チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「サリカ法とフランス王家と眠り姫(ルイ14世の臣下シャルル・ペロー)」

2010年07月10日 03時59分50秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫

チャイコフスキー 眠れる森の美女


月曜までに、考えたくもないくらいの枚数の
煎餅を焼かなければならない。なので、
今週末は遊びにいかなかった。帰宅してTVをつけると、
昨今ひっぱりだこの売れっ子池上彰の番組をやってた。ので、
そのままつけといた。他のことをしながら声だけ聞いてた。すると、
(なんだこの日本語訛りたっぷりまるだしなフランス語は?)
というくらいのヘタクソな発音と抑揚のフランス語が聞こえてきた。
声の主は滝川クリステル女史だった。父親がフランス人で、
自身もパリに住んでたことがあっても、
フランス語が流暢に話せるとは限らない、という例である。

フランス、パリ、といえば、
ルーヴル"美術館"である。が、かつては、
"宮殿"だった。あたりまえだが。
ブルボン家になってからは、
アンリ4世・ルイ13世親子の宮殿だった。が、3代めの
ルイ14世はルーヴル、というかパリに嫌気がさして
ヴェルサイユに移った。それはどうでも、
ヴァロワ朝男子が途絶えたとき、なぜその女子
マルゴーが女王とはならず、その婿殿であり、
ヴァロア家の傍流だったブルボン家の
アンリ(のちのフランス王アンリ4世)がフランス王を継承したかといえば、
いわゆる「サリカ法」に則ったからである。「サリカ法」とは、
離婚したいなら財産はすべてオレが相続するぞ、という
「サワジリエリカ法」を略したものではない。単純化すれば、
「王位は女子継承または女系継承を認めない」
というものである。ちなみに、
我が国の天皇も現在はこれと差異ない。
英国では古くから女子継承も女系継承もされてきた。ために、
現ウィンザー朝は"臣下"である貴族たちよりも
ある意味由緒が正しくなくなってしまった。
近現代までこのサリカ法を遵守してきた欧州の国は少なくないが、
その最たる国がフランスである。フランスには
女王が存在したことはない。サリカ法が遵守されたまま、
王制が"途絶えてる"状態である。ちなみに、
日本いびりの黒鮪輸出規制を提案したモナコ公国には、
フランスからのサリカ法的規制がかかってたが、現君主に交代した5年前に、
男子が途絶えた場合でも公国はフランスに吸収されることがない、
という条約が結ばれた。

さて、
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の原作者とされてる
Charles Perrault(シャルル・ペロー)は1628年、パリのブルジョワの家に生まれ、
法律を学んで弁護士となった。が、弁護士業はそこそこに、
ルイ14世の財務長官コルベールの引きで廷臣となった。
兄のピエール、クロード、ニコラ、はすべて著名人で、とくに
次男クロードはルーヴル宮殿の建築にも携わってる建築家(最初は医師)である。
廷臣としてのシャルル・ペローは、ルイ4世、バンザイ・ばんざい・万々歳!
とでもいうようなガチガチの忠臣、王党派だった。

ところで、
ルイ14世はルイ13世の長男、ということになってる。
ルイ13世には王妃アンヌ・ドートリッシュ(スペイン王フェリペ3世の娘)との間に
結婚後23年間も子ができなかった。そして、
24年にしてやっと初めてできたのがルイ14世だった。
ルイ14世の后もスペイン王フェリペ4世の娘である。ここで、
もしフランス王家がサリカ法という楯を持ってなければ、
スペイン、つまり、神聖ローマ帝国(当時のスペイン王家はハプスブルク家)に
あっさりと持ってかれた可能性が高かった。サリカ法は、
フランスという国を守るための強力な方便だったのである。否、
フランスにとってのサリカ法は、ただ"防御"のためだけのものではなかった。
"攻撃"の戦略でもあったのである。なぜなら、
ルイ14世とスペインの王女との間に生まれた子6人のうち、
5人が夭折したが、長男ルイだけは50歳まで生きた。そして、
その長男はフランス国王ルイ15世となり、次男フィリップは
スペイン・ハプスブルク家の男子が途絶えたために
スペイン王フェリペ5世となったからである。この
ブルボン朝(スペイン語でボルボン朝)スペイン王家は、
フランコ独裁による中断はあったものの、現在も続いてるのである。

