チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#15(b)オーロラのVariation」

2010年07月21日 00時41分26秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
大相撲名古屋場所の録画放送を月曜にみた。
18時10分からだったのだが、なんと、
NHKのアナウンサーは「ろくじジュップンになりました」
と言ってた。あれほどクドく
「10はジウであってジュウではない。だから、
10分はジュップンではなくジップンである」
と言ってたくせにである。私がガキだった頃のアニメソングなど、
♪びゅーんと飛んでく、てーつじん、
 ニジウはーちーごーーー♪
28号をニジウハチゴウなんて発音してたのである。それに、
たった8年前は「冬ソナ」ではチェ・ジウだったものが、今では
チェ・ジュウである(※)。まぁ、
言葉なんてのは「みんな」が使うもの、である。だから、
おのずと「崩れて」くものである。
誤って使われ始めたものでも、それが主流になれば
正義になるのである。もっとも、
旧猿岩石の有吉弘行をありよしひろユきと読んでしまうような、
あるいは、
大相撲の旭天鵬関と有吉弘行と曽我ひとみ女史との顔は
ひとつの顔のヴァリエイションかと思ってた拙脳なる私の
取るに足らない感想にすぎない。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲は、
a)Pas d'Action
b)Variation d'Aurore
c)Coda
という3つから成ってる。その
b)オロールのヴァリアスィヨン
である。
[Allegro con moto、2/4拍子、2♭(変ロ長調)]
「アッレーグロ・コン・モート」、つまり、「動きをつけて」と要求されてる。
弦楽5部のスィンコペイション的な伴奏に乗って、
オーボエ1管がmpでオロルのヴァリアスィヨンの主題を吹く。
****♪ラー│<シー<ドー、・<レーッ<ミーッ、│
     <ファーーー・>ラー、<ミー│
     <ファーーー・>ラー、<シー│
     <ドーーー・ーー、<ソー│
     >ファー>ミー・>レッッ>♯ドッッ│
     <レーーー・>ラー、<♯ドー│
     <レーーー・>ラー、<(N)ドー│
     >シーーー・ーー、
  >ラー│<シー<ドー、・<レッッ<ミッッ、│
     <ファーーー・>ラー、<ミー│
     <ファーーー・>ラー、<シー│
     <ドーーー・ーー、
      (このド=bをファと置き換えてヘ長調)<ドー│
     >シー>ラー・>ソッッ>ファッッ│
     >ミーーー・<ファー、<ソー│
     <♭ラーーー・>シー、<ソー│
     >ドーーー・ーー、
      (ここから両翼vnがオクターヴ・ユニゾンで主題を確保)
  <レー│<ミー<ファー、・<ソッッ<ラッッ、│
  (<ラー│<シー<ドー、・<レッッ<ミッッ、)│……変ロ長調に戻る♪

実に上品で、かつ、蠱惑的な、曲である。
オロル姫がいかに魅力的な女性であるか、
ということを描写してるかのようである。
ともあれ、
両翼vnによる主題は終い、平行調のニ短調にシフトされ、
16分音符の経過句に移る。そして、
フルート2管+オクターヴ下のクラリネット2管
+そのまたオクターヴ下のコルノ・イングレーゼとファゴット2管、
という、主題提示楽器であるオーボエを除いた
木管群によるユニゾンで主題が再現される。終いは、
先ほどのニ短調だった経過句が平行調の変ロ長調で奏され、
両翼vn+ヴィオーラのピッツィカートの正規の拍打ちに対して、
この曲のスィンコペイション的なフレイズィングを確かめるかのように、
オーボエ2管+クラリネット2管+ファゴット2管+ホルン4管+チェロ&コントラバスが
曲を閉める。この終いの書法は、
次のバレエ「くるみ割り人形」の序曲の終いで、
さらに洗練されることになる。

このオロールのヴァリアスィヨンは「眠りの森の美女」の曲の中でも
とくに好きな曲である。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#15(a)パ・ダクスィヨン(その4)」

2010年07月18日 23時09分17秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
フジTVで「平成教育学院」の「漢字キング決定SP」をやってた。
「難読名字」のコーナーがあった。この手は、だいたい
つまらない。くだらない語呂合わせで作られたものが
ほとんどだからである。その最後に出てきたのが、
「十」。「木」の枝がない状態、つまり、
左右のハライを取り去ったということで、
「えだなし」「もげき」「もぎき」
などと読ませるそうである。ちなみに、
説明がない誠意のかけらもないことも、
一部社会ではもぎきというらしい。

