マイマイのひとりごと

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【自作官能小説】汚れた教室~教室長マヤの日常~ 第11話 『狙われたマヤ』

2013-02-20 09:11:57 | 自作小説
おはようございますー。

勢いにのって書けたので続きを投下。

これからまた修正作業等々で、次回の更新時期は未定。

てことで、以下続きです。


↓↓↓





「いやっ……社長……そんなに……、あっ……!」
「どうしたんだ、今日のおまえはやけに可愛いなあ……、よしよし、もっと尻をつきだせ……」

 膝と頭を床につけ、尻だけを高く上げた姿勢。
 捲られたスカート、引き下ろされた下着とストッキングが足首のあたりで丸まっている。
 剥き出しになった丸みのある尻肉は、社長の腰の動きに合わせて上下に揺れる。

 くだらない内容の会議が終わった後、いつものように社長室に呼ばれた。
 いきなりスカートの中をまさぐられ、この姿勢をとるように指示されて、マヤはスーツを着たままの姿で怒張したペニスをいきなり突き立てられた。

 渇いたままの膣襞が無遠慮に広げられ、痛みが体を切り裂く。
 痛い、と呻くマヤの尻をバチンと叩きながら、社長は上機嫌で笑った。

「朝おまえを見たとき、今日はすぐにでもやりたくなった……なんというのか、色気が全身から滲み出ているぞ……好きな男でも、できたのか」
「い、いません……そんなひと……」

 心の中に浮き上がりそうになる面影を、無理やりシャットアウトする。
 そんなことを想う資格など、自分にはない。

 ずちゅっ、ずちゅっ。
 奥深くまでめり込む肉棒の動きに、粘液の絡みつく音が重なる。
 痛いばかりだった行為に、違う感覚が芽生えていく。

 こみあげてくる快感で、両足がふるふると痙攣する。
 演技では無い。
 それでも、頭の半分はしっかりと冷えていた。

「あぁ……っ……ねえ……社長……」
 できるかぎりの甘い声を出す。

「なんだ、どうした? すごぞ、ぎゅうぎゅう締まって……」
 社長が火照った体をマヤの背中に押し付けてくる。
 少しだけ首を背中側に向けて、小さく囁く。

「友達に、お土産……もらったんです……お酒……」
「なに? 酒?」
「そう……社長の好きな、ワイン……お仕事中だけど、少しくらいなら……召し上がっていただけるかと……」

 マヤはテーブルの上に置いた紙袋を指さした。
 繋がったまま、社長がそれを手に取る。

 昔、友人からもらった高級ワインの瓶。
 中身はコンビニで買える安酒に、少々の媚薬。
 
「いいワインじゃないか……どれ、ちょっと飲んでみようか」
「待ってください、社長……」

 体勢を変える。
 ずるりと男根が抜け、マヤは愛液を滴らせながら立ち上がった。
 じゃまな下着とストッキングを脱ぎ捨てる。
 やんわりと社長の手から瓶を取り、蓋を開けて口に含む。

 社長の頭を両腕で抱え、深く唇を重ねながら液体を流し込んだ。
 口の中がほんのりと温かくなる。

「面白いことをする……」
 それを飲みこんだ後、社長はマヤの口の中を舐めまわした。
 媚薬がわずかに舌の上に残ったのか、そうしているだけで乳首が鋭敏になり、子宮がきゅんきゅんと疼き始める。
 社長の目がらんらんと輝く。

 同じことを二度、三度と繰り返し、瓶の中身は半分ほどに減った。
 気がついた時には床の上に組み伏せられ、焼けるように熱い肉杭を猛然と打ち込まれていた。
 獣のような叫びを上げながら、それは何度となくマヤの中に精を放出していく。

 いったん果てたはずのものはすぐに力を取り戻し、また果て、そしてまた本能のままに突き上げる。
 そうされながら、マヤは自分が泣き声をあげていたことに気付いた。
 涙と涎で頬が濡れ、床には淫液がだらしなく水たまりをつくる。

 どのくらいそうしていただろう。
 わずかに社長の動きが緩やかになったのを見計らって、マヤは耳元にそっと言葉を注ぎ込んだ。
 しっとりと熱を含んだ、吐息と共に。

「社長……本当は、わたし……社長のこと、大好きなんです……だから、社長が、このまま裏切られるのを黙って見ているなんて……できない……」
「何? 裏切られるとは……どういうことだ」

