チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#7情景(後半)/成人したオロール(オーロラ)姫のお目見え」

2010年03月21日 22時41分50秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
バレエ「眠れる森の美女」の第7曲は、
4箇国王子がフロレスタン24世王夫妻にオロール姫のお目見えを所望する
「アンダーンテ・エスプレッスィーヴォ・エ・カンタービレ」の前半と、
成人したオロール姫がお出ましになる
「アッレーグロ・ジュスト」の後半、から成る。そして、後半部はまた、
「ハ長調、2/4拍子」の前部と「イ長調、6/8拍子」の後部、から成る。

前半の「アンダーンテ・エスプレッスィーヴォ・エ・カンタービレ」の終い、
ホルン2管+オクターヴ下のホルン2管の属音(g)の2分音符が
フェルマータ附きで吹かれ、その音が持続されつつ
後半のアッレーグロ・ジュストに移行する。

[アッレーグロ・ジュスト、2/4拍子、無調号]
ホルンのg音オクターヴ・ユニゾンが、
[ソソ・ーソ│ーソ・ーソ│ー]という切分で吹かれ、
ファゴットとトロンボーン各2管がそれぞれ
f音のオクターヴ・ユニゾンで、
[ファ●・ファ●│ファ●・ファ●│ファ]
と刻む。これは下記「カタカナ譜面」の
(a)まで続く。ともあれ、その"イントロ"4小節に導かれて、
1番フルートとvnプリーモがユニゾンで、そしてその3度下を
2番フルートとvnセコンドがユニゾンで、
****♪レーッ●●・>♯ドーッ●●│
  <レーッ●●・<ミ>レ>♯ド<ミ│
  >レーッ●●・>♯ドーッ●●│
  <レーッ●●・<ミ>レ>♯ド<ミ│
  >レッ<ミッ>♯ドッ<ミッ・>レッ<ミッ>♯ドッ<ミッ│
  >レッ<ミッ>♯ドッ<ミッ・>レッ<ミッ>♯ドッ<ミッ│
  >レッ<ミッ<ファッ<ソッ・<ラッ<シッ<(N)ドッ<レッ(a)│
  <ミー>シー・<ドー<レー│
  <ミー>シー・<ドー<レー│
  <ミー>シー・<ドー<レー│
  <ミー>シー・<ドー<レー│
  <ファー、>>ファッ<ソッ・<ラッ<シッ<ドッ<レッ│
  <♯レーッ♯レーッ・(<ミ>)♯レーーー│
  <ミッ<ファッ>ミッ<ファッ・>ミッ<ファッ>ミッ<ラッ│
  >♯レーッ♯レーッ・(<ミ>)♯レーーー│
  <ミッ<ファッ>ミッ<ファッ・>ミッ<ファッ>ミッ<ラッ│
  >シッ<ドッ<レッ<ミッ・<ソッ>ファッ>ミッ>レッ│
  >ラッ<シッ<ドッ<レッ・<ファッ>ミッ>レッ>ドッ│
  <ラー、>>ファッ<ソッ・<ラッ<シッ<ドッ<レッ│
  <♯レーッ♯レーッ・(<ミ>)♯レーーー│
  <ミッ<ファッ>ミッ<ファッ・>ミッ<ファッ>ミッ<ラッ│
  >♯レーッ♯レーッ・(<ミ>)♯レーーー│
  <ミッ<ファッ>ミッ<ファッ・>ミッ<ファッ>ミッ<ラッ│
  >シッ<ドッ<レッ<ミッ・<ソッ>ファッ>ミッ>レッ│
  >ラッ<シッ<ドッ<レッ・<ファッ>ミッ>レッ>ドッ│
  >♯ソッ<ラッ<シッ<ドッ・<レッ<ミッ・<♯ファッ<♯ソッ│(b)♪
という「ハ長調」部分を奏する。ちなみに、
「永遠の『白鳥の湖』チャイコフスキーとバレエ音楽」(新書館刊/森田稔著)
において、森田大先生はこの部分を
「ト長調」だと仰せになってる。あるいは、
ローランド・ワイリーがそう書いてる、のかもしれない。いずれにせよ、
つまり、出だしの節は、
****ソーッ●●・>♯ファーッ●●│
 <ソーッ●●・<ラ>ソ>♯ファ<ラ♪
だというのである。が、
上記のように、この節の伴奏は、
[f-g]である。ト長調だとすると、この
[f]は何なのだろう。まあ「ト長調」でもいい。が、
このナンバーは、
【(3♭)変ホ長→(調号0)ハ長→(3♯)イ長】
という5度圏の対極調に移行すること、
にこそ意味があるのである。また、
この成人したオロール姫の登場場面の音楽は、
「ヴァイオリン協奏曲」(op.35)の第1楽章の第2主題、
***♪【ドーーー・>シーーー・・<レ>ド>シ<レ・>ドーーー】|
   <【レーーー・>♯ドーーー・・<レ>レ>♯ド<ミ・>レーーー】♪
の音型とほぼ同じである。ここから反対に、
「ヴァイオリン協奏曲」でも「明日の曙」のような
「未来を担う理想の女性像」が、
「ドン・ホセが最後にカルメンにもう一度復縁を迫る場面」
の節を長調化した第1主題の対比をなす憧憬として据えられてたのだ、
ということが垣間見えてくるのである。