ともあれ、
この番組にはお笑い芸人浅草キッドの
水道橋博士も出てた。同人は先月、
番組収録中に尿意と激しい腹痛を訴えて
病院へ緊急搬送されて処置を受けたたらしい。
この番組の収録は今月2日だったそうだが、
番組をみるかぎり元気のない顔をしてた。そして、
本人のブログをみてみたが、翌3日付けで、
<朝から東京医大へ。
神経内科の担当医から、検査結果報告。
僅かながら懸念されたギラン・バレー症候群は、
杏林大学病院で陰性判定。
脊髄炎も否定され、「髄膜炎の尿閉症」と確定。>
と書かれてた。同人にはあてはまらないとは思うが、
髄膜炎の尿閉症といったら、
HTLV-1関連脊髄症の特徴的な症状である。
目や口にも麻痺があるようなことを書いてるので、
仮にHTLV-1関連脊髄症だとしたら、
かなり進行してると思われる。
HTLV-1関連脊髄症はその名のとおり、
成人T細胞白血病(ATL)のもとである
ウィルスHTLV-1によって引き起こされる疾患らしい。
かといって、ATLが発症してるとはかぎらない。

ところで、
ATLは世界的にみて、日本がとくに多い。
九州(とくに鹿児島・宮崎・長崎)、沖縄、四国南部沿岸、
紀伊半島南部沿岸、そして、三陸沿岸、アイヌ。
同じく極東でも、中国人と朝鮮・韓国人にはいない。
台湾先住民、東南アジア島嶼部、インド、ニューギニア、
イヌイット、ネイティヴ・アメリカン、カリブ海沿岸、アンデスの先住民。
そのキャリアであるHTLV-1抗体陽性者も当然、
同様な分布をしてる。縄文人の分布に近い。
感染経路は、ウィルスはリンパ球に潜んでるため、ほとんどが
母乳授乳。わずかに子宮内感染、そして、
輸血(現在はまずないはず)、性行為。
宮城県知事だった浅野史郎は母親から感染したらしい。
本人の弁によれば<母は九州にはまったく縁戚はない>
とのことであるが、上記の如く、同人の出身仙台は、
三陸海岸の南端とみなすことができる。それに、
九州はたしかに抜群に多いが、なにも
九州に限ったものではない。しかも、明治になってすでに
150年近くが経つ。5世代が経過してることになる。とくに、
戦後は地方から東京に出てくる者が多いので、
分布はかなり広がってるものと考えてほうがいい。
かつての頻出地帯以外は検査をしない。いずれにしても、
このウィルスが発見されたのは、たったの
30年ほど前である。
ほとんどのキャリアは発症しない。が、
上記の浅野元東京都知事候補のように、
オッサンになってから発症することが稀にある。つまり、
潜伏期間が数十年から百年(その前に別の原因で死んでしまう)
ということができる。

百年の眠りについたオロール姫の物語による
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲のa)Pas d'Actionは、
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
→[Pochissimo piu animato]→[Tempo Primo]→[Piu mosso]
【後】[Allegro、3/8拍子、1♭]
その【後】[Allegro、3/8拍子、1♭]

この【後】部は[主要主題の変型-中間部-主要主題の変型の再現]
というサンドウィッチ式3部で成り立ってる。
ピッコロ、そのオクターヴ下のフルート2管、そのまたオクターヴ下のクラリネット2管が、
****♪ラー│<ドー、>ミー<ラー、│>レーーー、<ソー│
     <ドー、>ミー<ラー、│<レーーー、<ソー│
     <ラッ<シッ│、<ド>シ>ラッ<シッ、│
     <ド>シ>ラッ>ソッ、<ラ>ミ│
     <ソッ>ファッ、>ミ>レ><ミッ>レッ│
     >ド>シ、<ミ>レ、<ラ>ソ♪
と、【前】部の主要主題の変型を吹奏する。
****♪●ド<ミ>ド>ラッ>ソッ│>♯ファーー<ソ<♯ソー♪
という音型の中間部に移行し、主要主題の変型が戻って、
このa)Pas d'Actionは終わる。終いは、
オーボエ2管+ファゴット2管が、ヘ長調から変ロ長調の属7に導き、
次のb)オロール姫のヴァリアスィヨン(変ロ長調)をお膳立てする。

