チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#12(a)情景」

2010年06月22日 00時25分11秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第12曲は、
a)情景[Moderato、4/4拍子、無調号(ハ長調)]
b)公爵令嬢たちの踊り[Moderato con moto(tempo di Minuetto)、3/4拍子、1♯(ト長調)]
c)男爵令嬢たちの踊り[Alegro moderato(tempo di Gavotte)、2/2拍子、無調号(ハ長調)]
d)伯爵令嬢たちの踊り[Alegro non troppo、6/8拍子、無調号(ハ長調)]
e)侯爵令嬢たちの踊り[Alegro non troppo、2/4拍子、1♭(ヘ長調)]
という5つの枝番曲から成り立ってる。
デズィレ王子の狩に同行した貴婦人たちの踊りの場面である。つまり、
「狩」という催しを借りた、王子の花嫁選びの段である。といっても、
王子自身は気乗りしてなかった、というオキマリの設定でもある。だからこそ、
王子の養育係ガリフロンが、
「さあさ、踊りでもデズィレ様にお見せしては」
というような段取りをするのである。

ちなみに、
日本語版ウィキペディアの「眠れる森の美女(チャイコフスキー)」では、
上記b)乃至e)をそれぞれ、
<b) 公爵夫人の踊り (Danse des Duchesses)
 c) 男爵夫人の踊り (Danse des Baronnes)
 d) 伯爵夫人の踊り (Danse des Comtesses)
 e) 侯爵夫人の踊り (Danse des Marquises) >
などとしてる。王子の花嫁選びに花嫁志願の娘の母親が踊ってアピールする、
なんていう奇をてらった風習があるかの如くである。
放駒親方とバタヤン田端義夫の顔の区別がつかない
拙脳なる私でも、さすがにそんな誤訳というか、
恥ずかしい認識違いはしないのだが。

a)情景[Moderato、4/4拍子、無調号(ハ長調)]
vnプリーモが他の弦楽4部の和声の上に、
****♪ドーーー・ーー<レ>ド>シ(3連符)・・<ドーー、>ラ・<シーー<ド│
   <レーーー・ーーーー・・<ミーー、>ド・<レーー<ミ│
   <ファーーー・ーーーー・・ーー<ソー>ファー(3連符)・<ラー>ソー>ファーッ(3連符)│
   >ミー<ソー<シーッ(3連符)・<ドー>ソー>ミー(3連符)・・
    >♯ドー<ミー>レーッ(3連符)・>♯ラー<Nドー>シーッ(3連符)♪
という動機を弾く。そして、
属調(ト長調というよりはホ短調)、
そのまた属調(ニ長調というよりはロ短調)、
というように転じ、終いはその
ロ短調の主和音で閉じられる。
途中、クラリネット2管のユニゾンをチャイコフスキーは巧みにこの弦楽合奏に重ねてる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#11コラン・メラール(目隠し鬼ごっこ)」

2010年06月20日 00時37分42秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[Allegro vivo、4/4拍子、無調号]
8分音符によるハ長調の主和音の一打に始まる12小節の前奏に次いで、
コルノ・イングレーゼ(途中、ファゴット1管に代わり、あるいはともに、そして、
ホルン1管に代わり)+ヴィオーラのユニゾンが、
***♪○○・ラ<シ・・>ドー・ー>シ│
   <ド●、・>ラ<シ・・>ドー・ー>シ│
   <ド●、・>ミー・・<ファー・ーー│
   >ミ>ド・<ドー・・ーー>シー│
   <ド●♪
という主要動機を奏するこれは、
1幕の第5曲でフロレスタン24世がカタラビュトに問いかける動機と
同じ音型「ラ<シ<ド>」を含有する。次いで、
***♪○○・ソ<ラ・・>レ●・<ミ>レ│
   <ソ、>シ・<レ<ソ・・<ラ>ミ・<ラ<♯ファ│
   <ソ●♪
****♪○○○○・レーー<ミ・・<ファーー>レ・<レーー>シ│
   >ソー●●・<ミーー<ファ・・<ソーー>ミ・<ミーー>ド│
   >ラー●●・<ファーー>レ・・>シー●●・<ソーー>ミ│
   >ドー●●・<ラーー>ファ・・>レーー>ド・>シー>ラー│
   >ソー●●♪
という経過句が続く。そして、
主要動機がクラリネット1管+トランペット1管とそのオクターヴ下の
クラリネット1管+トランペット1管のユニゾンで戻ってくる。そして、
8分音符によるハ長調の主和音の一打(3拍め)で曲を閉じる。
鬼役のガリフロンは逃げる子を捕らえたのだろう。

