こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
先日、鶏卵の新たな生産方法に挑戦している養鶏家について、特集でテレビ放映されていました。
鶏卵は物価の優等生といわれていますが、その背景には【バタリーケージ】と呼ばれる生産システムがあります。
現状、日本の卵の9割以上が、この方法で生産されています。
【バタリーケージ】とは、ニワトリ1羽当たりのスペースが20センチメートル四方ほどしかないケージ(かご)のことです。
戦後から平成にかけて普及していったのがバタリーケージによる生産システムです。
ニワトリは1年半~2年をバタリーケージで過ごし、卵を生み続けます。
卵の価格が安いのは、多数のニワトリを狭いバタリーケージに閉じ込めて産卵させ続ける、という大量生産システムに支えられているためです。
そして、ニワトリは1年半~2年を過ぎると産卵能力が衰えるため、最後は食肉工場に出荷され、鶏肉として市場に出されることになります。
ところで世界の潮流を見ると、【アニマルウェルフェア(動物福祉)】という考えが拡大しています。
最終的には命を頂く家畜に対しても、生きている間は可能な限りストレスや苦痛を和らげることにより、快適に過ごしてもらう飼育方法のことです。
すでにEU諸国では、従来型のバタリーケージでの養鶏は全面的に禁止されています。
この流れはアメリカにも及んでいて、マクドナルドなど大手企業が、バタリーケージで生産されたものではない、【ケージフリー】の卵への切り替えを宣言しています。
【ケージフリー】とは、ニワトリをケージに閉じ込めず、放牧状態で飼育することです。
冒頭の養鶏家も、【ケージフリー】による卵の生産に挑戦している人でした。
残念ながら日本は、アニマルウェルフェアの考え方が進んだ欧米諸国に比べて、動物保護精神が遥かに遅れている後進国です。
現在のところ、日本の農林水産省はバタリーケージの全面的禁止に踏み切る考えはないようです。
しかし、動物保護後進国である日本も、やがては世界の潮流に合流せざるを得なくなるはずです。国家の品格を上げるためにも不可欠なことだといえるでしょう。