さて、
シャルル・ペロー原作(息子がまとめたとも言われてるが)の
「眠れる森の美女」では、姫は100年後に
その国を統治してた王家の王子のくちづけで目覚めるのではなく、
王子が眠れる姫の前までこぎつけた時点で目覚めるのである。そして、
姫は王子との間に一姫二太郎をもうけるのである。
女の子はAurore(オロール=曙)、男の子はJour(ジュール=昼)、と名付けられる。
男の子のほうがお姉さんよりずっとできがよくいい顔をしてたから、
などと書かれてる。女子は王位継承に相応しくない、
という理由付けのように。そしてさらに、
王子の母はじつは悪で、オロールをそしてジュールを食べて……。
眠れる森の姫の国を完全簒奪する上で、この王子の母の行いは
不可欠なものなのである。
食べて(manger=マンジェ)でもしなければ、将来に禍根を残すことになり、
マンジリともできないのである。

私は煎餅焼きがなかなかすすまなくて
マンジリともしない。腹が減ってきた。
マンジュウでも食らうとしよう。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#14情景【3】」

2010年07月06日 00時40分03秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第14曲は、
【1】[Allegro con spirito、12/8拍子、1♭]
【2】[Andantino、6/8拍子、5♭)]
【3】[Allegro vavace、6/8拍子、4♯]
という3部構になってる。その【3】、
[Allegro vavace、6/8拍子、4♯]
ほぼ全奏で、次曲「パ・ダクスィオン」の主題を先取りした動機、
***♪ド●>ミッ・<ラ>ソ、>ドッ│<ラ>ソ、>ドッ・<ラ>ソ、>ドッ│
  <ラ>ソ、>ドッ・<ミ(<ファ>ミ)>レッ>ドッ│<ミー>レ・♪
終いはコルネット2管とトランペット2管のそれぞれのオクターヴ・ユニゾンが
e(ホ音)を吹き、それに他の木管・金管がcとgとbをかぶせ、
ヘ長調の属7の基本形を据え、さらに、ハープが同じ和音を
第2転回形→第3転回形、と
転回を変えて2度fffで爪弾き、曲を閉じる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#14情景【2】」

2010年07月04日 21時03分27秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
オグリキャップ号が骨折して安楽死措置になったらしい。
骨折した場所に居合わせたのがもしセオドア・ルーズヴェルトだったら、
オグリキャップがどんなに痛みで苦しがっても、やがて腐って
のたうちまわってても、それでもとどめをさすなといって、
動物愛護のテディ・ホースと呼ばれる偽善を施しただろう。ともあれ、
春にG1を二つ連対して、秋は天皇賞6着、ジャパンカップ11着、という
前年のイナリワン号(6歳/当時の馬齢)とまったくおんなじパターンで
オグリキャップ号は6歳時(当時の馬齢)に有馬記念を勝った。
引退競走がその3度め有馬記念であり、そのときに
跨ってたのが武豊騎手だったから、
オグリは武、みたいな印象があるようであるが、私は、
当時の馬齢5歳のときの南井騎手のオグリとの組み合わせが
好きだった。そして、オグリの最大のパフォーマンスは、その
5歳時(1989年)、平成元年の第9回ジャパンカップでの、
ニュー・ズィーランド所属牝馬ホーリックス号との、
昭和天皇への弔意を米英に示す黒枠2枠の
ゾロ目の2分22秒2の勝ち負けである。ちなみに、
オグリキャップ号より2つ(南半球馬なので1つ半)年上の
ホーリックス号は未だ健在なようである。また、
Horlicks(ホーリクス)とは麦芽飲料の商品名
(創業者兄弟の名、だから複数)であるが、
米英(とその旧連邦諸国および旧植民地)では、
就寝前に飲むとよく寝付けると信じられてるらしい。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第14曲は、
【1】[Allegro con spirito、12/8拍子、1♭]
【2】[Andantino、6/8拍子、5♭)]
【3】[Allegro vavace、6/8拍子、4♯]
という3部構成になってる。その【2】、
[Andantino、6/8拍子、5♭)]
「(リラの精が乗った)貝の小舟が現れる」