水道橋から桜蔭の脇の坂を順天堂のほうに上がってくと、
本郷給水所公苑とか東京都水道歴史館がある。
江戸時代に湿地や埋め立て地だった江戸の町に
上水道が整備されてった過程がよくわかる。
玉川上水は驚異的である。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#15(a)パ・ダクスィヨン(その3)」

2010年07月17日 23時55分35秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
女獣医師の故増井光子女史は、無給でもいいから、と
上野動物公園にかけあって採用してもらったという。
挑戦したパンダの人工授精ではやっと着床して誕生。
「それ見たか」と成功を顕示したものの生後2日で
親が圧死させるという残念な結果終わった。が、ついには
成功させて成長させた。それからはトントン拍子に出世して、
多摩動物公園や同公園の園長にもなった。同女史は、
「動物介在療法」の熱心な推奨者だった。そして、
とくに乗馬は障害者の回復の手助けになる、と主張してた。
自身が乗馬が趣味だったからである。そして、先日、
73歳の高齢でも英国の馬術大会に出場し、そこで
落馬して死亡したという。本望だったことだろう。

稼ぎのない私は世間が3連休でも、どこにも行けずに
家でゴロゴロしてる。そういえば、腹の調子もよくない。で、
しかたなく、テレ東の「土曜競馬中継」をみて
ネットで参3連単を購入して全部はずしたたあとは、
チャイコフスキーの3連符を見て過ごした。

チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲のa)Pas d'Actionは、
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
→[Pochissimo piu animato]→[Tempo Primo]→[Piu mosso]
【後】[Allegro、3/8拍子、1♭]
という構成になってる。その
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
は、また
[主要主題→副次主題→主要主題(再現)]
というサンドウィッチ構成になってる。その
(副次主題部)
主要主題部の途中でポキッスィモ・ピウ・アニマートで速められたテンポが、
→「テンポ・プリーモ(最初のテンポで)]
とされて、副次主題部に入る。独奏チェロが変イ長調で、
***♪ドーー・ドード│ドーーー・>シー>ラー│
  >ソー<ラー・>ソー>ファー│ファーー・ーー>ミ│
  <ラーー・ラーラ│ラーー・ーーラ(このラ=fをヘ長調のドに置き換えて)│
  >ミー<ラー・>レー<ソー│>ドー♪
という副次主題を提示する。すると、vnプリーモ(第1ヴァイオリン)が
ダブルストップで3連符の伴奏を弾き始める。そして、独奏チェロが、
1拍めを16分音符のアルペッジョで始めて副次主題の断片を反復する。
****♪●、ド<ソ<ド<ミ<ソ・<ドーーーー>シ│
   シーーーーー・>ラーーーーー│
   ー、>>ラ<ミ<ラ<ド<ミ・<ラーーーー>ソ│
   (>レ<ラ<)ソーーーーー・>ファーーーーー│
   ー、>>レ<ラ<レ<ファ<ラ・<レーーーー>ド│
   ドーーーーー・>シーーーーー│
   ー、>>シ<♯ファ<シ<♯レ<♯ファ・<シーーーー>ラ│
   (>ミ<シ<)ラーーーーー・>ソーーーーー│
   ーー♪
独奏チェロの16分音符を引き継ぐように、
フルート1管が上昇音階的なオッブリガートを吹く。
じつに繊細な、しみじみとした、胸が締めつけられるような、
チャイコフスキーに固有な音楽である。次いで、木管群が、
それまでのヘ長調(ニ短調)のシをイ短調のミに置き換えて、
****♪●●、ミーッミーッ・ミーッ>♯レーッ>Nレー│
   >ドー、<ミーッミーッ・ミーッ>♯レーッ>Nレー│
   >ドー♪
という中継ぎ句を吹奏する。この第1拍めには
ハープがそれぞれの和音のアルペッジョを爪弾き、また、
木管群の中で第1オーボエだけが
他の木管群の正規律動の間を縫うように、
ミ(e)の通奏を16分音符分先んじてずらして吹くように
チャイコフスキーは細工してるのである。そのまま、
副次主題断片がイ短調からロ短調になると、その
中継ぎ句のオーボエの役は第1ホルンが交代する。そして、
独奏チェロがアルトリ(他のチェロたち)に吸収されて
副次主題断片がさらに嬰ハ短調になると、
中継ぎ句をフルート2管+オーボエ2管+ファゴット2管+ホルン4管が吹奏する。
チャイコフスキーらしい転調でそれをヘ長調に戻し、
→主要主題(再現)部
となる。両翼vnとヴィオーラがスタッカート附きの16分音符で伴奏する中、
コルノ・イングレーゼとチェロ(トゥッティ)の完全ユニゾンが
主要主題を再現する。その確保は、
両翼vn(G線使用指示)+ヴィオーラ+チェロの完全ユニゾンで奏される。
mfからクレッシェンドしてff、さらにはfffにまで強められる。この間、
トランペット(途中から2管)+ドロンボーン3管+チューバが3連符で伴奏し、
オーボエ2管+コルノ・イングレーゼ+クラリネット2管が主題の変型をカノる。
ここでクライマックスが築かれたわけである。が、
両翼vnのG線使用指定が解けると
(といっても、当分はG線でしか弾けない音程が続くが)、
→[ピウ・モッソ]
[h-d-f-as]の減7の一撃がffで加えられる。
d、f、asを使った主要主題の変型が、
クラリネット2管+ファゴット2管とその他の木管群の掛け合いで吹かれる。
そしてまた、[h-d-f-as]の減7の一撃が今度はfffで打たれ、
→【後】[Allegro、3/4拍子、1♭]部へと移る。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#15(a)パ・ダクスィヨン(その2)」