ともあれ、
「ハ長調」部は「イ長調」部に移行する。
****♪(♯ソッ<ラッ<シッ<ドッ・<レッ<ミッ・<♯ファッ<♯ソッ)
   →リステッソ・テンポ(附点4分音符=4分音符)、6/8、3♯│
   (b)<ド●、<ミ・>レ、●、>ド│>シ、●、<レ>ド、●、>シ│
    >ラ、●、<ミ>レ、●、<ミ│<ソ、●、>ミ>レ、●、<ミ│
    <【ソ、●、>ミ・>レ、●、>ド│>シ、●、>レ>ド、●、>シ│
    >ラ】、●、<ミ>レ、●、<ミ│<ソ、●、>ミ・>レ、●、<ミ│<ソ、●♪
この節は、バレエ「白鳥の湖」(第3幕)第19曲
「パ・ドゥ・スィス」のヴァリアスィョン中、
[Moderaro(モデラート)、6/8、3♭(変ホ長調)]で、
[con grazia(コン・グラッツィア=上品さをたたえて)]
という指示のもと、vnプリーモが弾く、
***♪●●【ソ・<ミ>レ>ド│>シー、シ・<レ>ド>シ│>ラー】、
      ラ・<ド>シ>ラ│>ソーー・ーーー│ーー♪
という節、そして、抒情的情景「エヴネーニー・オネーギン」2幕において、
決闘で友人を殺し、外国でおとぼりをさまして
数年後に舞い戻ってきたオネーギンが、3幕で
グレーミン公爵が主催する舞踏会の中で、あのタチヤーナが
見違えるばかりに輝く女性になってる姿を見いだした場面で、
[con dolcezza(コン・ドルチェッツァ=愛しさをたたえて)]
という指示のもと、クラリネットが万感胸に迫る思いで吹く、
[アッレーグロ・モデラート、3/4拍子、5♭(変ニ長調)]
***♪【ソ<ミ・>レー・ー>ド|>シ<レ・>ドー・ー>シ|
   >ラ】>ソ・<ドー・ー>シ|>ラ>ミ・<ラー・ー>ソ♪
なのである。この「オーロラ姫」の登場は、一見、
これらの「白鳥湖」「オネーギン」における、
「再び見いだされる」女主人公の状況とは
異なるようにみえる。すなわち、
「再び見いだす主体」がズィークフリート王子でもオネーギンでもない、
諸国4王子たち(彼らはメタイヨンの肖像で見た)だからである。が、
このことこそが、このバレエの本質なのである。
変ホ長調の諸国4王子たちは、オネーギンや
ズィークフリート王子(一般には、オデットと結ばれた、
と誤って思い込まされてるが、結末は王子の無理心中である)のように、
オーロラ姫を「手に入れる」ことはできないのである。
キモ面で稼ぎのない私は当然に思う女性を
手に入れることはできなかった。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#7情景(前半)/オロール出現前」

2010年03月16日 00時20分55秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
今日は新月である。真っ暗な旧暦朔の夜明け(曙)は、だから、
荘厳である。
バレエ「眠れる森の美女」で、
成人したオロール(オーロラ)姫がお目見えになる直前も、
厳かな音こそふさわしい。そして、
チャイコフスキーの音楽は、まさしくそのように
リラの精の主題がヴェイルをまとって
オロールの登場をお膳立てするようになってる。

