チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#9(1幕の)終曲の概略」

2010年06月01日 00時59分13秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
この第9曲はじつに劇的な場面である。曲は、

【1】オロール姫(いわゆるオーロラ姫)は紡錘で指を刺す
  [Allegro giusto(アッレーグロ・ジュスト)、4/4拍子、無調号]
【2】オロール姫はふらつきながら踊る
  [Allegro vivo(アッレーグロ・ヴィーヴォ)、2/4拍子、3♭(ハ短調)
   →sempre stringendo(センプレ・ストリンジェンド)
   オロール姫は倒れて死ぬ
   →Presto(プレスト)]
【3】一同のすすり泣きとむせび泣き
  [Andante con moto(アンダーンテ・コン・モート)、4/4拍子、4♭(ヘ短調)
   王と王妃の落胆
   →poco stringendo(ポーコ・ストリンジェンド)、(→実質、ロ短調)
   →a tempo(ア・テンポ)→ritenuto molto(リテヌート・モルト)→Grave(グラーヴェ)]
【4】カラボスは顔を覆い隠してた外套を脱ぎ捨てる
   カラボスは悲嘆にくれるフロレスタン王を嘲笑う
   王子らは剣を抜き、カラボスに飛びかかる
   [Allegro vivo(アッレーグロ・ヴィーヴォ)、4/4拍子、4♭
   カラボスは消え失せる
   (オロール姫の花婿候補の)4王子らとそのお付きの者どもは恐ろしくなって逃げ去る
   →Poco piu vivace(モーコ・ピウ・ヴィヴァーチェ)、ヘ短調]
【5】リラの精が現れる
   深い眠りについてしまったオロール姫は担架に乗せられ運びだされる
  [Andantino(Come sopra in Andantino primo)
   (アンダンティーノ(コーメ・ソープラ・イン・アンダンティーノ・プリーモ))、6/8拍子、4♯(ホ長調)
   リラの精は魔法の杖を振りかざす
   すると、一同が動かなくなる
   (→実質、ハ長調)→ritenuto molto(リテヌート・モルト)]
【6】庭園が森に変わってく
  [Andantino sostenuto(アンダンティーノ・ソステヌート)、6/8拍子、4♯(ホ長調)]

という、劇の進行に従った6つの部分からできてる。
比較的長いナンバーである。ちなみに、最後の【6】の
「庭園が森に変わってく場面」
(Transformation du jardin en foret)
(トランスフォルマスィョン・デュ・ジャルダン・アン・フォレ)の
jardin(ジャルダン=庭)とforet(フォレ=森)は、
アンリ4世が宥和策として出した、
プロテスタント(ユグノー)に対する100年の猶予であったナントの勅令の
ナント植物園(時代考証的にはその前身の薬草園ができたのはルイ14世の時代だが)の
Le jardin des plantes de Nantes(ル・ジャルダン・デ・プラント・ドゥ・ナント)の
jardin(ジャルダン=庭)を、
その勅令を100年後(細かくは87年後)にその孫のルイ14世が廃した
フォンテーヌブローの勅令を出した宮殿の森、
La foret de Fontainebleau(ラ・フォレ・ドゥ・フォンテーヌブロー)の
foret(フォレ=森)を、
それぞれ指すのである。

といっても、
元興寺・興福寺・西大寺・大安寺・唐招提寺・東大寺・薬師寺・法隆寺
の8つの寺を指してなぜ
「南都7大寺」というのか解らないだけでなく、
故ミヤコ蝶々女史と参議院議員になるつもりらしい谷亮子女史の
顔の区別までつかない、拙脳なる私の推測にすぎない。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#8パダクション-(d)コーダ」

2010年05月26日 01時03分56秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
この曲は、
[アッレーグロ・ジュスト、2/4拍子、1♯(ト長調)]
の前半と、
[リステッソ・テンポ(付点2分音符=それまでの2分音符)、3/4拍子、3♭(変ホ長調)]
のクヌイユ・ヴァルス(スピンドル・ワルツ)の後半とで、
構成されてる。そして、
前半は[A-B-A]という具合になってる。