茂木大輔さんは9/8拍子を4つに振るというお話の根拠を
説明してくださるメイルを送ると明言されたものの、
未だ何も連絡してこない。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』(2幕1場)#10間奏曲と情景(後)」

2010年06月18日 00時32分15秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
昨日の昼は日本橋の三井記念美術館に
「徳川家康の遺愛品展」に行ってきた。
3度行くはずだったが、昨日でやっと2回め。が、
見たかった久能山東照宮所蔵の「杖」をやっとみれたので
満足だった。それから、期間中ぶっとおしで展示してた
凸版印刷が所有してる「駿河版銅活字」もまた
空いてたのでじっくりと見てきた。家康は
京都の圓光寺にある木製の活字や、この銅製の活字など、
活字印刷に相当な力を入れてたのである。ちなみに、
家康の最晩年、つまり、大阪夏の陣で豊臣家を取り潰してから
わずか1年間はとくに、鷹狩りに継ぐ鷹狩りの生活だったという。

このナンバーは、
【1】[Allegro con spirito、12/8拍子、2♭]
【2】[Un poco piu tranquillo、4/4拍子、(2♭)]
という2部構成になってる。

【1】[Allegro con spirito、12/8拍子、2♭]
ホルン2管とその3度下のホルン2管がfで、
「狩りの角笛」を吹く。譜面の調号はフラット2個であるが、実質ヘ長調。
****♪●●●●●ソ・ソーーーーー・・ーー>ミー>ドー・<レーーー<ミー│
   >ソー<ドー<ミー・>レーーー<ミー・・>ソー<ドー<ミー・>レー<ミー>レー│
   >ドー<レー<ミー・>ドー<レー<ミー・・>ドー<レー<ミー・>ドー<レー<ミー│
   >ドーーー<ソー・ソーーーーー・・ーーーーーー・ーーーーーー♪
両翼vnが完全ユニゾンで、それまでの主音(ド)fをソと置換して変ロ長調、
****♪ソー●●●●・>♯ファー●●●●│
   >(N)ファーーーー・ーー<ソー>ファー・・>ミー<ファー>ミー・>レー<ミー>レー│
   >ドー♪
1番ファゴット+チェロとそのオクターヴ下の2番ファゴット+コントラバスが
この音型をカノる。そして、両翼vn+ヴィオーラの3オクターヴにわたるユニゾンが、
それまでの主音(ド)bをソと置換して変ホ長調、
****♪ソー●●●●・>ファー●●●●│
   >ミーーーー・ーー<ファー>ミー・・>♯レー<ミー>♯レー・>Nレー<ミー>レー│
   >ドー<レー>ドー・>シー<ドー>シー・・>ラー<シー>ラー・>ソー<ラー>ソー│
   >♯ファー♪
この♯ファをミと置き換えてヘ長調、
ファゴット2管+金管群+ティンパニが、冒頭の
「狩りの角笛」の断片をffで奏する。すると、
木管群+ホルン4管+弦楽5部が、
「狩りの角笛」の断片をやはりffで奏する。
この応答が繰り返されると、弦楽4部の16音音符のパッセージののち、
クラリネット2管+ホルン4管+トランペット2管が
変ロ長調で冒頭の「狩りの角笛」以下を繰り返す。

「幕が開く」
ホルン4管が「狩りの角笛」を変ホ長調、pで吹くと、
その断片が繰り返されて次第に音量を増し、
→【2】[Un poco piu tranquillo、4/4拍子、2♭(変ロ長調)]
あれから100年。
「狩に興じる紳士淑女らが登場。休息をとる」
弦楽5部がデズィレ王子御狩御一行の主題を奏する。
****♪●●●●・ミーー<ソ・・>ファー>ミー・<ファー<ソー│
   >ミー>シー・<ドー<レー・・>ラーーー・<シーーー│
   <ドー♪
変ロ長調からヘ長調に転じたホルン3管の
****♪●●●●・ドーー>シッ・・>ラーッ>ソーッ・<ラーッ<シーッ│<ドーッ<ミーッ♪で
「デズィレ王子とその指南役ガリフロンの登場」
短期転調を繰り返したのち、
デズィレ王子御狩御一行の主題が再現されるが、今度はそれが
オクターヴ高められてffの全奏でも繰り返される。
→実質変ホ長調に短期転調
「ガリフロンがコラン・メラール(目隠し鬼ごっこの一種)をやりましょうという」
→変ロ長調に戻る
終いから2小節め
1拍め=変ロ長調の主和音(8分音符)
→2拍め=変ロ長調の主和音(8分音符)(1拍めと楽器配分は異なる)
→2分休符
終いの小節
1拍め=ホ長調の属7(8分音符)
→2拍め=ホ長調の属7(8分音符)(1拍めと楽器配分は異なる)
→2分休符(フェルマータ附き)(で、このナンバーは閉じられる)