バレエ「眠れる森の美女」の第7曲は、
4箇国王子がフロレスタン24世王夫妻にオロール姫のお目見えを所望する
「アンダーンテ・エスプレッスィーヴォ・エ・カンタービレ」の前半と、
成人したオロール姫がお出ましになる
「アッレーグロ・ジュスト」の後半、から成る。

「4箇国の王子たちはフロレスタン24世王と王妃に、
オーロラ姫の心を射止めたい気持ちを訴え、
王がしてるメダイヨン(肖像が入ってるロケット)に
見惚れてる」
[アンダーンテ・エスプレッスィーヴォ・エ・カンタービレ、4/4拍子、無調号]
オーボエ2管+コーラングレ+クラリネット2管(1番はB管、2番はA管)
+ファゴット2管+ホルン4管のアンサンブルで、1番オーボエが
上記メンバーの調性である(実質)変ホ長調の旋律を奏でる。
♪****ソーーー・ーー<♯ソー・・<ラーーー・<シーー<ド│
  <レーーー・<♯レーーー・・<ミーーー・ーー>シー│
  <レーーー・>ドーー>シ・・>ラ<シ>ラ>♯ソ<ラ・
  (変ロ長調に転じる。
   ここから、クラリネットの分散6連が始まる)<シーー>ラ│
  >レーーー・レーーー・・ーー、レー・<ミー<ファー│  
  <ソーー<ラ・>ソーーー・・●●、>レー・<ミー<ファー│
  <ソーー<ラ・>ソーーー・・ーー、ソー・ソーソー│(ヘ長調に転じる)
   ドーーー・>シー>ラー・・>ソー、ソー・<(シ>)ラー>ソー│
  (イ長調に転じ、フルートが)
  <ドーーー・>シー>ラー・・>ソー、ソー・<(シ>)ラー>ソー│
  (ホルンが)
  >>ドーーー・>シー>ラー・・>ソー、ソー・<(シ>)ラー>ソー│
  (ハ長調に転じ、クラリネットが)
  <ドーーー・>シー>ラー・・>ソー、ソー・<(シ>)ラー>ソー│
  (変ハ長調に転じ、両翼vnのオクターヴ・ユニゾンが)
  <<レーーー・>シー>ラー・・>ソー、ソー・<(シ>)ラー>ソー│
  (ここまでのゼクヴェンツが、ここから、
   リラの精の主題であったことのヴェイルをはいでく)
  (変ホ長調に転じ、各1番フルート・オーボエ・クラリネットが)
  <ドーーー・>ソーー>ファ・・>ミー、ミー・<(ソ>)ファー>ミー│
  (→ウン・ポーコ・スリンジェンド
   ホ長調に転じ、両翼vnのオクターヴ・ユニゾンが)
  <ドー>ソー・>ミー>ドー・・
  (ホ短調に転じ、木管群が)
  <ラー>ファー・>ドー>ラー│
  (ヘ長調に転じ、両翼vnのオクターヴ・ユニゾンが)
  <ドー>ソー・>ミー>ドー・・
  (変ニ短調に転じ、木管群が)
  <<レー>シー・>♯ソー>ミー│
  (→ポーコ・ピウ・アニマート
   ハ短調に転じ、木管群と高中音弦が)
  <ミー>ドー・>ラー>ミー・・<ドー>ラー・>ミー>ドー│
  <ラー>ミー・>ドー>ラー・・<ミー>ドー・>ラー>ミー│
  >ドー<ミー・<ラー<ドー・・<ミー>ドー・<ミー<ラー│
  <ドー●●・>シー●●♪
ハ短調の属7で留め置かれ、
ホルン2管+オクターヴ下のホルン2管の属音(g)の2分音符が
フェルマータ附きで吹かれ、その音が持続されつつ
後半のアッレーグロ・ジュストに移行する。

この短い間に、第7曲前半はめまぐるしく転調を重ねる。
何事かが定まらない不安定な模様を呈するが、結局、
「実質」3♭の変ホ長調に始まって、
おなじく3♭のハ短調で締められる、
のである。5度圏でいえば、
「最もフラット度が大きい」調である。ちなみに、
「最もシャープ度が大きい」調は3♯のイ長調・嬰ヘ短調である。
当然に、「ニュートラル」なのがハ長調・イ短調である。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#6ヴァルス(その4)/副次動機、中間部、結尾」

