チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#25パ・ドゥ・カトル/コーダ」

2010年09月26日 21時03分10秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
死語となった「平和ボケ日本」は、今になってようやく
ボディブロウのように効き始めてる。おそらく
日本人の主たるルーツが共通してるであろうブータンは、
なんでも"GNH(グロス・ナションル・ハピネス=国民総幸福量)"が
"国是"なんだそうである。が、それも、
現実には「インドの軍事力」という後ろ盾があるから、
そんな暢気なことが言ってれるのである。が、それ以上に、
インド日本、、スイス、デンマーク、オランダ、とりわけ
我が国日本から多額の援助や技術指導を受けてるから
国が成り立ってるのである。
「貧しくてもいい。逞しく育ってほしい」
といっても、日本帝国がかつて朝鮮にインフラ整備してやったような
医療体制はブータンでは整備されてなかったから、かつては、
病気になればまず坊主に祈祷させる、
という超現代的な仏頼みのお国柄だったので、
平均寿命が50歳台だった。が、
医療制度改革によって、値は60歳台に乗っかった。
彼らが現在「無料」で医療や教育を受けれるのは、ひとえに、
日本人一人ひとりが働いて収めた税金のおかげなのである。
そんなことも知らない勘違いタレントのリポーターが番組で
ブータンを訪れたおりに、
<どこにも媚びたりしない精神的に自立した国>
などと宣ってた。その番組では、
「国に恩返しがしたい」
とブータンの若者は言ってたが、まず日本に恩を返したほうが
信心する仏様に愛でられることだろう。かつて、
孫文は日本人が清朝からかくまい、支援してやったにもかかわらず、
日本を裏切り恩を仇で返した。中国人に
恩に着るなどという気持ちなどないかもしれないが、
ブータン人はどうだろうか。ところで、
ノンフィクション作家河添恵子女史の
「中国に侵蝕されるブータン王国」(ワック出版刊「Will2010年11月号」)
によれば、首都ティンプーの街には、
中国人観光客や中国製品が目立つという。そして、
ブータン北部の山岳地帯では、
<中国の人民解放軍が年に数kmずつブータン側に入り込み、
 掘っ立て小屋を建てて>るらしい。
人民解放軍がブータンの遊牧民からヤクを買い、あるいは捕獲し、
約(ヤク)4万6千5百㎡だった国土が、
約(ヤク)3万8千4百㎡に減少してしまったそうである。はたして、
ブータンに幸福の青い鳥(これは、チルチル&ミチルの話のほうであるが)は
訪れるのだろうか。五つ星を鏤めた凶悪な紅い旗でなければいいが。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第25曲「パ・ドゥ・カトル」は、
初演からプティパが「青い鳥(とカロリヌ王女)のパ・ドゥ・ドゥ」に変えて、
踊り手の人員を4人から2人に減少させてしまった。このナンバーは、
【a】4人顔見せ=アダージョ、4/4拍子、無調号(ハ長調)
【b】ヴァリアスィョン(1)シンデレラとフォルチュネ王子=アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、3♭(ハ長調)
【c】ヴァリアスィョン(2)青い鳥とフロリヌ王女=アンダンティーノ、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
【d】コーダ(4人)=プレスト、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
という構成である。その【d】。

「プレスト、2/4拍子、1♭(ヘ長調)」
チェロとヴィオーラによる8分音符の属音のオクターヴ跳躍ピッツィカートが
ffから次第に減音してpになると、
vnプリーモが主要主題を奏する。
****♪ラ>ソ<ラ>ソ│<シー>ソー、・<シ>ソ<シ>ソ│<ドー>ソー、・
   <ド>ソ<ド>ソ│<シー>ソー、・<シ>ソ<シ>ソ│<ラー>ソー、・
   <ラ>ソ<ラ>ソ│<シー>ソー、・<シ>ソ<シ>ソ│<ドー>ソー、・
   <ド>ソ<ド>ソ│<シー>ソー、・<シ>ソ<シ>ソ│<ラー>ファー♪
本来は"Presto"で演奏される曲であるので、主題の
骨子の[ラ<シシ<ドドド>シ>ラ]が際立つはずなのだが、
巷の演奏ではすべてが4分音符=138以下、多くが、
4分音符=116あたりの「アッレーグロ・ノン・トロッポ」ほどで指揮られるので、
その骨組みが隠れがちである。が、
この主題にvnセコンドが常に、
****♪♯レ<ミ>♯レ<ミ│>♯レー<ミー♪
でハモる。その響きもふくめて、
全体的にこれもモダンな印象を覚えるクラ音である。