【1】「遠ざかりゆく狩り部隊」
 [ヘ長調の主和音=f-a-c]

【2】「リラの精を乗せた貝の小舟」
 [変ニ長調の主和音=f-as-des]

【1】と【2】の[f]は、
ヴィオーラとそのオクターヴ下のティンパニのトレモロと
その2オクターヴ下のコントラバスが、
「タイ」で結ばれ、繋がる。
ファゴット2管のそれぞれの[aとc]が、おのおの
[asとdes]というように半音下がり、半音上がることで、
上記の転調はなされる。そこに、
ハープのアルペッジョが加えられ、
2小節のお膳立てが置かれる。

「デズィレ王子と」
弦楽3部の変ニ長調の和音の刻みの上に、
フルート1管がドルチェのpでリラの精の主題を吹き出す。ただし、
ここではリラの精の主題は、これまでの、
***♪●ソ>ミ・ミ>レ>【♯ド】│<レ<ミ<ファ・ソーー│
   ー、<ラ<シ・<ド>シ>ラ│>ソー【【>レ・レーー】】♪
ではなく、
***♪●ソ>ミ・ミ>レ>【(本位)ド】│<レ<ミ<ファ・ソーー│
   ●<ラ<シ・<ド>シ>ラ│>ソー【【>ミ・ミーー】】♪
に変じられてる。ともあれ、チャイコフスキーはこの主題に
ドルチェでコルノ・イングレーゼを被せ、
ピッコロを絡ませる。
じつに静謐で厳かな風情である。
主題がフルートでひととおり吹かれると、次いで、
ホルン4管が16分音符の和声を刻み、
両翼vnがオクターヴのユニゾンでリラの精の主題を弾く。そして、
変ニ長調のソ=asをgisと置き換えて→ホ長調、次いで、
→ハ長調→ト短調→嬰ハ短調となり、そして、
木管群とハープが嬰ハ短調から変ニ長調への
転調句を奏する。そして、ピッコロを除いた木管群が、
低音域で変ニ長調のリラの精の主題の前半を
エスプレッスィーヴォで吹奏する。

「リラの精は杖をかざし、眠れるオロール姫の姿をデズィレ王子に見せる」
ハープの乗降アルペッジョと、ホルン4管と木管群が1小節ごとに
交互に受け持たされる16分音符の刻み、そして、
チェロとコントラバスのオクターヴの主音の通奏に乗って、
両翼vnとヴィオーラが3オクターヴに重ねられたユニゾンで
リラの精の主題の後半をmfで奏でる。

***♪●ソ<ラ、・<シ<ド<レ、│>ド>シ>ラ・>ソ、>♯レェ<ミィ、│
   <ソー>レ・●レェ<♯レェ、│<ソー>ミ・●●●│
   ●ソ<ラ、・<シ<ド<レ、│>ド>シ>ラ・>ソ、>♯ファァ>ミィ、│
   >♯レ<ミ<ド、・>シー>ラ、│ラーー>ソ・●●●♪

じつに感動的な音楽である。
チャイコフスキーが書いた数々の傑作の中でも特筆すべき、
涙なくしては聴けない、思い浮かべれない箇所である。が、
ちなみにバレエ教室の発表会程度でなくプロの
バレエ公演でさえも、この箇所がそっくりカットされることが多い。
愚の骨頂である。