2010年03月07日 20時33分22秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
アイルランド古謡「ノラ・クレイナ(Nora Creina=Norah Crionnna)」の
替え歌である"Save me from the Grave and Wise"
(拙大意)真面目くさった固物なんて御免こうむる
(故尾崎豊の「卒業」ふうには)行儀よくまじめなんてクソくらえ
のGraveは「墓」の意味ではないが、
鳩山由紀夫さんが祖父の墓参りをその命日である今日、
したそうである。そして、
「先祖のおかげでこの立場に立たせてもらっている」
と言ったらしい。普通なら先祖を思いやるいい感じ、
な言葉も、こと、鳩山さんの口から発せられると、
ヤナカんじ、である。それにしても、
昨年の今頃はまだ民主党の代表はオザワだった。のに、
民主党が総選挙で勝ちそうな風潮になってきた矢先に、
西松建設の不始末でオザワは辞めざるを得なくなった。
新聞の世論調査では"潔白"そうな岡田さんが有利、
ということだったが、鳩山由紀夫さんが勝って代表になった。
代表になったということはすなわち総理、
ということを意味してた。オザワおろし、そして、代表選は、
鳩山さんの御母堂の金が物を言った、としたら……。
鳩山一郎の父和夫は美作国勝山藩三浦家(たった2万3千石)の上士、
江戸留守居役の家に生まれた。ものすごい秀才だったらしい。
のちに、早大の学長になった。明治になった少年期、
東大の法理文各学部の前身だった大学南校で、
日向国飫肥藩伊東家の下士の出であるあの
小村寿太郎と首席をあらそってたという。
生まれも安政2年9月(小村)と安政3年4月とたった半年違い、
死んだのも同年、明治44年の11月(小村)と10月である。

主要主題の確保が、
**♪【ドーー│>シーー│<ドー>ラ│<シ】<ド>ラ│
  <シー<レ│レー>♯ド│<レーー│『ーーー│
  <ミー<ファ│ー<♯ファーー│<ラ(し)ー>ソ(ど)│ー<シ(み)ー│
  <ド(ふぁ)ー>シ(み)│ー>ラ(し)ー│(***)
  >ソ(ど)』●・♪
と、変ロ長調からヘ長調に短期転調されると、その途中から
副次部動機への橋渡しとなる。
***♪♯ファ(し)<ソ(ど)・<シ(み)>ラ(れ)│
  >ソ(ど)>ミ(ら)・>レ(そ)<ミ(ら)・>レ(そ)>シ(み)│(>ソ(ど))♪
これは、両翼vnの完全ユニゾンによって奏されるが、すぐさま変ロ長調に復し、
***♪ソー・ーー│<ラー・ーー・<シー│<ド●♪
という副次部動機が現れる。これは4度現れ、
主要主題が両翼vnのG線上の完全ユニゾンで戻ってくる。このとき、
フルートとクラリネットの4管が、「白鳥の湖」の#3のヴァルスと同様の
「8度飛躍のさえずり」を吹く。コデッタは、
主要主題の確保の終い部分のヘ長調に傾いた部分から編まれた、
***♪♯ソーーー<ラー│ーー<シーーーー│
  <レーーー>ドー│ーー<ミーーー│
  <ファーーー>ミー│ーー>レーーー>│ド♪
という、今度は主調の変ロ長調で締められる。そして、
変ホ長調に転じて中間部が始まる。
オーボエ1管とそのオクターヴ上のフルート1管、そして
そのまたオクターヴ上の鉄琴が、
***♪ソー│<レーーー>ソー│●●●●ソー│<ドーーー>ソー│●●●●
  >ミー│<ソー>レー、<ラー│>ソー>レー、<ラー│>ソー>♯レー、<ミー│>シー<ド●、
  <ソー│<レーーー>ソー│●●●●ソー│<ドーーー>ソー│●●●●
  >ソー│<シー>ラー、>ソー│>♯ファー、<ドー>シー│>ミ●●●●●●♪
という主題を奏する。ホルン1管がカノる。この主題は繰り返され、
***♪ソー│<レーーー>ソー│●●●●ソー│<ドーーー>ソー│●●●●♪のあとの
終い部分を、変ホ長調(3♭)の「ソ」をト短調(2♭)の「ド」に置き換えて、
***♪ドー│<レー>ドー、>シー│>ラー<シー、<ドー│<レー>ドー、>シー│<ミ●<ファ●♪
として、ト短調の属7から変ロ長調の属7として、
主部の主要主題を再現させる。
***♪ソ<ラ<シ│ドーーーーー│>シーーーーー│<ドーーー>ラー│<シー<ドー>ラー│
  <シーーー、<レー│<ミーーー>♯ドー│<レーーー│ーーーーーー♪
再現部は提示部をそっくり再現し、コデッタの部分だけを少し拡張・増音する。
***♪♯ソーーー<ラー│ーー<シーーーー│
   <レーーー>ドー│ーー<ミーーー│
   <ファーーー>ミー│ーー>ラーーー>│
   >♯ソーーー<ラー│ーー<レーーー│
   <ミーーー>レー│ーー>ソーーー│
   >♯ファーーー<ソー│ーー<♯ソーーー│
   <ラーーー<シー│ーー<ドーーー│
   <♯レーーー<ミー│ーー<ラーーー│
   >ソーーー>ファー│ーー>ミーーー│
   >ド●♪
このヘミオラ(3拍子の2小節中を2拍*3と刻むこと)への
4分音符の刻み打ちは、ヘミオラの2拍めに置かれる
裏打ちにさてるのである。この
18小節あまりの長い「溜め」の終い、16小節めの第2拍の
「ラーーー」がなんと心地よい頂上を感じさせることか。
***♪♯レ<ミ<♯ファ<ソ│<シ<ド<ミーーー│>ド●♪
を2度打ちだして、変ロ長調の主和音と
第5、第9、第11音を欠く属13を交互に6度繰り返し、
主和音を2回打ちこんで、主音のユニゾンで曲を閉じる。
簡素な構造ながらじつに秀逸なヴァルスである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#6ヴァルス(その3)/主要主題【怒りの日】」