[アッレーグロ・ジュスト、2/4拍子、1♯(ト長調)]
(チャイコフスキーが使用する速度標語のAllegro giustoとは、
正当なるアレグロ、つまり、アッレーグロ・ヴィヴァーチェでも
アッレーグロ・ノン・トロッポでもなく、純然たるアッレーグロで、
4分音符が単位のとき、 4分音符=132前後のテンポを表す。
「正確なアレグロで」などと訳のわからぬ"訳"をするむきがあるが、
音楽に携わる能がないのに音楽でメシをくったりするから、
そういうことになる)
コントラバスの、
***♪ドー・●●│>ソー・●●│<ドー・●●│>ソー・●●♪
そして、ヴィオーラの、
***♪●ソ・<ラ>ソ│●ソ・<ラ>ソ│●ソ・<ラ>ソ│●ソ・<ラ>ソ♪
という同型反復な伴奏に乗って、
vnプリーモがAの主題を奏する。その3度下でチェロがハモる。
ともに「カンタービレ(歌うように)」と指示されてる。
3度下ハモリは、このチャイコフスキーのように育ちのいい、
才能がある者の手になれば、きわめて上品に仕上がる。
***♪ミー・ーー│>♯レー・ーー│<ミー・ー<ファ│>ミー・ーー│
  <ファー・ーー│<ソー・ーー│<ラー・ー>♯ド│<レー・ーー│
  <ファー・<ソー│<ラー・<シー│>ラー・ー>ミ│<ファー・ーー│
  <ラー・<シー│<ドー・<レー│>ドー・ー>シ│>ラー・ー>ソ♪
この主題はオーケストレイションを変えて確保され、さらにまた、
オーケストレイションを違えて繰り返されて、
Bの部分に移行する。
[→ポーコ・ピウ・モッソ]
フルート1管+オーボエ1管、そのオクターヴ下の
クラリネット1管(+ホルン1管は8分音符ぶんずらして)が、
***♪♯ソ●│<ラ●・<シ●│<ド●・<♯ド●│>シ・<ミ●│ミ●・
  >レ●│>♯ド●・<レ●│>ラ●・>ファ●│ファ●・<ソ●│ソ●♪
と刻み、弦楽5部はピッツィカートで、
***♪ミ●│ミ●・ミ●│ミ●・ミ●│>レ●・<ミ●│<ソ●・
 >ファ●│>ミ●・>レ●│>ド●・>シ●│<ド●・<レ●│<ミ●♪
と爪弾く。弦が爪弾いたその音型を、さらに、
コルネット2管とトランペット2管がそれぞれオクターヴ・ユニゾンで
ハ長調で吹奏する。そのとき、
フルート、クラリネット、弦楽4部らは、16分音符の連続を紡ぐ。
ト長調の属和音を打ち据えると、4分休符にフェルマータの
ゲネラル・パウゼ。
[→テンポ・プリーモ]
でAが再現される。
主題をvnプリーモが弾き、vnセコンドが3度下でハモる。
そのオクターヴ下でチェロが主題を弾き、ヴィオーラが3度下でハモる。
オクターヴの二層構造の中でそれぞれ3度重ねを敷かせる、
というチャイコフスキーに特徴的な仕置きである。ともあれ、ここでは
***♪●ソ・<ラ>ソ♪の同型反復な伴奏は、木管群が吹く。
A主題はオクターヴ高められて反復され、さらにまた、今度は
木管群が主題を吹き、弦群はそれを刻みで補う。
「オロール姫(いわゆるオーロラ姫)は老婆がいることに気づく」
属音の[ター・ータ│ター・ータ]という律動で主題を支えてた
コルネットとトランペットが、主題の途中から属音はそのまま
[ターターター│ターターター]という3連符に変ぜられる。これは、
後半部のワルツを先導してるのであるが、
「運命の動機」のように聞こえてくる効果も聞いてとれる。
ト長調の属音dがワルツの変ホ長調の主音esの導音となり、