 意識的に膣に力を入れる。
 内側にあるものに、思い切り圧迫感を与えてやる。
 社長がウウッと呻き声をあげた。
 歪んだ醜い顔、うつろな目。
 おそらく、冷静にものを考える力は消え失せている。

「わたし、先週……仕事が終わった後、部長に呼び出されて……無理やり……」
「な、なんだと? なにかされたのか?」

 ぶよぶよと太った体にしがみつきながら、マヤは声を震わせて、あの夜のことを語った。
 部長が独立を考えていること。
 資金を社長の金庫から引き出せと言われたこと。
 そして、資金を出してくれるらしい男たちに、マヤの体をおもちゃにさせたこと……。

「そのあと……部長まで、わたしを……ひどい、ひどいわ……」
 執拗に乱暴されたことを、多少の脚色を加えながら話す。

 社長の顔色がどす黒く変色する。
 あと、もう少し。
 
「嫌だったのに……社長以外のひとに、あんなことされたくなかったのに……」
「おまえ……そんなに俺のことを……」

 再び唇が重なり、深く舌を吸われ、汗臭い腕の中にぎゅうっと抱き締められた。
 溢れた精液が、股の間からどろりどろりと流れ落ちてくる。
 鳥肌の立つような感触。
 これで終わりだと思えば、別に苦痛でもなんでもない。

「でも……いいんです、わたしのことは……。あのとき、部長、金庫の開け方がわかったかもしれない、って言っていました……だから、お金、もしかしたら、もう……」
「あいつが盗んでいったかもしれないというのか! そんな……」

 焦った様子で、社長が金庫に向かう。
 でっぷりと贅肉ののった背中を横目に、マヤは静かに立ち上がった。

 社長室の一番奥。
太い柱の下半分、周囲の壁と境目のわからないように、同色の板が嵌められている。
ガタン、と薄い板が外れ、その奥にある金庫のボタンに、社長がいくつもの数字を打ち込む。
やがて、ピーッという電子音と共に、大きな金庫が解錠された。

 そこに顔を突っ込んで、社長が金を確認している。
 隙間から、ぎっちりと詰め込まれた札束が見えた。

「盗られてはいないようだが……」
「よかった! でも、これから部長は、どんな手を使ってくるかわかりません……わたし、社長のためなら何だって協力します……」
「おまえ……」

 社長が、目尻をだらりと下げて振り返る。
 その直前、素早く錠剤を口に放り込み、舌の裏に隠した。

 ワインをもう一度口に含む。
 醜悪な体に抱きつきながら、深いキス。
錠剤とワインを、社長の喉の奥深くまで流し込む。

「好きです……」
「本気で、俺のことを……? ……なんだ、酔いがまわってきたか……?」

 社長の目が焦点を失う。
首が力無く、カクンとマヤに寄りかかる。
 すっと体を引くと、社長は床の上に倒れたまま、ぐったりと動かなくなった。
 
 とうとう、やってしまった……。

 もう、後戻りはできない。
 わずかに体内に残された媚薬のせいか、異常な事態に対する興奮のためか、呼吸をするのも苦しくて堪らない。
 
 落ち着かなきゃ。
 胸を押さえる。
 頭の中で、何度もなぞった計画を思い出す。

汚れた下着とストッキングを拾い上げ、丸めてバッグにしまう。
 普段から教材をいれるために持ち歩いているビニール製の袋に、入るだけ札束を詰めた。
 スーツの乱れと髪を整え、素足にハイヒールを履く。

 携帯電話を取り出し、部長の番号を押す。
 ワンコールで相手が出た。

「……わたしです」
「なんだ、もう暗証番号を手に入れたのか?」
「違うんです、社長が凄い勢いで怒っていて……部長を呼べって騒いでいるんです」
 
 なに? と部長の声に苛立ちの色が混じる。

「……水上、おまえ、余計なことをしゃべったんじゃないだろうな」
「そんなこと、できるわけないじゃないですか……あんなことをされて……。何か、取引先での手違いがどうとか……」
「手違いなあ……誰か発注ミスでもやらかしたのか。まあいい、とりあえずすぐに向かう。いまはまだ、社長を敵に回したくないからな」

