チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#13ファランドル(a)情景」

2010年06月30日 00時21分04秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の
第13曲"Farandole(ファランドール)"は、
a)Scene(情景)[Poco piu vivo、2/4拍子、1♭]
b)Danse(踊り=マズルカ)[Alegro non troppo(tempo di Mazurka)、3/4拍子、1♭(ヘ長調)]
という2つの枝番から成ってる。

a)Scene(情景)[Poco piu vivo、2/4拍子、1♭]
「令嬢たちはファランドールを踊りましょうと言う」
おもに弦楽合奏が1♭で、
****♪ドーーー・ー>シ>ラ<シ│
   >ラ<シ>ラ>ソ・>♯ファ<ソ>♯ファ>ミ│
   >レ<ミ>レ>ド・>シ<ド>シ>ラ│
   >ソ<ラ>ソ>♯ファ・<ミ>レ<ソ<シ♪
という2拍子の速いファランドールを奏する。ちなみに、
プロヴァンスの民族舞踊としての本来のファロンドールは、
もう少し遅い6/8拍子の、お手々を繋いで踊るアイリッシュダンス、
みたいな踊りである。ベートーヴェンの
「交響曲第7番」の終楽章の主要主題のもとになってる、
ベートーヴェン自身が編んだ「歌とヴァイオリンとチェロとピアノのための
『12曲のアイルランドの歌』(WoO 154)」の第8曲、
"Save me from the Grave and Wise" (生真面目で堅苦しいのなんてやなこった)
みたいな音楽を、高音の横笛とタンブラン(長太鼓)で奏する。

プロヴァンスはかつてアヴィニョンに教皇庁があったり、その後も
教皇領でありつづけたので、カトリック色が強い地盤である。
民謡となってる"Sur le pont d'Avignon(アヴィニョンの橋の上で)"も、
2拍子ではあるが、やはり「ファランドール」のようにきこえる。
Sur le pont d'Avignon,
(スュル・ポン・ダヴィニョン、)
L'on y danse, l'on y danse,
(ロニ・ドンス、ロニ・ドンス、)
Sur le pont d'Avignon
(スュル・ポン・ダヴィニョン、)
L'on y danse tous en rond.
(ロニ・ドンス、トゥーサン・ロン)
***♪ドド│ドー、<レレ│<レー、<ミ<ファ│<ソ>ド、>シ<ド│<レ>ソ、
  <ドド│ドー、<レレ│<レー、<ミ<ファ│<ソ>ド、<レ>シ│<ドー♪

このチャイコフスキーのファロンドルの動機は、
ニ短調のようにも始まるが、
1♭が1音を除いて他はすべて本位に変じられるので、
教会旋法のようにもきこえる。が、
終いはあきらかにハ長調となり、その
ハ長調の属7→主和音で曲は閉じられる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#12(e)侯爵令嬢たちの踊り」

2010年06月28日 22時53分47秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第12曲の
e)侯爵令嬢たちの踊り[Alegro non troppo、2/4拍子、1♭(ヘ長調)]
弦楽5部のピッツィカートとホルン3管の伴奏に乗って、
クラリネット2管がオクターヴのユニゾンで、
16分音符が連続する主題を吹く。
****♪♯ファ<ソ>♯ファ<ソ・<ラ>ソ>♯ファ<ソ│
   <♯ソ<ラ>♯ソ<ラ・<シ>ラ>♯ソ<ラ│
   <♯ラ<シ>♯ラ<シ・<ド>シ>♯ラ<シ│
   <♯レ<ミ>♯レ<ミ・>♯レ<ミ<ファ>ミ♪
中間部もクラリネット2管のオクターヴ・ユニゾンに
さらにオクターヴ下にファゴット1管を重ねて
やはり16分音符が連続する音型を吹く。

この第12曲は、「情景」のa)も含めて、
b)乃至e)の各貴族の令嬢たちの踊りは、
すべてが弱拍で終止するのである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#12(d)伯爵令嬢たちの踊り」

