々「ゲームは何でも任天堂ばかり売れる」というのを聞きますが、それこそ自分には単なる妬みにしか聞こえないんですよね。
任天堂だってたくさんの人気シリーズがあるわけで、それは今まで頑張って作り上げてきたからこそ成っているわけですから。
だからこそ。今の任天堂は凄い資本力で宣伝もたくさん出来る、「任天堂」というブランド力がある。信用があります。
仰られた通り、マーベラスだって今まで「精魂込めて」作ってきた作品たちを続編なりシリーズ化なりして、どんどん発展させていけば良いのです。
もともとWiiはサードが売れないとずーっと言われているわけですし、もう地道にやっていくしか無いのです。
マーベラスにはこれからの活動に期待してますし。良いモノを作ればその内報われるでしょう(?)

少しズレたかも知れません、いきなり任天堂と引き合いに出して(笑)
この業界に関わってないからこそああだこうだ言える、何にも知らないド素人でした
返信する
こちらは売れている物だと思っていました。 (ダイヤ)
2009-06-17 15:34:53
マーベラスはアークライズファンタジアとか大作制作しているのにそんなに売れてないんですか。

スーパーロボット大戦シリーズは参戦作品の幅を拡げる事によって新たなファンを獲得出来るし、OGシリーズはアニメや漫画やプラモといった色んなメディアに展開していますから大丈夫だと思います。
後以前みたいにそろそろ特撮ヒーロー物のクロスオーバー作品も出してほしいです。
返信する
自分の会社の人自らが「売れない」と言ってるんじゃねぇ…。 (ナケイ)
2009-06-17 16:39:38
マーベラス系のソフトは、今「朧村正」をやっていて、結構面白いな、と思っているのですが…やっぱり売れてないですか…。ハード自体のイメージ(健康器具的なハードなど)が、引きずっているのかもしれませんね…。
スーパーロボット大戦シリーズも…。
…いっそのこと、昔から言われていると思う(?)のですが、スパロボのシステムを「魔法少女もの」が集結するSRPGが出てくれないかな…?と思いますけど。(権利関係があれだったり、色々と問題あるけど…。)スパロボ学園みたいなものをだせるなら…ね?
返信する
Yahooニュースでも取り上げられるほど話題ですね (土星産の卵)
2009-06-17 17:46:06
クオリティを落とさずに!安い値段で!面白いものを!・・・作れれば苦労しませんね。(Wiiウェアとか結構やれている気がするけど)

本題
>完全新規は売れない
私はそこそこの頻度でゲームを購入しますけど、得体の知れない名もなき新作にいきなりお金を出すのは確かに厳しいですね。予約買いならなおさら。
続編ばかり売れる!と言われますが、続編はやはり安心感がありますし、そうなるのも仕方がないかと思います。

「スマブラの桜井さんの新作!」とか、別なネームバリューがあれば新規であっても(新作がよほど嫌いなジャンルで無い限り)ポンとお金を出せそうですけどね。

「スマブラの桜井政博がゲーム業界に衝撃を与える!」などクリエイターの名前を全面的に押し出したキャッチを打ちまくる、CMでもクリエイター自らが出演し時間いっぱいゲームの魅力を表現する、ゲームのパッケージにもクリエイターの顔を出して宣伝する、説明書にも顔を出し自らゲームの解説をする、さらに実際のゲームのチュートリアルでもわざわざ登場し操作やコツを手とり足とり説明する・・・etc

これだけやればクリエイターの名前も売れて、少なくともそのクリエイターの名前のある新作なら売れるようになr・・・極論&素人考えでした。(やはり宣伝か)
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Unknown (partygame(管理人))
2009-06-20 00:18:07
>グルグルさん
仰るとおり、任天堂やソニーなどのハードメーカーや、スクウェアエニックス、バンダイナムコなど(って、どっちも合併してますけど)のサードメーカーがここまで大規模になっているのは、それだけ消費者から支持されているからであって、努力の積み重ねでここまで来ているわけです。もちろん、多少の運もあったとは思いますが。
それなのに、一部のメーカーをかいつまんで「任天堂しか」とか「○○しか」とか言うのは、筋違いだとは思っています。任天堂は、ハードメーカーとしてハードを売るために努力をしているわけで、その成果に文句を言われる筋合いはないでしょう。やり方がどうこうは別問題として。