2010年07月15日 00時48分41秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲のa)Pas d'Actionは、
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
→[Pochissimo piu animato]→[Tempo Primo]→[Piu mosso]
【後】[Allegro、3/8拍子、1♭]
という構成になってる。その
【前】[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
第1拍の弦楽5部の8分音符の主和音のピッツィカートと
第2拍のクラリネット2管+ファゴット1管の付点8分音符の主和音、
という伴奏に乗って、独奏チェロがモルト・エスプレッスィーヴォで主題を擦りだす。
***♪ドーー・>ミー<ラ│>レーー・ーー、<ソ│
  <ラー<シー・<ドー<レー│>ソーー・ーー、ソ│
  <ラー<シー・<ドー<レー│<ミーー・ーー、>シ│
  <レー>ドー・>シー>ラー│>レー<ラ・ー>ソー♪
同じく「パ・ダクスィヨン」でも、「白鳥の湖」(第2幕)の第13曲の5では、
独奏vnが出てきて、中間部を挟んでその主題が再現されるときには
独奏チェロが絡む、という形を採ってるのに対して、こちらは、
独奏vnの対応はない。単純に考えれば、ここでは
オロールは幻影なので実像はない、ということなのかもしれない。
主題の確保が途中から推移し、
ヘ長調のミ(a音)をイ長調のドと置き換えて、
***♪ドーー・>シー>ラ│>ソーー・ーー>ファ│ファーー・>ミー、♪
そしてまたそのイ長調のドがヘ長調のミに戻って、
***♪、<ミ│
(→[ポキッスィモ・ピウ・アニマート(ほんのちょっぴり速めて)]
      <ファーー・>ミー>レ│>ドーー・ーー>シ│
      >ラー>ソー・>ファーー>ミ│ミーーー・>レ♪
となる。この音型が繰り返され、
***♪【ラー<シー・<ドーー<レ│レーーー・ーーーー】♪
(この箇所でコルノ・イングレーゼがリタルダントしながら
***♪●ソ<ラ・<シ<ド>シ│>♭シ♪)
♭シで→[テンポ・プリーモ]
ヘ長調のレ(g音)を変イ長調のシと置き換えて、
***♪【【ドーー・ドード│ドーーー・>シー>ラー│
    >ソー<ラー】】・>ソー>ファー│ファーー・ーー>ミ♪
となる。

ちなみに、この箇所は、
「交響曲第4番」第2楽章中間部での音型・転調と同じである。
cf=[2/4拍子、1♭(ヘ長調)]
  ***♪【♯ソー<ラー・<シー<ドー│<レーーー・ーーーー】│
     (このレを変イ長調のシと置き換えて)
     <【【ドーー>シ・シー>ラー│ラーー>ソ・ソー<ラー】】♪

結局、
締め切りの月曜になっても一枚も煎餅を焼いてなかった。
その日の昼からやっと取りかかって、今日の昼に終わった。
とてつもなくたくさんだと思ってたのが、
終わってから勘定してみたら、わずか
14544粒の注文だった。昔の勘定のしかたでいえば、たったの
ペラ73枚である。それくらいの量にあくせくするとは、
つくづく衰えと老いの哀しみが身にしみる。
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「チャイコフスキー『眠れる森の美女』#15(a)パ・ダクスィヨン(その1)」