現実的なバレエの世界では、カトルではなく、
「青い鳥(とカロリヌ王女)のパ・ドゥ・ドゥ」に変えられてしまったのだが、
このコーダのしょっぱなで男性ソリストによって披露される
brise vole(ブリゼ・ヴォレ=跳躍した足叩き合わせ)の連続は見ものである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#25パ・ドゥ・カトル/ヴァリ2」

2010年09月23日 00時29分08秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[青い鳥とフロリヌ王女]

前田恒彦検事による証拠捏造が暴かれたらしい。それでも、
虚偽告訴罪には問われないようである。そもそも、司法において、
判事・検事・警察官・弁護士はウソをつかないという前提、
こそが冤罪が生まれる要因のように思える。ときに、
冤罪といえば真っ先に名が挙がるのが、帝銀事件(1948年)である。
テンペラ画家故平沢貞通(1892-1987)は、
第一容疑者に年格好が似てたことと、
事件現場に残された厚生省技官の名刺を受け取った一人だったこと、
銀行詐欺の前科があること、
盗まれた額とほぼ同額の預金があったこと、
などで、被疑者に仕立てられたということになってる。が、
その第一容疑者は元軍医で陸軍関係の病院の院長をしてた。
平沢貞通の父親平沢五平は、陸軍の憲兵だった。ちなみに、
小樽分隊長を最後に退職して、旧百万石大名の前田利嗣が
本来は失業武士のために設立した前田農場で管理業務をしてたらしい。
戦後になって、戦争責任を追求する左翼思想家らによって
"鬼より怖い憲兵"と必要以上に誇張されたためにイメージが悪いが、実際、
高圧的な憲兵は多かったようである。だから、誰がしからか、
強烈な恨みをかってた可能性もある。
オウム・サリン・テロ事件の2年前、すなわち、チャイコフスキー没後100年の年には、
京都市内の青蓮院、仁和寺、三千院、などの
門跡寺院(皇族が住職を務める寺院)が
左翼のテロ放火に遭ったりもした。それはさておき、
村木女史は自らの裁判について、
<弁護士らプロの助けを借りて難局を乗り切った>
と説明したとのことである。罪を着せられなければ
受けなくてよかった裁判である。つまり、
風が吹けば桶屋が儲かるし、
虚偽事件が起きれば裁判所と弁護士が儲かる(とくに後者)、のである。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第25曲「パ・ドゥ・カトル」は、
【a】4人顔見せ=アダージョ、4/4拍子、無調号(ハ長調)
【b】ヴァリアスィョン(1)シンデレラとフォルチュネ王子=アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、3♭(ハ長調)
【c】ヴァリアスィョン(2)青い鳥とフロリヌ王女=アンダンティーノ、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
【d】コーダ(4人)=プレスト、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
という構成である。その【c】。