[→リステッソ・テンポ(付点2分音符=それまでの2分音符)、3/4拍子、3♭(変ホ長調)]
木管群がAの主題をワルツ化した動機を吹奏する。
***♪【ミーーーーー│>♯レーーーーー│<ミ】、
   >ミ<ソ<シ、<ドッ<♯レッ│<ミーーーーー│
  >シーーーーー│<ドーーーーー│<ファ、
  >♯ド<ミ>レ、>ソッ<ラッ│<シーーーーー│
  >♯ラーーー<シー│<ミーーー>シー│
  <レーー、>ド>シー│>ラーー、<シ<ドー│
   ー、>シ<ドーー、>シ│<ドーー、>シ<ドー│
   ー、>♯ラ<シーー、>♯ラ│<シーー♪
「オロール姫(いわゆるオーロラ姫)は(老婆が差し出す)quenouille(紡錘)を手にする」
***♪【ミ(shall)ーーー・ーーーー│>♯レ(we)ーーー・ーーーー│<ミッ(dance)】♪
あたかも、老婆がオロール姫に
【Shall "you" dance?】
と、紡錘を持って踊るように勧めてるかのようである。
米ミューズィカル「周防さまと私」(原題=The King and I)
で、Richard Rodgers(リチャード・ロジャーズ)が書いた歌、
"Shall we dance?"
で、このチャイコフスキーの音楽を借用した。

ともあれ、
この動機は弦群によって繰り返され、その終いが、
***♪♯ラーーー<シー│<ミーーー>シー│
  <レーー、>ド>シー│>ラーー、<シ<ドー│
   ー、>シ<ドーー、>シ│<ドーー、>シ<ドー│
   ●<♯ド<レーー、>♯ド│<レーー、>♯ド<レー│
   ●<♯レ<ミーー、>Nレ│>♯ド、<♯ミッ、<♯ファーー、<♯ソ│
   ここから第9曲(<ラ)♪
となって、次曲(第9曲)にそのままなだれ込む。

このコーダで締めくくられる第8曲「パダクション」は、
3♭(変ホ長調)→1♯(ト長調)という調性を与えられてる。が、
そう単純ではない。
3♭のときには頻繁にその平行調であるハ短調(3♭)に揺れ、
1♯のときにもその同主調であるト短調(2♭)が顔を覗かせる。
いずれも、オロール姫(いわゆるオーロラ姫)には本来、
相応しくない調なのである。がしかし、
第2幕の第15曲の「パ・ダクション」における
「オロールのヴァリアション」および「コーダ」は、
ずばり2♭(変ロ長調およびト短)であり、
このバレエの大団円では、なんとナント、
「ヴィヴ、アンリ・キャトル(アンリ4世、万歳・万歳・万々歳)」が、
ト短調(2♭)で吹奏されるのである。

ところで、
民主党による事業仕分けショウ第二段が終わった。
N響は文部科学省を主務官庁とする財団法人であり、
国からの助成金年12億8千万円でほとんど運営されてる。
N響の団員は公務員ではないものの、その給料もそこから支払われてる。
団員の平均年収は1000万円ほどらしい。
給与の原資からすれば、実態は公務員のようなものである。