2010年06月26日 02時23分38秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
たとえば、東京駅丸の内口から内堀通りに出たとすると、
以前なら必ず東京タワーが見えた。が、
内幸町の飯野ビルが高層で建て直してるので、
ほぼ見えなくなってしまった。以前、
大雨の夜にその経路で車を走らせてたときすでに、
まったく見えなかったことがあった。いっぽう、
そういうこととは関係なく、今年の春から夏は
昨年までの春から夏のときよりも、東京の
空の見晴らしが悪くなってると私は感じる。
大気が白ずんでる。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第12曲の
d)伯爵令嬢たちの踊り[Alegro non troppo、6/8拍子、無調号(ハ長調)]
チェロのオクターヴのディーヴィズィ+コントラバスの
***♪ドード・ドード♪というジーグ様の律動の持続の上に、
ホルン4管+弦楽3部が、
***♪レー<ミ・>ドー>ラ│<レ<ファ>ミッ・>ドー>ラ│
  <シ<ド<レッ・<ミ>レ>ドッ│>シ<ド<レッ・>ド>シ>ラッ♪
と、動機を奏する。

「伯爵」なんて、下賎な身の私には縁があるはずもなく、
池袋の喫茶店くらいしか思い浮かばない。が、
チャイコフスキーマニアではあるので、いわゆるオペラ「スペードの女王」で
「伯爵」夫人がカード賭博の必勝法の奥義を授かったのが
サン・ジェルマン「伯爵」だった、というあらすじ程度は知ってる。
[ジェルマン(=フランス語でゲルマン人の意味)→伯爵夫人→ギェールマン(=ロシア語でゲルマン人の意味)]
と、伯爵夫人を介してドイツからドイツに伝わった、という寓意である。ともあれ、
サン・ジェルマン伯爵といえば、現実には(というのも変な言葉づかいだが)
わけの解らない人物だったそうである。それでなくても、
コロンバン、ポンパドール、サン・ジェルマン、アンデルセン、ペック、ジョアン、神戸屋、
などの味の判別ができず、クロワッサンとクロサワサンを聞き分けれず、
パン(pain)と痛み(pain)の区別がつかない拙脳なる私には、
Count(Comte)とEarlとGrafの違いがわかるわけもない。だから、
この「眠れる森の美女」のプロローグの第3曲「パ・ドゥ・スィス」で、
「上質な小麦粉」=「クーラント」が6/8拍子で、
[タータ・タータ]という律動を基盤にしてる。が、
「相関関係が必ずしも因果関係を意味するものではない」
のである。

"It is better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied;
better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied.
And if the fool, or the pig, are a different opinion,
it is because they only know their own side of the question.
The other party to the comparison know both sides."
(不豚足な人間であるほうが豚足にした豚よりましであり、
不豚足なトンソクラテスであるほうが豚足にしたオバカよりましである。
仮にオバカと豚の意見が違うとしても、
それはオバカと豚は物事の一面しか知らないためである。
それにひきかえ、人間は物事の両面を知ってるのである)

リバーテアリアン(自由主義者、オバタリアンではない)のジョン・スチュアート・Millが、
「ユーティリテアリアニズム(功利主義論)」で書いてることである。
夜なべの煎餅焼きに、気つけ代わりのアール・グレイを淹れるつもりである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#12(c)男爵令嬢たちの踊り」

2010年06月24日 01時01分24秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第12曲の
c)男爵令嬢たちの踊り[Alegro moderato(tempo di Gavotte)、2/2拍子、無調号(ハ長調)]
前2枝番が弦楽合奏が主体だったのに対し、
この枝番では冒頭2小節のヴィオーラの前奏
***♪ソッ●ソッ●・・<ラ>ソ>ファッ>ミッ│>レッ<ミッ<ファッ<ラッ・・>ソ>ファ>ミッ>レッ♪
以外は、木管合奏である。
[A(a-a')]-[B(b-b')]-[A(a-a'')]
という(4小節単位*2)*3という3部形式になってて、
ガヴォットにありがちなアウフタクト開始ではなく、第1拍から始まる。