「ヴァリアスィョン(2)青い鳥とフロリヌ王女」
自分の愛人を「ペレアスとメリザンド」の主役に使わなかったからといって
ドビュッスィーを銃殺しようと(マジで)家まで乗り込んだメーテルランクの
チルチル&ミチルとも大島ミチルとも、まったく別物である。
桜田淳子女史とも、クッククックと何らかの料理とも無関係である。
検察庁も、桜田通りよりは日比谷公園に面してる。ともあれ、
「乗馬ブーツを履いた雄猫と白い雌猫」の「白い雌猫」とともに、
Madame d'Aulnoy(マダム・ドヌワ=オヌワ夫人、いわゆるオーノワ夫人)が書いた、
幽閉された姫に青い鳥に姿を変えられた王子がせっせと会いにくる、
という童話の主人公である。
[アンダンティーノ、2/4拍子、1♭(ヘ長調)]
弦群のピッツィカートに乗って、第1フルートが、
****♪(ソ<)ドーー(>ミ)<ソーー│(>ミ)<ラーー♪
とpで囀る。すると、第2フルートが、
****♪(>ミ>♯レ>Nレ)>ドーー♪
とpで返す。主題はこの応答を繰り返して構成される。
主題の確保時はクラリネット1管が16分音符のアルペッジョで加わる。
主題がクレッシェンドしながら確保されるとmf、
*****♪(ミ<)ドー>シッシッ>ラッラッ<シッシッ・>ラッラッ<シッシッ>ラッラッ<シッシッ│
    >ラッラッ<シッシッ>ラッラッ<シッシッ・>ラッラッ<シッシッ>ラッラッ<シッシッ│
    <ドッドッ>シッシッ>ラッラッ<シッシッ・>ラッラッ<シッシッ>ラッラッ<シッシッ│
(クレッシェンド)>ラッラッ<シッシッ>ラッラッ<シッシッ・>ラッラッ<シッシッ>ラッラッ<シッシッ│
    (f)<ドー>シー>ラー>ソー・>♯ファー<ソー<ラー<シー│
      <ドー>シー>ラー>ソー・>♯ファー<ソー<ラー<シー│
      <ドー>シー>ラー>ソー・<ドー>シー>ラー>ソー│
      <ドー>シー>ラー>ソー・<ドーーー●●●●(フェルマータ)♪
と閉められる。
フルート奏者二人のタンギングしあいっこが聴きどころである。
タンギング爺さん、ではない。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#25パ・ドゥ・カトル/ヴァリ1ヴァルス」

2010年09月16日 00時23分18秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[シンデレラとフォルチュネ王子]

煎餅焼きが快調に進んでる。
この生活に安住してるからか、おかげでこの拙脳でも、
AKB48の秋元才加女史と女優鈴木杏樹女史の顔を
見分けれるようになった。
[秋元と、目には才加に、見えねども、風の音にぞ、おどろかれぬる]
少ない駄賃ゆえ煎餅をどんどん焼かないと食ってけないので
アソンでもいれないが、ちょっと気温が下がったからといって
冷房代をケチって窓を開けっ放しにしておいたら、早速、
蚊に食われることおびただしかった。
カトル線香を焚かないといけない。が、
蚊取り線香には防腐ラ剤が使用されてるものかのかどうか、
拙脳なる私にはやはり分からない。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第25曲「パ・ドゥ・カトル」は、
【a】4人顔見せ=アダージョ、4/4拍子、無調号(ハ長調)
【b】ヴァリアスィョン(1)シンデレラとフォルチュネ王子=アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、3♭(ハ長調)
【c】ヴァリアスィョン(2)青い鳥とフロリヌ王女=アンダンティーノ、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
【d】コーダ(4人)=プレスト、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
という構成である。その【b】。

「ヴァリアスィョン(1)シンデレラとフォルチュネ王子」
[アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、3♭(ハ長調)]
両翼vnとそのオクターヴ下のヴィオーラ+チェロがユニゾンで、
このヴァルスの主要主題の弾頭を3度繰り返す。
***♪●●・ミー・<ラー│>ソー、>ミー・<ラー│>ソー、>ミー・<ラー│>ソー、♪
そして、そのまま主題提示になだれ込む。
***♪ミー・<ラー│>ソー・ー、<ラ・>ソー│ー、<ラー・>ソーー・ー、
  <ラ│>ソー・<ラー、・<シー│<ド●、
  ・>ドー・<レー│<ミー・ー、<ファ・>ミー│ー、<ファ・>ミー・ー、
  <ファ│>ミー・<ソー、・>ファー│>レ●♪
このユニットが二つで一組となって二度打ち出され、
終いは[ラ>ソ>ミ>ド]と[ラ>ソ>ファ>レ]というヘミオラを繰り返し、
***♪【ファ>ミ・<ファ<ソ・<ラ<シ│<ド●・●●・●●(フェルマータ)】♪
と閉じられる。短いワルツであるが、
この[シンデレラとフォルチュネ王子]という[童話の登場人物たち]には、
次々曲#26においても、その【b】で出番が与えられる。
それは2拍子だが、途中から変ロ長調のワルツに変わるのである。が、
その終いも[プレスト]ながら、
***♪【ファ>ミ・<ファ<ソ・<ラ<シ│<ド●・●●・●●(フェルマータ)】♪
という、まったくのオソロイなのである。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#25 Pas de Quatre」

