先月、大江戸探検隊で伝馬町を探索したときに、
新参の子に五街道の起点がすべて日本橋というのは徳川幕府の
「タテマエ」であって云々というウンチクをたれつつ、ひさびさに
日本橋高島屋まで足を伸ばした。ガキの頃私は、
父親には野球場や遊園地や歴史的施設に、
母親にはいろいろな百貨店によく連れていかれた。その中で、
私は日本橋高島屋がもっとも好きだった。三越は
母自体が日本橋本店ではなく銀座店が好きだったので、
本店にはあまり行ったことがない。あの
NYのデハートメントストアふうな造りの建物そのものと、それに合う
エレヴェーター、階段。おっさんになってからも、10年ほど前までは、
店内とはまったく違う小汚いエレヴェーターで車ごと登る
屋上の駐車場に車を置いて、別館の特別食堂か
近くの吉野鮨本店で鮨を食って、地下で飲食料を買って、
書籍売り場に寄って(私はガキの頃、百貨店の書籍売り場が大好きだった)
あといくつか買い物をして、また屋上からエレヴェーターで降りて
一通を左に折れて中央通りに出る、というようなことをよくしてた。
ともあれ、「バラの包みのタカシマヤ」である。
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」(第1幕)第8曲「パダクション」の
(a)「アダージョ」(いわゆる「ローズ・アダージョ」)は、
[序奏-A-B-A(再1)-C-A(再2)]という小ロンド形式であるが、今回はその
A(再2)部である。このA(再2)部は19小節から成り、結尾部ともなってる。
【A(再2)】
(引き続き)
[アダージョ・マエストーゾ、12/8拍子、3♭(変ホ長調、ハ短調)]
ピッコロ+フルート2管+オーボエ1管+32分刻みのvnプリーモ、そのオクターヴ下の
オーボエ1管+コルネット1管+32分刻みのvnセコンドが、
Aの節をfffで奏する。その他の楽器は16分刻みで支える。
****♪ドーーーーー・ーーーー、>シー・・<ドー>シー>ラー・>ソー>ファー>ミー│<ラー♪
2小節めの「ラー」で、スィンバルと大太鼓が一撃を加える。次いで、
両翼vnが完全ユニゾンで32分刻みのパッセージを擦りある。途中から
ホルンらが8分音符の吹奏を重ね、Aの節を導く。そうして、
2小節が同様に反復されると、
→[モルト・ソステヌート、クワーズィ・ピウ・アンダーンテ]
と、テンポ・アップされる。モルト・ソステヌートであるから、
スタッカートはおろかマルカートぎみなアーティキュレイションは御法度である。そして、
「ソステヌート」されるということは、拍の強弱が薄められ、
12/8拍子、つまり、4拍子を感じさせない演奏が求められる。すなわち、
3/8の1拍が1小節単位のように聞こえなくてはならない。
フルート2管+32分刻みのvnプリーモ、そのオクターヴ下の
クラリネット1管+コルネット1管+32分刻みのvnセコンド、そのまたオクターヴ下の
コルノ・イングレーゼ+クラリネット1管+コルネット1管+32分刻みのヴィオーラが、Aの節、
****♪ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>シー>ラー・>ソー<ラー<シー│
<ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>♭シー>♭ラー・>ソー<♭ラー<♭シー│♪
をfffで奏する。2小節めは、
****♪ミーーーーー・ーーーー>♯レー・<ミー>Nレー>ドー・>シー<ドー<レー│♪
というように、ドをミと置き換えた「変ハ長調、変イ短調」に転調されてる。
それはさておき、ピッコロは1小節めの最初の1拍だけを
フルート2管+32分刻みのvnプリーモと同じ高さで吹くのであるが、2小節めからは
オクターヴ上を単独で吹くようにされてる。ここを目立たせない演奏は
ボンクラとしかいいようがない。ともあれ、この間、
オーボエ・ホルン・トランペット・トロンボーンなどが、
[ターターター・ターターター・ターーータタタ(3連)・ターーータタタ(3連)]
というリズムを刻む。テンポが速められて3小節めにはさらに、
→[ポーコ・ストリンジェンド]
がかけられる。
****♪ミーーーーー・ーー>♯レー<ミー・ミーーーーー・ーー>♯レー<ミー│
ミーーーーー・ーー>♯レー<ミー・ミー>♯レー<ミー・ミー>♯レー<ミー│♪
そして、5小節めで
→[テンポ・プリーモ]
とテンポがアダージョ・マエストーゾに戻され、調も変ホ長調に帰る。
小太鼓のトレモロが通奏され、最初の2小節は、
1拍めに大太鼓の一撃、2拍めにスィンバルの一撃、
という打楽器使いの超名人チャイコフスキーのセンスあるテクが施されてる。
****♪ドーーーーー・ーー>シー>ラー・・>ソー>ミー>ドー・<ミー<ソー<ドー│
<ミーーーーー・ーー>ドー>ラー・・>ソー>ミー<ソー・<ラー<ドー<ミー│
<ソーーーーー・>♯ファーーーーー・・>Nファーーーーー・>ミーーーーー│