さて、
話はまったく変わって、
茂木大輔さんというオーボエ吹きが最近では指揮もしてるらしい。
その「公式BBS」というウェブサイトで、
チャイコフスキーの交響曲第4番に関して、
「モミの木」という民謡を使ってるなどという誤ったことを書いてたので、
それを信じ込んでしまう読者がいたらかわいそうだと思い、
「野に白樺は立ってた」と老婆心までに知らせたついでに、
第1楽章に関して、
<9/8は通常は3/8+3/8+3/8という3拍子リズムですが、
 ここでは3/4+3/8という4拍子で、
 非常に優れた指揮者しかこの音楽を4つに振らないですね。
 3つに振ろうとするとかならず無理があるのですが、気付いていないのか?>
ということも書いてたので、
1)その「4つに振」ってるという指揮者が具体的に誰なのか
 ぜひとも知りたいので、教えていただけますでしょうか。
2)チャイコフスキーが4つに振るようにと書いてあるものがあるのでしょうか。
3)3つに振ろうとするとどこに無理がくるのでしょうか。
3)はともかく、1)と2)は二、三行で済むようなものですので、
ぜひともなるべく早く御教示いただければ幸甚です。
「4つに振」ってる演奏のCDなどがあれば探したいのです。
よろしくお願いいたします。
という質問をしたら、削除されてしまった。
メイルで説明したいとの申し出があったが、
すぐに返答したという事実でないことをおっしゃったあげく、結局、
なにも説明したメイルを送ってきてはいただいてない。
どうなってるのか伺ったら、それも削除され、今度は投稿も受け付けなくされた。

で、最新の投稿記事にはまた、困ったことに、
事実ではないことを書いて、これから音楽を学ぼうとしてる人たちに、
誤った知識を与えてる。
<チャイコフスキーのスコアですべてのホルンがF管で書かれている>
と。

1870年代以降のチャイコフスキーはF管嗜好である。が、
チャイコフスキー以外の同時代(および後の世代までも)の作曲家がすべてF管、
というわけではないので、話はそう単純でない。当時はむしろ、
F管ばかり指定してたチャイコフスキーのほうが、特異的なのである。ともあれ、
チャイコフスキー自身、初期の1860年代にはF管以外のホルンも指定してた。
1866年から68年にかけて作曲し、さらに、1874年に改訂した
「交響曲第1番」の第3楽章では「Es管」を指定してる。改訂してもなお、
「Es管」である。著名なプロの演奏家でさえ、そんなことすら知らない。それが、
いまの音楽界の現状である。無垢でウブな人々は、
<チャイコフスキーのスコアですべてのホルンがF管で書かれている>
とこれから一生思い込みつづけてしまうかもしれない。そして、
その間違った認識を、あの著名な先生が書いてたことだからと
疑いもせず、またさらに撒き散らしてしまう可能性がある。
いわゆるクラシック音楽で対価を得てる、責任も義務もあるプロは、
いいかげんなことを軽々に書くべきではない。
真摯にうけとめてもらいたい問題である。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#8パダクション-(c)オーロラのヴァリ(その2)」

2010年05月24日 00時09分01秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
この曲は、
[オケの前奏→vn独奏の前奏→A(vn独奏)→B(全奏)
→A再現前半(vn独奏)→A再現後半(全奏)]
という成り立ちになってる。

[アッレーグロ・モデラート、3/8拍子、1♯(ト長調)]の
A(vn独奏)部では、Aの主題がG線で提示されると、
オクターヴ高められて確保される。その際、
ハープがグリッサンドの装飾を施す。