2010年09月14日 01時14分48秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[シンデレラ、フォルチュネ王子、青い鳥、フロリヌ王女]

先週の金曜の夜は六本木のあたりがなぜか
リーマン・ショックの前くらいに渋滞した。
リーマンが出てった(なくなった)あとにも、ヒルズには
昨年夏頃から外資系がまたどっさり入居してきた。その
昨年の8月2日の日曜は母の家で煎餅を焼いてた。
今はもう死語かもしれないが、私は
「ながら族」である。何か別のことをしてないと、
メインの作業がはかどらない。年老いた母と
嫁の来手もない風采の上がらない稼ぎの乏しい倅が二人、
リヴィング(ルーム)でわびしくTVをみてた。
「絶景! 大自然に生きる日本の秘境家族」
大都会暮らしが好きな母も私も「大自然」は苦手である。が、
テレ東贔屓なので、その番組をみてたのである。
母は親戚と電話しながら、私はラップトップを打ちながら。
そのとき、外で救急車のサイレンの音がした。思えば、
それが故麗城アゲハ女史に対して呼ばれた救急車だったのである。
上記の番組では十津川村も出てきた。
十津川警部は出てこなかったが。ところで、
押尾学は悪いかといえばそれは悪い。が、
故麗城アゲハ女史の母親が、
「押尾被告は失われそうな命を前にして何を考えていたのですか?
大切な娘の命と秤にかけてまで選んだものは何だったのですか?
詫びてほしいとは言いません。ただ、
娘の人生に残されていたであろう時間と同じくらい
長い長い刑を与えてください。
娘の尊い命と同じくらい重い刑を与えてください」
と、そして父親が、
「最高の罪で香織の死を償ってもらいたい」
と、自分らの娘への躾・教育ぶりは棚に上げてでも訴えるほどには、
押尾学はそれほど悪いだろうか。
保護者遺棄致死のかどで裁判にかけられるほどだろうか。
遺棄ではなくて、ただイキがってただけではないのだろうか。
故麗城アゲハ女史は押尾学に押さえつけられ口をこじあけられて
MDMAの錠剤を強制的に飲み込まされたのだろうか。否。
キメセクをしてた相手がおかしくなっちゃったら、
有名人である押尾学がうろたえるのは当然である。
保身を図ろうとするのは自然である。
よう命は惜しおものにて候ひけり、である。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第25曲は、
【a】4人顔見せ=アダージョ、4/4拍子、無調号(ハ長調)
【b】ヴァリアスィョン(1)シンデレラとフォルチュネ王子=アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、3♭(ハ長調)
【c】ヴァリアスィョン(2)青い鳥とフロリヌ王女=アンダンティーノ、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
【d】コーダ(4人)=プレスト、2/4拍子、1♭(ヘ長調)
という構成になってる。といっても、
初演ですでに振付者マリウス・プティパによって、このナンバーは、
「青い鳥とフロリヌ王女のパ・ドゥ・ドゥ」
とされてしまったらしい。が、
それはチャイコフスキーの作曲過程には無関係である。そんなことはどうでも、
"原曲"の"パ・ドゥ・カトル"は、ふたつ前のナンバー、
#23でも据えられてた。

「#23 Pas de Quatre」
[金の精、銀の精、サファイアの精、ダイアモンドの精]
【a】4精顔見せ=アッレーグロ・ノン・タント(附点4分音符=92)、6/8拍子、2♭(変ロ長調)
【b】ヴァリアスィョン(1)金の精=アッレーグロ(テンポ・ディ・ヴァルス)、3/4拍子、3♭(変ホ長調)
【c】ヴァリアスィョン(2)銀の精=アッレーグロ・ジュスト、2/4拍子、4♭(変イ長調)
【d】ヴァリアスィョン(3)サファイアの精=ヴィヴァチッスィモ、5/4(2/4+3/4)拍子、調号なし(ハ長調)
【e】ヴァリアスィョン(4)ダイアモンドの精=ヴィヴァーチェ、2/4拍子、1♯(ト長調)
【f】コーダ(リステッソ・テンポ=ヴァリ4と同じテンポ、2/4拍子、4♯(ホ長調)
という構成であった。こちらはヴァリアスィヨンが単独で踊られたため、
全部で6つである。いっぽう、
#25のほうは、ヴァリアスィヨンがカップルで踊られるので、
ふたつ少ない4つである。さて、