2010年02月13日 21時34分21秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫

チャイコフスキー 眠れる森の美女


ヴァンクーヴァー・オリンピックが始まった。
オリンピックのいいところは、世界各国の
美人が見れるころである。運動能力に秀でたアスリートは
見てくれもよくなる遺伝子を備えてることが多い。今回の
聖火の点火者のひとりは、スピード・スケイターだった
カトリーナ・ルメイ=ドーン女史だった。すでにアラフォーだが、
じつにいい。というか、ある種の、私のようなマニアには、
美人という範疇で捉えられる魅力を持つ。しかも、着実に
私が大好きなチョイデブ熟女への道を歩んでる感じで
なによりである。それはともあれ、
日本のTV局のリポーターにお笑い芸人の
はんにゃが選ばれてないのがどうしても解せないのは、
EXILEのAKIRAと香川照之の顔の区別がつかない
拙脳なる私だけだろうか。ちなみに、
香川照之は東大卒のインテリ俳優だが、その父親の
スーパーカブキ猿之助も慶大卒である。ときに、最近、
母が冬咲きの桜である啓翁桜の枝を部屋に飾ってる。かつて、
庭がある家に住んでた頃には、桜も梅も蝋梅も
無花果も柿も、庭じゅうをありとあらゆる
百花で植え尽くしてたが、歳をとって
都心のマンション暮らしがいちばんと言いだしたここ10年は、
ヴェランダに精選した植物を置いてる程度である。

城のバルコニーにお出ましの王と王妃、そして、
4箇国の王子たちを前に、領民らがワルツを踊る。
ファゴット2管のユニゾンとオクターヴ下のコントラバスによる
**♪ド(ーー)│>ソ(ーー)│<ド(ーー)│>ソ(ーー)♪
そして、コーラングレ、クラリネット2管、ホルン3管による
ワルツの2、3拍の伴奏に乗って、
両翼vnとそのオクターヴ下のヴィーオーラ&チェロのユニゾンが、
**♪【ドーー│>シーー│<ドー>ラ│<シ】<ド>ラ│
  <シー、<レ│<ミー>♯ド│<レーー│ーーー│
  <ソーー│>♯ファーー│>(N)ファー>レ│<ファ>ミ>レ│
  <ラー>ソ│>ファー>ミ│ミ>レ<♯ド│<レ、>ラ<シ♪
という主要ワルツを奏する。このワルツの確保は、
**♪【ドーー│>シーー│<ドー>ラ│<シ】<ド>ラ│
  <シー<レ│レー>♯ド│<レーー│『ーーー│
  <ミー<ファ│ー<♯ファーー│<ラ(し)ー>ソ(ど)│ー<シ(み)ー│
  <ド(ふぁ)ー>シ(み)│ー>ラ(し)ー│(***)
  >ソ(ど)』●・>♯ファ(し)<ソ(ど)・<シ(み)>ラ(れ)│
  >ソ(ど)>ミ(ら)・>レ(そ)<ミ(ら)・>レ(そ)>シ(み)│(>ソ(ど))♪
となる。後半はヘミオラ(3拍子中の2小節を2拍*3と刻むこと)となるが、
ここは第2ワルツへの導入部をも兼ねるように組み立てられ、
属調であるヘ長調に短期転調されてるのである。また、
『』の部分には、コルネット2管(+トランペット1管)による
オッブリガートが挿入される。
**♪『[f-a-c]ーー│[fis-a-c]ーー│[g-b-c]ーー│[(c)-a-c]ーー│
   ー[f-c]ー│[f-d]ーー│[b-e]ーー│(***)[a-f]』♪
じつに小粋でお見事なオッブリガートである。この
オッブリガートがヘ長調への短期転調を裏打ちしてるのである。