次いで、
B部に移行する。
[→メーノ・モッソ・クワーズィ・アンダンティーノ、3/8拍子、1♯]
オーボエ2管+クラリネット2管+ファゴット1管(終いは2管)の木管合奏が、
pesante(ペザーンテ=重しをのせたように)で
Bの動機を吹く(第1オーボエが上声を受け持つ)。
1♯であるが、実質は2♭のト短調および変ロ長調である。
****♪ミー<♯ファー・<♯ソー<ラー│
  <シー>ラー・>(N)ソー>(N)ファー・>ミー>レー│
  >ドー>シー・♯ラー<シー・<♯ドー<レー│
  >(N)ラーーー・>ソーーー♪
両翼vnが完全ユニゾンのffで、
****♪シ<ド<レ<♯レ│<ミー♪
と合いの手を入れる。
最後の第1拍には金管群が変ロ長調の主和音を合わせる。
休符フェルマータののちに木管群が動機を同様に吹くと、
両翼vnが完全ユニゾンのffで、今度は
****♪ソ<ラ<♯ラ<シ│<ドー♪
という合いの手を挟む。さらに、
休符フェルマータののちに木管群が動機を同様に吹くと、
両翼vnが完全ユニゾンのffで、
****♪シ<ド<レ<♯レ│<ミー♪
休符フェルマータののち、木管群は動機の4度めの吹奏で、
ミだったd音をドに置き換えてト長調に転じる、と思わせてソに置き換え、
ニ長調をつかの間、確保する。
****♪ミー<♯ファー・<♯ソー<ラー(→ソ<ラー<シー<ドー)│
  <レー(→ソー)>ファー・>ミー>レー・>ドー>シー│
  <ラー>ソー・>♯ファー<ソー・<ラー<シー│
  <レーーー・>ドーーー♪
両翼vnが完全ユニゾンのffで、
****♪ソ>ファ>ミ>レ│>ドー♪
と、ニ長調を堅固にすると、その終いの第1拍めには、
木管群自らと金管群がニ長調の主和音を合わせる。が、
今度は休符のフェルマータという間を作らず、独奏vnが、
****♪●ソッ<ラッ(3連)・<シッ<ドッ<レッ・<ミッ<ファッ、(<♯ファ│<ソ)♪
と、[stringendo(ストリンジェンド=差し迫るように]しながら、
ニ長調の音階を駆け上がる。が、3拍め終いだけ、その
フレイズィングからさりげなく切り離され、次の

[→テンポ・プリーモ]で「A再現前半(vn独奏)」への
橋渡しとされてるのである。そこで、
(<♯ファ│<ソ)が(♯ド<│レ)と置き換えられて、これが、
*****♪♯ド│<レーーー・ーーーー・ーーー、<ミ│<ファーーー・ーーーー・ーーー♪の
A主題の冒頭となってるのである。
A主題は独奏vnによって変奏され、ハープが
1拍めを裏打ちする。そこに
フルート1管のオッブリガートがあてがわれる。

A再現後半部(ぶんぶんぶん、ハチが飛ぶ)は、
[→アッレーグロ・ヴィーヴォ、2/4拍子、1♯]
とテンポ・拍子を変ぜられる変奏が、
全奏で、しかし、当初はpで、次第にクレッシェンドでffに至る、
という形で演奏される。ト長調。
****♪レ>♯ド<レーッ・<ミ>♯レ<ミーッ│
   <ファ>ミ<ファーッ・>レ>♯ド<レーッ│
   <ミ>♯レ<ミーッ・ファ>ミ<ファーッ│
   <ソ>♯ファ<シーッ・>ド>シ<ドーッ│
   <レ>♯ド<レーッ・<ミ>♯レ<ミーッ│
   <ファ>ミ<ファーッ・>レ>♯ド<レーッ│
   <ミ>♯レ<ミーッ・ファ>ミ<ファーッ│
   <ソー♪
ここには、チャイコフスキー固有の下降バスが敷かれる。
****♪シーーー・>♭シーーー│>ラーーー・>♭ラーーー│
  >ソーーー・>ファーーー│>ミーーー・>♭ミーーー│
  >レーーー・>ドーーー│>ラーーー・>♭ラーーー│
  >ソーーー・>ファーーー│>ミー♪
そして、終いは途中にトランペット2管のソリから
コルネット2管へのソリというバトンタッチも交え、
ト長調の主和音でこの曲は閉じられる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#8パダクション-(c)オーロラのヴァリ(その1)」

2010年05月18日 01時16分06秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[Princess Aurora had bee in her bonnet]