A主題の節は1番オーボエが吹く。
***♪ミ●<ファ・・<ソ>ミ>ドッ<ミッ│
  >レ●<ミ●・・>ドーーー│
  <レッ<ミッ>レッ<ミッ・・>ド>シ>ラッ>ソッ│
  <ラッ<シッ>ラッ<シッ・・>ソ<ラ<シッ<レッ♪
これが繰り返され、次いで、
ピッコロ+フルート2管が3オクターヴのユニゾンで、
***♪レ●<(ソ<)♭ラ●・・>ド●<(♯ファ<)ソ│
  >ラ●<(レ<)♭ミ●・・>シ<ド>シッ<ドッ│
  <レ●<(ソ<)♭ラ●・・>ド●<(♯ファ<)ソ│
  >ラ<シ<ドッ<♭ミッ・・>シーーー♪
というB主題を吹奏し、これが繰り返される。この間ずっと、
2番ファゴットが低い「ソッ<ラッ>ソッ<ラッ」を繰り返し吹き続ける。
オーボエのA主題が戻る。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#12(b)公爵令嬢たちの踊り」

2010年06月23日 01時10分58秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
「五月蝿い」と書いて「うるさい」と読ませるそうである。いっぽう、
"Fifa June 2010"と書いて"Vuvuzela(ブブゼラ)"と発音するらしい。
ブブゼラはそのほとんどがメイド・イン・チャイナのようである。
ナルホド、鳴るほど。かつては、
風が吹けば桶屋が儲かったが、いまは、
ハエが吹けば中国が儲かるのである。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第12曲の
b)公爵令嬢たちの踊り
[Moderato con moto(tempo di Minuetto)、3/4拍子、1♯(ト長調)]
メヌエットである。終いには木管とトランペットも加わるが、
おおよそは、弦楽5部とホルン2管によって奏される。
*****♪ソーーーーーーー│
   >【ドーーーーー<レ>ド>シ(3連符)・<ドーーー】<レーーー・>ラーーー>ソーーー│
   <ドーーーーー>ラー・>ソーーー●●●●・<ラーーーーーーー│
   <ドーーーーー>ラー・>ソーーー>ミーーー・>レーーー<ラーーー│
   >ドーーーー<レ>ド・>シーーー●●●●♪
このメヌエットの主題は、前枝曲(a)の、
****♪【ドーーー・ーー<レ>ド>シ(3連符)・・<ドーー】、>ラ・<シーー<ド│
   <レーーー・ーーーー・・<ミーー、>ド・<レーー<ミ│
   <ファーーー・ーーーー・・ーー<ソー>ファー(3連符)・<ラー>ソー>ファーッ(3連符)│
   >ミー<ソー<シーッ(3連符)・<ドー>ソー>ミー(3連符)・・
    >♯ドー<ミー>レーッ(3連符)・>♯ラー<Nドー>シーッ(3連符)♪
と比して、一目瞭然に、
【ドーーーーー<レ>ド>シ(3連符)・<ドーーー】
という箇所が合致してる。弦楽5部を中心とした楽器起用も共通する。
終いのほうでは、ホルンのファンファーレ様の節にトランペットがやはり
ファンファーレふうに答える、という応答を繰り返す。が、
残念ながらブブゼラをチャイコフスキーは使用してない。

ところで、ちょっと講釈を。
この「公爵家」以下、「男爵家」、「伯爵家」、「侯爵家」と、
貴族の家の女性たちの踊りが続く。が、
ここらへんをそれぞれ、
「公爵夫人たち」、「男爵夫人たち」、「伯爵夫人たち」、「侯爵夫人たち」、
などと認識してるむきがある。我が国における
チャイコフスキー研究の第一人者であらせられる森田稔さんは、
「永遠の『白鳥の湖』」(新書館刊)
の巻末の「曲番表」では、
「公爵家の娘たちの踊り」(以下同様)というように
「正しく」表記してる。が、いっぽうで、本文では、
198頁8行乃至10行で、
<「男爵夫人」と「伯爵夫人」の踊りがそっくり省略され、
 eの「侯爵夫人」も一部省略された>
などと素人みたいなことを平気で書いたりしてるのである。
玄人中のプロがこれでは、勘違いした
チャイコフスキー大好き人間が増殖するのも、無理からぬことである。
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