仮にもメイルすると明言したわりには茂木大輔さんからは未だ連絡はない。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』(2幕1場)#10間奏曲と情景(前)」

2010年06月17日 02時03分00秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
おととい同級生刺傷事件があった横浜市港北区の女子高は、
思い出あふれる横浜の家があった場所からほど近いところにある。
韓流俳優のイ・ソジンと財津一郎の顔の区別がつかないほど
「きびしぃーーーっ!」拙脳なる私は、同じく
いわゆる「学力偏差値」が低い女子にとても惹かれる。
「一汁三菜」を「いちじゅうさんさい」ではなく「いちじるさんさい」、
「掲載」という語を「けいさい」ではなく「かっさい」と読むか、
「箸をきちんと持つこと」ができるか否か、
「ABO式血液型別占い」や「楽器別タイプ分別」を信じてしまうか否か、
「オカルト・精神世界・宗教」に洗脳されてしまうか否か、
などが知的水準の分水嶺といえるが、私は断然、
おバカほうにスィンパシーを覚える。ともあれ、
この女子高は現在、神奈川県下の高校での
「学力偏差値」は、たったの「32」らしい。ちなみに、
刺した包丁は万引きで調達したそうである。刺されたほうは
自分の支配欲求を満たすために追い詰める相手を間違えた。
この知的レヴェルの社会集団内で対立をするのは命がけ、
という認識に欠けてた。が、刺されてはじめて
この教訓を生かそうにも、おそらく助からないのだろう。
親の言うことをきかずに尖った物を手にしてそれに指を刺すような
思慮分別に欠けるお姫様なら、
勇気や欲のある王子から額にくちづけされるだけで、
永い眠りから目覚めることができるのだが。

このナンバーは、
【1】[Allegro con spirito、12/8拍子、2♭]
【2】[Un poco piu tranquillo、4/4拍子、(2♭)]
という2部構成になってる。

いわゆるクラシック音楽の世界で、けっこうないがしろにされてるのが、
速度標語・発想標語系である。なにしろ、
[Allegro moderato]を×「穏やかに速く」などと
みょうちくりん極まりない訳しかたをしたり、
[Molto allegro]と[Allegro assai]の違い、すなわち、
どちらのほうが「速い」のか、すら知らない音楽の専門家、
音楽で対価を得てる輩(古今東西の指揮者も含め)
であふれかえってるのだから。ともあれ、
「con spirito」で検索してみるだけで、
×「コン・スピリート」という誤った(もしくは判らないのでスピリトとごまかす)読みが
○「コン・スピーリト」という正しい発音に近いほうより
上位でかつ多い、つまり、デタラメを平気で書いてるサイトのほうが
どちらかというと正しいほうより蔓延してる、ということひとつとっても、
世の中、むちゃくちゃでござりまするのである。

「spirito(スピーリト)」の原義は「呼吸」である。つまり、
「生きてるもの」。そこから派生して、
(「呼吸するから」→「動く」→「活動的」)
「con spirito(コン・スピーリト)」で「快活に」という意味である。ちなみに、
「allegro(アッレーグロ)」の原義も「元気よく」。つまり、
「con spirito(コン・スピーリト)」とほぼ同じである。ふつうは、
「元気がいい」と→「速い」、のである。