この曲は、
[オケの前奏→vn独奏の前奏→A(vn独奏)→B(全奏)→A前半(vn独奏)→A後半(全奏)]
という成り立ちになってる。
[アッレーグロ・モデラート、3/8拍子、1♯(ト長調)]
オーボエ2管+vnセコンド、そのオクターヴ下のファゴット2管+ヴィオーラ、が
ト短調のごとき前触れを奏する。
***♪ラー、<シ│ー、<ドー、│<♯ド、<レ、<♯レ│<ミ♪
フルート2管+vnプリーモ、そのオクターヴ下のコルノ・イングレーゼ+ホルン2管、
そのまたオクターブ下のトロンボーン1管、がg音を、
クラリネット1管+vnプリーモ(ダブルストップ)、そのオクターヴ下の
クラリネット1管+ホルン2管+チェロ、そのまたオクターヴ下の
トロンボーン1管+コントラバス、がes音を、それぞれ、
「ヘミオラの2拍め」に打つ。そして、
vnのソロが19小節の前奏を弾く。vn独奏自らが導き、
Aの主題が提示される。弦楽4部がピッツィカートの伴奏をする。
*****♪♯ド│<レーーー・ーーーー・ーーー、<ミ│<ファーーー・ーーーー・ーーー、>レ│
      <ミーーー・ーーーー・ーーー、<ファ│<ソーーー・ーーーー・ーーー、>(N)ド│
      <レーーー・ーーーー・ーーー、<ミ│<ファーーー・>ミーーー・>レーーー│
      <ミーーー・<ファーーー、・<♯ファーーー│<ラーーー・>ソーーー・ーーー♪
このA主題は、アウグスト・ハインリヒ・ホフマン・フォン・ファラースレーベンが
"Summ, Summ,Summ(ズム、ズム、ズム=ブン、ブン、ブン)"
詞をつけたボヘミア民謡の節の後半部である。
チャイコフスキーはおそらくその「ドイツの歌」を知ってたのだろう。
寓意があるからである。日本では、村野四郎が
「ぶんぶんぶん、はちがとぶ」と訳したあの歌だからである。

【ドイツ語原詞】
Summ, summ, summ!
Bienchen summ herum!
Ei, wir tun dir nichts zu leide,
Flieg nur aus in Wald und Heide!
Summ, summ, summ!
Bienchen summ herum!

【拙カナ近似発音】
(ズム、ズム、ズム!
ビーンヒェン・ズム・ヘルム!
アイ・ヴィーア・トゥーン・ディーア・ニヒツ・ツ・ライデ、
フリーク・ヌーア・アウス・イン・ヴァルト・ウント・ハイデ!
ズム、ズム、ズム!
ビーンヒェン・ズム・ヘルム!)

【拙大意】
「ブン、ブン、ブン!
ハチさんがブーンと飛び回ってるよ!
おいおい、僕らは君を捕まえたりなんかしないさ。
だから、さあ、森とか野原とかに飛んできな!
ブン、ブン、ブン!
ハチさんがブーンと飛び回ってるよ!」

この「ドイツ歌の」
Ei, wir tun dir nichts zu leide,
Flieg nur aus in Wald und Heide!
の部分にあたる節が、
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の
第8曲「パダクション-(c)オーロラ姫のヴァリアシオン」の
主要主題に採られてるのである。

***♪ミ<ファ・<ソ>ミ│>【レ<ミ・<ファ>レ│
  <ミ<ファ・<ソ】>ミ│>レ<ミ・<ファ>レ♪

*****♪【レーーー・ーーーー・ーーー、<ミ│<ファーーー・ーーーー・ーーー、>レ│
    <ミーーー・ーーーー・ーーー、<ファ│<ソーーー・ーーーー・ーーー】♪

「ハチは刺す」というイメージ

「オロール姫(いわゆるオーロラ姫)は指に紡錘を刺して倒れる」
という暗示なのである。ちなみに、
この曲のナンバーは8、ハチなのである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#8パダクション-(b)女官たちと廷臣たちの踊り」

2010年05月11日 23時57分37秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
さっき、気晴らしに車を走らせて、
閉館した歌舞伎座の前まで行ってきた。当然に
人もいない、寂しい光景である。休演日に、
この前をよく待ち合わせ場所にしたことが懐かしい。
帰ってから、昭和61年12月の公演をDVDにした
「歌舞伎名作撰/白浪五人男」を久々に観た。
かえすがえすも、その3箇月後に40歳で命尽きた
初代尾上辰之助の死が惜しいと感じた。
辰之助の肝臓癌死の3、4年前に、新派の女優
水谷良重女史(現、二代目水谷八重子)が
精神安定剤を飲んだ上に泥酔して交通事故を起こして
自宅に籠城し、さらに窓から飛び降りた事件があった。
自殺未遂だといわれてる。辰之助との
結ばれない色恋沙汰のためだったのだろう。でも、
たとえ結婚できなくても、結ばれたんだから
いいではないか。それ以上望むのは
欲張りというものである。世の中には
どんなに思っても手の届かない相手がいるのが普通なのだ。