>♭ミーーーーー・ーーーーーー・・>レーーーーー・ーーーーーー│♪
そして、テンポ・プリーモに戻ってから5小節めでは、
クラリネット2管+トランペット2管の完全ユニゾン
(この最高潮の場面でチャイコフスキーは、
音階が吹きやすいピストン付きコルネットでなく、
渋い音色のトランペットをクラリネットに重ねて要求してることに
繊細にならなければならない)が、
****♪ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>♭シー>♭ラー・♭ラー<♭シー<Nシー│
(ミーーーーー・ーーーー>♯レー・<ミー>Nレー>ドー・ドー<レー<♯レー)
ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>♭シー>♭ラー・♭ラー<♭シー<Nシー│
(ミーーーーー・ーーーー>♯レー・<ミー>Nレー>ドー・ドー<レー<♯レー)
ドー>シー<ドー・>♭ラー<♭シー<Nシー・<ドー>シー<ドー・>♭ラー<♭シー<Nシー│
(ミー>♯レー<ミー・>ドー<レー<♯レー・<ミー>♯レー<ミー・>ドー<レー<♯レー)
<ドーーーーー(変ホ長調に帰る)、・<<ソーーーーー・・>ミーーーーー・>ドーーーーー│
>ソーーーーー、・<ドーーーーー・・>ソーーーーー・>ミーーーーー│
>ドー●●●●・●●●●●●・・>ドーーーーー・ーーーーード│
ドーーーーー・ーーーーーー・・ーー●●●●・●●●●●●(フェルマータ)♪
この最高潮の場面でもチャイコフスキーは、最初の2小節では、
1拍めにスィンバルと大太鼓に8分音符の一撃を与え、
3拍めに大太鼓の付点4分音符の一撃、
4拍めにスィンバルの付点4分音符の一撃、をぶちかまさせ、
3小節めでは強拍である奇数拍に大太鼓の付点4分音符の一撃、
弱拍である偶数拍にスィンバルの付点4分音符の一撃、と
交互に打たせる、という妙味を加えてるのである。
徳永英明と森進一の口元の違いがわからない
拙脳なる私が感じることにすぎないが、
お見事としかいいようがないコンポズィションである。
本来3♯(イ長調)がホウムグラウンドであるはずのオーロラ姫が、
(父王が認めた)王子らの3♭(変ホ長調)バラの求婚で見せる、
求婚する4人の王子とのアチチュード・アン・プロムナードで回る
成人したオーロラ姫の手取りバランスと、
手を離した手をアン・オーにして静止する場面は、
オーロラの秀でた美しさを優れたバランス感覚で表したものである。
新参の子に五街道の起点がすべて日本橋というのは徳川幕府の
「タテマエ」であって云々というウンチクをたれつつ、ひさびさに
日本橋高島屋まで足を伸ばした。ガキの頃私は、
父親には野球場や遊園地や歴史的施設に、
母親にはいろいろな百貨店によく連れていかれた。その中で、
私は日本橋高島屋がもっとも好きだった。三越は
母自体が日本橋本店ではなく銀座店が好きだったので、
本店にはあまり行ったことがない。あの
NYのデハートメントストアふうな造りの建物そのものと、それに合う
エレヴェーター、階段。おっさんになってからも、10年ほど前までは、
店内とはまったく違う小汚いエレヴェーターで車ごと登る
屋上の駐車場に車を置いて、別館の特別食堂か
近くの吉野鮨本店で鮨を食って、地下で飲食料を買って、
書籍売り場に寄って(私はガキの頃、百貨店の書籍売り場が大好きだった)
あといくつか買い物をして、また屋上からエレヴェーターで降りて
一通を左に折れて中央通りに出る、というようなことをよくしてた。
ともあれ、「バラの包みのタカシマヤ」である。
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」(第1幕)第8曲「パダクション」の
(a)「アダージョ」(いわゆる「ローズ・アダージョ」)は、
[序奏-A-B-A(再1)-C-A(再2)]という小ロンド形式であるが、今回はその
A(再2)部である。このA(再2)部は19小節から成り、結尾部ともなってる。
【A(再2)】
(引き続き)
[アダージョ・マエストーゾ、12/8拍子、3♭(変ホ長調、ハ短調)]
ピッコロ+フルート2管+オーボエ1管+32分刻みのvnプリーモ、そのオクターヴ下の
オーボエ1管+コルネット1管+32分刻みのvnセコンドが、
Aの節をfffで奏する。その他の楽器は16分刻みで支える。
****♪ドーーーーー・ーーーー、>シー・・<ドー>シー>ラー・>ソー>ファー>ミー│<ラー♪
2小節めの「ラー」で、スィンバルと大太鼓が一撃を加える。次いで、
両翼vnが完全ユニゾンで32分刻みのパッセージを擦りある。途中から
ホルンらが8分音符の吹奏を重ね、Aの節を導く。そうして、
2小節が同様に反復されると、
→[モルト・ソステヌート、クワーズィ・ピウ・アンダーンテ]
と、テンポ・アップされる。モルト・ソステヌートであるから、