 ちゃんと暗証番号は手に入れろよ、と念を押す声の後、通話は切れた。

 あとは、逃げるだけ。
 はやく。
 廊下に人がいないことを確かめ、マヤは滑るように階段を駆け下りて、本社ビルを出た。

 玄関ホールを出てすぐのところにある公園の木陰で、再び携帯電話を手にする。
 
 近くに待機しているはずの、久保田を呼び出すために。

太陽は西に傾き、あたりをオレンジ色に染めている。
会社帰りのカップルなのか、スーツ姿の男女が手を繋いで楽しげに談笑しているのが目に入った。

久保田と出掛けた、あの日の場面が重なる。

 指が、震えた。
 ボタンが押せない。
 計画を実行させれば、確実に久保田は罪を問われるだろう。
 将来をまるごと潰してしまうことになる。
 
 額から汗が噴き出る。
 迷っている時間など無いのに。

 どう頑張っても、指先は凍りついたように動かない。
 優しい笑顔、真っ直ぐな視線、あの日の温かな体温が次々に思い出される。
 こんな自分を、助けてくれると言った久保田。
 わけもわからないくせに、わたしを守ると言ってくれた。

 ……できないよ。
 あの子を、ただの踏み台にすることなんて、できない。 

 零れてきそうな涙をこらえる。
 力の抜けた指先で、電話をする代わりにメールを打つ。

『今日は中止。ごめんね』

 送信ボタンを押す。
 すぐに久保田のアドレスと電話番号を消した。

 心の中でサヨナラ、と呟き、マヤはうつむいたまま石畳の上を歩いた。
 苦い想いが渦巻いている。
 もうすぐ、部長がやってくるはずだ。
社長室に。
 そうすれば、マヤが何をしたのかがわかるだろう。
ふたりそろって、蛇のようにしつこく、マヤの行方を捜し始めるに違いない。
 
 アパートに戻るつもりはないが、遠方にある母親の病院は……念のため転院を考えた方がいい。
 佐伯にも、このまま何も知らせずに行こう。
 ずっしりと肩にかかる重みを確かめながら、この先やるべきことに考えを巡らせる。
 吹き抜ける風が、公園の樹木をざわざわと鳴らす。

「先生……水上先生?」

 急に背後から声をかけられて、思考が中断した。

 ……誰?
 振り返ると、意外な顔がそこにあった。

「た、田宮先生……? どうされたんですか、こんなところで?」
 マヤの教室で働く、40代の女性講師。
 いつも何かと教室業務を手伝ってくれるので助かっているが、彼女は本社に用などないはずだった。

「うふふ、水上先生こそ、こんなとこで何してるんですか? もう夕方……教室、始まっちゃいますよ?」

 人の良さそうな笑顔で、田宮が近付いてくる。
 ジーンズにゆるいシルエットのカーディガンをはおっただけの軽装。
 仕事に行く風ではない。

 反射的に、一歩退いた。

「あの……今日は、休みをもらったから」
「休み? へえ、珍しいですね……何か大事な用でも?」
「そ、そうなんです……ごめんなさい、ちょっと急ぎますから」

 駆け出そうとしたとき、思い切り強く腕を掴まれた。
 肩からビニールバッグが滑り落ちる。
 拾い上げようとした手を、先のとがった靴で蹴られた。

 悪い予感。
 夕陽はもう見えない。
 薄闇に包まれた空間で、マヤは手の痛みに呻いた。

「痛っ……な、何をするんですか!?」
「何をするんですか、……ねえ?」

 別人のように低いトーンで呟きながら、田宮がにじり寄る。
 目が爬虫類のように陰湿な光を宿している。
怖い。
 
「それはこっちのセリフだ、って……思ってるひとがたくさんいますよ? ヤリマン先生」
「えっ……」

 目の端で、何かがキラリと光った。
 小さな果物ナイフ。
 田宮の手に握られたそれが、頬に押し付けられる。
 ピッ、と刃先が皮膚を傷つけたのがわかった。
 血がぽたぽたと流れ落ち、地面に黒い跡を点々と残していく。