「#25 Pas de Quatre」の【a】、
[アダージョ、4/4拍子、無調号(ハ長調)]
低弦のピッツィカート、vnセコンドとヴィオーラのスタッカートな16分音符、
ホルンの属音、という伴奏に乗って、
フルート1管が高音で主要主題を吹く。
*****♪ソーーーーー、>ミー│<ラーーー、
    >ソ<ラ>ソ>ミ>ド>ラ・>ソーーーーーーー・・ーーーー●●●●♪
主要主題群は繰り返されるときにはクラリネット1管のカノンを伴う。
いわば中間部は実質ロ短調、
フルート2管+ディーヴィズィされた半分のvnプリーモ、そのオクターヴ下の
オーボエ1管+ディーヴィズィされたもう半分のvnプリーモが、
*****♪ラーーーーー、>♯ソー│<ラーーー>♯ソーーー・<ラーーー、
   >♯ファーーー・・<ラーーー>♯ソーーー・<シーーー、
   >♯ソーーー│<シー>ラー、<シー<ドー・<レー<ミー<ファーー>ミ・ミーーーーー>シー♪
という中間部主題を奏する。これは途中、長化され、
*****♪ドーーーーー、>シー│<ドーーー>シーーー・<ドーーー、
   >ラーーー・・<ドーーー>シーーー・<レーーー、
   >シーーー│<レー>ドー、<レー<ミー・<ファー<ソー<ラーー>ソ・ソーーーーー>レー♪
となる。このときの極大値であるhでは、
フルート1管+ディーヴィズィされた半分のvnプリーモ、そのオクターヴ下の
フルート1管+オーボエ1管+ディーヴィズィされたもう半分のvnプリーモの混合音が、
きわめて素晴らしく響くのである。こういうセンスは、
大作曲家でもチャイコフスキー以外には備わってない。そして、
その長化された中間部主題からハ長調の属7にシフトさせ、
主要主題を再現させるくだりも、じつに感動的である。
主要主題の再現はフルートでなくクラリネット1管が受け持たされる。そして、
フルート1管の高音は今度はカノるほうにされる。これもまた、
チャイコフスキーの音色へのセンスのよさである。
4小節(+1拍)の小さな結尾は、これまた抜群のセンスである。
****♪●ドッ<レッ<ミッ│<ファッ>ミッ>レッ>ドッ・
   ●●●ドッ・・<レッ>ドッ>シッ<ドッ・
   ●●●>♯ファッ│<ラッ>ソッ>♯ファッ<ソッ♪
と弦群が奏する。その合間を木管群が埋める。
終いから2小節めは、
「オネーギン」の第1幕第2場でチチヤーナが乳母に」手紙」を託して
「場」が終わるときに現れる夜明けの音楽、
「交響曲第6番(悲愴交響曲)」の第3楽章で、
この曲で2箇所だけ打たれるffffのふたつめが鳴らされる場面、など
(cf……「チャイコフスキーが執着した和声」……
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/04a81f9a09e24287a1bb7a5dcb04b838)
チャイコフスキーがしばしば用いる和声で彩られる。さて、
最後の小節はピッコロ+フルート2管+クラリネット1管が、
鳥が枝渡りをするがごとくハ長調主和音を修飾音附きで分散し、
弦群のピッツィカートがハ長調の主和音→ハ音のユンゾンで閉める。