2010年07月13日 00時03分28秒 | やっぱりリラだ! 百年経っても大丈夫
チャイコフスキーのバレエ「眠れる森の美女」の第15曲は、
a)Pas d'Action
b)Variation d'Aurore
c)Coda
という3つから成ってる。その
a)パ・ダクスィヨンは、
【前】
[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
→[Pochissimo piu animato]
→[Tempo Primo]
→[Piu mosso]
【後】
[Allegro、3/8拍子、1♭]
という構成になってる。

ところで、
この#15-aの主要主題は、
[Andante cantabile、6/8拍子、1♭]
***♪ドーー・>ミー<ラ│>レーー・ーー、<ソ│
  <ラー<シー・<ドー<レー│>ソーー・ーー、ソ│
  <ラー<シー・<ドー<レー│<ミーー・ーー、>シ│
  <レー>ドー・>シー>ラー│>レー<ラ・ー>ソー♪
である。この主題は、少し前に作曲された
「交響曲第5番」第2楽章の第2主題に似てる、
と言われてることがある。たしかに、
[Andante cantabile, con alcuna licenza、12/8拍子、2♯]
(conコン(前置詞)=~な状態で、
alcunaアルクーナ(修飾する名詞が女性形なので女性形形容詞)=いくぶんかの、
リチェンツァlicenza=英語のlicenseライセンス=そうできる免許、型破り、定形外、はめはずし)
***♪ドーー・>ミー<ラ・・>ソーー・ーー、<ソ│
  <ラー<シー・<ドー>ラー・・<ミーー・ー●●│
  >ラー<シー・<ドー>ラー・・<ミーー・>レー>ドー│
   ドーー・>シー>ラー・・>レ<ファ<ラ・ラー>ソ♪
であるから、仮に「交響曲第5番」が「眠れる森の美女」を提訴すれば、
アンダーンテで8分の3倍数系拍子で類似した節で類似した律動、
(原告)小林亜星(勝訴)対(被告)服部克久の判例に照らしても、
著作権侵害が認められる可能性は高い。が、
この主題(動機)にはさらにモトネタがある。
***♪ソーー・>レー<ラ│>ソーー・ーーー│
  >ド>シ>ラ・<レーレ│>ソーー・ーーー│
   ソ<ラ<ド・<レーレ│>ド<レ<ミ・<ファーファ│
  >ミ<ファ<ソ・<♭ラー♭ラ│>♭ラーー・ーー>ソ♪
[Andantino simplice、6/8拍子、5♭(変ニ長調)]
「ピアノ協奏曲第1番」第2楽章の主要主題である。が、
これだと、8分の3倍数系拍子で類似した節ではあるが、
アンダーンテより少し速いし律動がやや異なるので、
勝訴してもごく少額、訴訟及び弁護士の裁判費用は双方持ち、
くらいが関の山であろう。

さて、
冗談はともあれ、このように「同じ、または、似通った」創造物は、
「同じ、あるいは、共通した」感情に由来する衝動の発露である。
これら3つの旋律は、同じ感情の結果だということである。
「眠れる森の美女」の場合は状況がはっきりしてる。
デズィレ王子によるオロール姫への求愛である。ただし、
オロール姫は幻影である。つまり、
「(自分が無意識に求めてた)理想の女性」へのアピールなのである。
このことから他のふたつ、特に「交響曲第5番」に託された
チャイコフスキーの精神活動転写を紐解くことができるのである。
「交響曲第5番」第2楽章の主要主題は、
グノーの「アヴェ・マリア」を下敷きにしてるのであるから、
やはり「理想の女性像」への精神的アプロウチであると読める。

プリミティヴな「ピアノ協奏曲第1番」のほうは、しかし、
もう少し手がかりが必要である。なぜなら、
このあとの中間部 [プレスティッスィモ]に出てくるシャンソン、
"Il faut s'amuser, danser et rire" (イル・フォ・サミュゼ、ドンセレ・リール)
「楽しんで、踊って、ハメをはずさねば」
を加味すると、
「交響曲第5番」における「リチェンツァlicenza=ハメはずし」
が効いてくる。デズィレ王子も、
王家が規定する自国貴族の娘ではなく、
120歳ほども年上、というハメをはずした相手であるオロールに惹かれた、
ということなのである。
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