リラの精の主題の前半がトランペット2管のユニゾンで吹かれ、
終いはオクターヴのユニゾンでコルネット2管がそれぞれに補強される。
****♪●●ラー<シー・<ドー<レー<♯レ●│全休(フェルマータ)♪
「リラの精が再び杖をかざすと、
オロール姫は起きあがってデズィレ王子のほうに向かってくる」
ここで【2】部が終わり、【3】部となる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#14情景【1】」

2010年07月04日 03時09分50秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
今日(っていうか日付が変わって昨日)は、
煎餅焼きのための取材に版元の人と話を聞きにいってきた。
疲れた。なにしろ、
森本毅郎と船越栄一郎の声を聞き分けれない
拙脳なる私ゆえに、人の話を聞いてると
思い切り眠くなってしまう。
会議の類も同様である。それでも、
無理して聞いてようとすると、
目が寄り目になってしまう。
かわいい女の子かなんかだったら、
それがまた愛らしい風情かもしれないが、
私のようなキモオヤジが寄り目になって
ウトウトしてしまわないように必死になってるさまは、
醜悪あるいは滑稽以外のなにものでもないことだろう。
しかも、取材が終わってから版元の人の甘い言葉に負けて、
赤坂で飲んでしまった。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第14曲は、
【1】[Allegro con spirito、12/8拍子、1♭]
【2】[Andantino、6/8拍子、5♭)]
【3】[Allegro vavace、6/8拍子、4♯]
という3部構成になってる。その【1】、
[Allegro con spirito、12/8拍子、1♭]
「猟犬係らが到着」
ティンパニのf(ヘ音)のトレモロ+そのオクターヴ下のコントラバスの通奏に乗って、
第10曲で登場した「狩りの角笛」の動機が、
ホルン2管とその3度下のホルン2管によってf(フォルテ)で吹かれる。
調号は1♭であるが、実質変ロ長調である。
****♪●●●●●ソ・ソーーーーー・・ーー>ミー>ドー・<レーーー<ミー│
   >ソー<ドー<ミー・>レーーー<ミー・・>ソー<ドー<ミー・>レー<ミー>レー│
   >ドー<レー<ミー・【<レー<ミー>レー】・・>ドー<レー<ミー・【<レー<ミー>レー】│
   >ドーーー<ソー・ソーーーーー・・ーーーーーー・ーーーーーー♪
こちらの「狩りの角笛」の動機は、第10曲とはやや音型を違えてる。

 cf:第10曲(譜面の調号はフラット2個であるが、実質ヘ長調)
 ****♪●●●●●ソ・ソーーーーー・・ーー>ミー>ドー・<レーーー<ミー│
    >ソー<ドー<ミー・>レーーー<ミー・・>ソー<ドー<ミー・>レー<ミー>レー│
    >ドー<レー<ミー・【>ドー<レー<ミー】・・>ドー<レー<ミー・【>ドー<レー<ミー】│
    >ドーーー<ソー・ソーーーーー・・ーーーーーー・ーーーーーー♪

ヴィオーラとチェロが完全ユニゾンで、それまでの主音(ド)fをソと置換して変ロ長調、
****♪ソー●●●●・>♯ファー●●●●│
   >(N)ファーーーー・ーー<ソー>ファー・・>ミー<ファー>ミー・>レー<ミー>レー│
   >ドー♪
「狩りの角笛」の動機が、4度下がったヘ長調で、
ホルン2管とその3度下のファゴット2管によって繰り返される。そして、
木管とホルンで「狩りの角笛」の動機が、
ハ短調、ニ短調、変ホ長調、ヘ長調、で吹き継がれ、
「狩りが遠ざかってく」
となり、ファゴット2管がソとミの3度で、
ヴィオーラとそのオクターヴ下のティンパニのトレモロと
その2オクターヴ下のコントラバスのド、によって、
ヘ長調の主和音でこの第【1】部がくくられる。
そして次のアンダンティーノの第【2】部に休みなくつながる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#13ファランドル(b)踊り」