いっぽう、
[tranquillo(トランクイッロ)]の語義は、
「穏やかな(に)」「落ち着いた(て)」「静(鎮)まった(て)」「平常心な(で)」
である。
「元気」「快活」だと、自然にテンポも速まるし、
「穏やか」「落ち着いた」状態なら、自然に速度も遅くなる。ゆえに、
[tranquillo]で減速するのは、遅いのが好きならそうしても
間違いとはいえない。がしかし、
ちょっと考えれば判ることである。
もし速度を減じるためだったら、通常ここは
[ウン・ポーコ・メーノ・モッソ]であるべきである。それをわざわざ、
[トランクイッロ]としたのだから、「速度」のことではなく、
「大きく息をしてる」のと「ほんのちょっと息をひそめる」の対比、
だと悟るべきである。だから、たとえば、同じくffであっても、
前半は「なりふりかまわず弓をめいっぱい使い」、
後半は「ちょっと落ち着いて節度ある弓使いをし」、
というような「メリハリ」をつけなければならないと気づくべきなのである。
茂木大輔さんからは説明のメイルは未だ来ない。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#9(1幕の)終曲【6】」

2010年06月15日 00時55分13秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
昨日は大阪住吉大社の「御田植神事」が行われた。
日本の田植えの時期としてはけっこう遅めである。

【万葉集巻7-1274】(旋頭歌)
「住吉 出見濱 柴莫苅曽尼 未通女等 赤裳下 閏将徃見」
(住吉の、出見の浜の、柴な刈りそね。
 未通女らが、赤裳の裾を、濡れてゆく見む)

柴とは雑木のことである。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」第9曲(1幕の)終曲は、
6つの部分から成り立ってる。その
【6】庭園が森に変わってく
  [Andantino sostenuto(アンダンティーノ・ソステヌート)、6/8拍子、4♯(ホ長調)]

「ソステヌート」とは再三ここで書いてるが、
単に「音価を保つ」というものではない。逆に、
ただそれだけの意味だとしたら、
そう指定してあるのにもかかわらず、
さらにその上に各音符の上下にテヌートの記号を附したり、
スラーで繋いだりするだけでなく、
マルカートの記号やスタッカートの記号を書き入れたりする理由を説明できない。
「ソステヌート」の本質的な意味は「下支え」「裏打ち」である。つまり、
各拍や音符に課せられた役割=強弱・律動を
「御破算」にするのである。そうして、本来の
拍子や律動をなくして「まっさら」な状態にして演奏しろ、
ということなのである。すると、
本来持ってた拍や律動というものは、テンポを乗じる性質を含有してる。
それがなくなることによって、自然にテンポも減じられることになる、
というだけのことである。だから、たとえば
単なる「アンダーンテ」よりは「アンダーンテ・ソステヌート」のほうが
一般にテンポは遅くなる。

さて、
「リラの精の主題」が、木管群のユニゾンによってdolceで吹かれる。それに加えて、
vnプリーモが8分音符分の音価を6割したクロマティカルな6連符で上昇し、
ツル植物が上に生えてくさまを表す。ちなみに、
「オーロラに求婚した4王子が捧げた薔薇」のバラ科のいくつか、たとえば
野茨もツル植物の仲間である。が、いっぽうで、
薔薇は刺を持つ。それを、
vnセコンド+ヴィオーラが8分音符分の音価を3割した3連符で分散和音を奏する。

終いは、
弱音器具を装着した1番コルネットがpで
「リラの精の主題」の前半部分の断片を吹く。
ホルン4管がブシェで和声を吹き、弦楽3部が和声をトレモロで刻む。
弱音器附き1番コルネットはppに弱まり、
「リラの精の主題」の前半部分の断片は
pppのコルノ・イングレーゼに引き継がれる。さらに、
***♪ミ<ソ・<ラ>ソ<ラ│<ド♪
と、後年、チャイコフスキーの没年に現在の長野市に生まれ、
音羽ゆりかご会と縁が深い草川信が
「夕焼け小焼け」の終いに引いた音型が
ppの1番クラリネット→pppの1番フルートによって吹かれる。
弦楽3部によるホ長調の主和音のトレモロに加えて、
ハープがハーモニクス奏法でホ長調の主和音を爪弾き、
静かさの中にこのナンバー、幕を終える。

サッカー日本代表がカメルーンに勝った。こうしてみると、
前回までワールドカップで勝てなかったのはやはり
相手に不用意にパスをし、へなちょこシュートでみすみすエンドを変え、
ティームの和を乱してた輩がいたことが最大要因だったということである。
茂木大輔さんからのご説明のメイルは未だに来てない。
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