ところで、この第6曲は、
「領民」が輪になって踊る、
というナンバーである。そして、この踊りから、
物語が「不幸に向けて」走り出す、
という鍵になってるのである。
それとまったく同じ構図だったのが、
「白鳥の湖」(第1幕)#8のポロネーズ、
「乾杯の踊り」である。
[テンポ・ディ・ポラッカ、3/4拍子]、
♪****ドーード・ドー>シー・<レ>ド>シ<ド|
  >ソーーソ・ソー>♯ファー・<ラ>ソ>♯ファ<ソ|
  >♯レー<ミー・>♯レー<ミー・<ラ>ソ>ファ>ミ|
  <ファ、>ラ<シ<♯ド・<レ<ミ<ファ<ソ・<ラ<シ<♯ド<レ|
  <ミーーミ・ミー>レー・<ミー>レー|
  <ミー>シー・<レ>ド>シ>ラ・>ソー<ラー|
  <【ドー>シー・<ドー>ラー・<シ(>ラ)>ソ<ラ】|
  <シーー>ラ・>ソーーー・●●●●♪
「眠れる森の美女」(第1幕)#6のヴァルス同様、
【dies irae(ディエス・イレ)】が填めこまれてるのである。
この物語の主人公らが審判され、天国行きか地獄落ちか
仕分けされる日がやってきた、のである。といって、
レンホウやエダノは出てこない。ときに、
天国といえば、いま、テレ東の「アド街ック天国」で
「牛込神楽坂」をやってるが、15年くらい前は
版元のS社によく通ってたので、あのあたりは
打ち合わせとか飯で行った店がけっこうある。当時は
車の数が多かったので、渋滞の激しい地区だった。
今ではそれが幻だったかのように
スイスイ行けるほどである。それはともかく、
「乾杯の踊り」の調性は
「ホ長調=4♯」。この「眠れる森の美女」のヴァルスは
「変ロ長調=2♭」。5度圏概念では正反対の調である。
「白鳥の湖」はオデット姫もズィークリート王子も死ぬが、
「眠れる森の美女」では「ホ長調=4♯」のリラの精による
カラボスの呪い封じのお蔭で「イ長調=3♯」の
オーロラ姫は死なず、ただ眠るだけである。次曲で
成人したオーロラ姫が登場する場面で、
ハ長調からリラの精のホ長調(4♯)に引っ張られて
イ長調(3♯)に向かわせてることで、
チャイコフスキーがこの物語を正しく把握してたことが
見てとれる。ただし、
フィナーレのアポテオーズがト短調(2♭)であることで、
単なるメデタシメデタシのお噺ではないことも
チャイコフスキーはちきんと示してたのである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#6ヴァルス(ぞの2)/イントロ後半」