 すがるような思いで、あたりを見回す。
 他に人影はない。

「とりあえず、ここじゃ何だから……わたしの車まで行きましょうか。ね? 先生。立てるでしょう?」
「田宮せんせ……どうして、こんな……」
「ふふ、おしゃべりはドライブしながらでもいいじゃない。きっと、忘れられない夜になるわ……」

 ナイフは突きつけられたまま。
 逆らえるような状況では無かった。
 田宮に誘われるまま、マヤはよろめきながら公園の駐車場まで連れて行かれた。
 

 古びた赤の軽自動車。
 その助手席に乗るように指示され、緊張でこわばった体を滑り込ませる。
「ねえ、その荷物かして。トランクに入れておくから」
「あっ……」
 大金の入ったビニールバッグ。
 中身をちらりと見て、田宮は笑いを漏らした。

「すごいよね、大胆なことやっちゃって……」
「か、返してください!」
「何言ってんの? もともとあんたのモノじゃないでしょう?」

 血の底から響くような声。
 身がすくむ。
 トランクの閉まる音がして、田宮が運転席に乗り込んだ。

 無言のままのドライブ。
 公園の出口からオフィス街を抜け、混雑する国道を流していく。
 無数のライトが明滅する中、マヤの手は恐怖と混乱で冷え切っていた。
 しばらくそうしていた後、田宮が口を開いた。

「嫌いなのよね」
「え?」
「わたし、あんたみたいに体を武器にして、いろんな男たらしこんで、楽して生きようとする女、大嫌いなのよ」
「ら、楽なんて……」
「どうせ、ブスのひがみ、くらいに思ってんでしょ? まあ、当たりよ。 別に恨みがあるわけじゃないけどさ、あんたの泣き顔が見られるなら……ちょっと協力してもいいかと思って」

 細い路地に入る。
 一方通行の道をくねくねと曲がり、坂の上にある大きな一軒家に辿りついた。
 民家とは思えないような頑丈な門から入り、その灰色の道の奥に車が止まった。

 エンジンが切られ、ライトが消えてしまうと何も見えない。
 そのまま、田宮はシートに背中を預け、顔だけをマヤのほうへ向ける。
 ナイフが太ももに押し当てられる。

「やめて……ください……」
 情けないほどに、震えが止まらない。
 田宮の笑い声が大きくなる。
「あはは、気分いいなあ……あのさあ、社長たちにも、生徒のお父さんたちも股開いて、楽しかった? 気持ち良かった?」

 どうして田宮がそれを知っているんだろう……。
頭の中に疑問が溢れかえる。
 
「そんなこと……」
「全部、知ってるよ? だって調べたもの。仕事の後、帰ったふりして跡をつけたり、盗聴器仕掛けたり、そりゃあ大変だったんだから」

 ほら、とマヤのバッグを指さす。
 仕事用にいつも使っている皮のバッグ。
 そのファスナー部分に、小さなぬいぐるみのストラップがついている。
 田宮と雪村が旅行に行ったお土産だ、とくれたものだった。

「ほかにもいっぱいあるけどね。探偵みたいで、ちょっと楽しかったわ……男とやりまくってるときの声も、ばっちり聞こえたよ?」
 あんあん言っちゃって、馬鹿みたい。

 そう呟きながら、スカートの真ん中あたりにナイフを突き立て、引く。
 布地がピリリと裂け、白い太ももの付け根までがちらりと見えそうになる。
 下着をつけていないことを思い出し、そこを両手で隠した。

「いやっ……! どうして……盗聴器なんて……」
「ふうん、あんたみたいなヤリマンでも、まだ恥ずかしいって思うんだあ? 言っとくけど、趣味とかじゃないよ? 立派なビジネスだから」
「ビジネス……?」
「お金、もらってるからね。みんな気前よく払ってくれるからさ、良い稼ぎになったよ」

「み、みんなって……何なの、いったい、誰が……」
「わかんない? 先生、意外とアタマ弱いのかな? ほおら、自分の目で確かめなさいよ」

 田宮の手が、髪をわしづかみにする。
 フロントガラスにマヤの頭を打ちつける勢いで、その手を前に突きだす。
 
 車の正面に、人がいた。
 ひとり、ふたり……10人はいるだろうか。

「あれは……」

 マヤは絶句する。
 そこにあったのは、見慣れた生徒の母親たちの顔だった。

(つづく)



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