ところで、
このナンバーの主要主題
*****♪【ソーーーーー、>ミー│<ラーーー、
     >ソ(<ラ>ソ>)ミ>ド>ラ・>ソーーーーーーー・・ーーーー】●●●●♪
の音価を統一して骨子を連ねれば、
【ソ>ミ<ラ>ソ<ラ>ソ>ミ>ド>ラ>ソ】
となる。今からちょうど
「100年」前の明治43年に、
「尋常小学読本唱歌」が当時の文部省によって編纂された。
そこに収められた27曲の唱歌のうちのひとつ、
「虫のこゑ」(旧文部省唱歌)。
「あれ松蟲が鳴いてゐる。」
の箇所の節、(4分音符=80)
***♪【ソ>ミ・<ララ│>ソソ・>ミ●│<ドド・>ララ│>ソー】・●●♪
に「伝えられ」た。ときに、
「虫のこゑ」の二番の歌詞は、
「きりきりきりきり、きりぎりす。」
と始められた。が、
<「きりぎりす」は「こおろぎ」を指す古語>
という鬼の首を取ったような理屈で、
昭和7年の「新訂尋常小学唱歌」において
「改変」されたという。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#24/乗馬ブーツを履いたオス猫と白いメス猫」

2010年09月12日 00時58分02秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
[Pas de caractere/Le chat botte et la chatte blanche]

髪を金髪に染めた小泉純一郎元首相、あるいは、
コメディアンふうな芸風に変わったリチャード・ギア、
みたいな指揮者がNYフィルを"振った"
(会場の客を歌わせたり拍手させたりする芸は、
タモリが笑っていいともでパクッた)TV番組が30年ほど前にあった。
"An Evening With Danny Kaye and the New York Philharmonic"
(アニヴニング・ウィズ・ダニー・ケイ・アンダ・ニュー・ヨーク・フィルハーモニック)
映画「ホワイト・クリスマス」「五つの銅貨」などに出たたコメディアン、
ダニー・ケイに憧れてその名をもじった芸名をつけたのが、
谷啓である。ちなみに、ダニー・ケイはこの番組の当時、
米大リーグのスィアトル・マリナーズの共同オウナーだった。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」
第24曲「パ・ドゥ・カラクテル」
[Allegro moderato、3/4拍子、2♭(ト短調)]
前曲の終いが[4♯]だったのに対して、この
[2♭]は「五度圏概念」において「対極」に位置する。
ト短調というのは、このバレエ「眠りの森の美女」の
最後の大詰めで採られてる調性でもある。
"Pas de caractere(パ・ドゥ・カラクテル)"を
「個性的な踊り」とか「特徴的な踊り」だなんて
いい加減なことを言って悦に入ってるむきがある。
バレエの筋の進行に直接は関係してない
民族舞踊(スペインの踊り、ハンガリーの踊り、など)や、
この「眠れる森の美女」第3幕の、同じ原作者
シャルル・ペロの「登場人物=(英語で)キャラクター」に与えられた、
基本的にはトウ・シューズを履かない踊り手による踊り、
のことである。だから、
"Pas de caractere(パ・ドゥ・カラクテル)"は、
「童話の登場人物の踊り」である。もっとも、
ELTの持田香織女史と女優の黒川芽衣女史の顔の違いが
いまひとつ判らない拙脳なる私の私見にすぎない。

オーボエ1管+ファゴット2管が主動機を吹く。
oboe1  :****♪●●●ソ・>♯ファーーー・>ラーーー♪
farotto1:****♪●●●♯ド・<レーーー・<♯レーーー♪
farotto2:****♪●●●♯ラ・<シーーー・<ドーーー♪
このナンバーに減7が多用される雰囲気がさっそくうかがわれる。
次の小節は弦による減7のトレモロである。
[h(♯ド)-d(ミ)-f(ソ)-gis(♯ラ)]
音の頭にはコルネット2管+トランペット2管が16分音符の音価で補う。
これが繰り返され、さらに2度、であるが、あとの2度の際には、
弦はラッパと同じく16分音符を弾くのみに変更される。
次いで、木管の主動機の音価が短められ、あるいは、
当初の律動で、繰り返される。このときは、
弦はいちいち合いの手は入れず、一段落ごとに
弱音器具を装着して
****♪ソ●>>>ミ●♪
と区切る。それがしばらく続き、曲の半分くらいのところで、
冒頭の主動機が変型される。
oboe1:****♪●●●ラ・>♯ソーーー・>Nソー♪
その吹奏にコルノ・イングレーゼが
より元の主動機に近い音型をカノる。そして、
ピッコロ+フルート2管が3オクターヴのユニゾンで、
****♪ファ>ミ>♯レ<ミー│<ファ>ミ>♯レ<ミー・
   <ファ>ミ>♯レ<ミ<♯ファ<♯ソ・<ラー♪
と受ける。それが繰り返され、
クラリネット2管が16分音符に変型された主動機、
****♪●ファ>ミ>ラ、│<ファ>ミ>♯ソ<ミ、・>♯ソ<ド>♯ソ<シ・>ラ♪
を完全ユニゾンで吹き、
横笛が吹いた音型で閉め、vnプリーモがト短調の上昇スケイルで区切る。
終いは、ピッコロ+フルート2管+クラリネット2管が3オクターヴのユニゾンで
16分音符に変型された主動機を吹き連ねる。
両翼vn+ヴィオーラがラッパの16分音符に裏打ちされた
減7のトレモロをfffで奏し、両翼vnがオクターヴ・ユニゾンで
ト短調の上昇スケイルをffで弾き、木管群+弦群によって、
****♪ラー(主和音)>>>ラー(主音ユニゾン)♪
と閉められる。

