セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

社長が訊く『NewスーパーマリオブラザーズWii』を読んでみました・前編

2009年11月16日 15時25分04秒 | 【旧】ゲーム関連記事
マリオの原点から生みの親が語る『New スーパーマリオブラザーズWii』社長が訊く
社長が訊く『NewスーパーマリオブラザーズWii』
『NewスーパーマリオブラザーズWii』公式サイト

今回は、ご存知マリオの生みの親である宮本 茂氏と、岩田社長の対談です。
新作の話ばかりではなく、このシリーズの原点のお話なんかもたくさん聞けそうですね。



最初は跳ばなかったマリオ
最初のサブタイトルに、いきなり驚いていますが(笑)

「もっと売れるゲームをつくってくれ」。山内前社長のその一言から、全ては始まったようです。ただし『ドンキーコング』ですけどね。まだマリオという名前がない頃ですが、これが一応マリオの初登場作品になります。
当時は、(恐らく上に)スクロールする予定だったそうなんですが、その時使用していた筐体がスクロールできないタイプだったらしいので、やむをえずバラバラで4面まで作ったという開発秘話が飛び出しています。
また、サブタイトルにもあるように、最初はジャンプができない仕様だったようです。しかしあのゲームで、もしジャンプができなかったとしたら…すごく難しいゲームになっていたかもしれませんね。ジャンプを考えさせたのは「ボタン」というものが存在したことと「そもそもタルが転がってきたらどうする?」という自然な疑問とその答えが、きっかけになったみたいです。

全てのゲームがそうじゃないかもしれませんが、こういう小さな考えやひらめきの積み重ねによって1つのゲームは生まれます。私自身もすでにクリエーターとして体験していますが…その経緯は、もちろん苦しいことも多いです。が…楽しいことや嬉しいことも多いのです。この対談は、そういった「開発の経緯」に対する魅力が感じられますね。


オーバーオールを着ている理由
『ドンキーコング』のマリオは、16×16ドットで描かれていました。しかし、たったそれだけのドットで人を表すわけですから、並大抵の難しさではありません。それで、考えに考えて生まれたのがあのスタイル。
・ヒゲがある理由…口を書かなくてもよかったから
・帽子がある理由…髪の毛を書かなくてもよかったから
・オーバーオールにした理由…走っている様子がよく分かるよう、腕と体の色に違いを出したかったから
・白い手袋がある理由…ジャンプした様子がよく分かるようにしたかったから

全部、ちゃんと理由があるんですよね。今はクオリティが高くなり個性豊かな表現ができますが、当時はむしろ「これだとドットで書けないから」みたいな理由で色々なデザインが決まっていたんでしょうね。そこには、今のクリエーターとは違う形の、試行錯誤の様が感じられます。

『ドンキーコング』の後は『マリオブラザーズ』です。
当時の先輩であった横井 軍平氏が「対戦タイプのゲームをつくろう」ということで開発が始まったそうで、あの人間離れした高さのジャンプが生まれたのも、横井氏の「もっと高いところからピョンと落ちられてもいいのになあ」という考えがきっかけだったみたいです。ドンキーコングでは、高いところから落ちたらミスになっていましたからね。
また、マリオブラザーズって、下から敵を叩いたあと、上に登って倒れた敵に触れることでトドメをさせますが、最初は下から叩くだけで倒せる仕様だったみたいです。しかし、これだと自分がリスクなく攻撃できるので、簡単すぎてつまらないとなって…トドメ案が出てきたそうです。
で、さらにそうなると、トドメをさすのが遅れたら復活するという案も出てきて、下から叩かれただけだとやられていなくて、しばらくすると復活する…そこからカメ(ノコノコ)という敵のイメージが出来上がったそうです。

こうしてみると、様々な仕様が全て1本の線でつながっているという感じですね。
今は、1本で線を作ろうと思うとボリューム不足になりがちなので、いっぱい線を作らないとやっていけない感じになっています。しかし、これほどのボリュームの仕様を1本の線でつなぐのはかなり困難で、故に統一感のないゲームも少なくないのかもしれませんね。


会社の帰り道に土管を見て
これもまた惹きつけられるサブタイトルですね。ご想像通り、『マリオブラザーズ』での土管誕生の秘話です。岩田社長に「なぜ緑なんですか?」と質問されて、ちょっと困っていましたが(笑)
まあ、ノコノコでも緑を使っていたので、一緒にまとめられれば…というデザイナーらしい?考えが、あったようななかったような…そんな感じらしいです。

さらにここから、かの『スーパーマリオブラザーズ』の話に。
ノコノコに羽根をつけてみようという話になり、パタパタが誕生しました。思えばカメに羽根って…よく想像できましたよね(笑)


いいキノコだとわかってもらうために
『スーパーマリオブラザーズ』のコンセプト…いわゆるテーマは「大きなキャラクターが陸海空を駆け抜ける」。いわば、これまで黒画面だった背景に、変化をつけたいという考えでそういうテーマになったそうです。海での動きは『バルーンファイト』がイメージになっているという話も。

キノコ誕生の話。宮本氏いわく…ワンダーランドといえばキノコでしょう、という理屈だそうです(笑)
キノコが止まっているのではなく動くようにしたのは、「欲しいものを追いかける」という面白さを表現したかったからだそうです。

あと、キノコに似た形で、最初に敵としてクリボーが出てきますが…敵だから怖い → 怖いからジャンプしてよける → 誤って踏んづけたら倒せた → つまり敵は踏んづけたら倒せる、と学習する…と。ここの考えも、全て1本の線でつながっていますね。

また、先ほども言った通りキノコはクリボーと形が似ているので、サブタイトルにもある通り、いいキノコだと分かってもらえるようにも工夫されています。
?ブロックを叩く → クリボーに形の似た怪しいものが出てくる → でも、マリオとは反対方向に逃げていく → ホッ…としたのもつかの間、土管で跳ね返ってこちらに向かってくる → ええ~!と思っているうちにそれに触れると、なんかマリオが大きくなった → ブロックが壊せるようになった → すげぇ!…となり、初めてキノコがいいアイテムだと知ることができる、と。さらに、キノコがジャンプして避けられないよう、あそこには頭上にブロックが5つ並んでいる、と。

ステージの最初の構成の1つ1つすらも、1本の線でつながって考えられているんですね。ほんと、感服します…。


ボリュームがあるので、後編に続きます。

関連記事:
社長が訊く『NewスーパーマリオブラザーズWii』を読んでみました・後編(2009/11/16)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「Games Japan Festa 2009」... | トップ | 今日のゲーム情報 2009/11/16 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

【旧】ゲーム関連記事」カテゴリの最新記事