スタッカートはおろかマルカートぎみなアーティキュレイションは御法度である。そして、
「ソステヌート」されるということは、拍の強弱が薄められ、
12/8拍子、つまり、4拍子を感じさせない演奏が求められる。すなわち、
3/8の1拍が1小節単位のように聞こえなくてはならない。
フルート2管+32分刻みのvnプリーモ、そのオクターヴ下の
クラリネット1管+コルネット1管+32分刻みのvnセコンド、そのまたオクターヴ下の
コルノ・イングレーゼ+クラリネット1管+コルネット1管+32分刻みのヴィオーラが、Aの節、
****♪ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>シー>ラー・>ソー<ラー<シー│
<ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>♭シー>♭ラー・>ソー<♭ラー<♭シー│♪
をfffで奏する。2小節めは、
****♪ミーーーーー・ーーーー>♯レー・<ミー>Nレー>ドー・>シー<ドー<レー│♪
というように、ドをミと置き換えた「変ハ長調、変イ短調」に転調されてる。
それはさておき、ピッコロは1小節めの最初の1拍だけを
フルート2管+32分刻みのvnプリーモと同じ高さで吹くのであるが、2小節めからは
オクターヴ上を単独で吹くようにされてる。ここを目立たせない演奏は
ボンクラとしかいいようがない。ともあれ、この間、
オーボエ・ホルン・トランペット・トロンボーンなどが、
[ターターター・ターターター・ターーータタタ(3連)・ターーータタタ(3連)]
というリズムを刻む。テンポが速められて3小節めにはさらに、
→[ポーコ・ストリンジェンド]
がかけられる。
****♪ミーーーーー・ーー>♯レー<ミー・ミーーーーー・ーー>♯レー<ミー│
ミーーーーー・ーー>♯レー<ミー・ミー>♯レー<ミー・ミー>♯レー<ミー│♪
そして、5小節めで
→[テンポ・プリーモ]
とテンポがアダージョ・マエストーゾに戻され、調も変ホ長調に帰る。
小太鼓のトレモロが通奏され、最初の2小節は、
1拍めに大太鼓の一撃、2拍めにスィンバルの一撃、
という打楽器使いの超名人チャイコフスキーのセンスあるテクが施されてる。
****♪ドーーーーー・ーー>シー>ラー・・>ソー>ミー>ドー・<ミー<ソー<ドー│
<ミーーーーー・ーー>ドー>ラー・・>ソー>ミー<ソー・<ラー<ドー<ミー│
<ソーーーーー・>♯ファーーーーー・・>Nファーーーーー・>ミーーーーー│
>♭ミーーーーー・ーーーーーー・・>レーーーーー・ーーーーーー│♪
そして、テンポ・プリーモに戻ってから5小節めでは、
クラリネット2管+トランペット2管の完全ユニゾン
(この最高潮の場面でチャイコフスキーは、
音階が吹きやすいピストン付きコルネットでなく、
渋い音色のトランペットをクラリネットに重ねて要求してることに
繊細にならなければならない)が、
****♪ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>♭シー>♭ラー・♭ラー<♭シー<Nシー│
(ミーーーーー・ーーーー>♯レー・<ミー>Nレー>ドー・ドー<レー<♯レー)
ドーーーーー・ーーーー>シー・<ドー>♭シー>♭ラー・♭ラー<♭シー<Nシー│
(ミーーーーー・ーーーー>♯レー・<ミー>Nレー>ドー・ドー<レー<♯レー)
ドー>シー<ドー・>♭ラー<♭シー<Nシー・<ドー>シー<ドー・>♭ラー<♭シー<Nシー│
(ミー>♯レー<ミー・>ドー<レー<♯レー・<ミー>♯レー<ミー・>ドー<レー<♯レー)
<ドーーーーー(変ホ長調に帰る)、・<<ソーーーーー・・>ミーーーーー・>ドーーーーー│
>ソーーーーー、・<ドーーーーー・・>ソーーーーー・>ミーーーーー│
>ドー●●●●・●●●●●●・・>ドーーーーー・ーーーーード│
ドーーーーー・ーーーーーー・・ーー●●●●・●●●●●●(フェルマータ)♪
この最高潮の場面でもチャイコフスキーは、最初の2小節では、
1拍めにスィンバルと大太鼓に8分音符の一撃を与え、
3拍めに大太鼓の付点4分音符の一撃、
4拍めにスィンバルの付点4分音符の一撃、をぶちかまさせ、
3小節めでは強拍である奇数拍に大太鼓の付点4分音符の一撃、
弱拍である偶数拍にスィンバルの付点4分音符の一撃、と
交互に打たせる、という妙味を加えてるのである。
徳永英明と森進一の口元の違いがわからない
拙脳なる私が感じることにすぎないが、
お見事としかいいようがないコンポズィションである。
本来3♯(イ長調)がホウムグラウンドであるはずのオーロラ姫が、
(父王が認めた)王子らの3♭(変ホ長調)バラの求婚で見せる、
求婚する4人の王子とのアチチュード・アン・プロムナードで回る
成人したオーロラ姫の手取りバランスと、
手を離した手をアン・オーにして静止する場面は、
オーロラの秀でた美しさを優れたバランス感覚で表したものである。