>ダイヤさん
実際、マーベラス新作タイトル郡の消化率(出荷数に対して売れた本数の割合)はそこそこ高い数値を出していましたし、私自身も新作としてはそこそこ言っているものだと思います。
たぶん、この記事(=iNSIDE様の記事)で言われているのは、「利益的に」という話だと思いますよ。だってこの方はプロデューサーですから、要は「儲かっていない」と言っているようなものなんですよね。そんなの、どこのメーカーだって言いたいわけですが…。

>>スーパーロボット大戦シリーズは…
なるほど。確かにスパロボはメディアの幅が広いので、そう簡単には沈まないということですね。それは仰るとおりだと思います。


>ナケイさん
健康器具的な…というよりは、まだまだWiiが「外伝的なハード」という見られ方をしているのが、良くないと思うわけです。何だかんだ言ってもハードの絶対数は売れているわけですし、そのうちの何割かはそれなりにゲームを遊んでくださっているでしょうから、ゲームソフトが言うほど売れていないというわけでもないとは思うんですけどね…。利益については別問題として。
じゃあ、マーベラスの新作タイトル郡が、他のハードで発売されていたら結果は変わっていたか?というと…正直、あんまり変わらないと思いますし。

>>スパロボのシステムを…
まあ、ハメを外してみるのも1つの方向性ですよね。『スパロボ学園』なんかは、むしろそうなんだと思いますし。
ただ、難しいのは…スパロボってわりと無難に売れているところもあるので、ユーザー側からのシリーズ全体のイメージがイヤな方向に変わると、それはそれで危険なんですよね~これが。
記事でも書きましたけど、そういった変化が新規ユーザーも獲得しますし、逆に既存ユーザーを引き離す恐れもあるわけで、なかなか難しいのです。


>土星産の卵さん
>>続編はやはり安心感が…
結局、続編を出していくうちに売れていくということは、それだけユーザーからの支持を集めているということですから、それは努力による成果だと思うわけです。
もちろん全ての新作たちにはその可能性を持っているわけですから、新作を出すことと、それを次につなげることこそが、成功への近道だとは思います。
だからこそ、今マーベラスが新作タイトルをガンガン出していっているのは、イイコトだと思っているわけです。もちろん、ちゃんと次につなげる気があるかどうかは、これから次第ですが。

>>クリエイターの名前
クリエーターの名前が売れることで…という土星産の卵さんの発想も、1つの方向性としては全然アリだと思います。ただ、私個人の考えとしては、最終的にゲームを売ることが目標ならば、ゲームが面白くないと次に痛い目を見てしまうので、やはりCMなどでもクリエーターの名を売るよりかは、ゲーム自体の魅力を伝えることのほうが大事だと思うわけです。
それに…ゲームクリエーターの名前って、かなり努力をしても世間一般的にはあまり覚えられない気がするんですよね…。家族の中で、宮本 茂さんを知っている人がどれだけいるか?ということです。
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Unknown (victor)
2009-06-21 23:56:23
前世代だと据置機はPS2一強という感じでしたが、
今は結構ユーザーがばらけている感がありますからね。
その上携帯ゲーム機はどちらも人気がありますし、
複数機種を持っているユーザーだと遊び切れないというのもありそうです。

というか、私自身がそうなんですけどw
Wiiだけに絞ってもバーチャルコンソールもWiiウェアもありますし、
その上発売済みで未プレイのゲームや積みゲーが多数存在する状態では、
マーベラスのに限らず購入する新作は厳選している状態だったりします。

発売本数を絞って「量より質」作戦をとるのもひとつの手なのかも。
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Unknown (partygame(管理人))
2009-06-23 20:57:59
>victorさん
ハードがただ起動するためにあるだけでなく、ハード自体にも色々なコンテンツ(WiiチャンネルやPlaystation Homeなど)がある時代になってきましたし、ユーザー層が明確ではありますからね。

まあ、普通は複数のゲーム機種を持つことはほとんどないでしょうね…。他の家電製品で例えたら、DVDレコーダーを5つ持っていたり…みたいな話ですから、一般的な考えでは異常だと思われるでしょう。
現に私は小さい頃、その件で親と少しモメたので(笑)

ゲームソフトもまあ、平均的に考えても月に1本以上購入し続けている人は、そうそういないでしょう。
その中で新作といわれたところで…そもそも新作が売れにくいことは私が明言したことにありますし、それ以前の問題としては数あるゲームの1つにすぎないわけですから、埋もれてしまうこともただあるわけです。

>>「量より質」作戦
とはいえ、質を求めようとすると時間とお金がかかるわけですから、結局はより多く売らなければいけなくなってしまうわけです。
一番は、効率よく開発していくことでしょうね。それが簡単にできれば、どこもこんなに苦労していないわけですが…。
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