このナンバーの主動機は、冒頭でオーボエによって、
2♭(ト短調)の調号の譜面において、
****♪●●●ソ・>♯ファーーー・>ラーーー♪
とは吹かれるものの、そののちに
変型された音型でもわかるとおり、実質的には、
調号を取り払った形の
****♪●●●ファ・>ミーーー・>ソーーー♪
である。チャイコフスキーの音楽には、このようなヒネリが
しばしば見受けられる。それにしても、このナンバーは、
百年以上前に死んでる人が書いたような感じがしない。

しかしながら、
百年あとの現状はひどいものである。
4分音符が分母の拍子に附された速度標語が
[アッレーグロ・モデラート]、つまり、
「アレグロという速度の中で中庸なテンポ」、
テンポの認識にブレがないチャイコフスキーにおいては、ほぼ、
「4分音符=126乃至138」
に相当する。巷におけるほとんどの演奏が遅すぎる。
チャイコフスキーのことなど何もわかっちゃいない輩ばかりが
指揮者になって、その"解釈"とやらを誇示する以前の問題である。
[アッレーグロ・モデラート]を「速くないアレグロ」などと
奇妙奇天烈な認識をしてるのである。
無知、無学。低知能、不勉強。
また、
"Le chat botte et la chatte blanche"
(ル・シャ・ボト・エ・ラ・シャト・ブラォンシュ=乗馬ブーツを履いたオス猫と白いメス猫)
英語圏ではこれを、
"Puss in Boots and the White Cat"
などとして、オスとメスを取り違えて誤訳・誤認されてるものも散見される。
半可通が専門家ぶってどんどん間違ったことを広める。そして、
誤りが正しいことに変わってくのである。
"Bad money drives out good(悪貨は良貨を駆逐する)"

さて、
犬も歩けば弓に当たるし、
街を歩けば野良猫に遭遇する、
という諺のとおり、
「世界ふれあい街歩き」(音楽担当:村井秀清)のテーマ曲は、
****♪●●●ファ│>ミーーー・>ソーーー♪
である。ある意味クレイズィなキャッツの物語である。
ガチョーン!
いっぽう、「英雄」も引退して隠居でもすれば、
猫と戯れることもあるかもしれないが、
「乗馬ブーツを履いたオス猫」のように、
功績をあげて出世するのを「英雄」と呼ぶ場合もある。
リヒャート・シュトラウスの「英雄の生涯」の終い、
独奏ホルンと独奏ヴァイオリンがデュエットする箇所、
[ラングザーム(遅く)、6/8拍子、3♭(変ホ長調)]
****♪(Horn)ソー<ドー<レー│
   >ソーーーーー・ーー<ラ<シ<ド<レ│
   <ミーーーーー・ーーーー(Geige)ミー│
   <ファーーーーー・ーー<ラー>ソー│
   >ミーーーーー・(Horn)【ソー<ミー<ファー│
   >♯ソーーーーー】・<ラ<シ<ド<レ<ミ<ファ│
   <ソーーーーー・ーーーーーー♪
と、【ファ>ミ>ソ<♯ソ】というチャイコフスキーの
「乗馬ブーツを履いたオス猫」のアナグラムなのである。
コメント
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