2010年07月01日 00時43分08秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の
第13曲"Farandole(ファランドール)"は、
a)Scene(情景)、b)Danse(踊り=マズルカ)、
という2つの枝番から成ってる。その
b)Danse(踊り=マズルカ)
[Alegro non troppo(tempo di Mazurka)、3/4拍子、1♭(ヘ長調)]
1番ファゴット+ヴィオーラのc(ソ)と、
2番ファゴット+チェロおよびそのオクターヴ下のf(ド)が、
[2分音符→4分音符]律動の空虚五度を敷くと、
両翼vnが完全ユニゾンで、
****♪ソ<ラ>ソ>ファ>ミ│
   >レー●<ミ・<ファー●●・>レーーー│
   <ミーーー・<ソーーー、・>ドーーー│
   <レー●<ミ・<ファー●>ミ・<ファー●>レ│
   <ミーーー・<ソーーー、・ソ<ラ>ソ>ファ>ミ│
   >レー●<ミ・<ファー●●・>レーーー│
   <ミーーー・<ソーーー、・>ドーーー│
   <レー●<ミ・<ファー●>ミ・<ファー●>レ│
   >ドー●●・●●●●♪
というマズルカの主題を奏する。次いで、
空虚五度はコントラバスにホルン4管の態勢で受け持たれ、
木管群が主題を繰り返す。弦楽4部は、
両翼vnとそのオクターヴ下のヴィオーラ+チェロの「分厚い」ユニゾンが、
[シーーー・ーーーー・ーーーー│<ドーーー・ーーーー・ーーーー│
 >シーーー・ーーーー・ーーーー│<ドーーー・ーーーー・ーーーー]
と反復する。次いで、
付点8分音符と16分音符のリズムのみによる中間部を16小節挟んで、
マズルカの主題が全奏で戻る。ティンパニも空虚五度を打つ。そして、
****♪ド│<ラー●●・ラーーー・ーーー、<シ│<ドー●●・>ソーーー・ーーー、>ミ│
     <ファーー、>ミ・<ファーー、>ミ・<ファーー、<ソ│>ミー●●・>ドーーー・ーーー♪
という合図のような動機を放つ。そして、終い9小節(実質は8小節)は、
マズルカのお決まりの→[Presto]という加速がなされ、
主題が高速で奏されて終わる。

以上で、
デズィレ王子の花嫁候補の女性たちの踊りが
すべて終わる。ちなみに、
このデズィレ王子の王国の周辺国には
姫がまったくいなかった、という設定である。
したがって自国の貴族の令嬢しか花嫁候補がいない、
ということなのである。しかし、
王子はどの令嬢にもまったく食指が動かない。と、
これは「白鳥の湖」のときのズィークフリート王子と
まったく一緒である。あのときも、
「花嫁選びの舞踏会」には、自国の貴族の令嬢しか
やってきてなかった。その中で、
すべてがドイツ人名の中で、ロートバルト男爵という
ドイツ人名の娘なのにフランス語名なオディールという女性にだけ、
ズィークフリート王子は惹かれてしまったのである。同じく
フランス語名なオデットと永遠の愛を誓った翌日だというのに。

これは、とりもなおさず、
「白鳥の湖」がドイツ(プロテスタント)とフランス(カトリック)の隣接地帯の
紛争を下敷きにしてる、ということである。いっぽう、
「眠れる森の美女」もフランス国内の話ではあるけれど、
やはりユグノーとカトリックの対立、というより、
ユグノー駆除物語なのである。

チャイコフスキーが4歳から8歳という、
ヒトの記憶が形作られる年齢に教えを受けた
家庭教師ファニー・デュルバッハは、
スイスやドイヅで数十kmというフランス極東部にある、
かつてはドイツ人の領だったこともある、
モンベリヤール出身の女性である。また、
チャイコフスキー自身、母方の祖父はフランスとドイツとのハイブリッドで、
血統的にはロシア6/8、フランス1/8、ドイツ1/8なのである。
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