2010年02月07日 17時38分52秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
私が通常の「勤め人」になれないと思ったのは、
髭である。私は髭が薄くはない。かといって、
お笑い芸人ワッキーほどではけっしてない。が、
剛毛なのである。かつ、皮膚がヤワなのである。だから、
髭をきちんと剃ろうとしても、必ず剃り残しができてしまう。しかも、
無理して髭を剃るので皮膚まで剃れてしまい、
顎から頬まで切り傷だらけになってしまう。いままで、
どれほどの剃刀、シェイヴァーを試しては落胆したことか。
ブラウン、フィリプス、ナショナル、シック、ジレット……。
「お客さん、これなら絶対に剃れます」
それがすべてだめなことは経験で分かってる。
シェイヴには散々苦労してきたのである。ところで、
シェイヴ有楽町店が2010年の今年12月25日を以て閉店、
だという。現在、ビックカメラ有楽町店は、かつては
有楽町そごうだった。隣の旧都庁跡地に
東京国際フォーラムができた1997年から有楽町そごうが閉店する
2001年までの数年、東京国際フォーラムでバレエ公演をしてた
スィルヴィ・ギィムがリハーサルや公演の合間、有楽町そごうのデパ地下に
買い物によくきてたらしい。それはともあれ、
百年前の明治43年1910年の6月25日に、
有楽町駅が開業したらしい。が、
安藤美姫女史と水川あさみ女史の声&しゃべりの
区別がつかない拙脳なる私ゆえ、
不確かな情報である。

「アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、2♭」
このヴァルス(ワルツ)のイントロの前半の終い4小節は、
2♭の変ロ長調でスキャンすれば、
***♪<【♯ファ(み)ー・ー、>♯ド(し)・<レ(ど)<ミ(れ)】│
   <【♯ファ(み)ー・ー、>♯ド(し)・<レ(ど)<ミ(れ)】│
   <【♯ファ(み)ー・ー、>♯ド(し)・<レ(ど)<ミ(れ)】│
   <【♯ファ(み)ー・ー、>レ(ど)・<ミ(れ)<♯ファ(み)】♪
ということである。実質的には
括弧書きの平仮名で示したように、いちおうは
ハ長調となってる。が、その
♪e>h<c<d♪
(ハ長調では♪み>し<ど<れ♪)
は、
♪ら>み<ふぁ<そ♪
という面を内包し、最後の1小節では、これを
♪し>♯ふぁ<そ<ら♪
と置換して、
イントロ後半を実質「ヘ長調」に導くのである。
***♪ド>ソ・ソ>ミ・ミ>ド│
  <ド>♯ファ・♯ファ>♭ミ・♭ミ>ド│
  <ド>ファ・ファ>レ・レ>ド│
  <ド>ソ・ソ>ミ・ミ>ド♪
を2度打ちだし、次いで、
***♪ド>♯ファ・♯ファ>♭ミ・♭ミ>ド│
  <ド>ソ・ソ>ミ・ミ>ド│
  <ド>♯ファ・♯ファ>♭ミ・♭ミ>ド│
  <ド>ソ・ソ>ミ・ミ>ド♪
と順を入れ替え、
***♪ソ>ミ・ミ>ド・ド>ソ│
  <ミ>ド・ド>ソ・ソ>ミ│
  <ド>ソ・ソ>ミ・ミ>ド│
  ソ>ミ・ミ>ド・ド>ソ♪
となって、最後は、
***♪ド<ミ・ミ<ソ・ソ<ド│
   ド<ミ・ミ<ソ・ソ<ド│
   ドー・ドー・ドー│
ド●・●●・●●(フェルマータ)♪
と、実質ヘ長調のままイントロを終える。
単純でありきたりなものながら、このイントロ後半の
♪ド>ソ・ソ>ミ・ミ>ド♪(♪ド>ソ・ー>ミ・ー>ド♪)
つまり、【ド>ソ>ミ>ド】は、次曲第7曲で、
成人したオーロラ姫の登場を期待させる「まえぶれ」に、
リラの精の主題を変型させた形で現れる。
この音型のゼクヴェンツ(同形反復)をチャイコフスキーは、
最後のオペラ「イヨランタ」の終曲大団円で、
「アサンナ・ヴ・ヴィシニフ」
(神に栄光あれ→だから、ソ連共産党はこの歌詞を替えた)
というセリフを10人のソリスト、次いで合唱が、
交互に唱える箇所に再び用いてるのである。そして、
「パチェチーチェスカヤ・スィンフォーニヤ」の第3楽章終いでも、
***♪【ド●・ド●・・●●・●ド│
    ●●・ド●・・●●・>ソ●│
   >ミ●>【ド】●・・>ソ●・>ミ│
   >ドー・ーー・・ーー・ーー│ーー・ーー・・ーー・ドドド│ド】♪
と再々用いて、「真打ちのお出まし」の
露払いをさせてるのである。ともあれ、
曲は調号が2♭のまま、イントロをその属調である
ヘ長調で閉め、主部の変ロ長調ワルツをお膳立てするのである。
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