日曜の夜からついさっきまで、ものすごい勢いで
煎餅を焼きまくった。昔ふうに原稿用紙っぽくいえば30枚。
ペラだと60枚。あとは金曜までにペラ25枚を焼くのみである。
齢50を過ぎてもまだまだ捨てたもんでない。いろんな意味で。
というわけで、一息ついたので、明日はまた日本橋まで出かけて、
三井記念美術館で開催されてる「徳川家康の遺愛品」展を
観覧にいくつもりである。開催中期間限定展示品があるので、
都合3回も観にいかなくてはならない。さすが、
三井越後屋呉服店は商売上手である。雨が降ったら
番傘を出してくれるかもしれない。

[アッレーグロ・モデラート、4/4拍子、3♭(変ホ長調)]
vnプリーモ以外の弦楽4部の
***♪ソソ・>♯ファ●・・<ソ●<♯ソ●│<ララ・>♯ソ●・・<ラ●・>ソ●♪
という2小節単位の伴奏による露払い2セットに導かれて、vnプリーモが、
***♪【ソッ<ミッ・>レー(tr)・・>ドッ●>シッ●】│
   >【ミッ<ドッ・>シー(tr)・・>ラッ●・>ソッ●】│
   >ファッ<ラッ・>(ラ>)♯ソ>レ・・<ファッ<ラッ・>(ラ>)♯ソ>レ│
   <ファッ<ラッ・>(ラ>)ファ>レ・・>シッ<レッ・>(レ>)ソッ●♪
という主題を奏する。これは、
成人したオロール姫がお目見えする第7曲の後半に、ここの対極調
イ長調で提示されたものである。

【cf1】:
****♪【ド●、<ミ・>レ、●、>ド│>シ】、●、<レ>ド、●、>シ│
   >ラ、●、<ミ>レ、●、<ミ│<ソ、●、>ミ>レ、●、<ミ│
   <【ソ、●、>ミ・>レ、●、>ド│>シ】、●、>レ>ド、●、>シ│
   >ラ、●、<ミ>レ、●、<ミ│<ソ、●、>ミ・>レ、●、<ミ│<ソ、●♪
【cf2】:
バレエ「白鳥の湖」(第3幕)第19曲「パ・ドゥ・スィス」のヴァリアスィョン中、
[Moderaro(モデラート)、6/8、3♭(変ホ長調)]
***♪●●【ソ・<ミ>レ>ド│>シー】、シ・<レ>ド>シ│>ラー、
      ラ・<ド>シ>ラ│>ソーー・ーーー│ーー♪
【cf3】:
抒情的情景「エヴネーニー・オネーギン」2幕
[アッレーグロ・モデラート、3/4拍子、5♭(変ニ長調)]
***♪【ソ<ミ・>レー・ー>ド|>シ】<レ・>ドー・ー>シ|
   >ラ>ソ・<ドー・ー>シ|>ラ>ミ・<ラー・ー>ソ♪

これらはすべて「手の届かない女主人公」を描写したものである。

ともあれ、この主題をAとすれば、この曲は、
[A-B-A2-C-A3]という小ロンド形式である。
8小節のB部では、2管のコルネットのソリが「魔弾の射手」序曲の、
のちに賛美歌にも転用されたホルンの旋律のような節が奏される。
11小節のC部では、実質ト長調に転じる。
A3部では、→[ピウ・モッソ]、
変ホ長調に戻りテンポ・アップして、Aの主題を4回、12小節奏する。
ここでも「打楽器使いの達人」チャイコフスキーの、
お見事なトライアングル使いが披露される。
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