こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
7月17日、飼育していた犬3匹を窒息死させたとして、検察は元ブリーダーの渡部幸雄という男を動物愛護法違反罪で略式起訴し、同日、裁判所は罰金40万円の略式命令を出しました。
渡部は、「繁殖に使えなくなった犬を生かしておくと経費がかかる。行き場のなくなった犬の責任をとる」という名目で、ポメラニアンやトイプードルなど小型犬3匹を生きたままビニール袋に入れて窒息死させています。
渡部のブリーディング施設で働いていた関係者は、渡部の手口を次のように証言しています。
「まず“軽便カゴ”と呼ばれる子犬を運搬するためのカゴに入れます。成犬だと狭くて動けなくなるくらいの小さなカゴです。それをビニール袋で包み込み、空気が漏れないようにガムテープでびっしり塞ぐ。あとはそのまま放置です」
放置された犬は翌日、呼気で結露したビニール袋の中で息絶えていたといいます。
犠牲は3匹だけではありません。
内部関係者は、殺されたに等しいといえる犬は数年間だけでも100匹以上に上る、と証言しています。
検察は、3匹に対する殺傷だけを切り取って略式起訴したようですが、略式起訴は、「100万円以下の罰金または科料に相当する事件」について行われるものです。
つまり、略式起訴は、あまり悪質ではない軽微な事件を対象にしています。
渡部の悪逆非道ぶりを考慮するならば、なぜ略式起訴なのか、首を傾げざるを得ない事件です。
動物愛護法では、動物を殺傷すると「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」と定められています。
渡部の鬼畜の所業と、地獄の苦しみを味わいながら死んで行った100匹以上の犬たちの無念を思うならば、略式起訴による罰金などではなく、実刑判決が下されるべき事件であると思います。
渡部のような悪徳ブリーダーが絶えない背景には、ブリーダーなどの【第一種動物取扱業】は単なる【登録制】が採用されており、実質的には誰でもブリーダーになれるということがあります。
悪徳ブリーダーを根絶するには、【第一種動物取扱業】を【許可制】にし、厳しい審査を通過した者しかブリーダー業を営めないようにすることが不可欠といえます。
さらには、ブリーダーに対する行政の真剣な監督が求められます。
行政は、「営業停止処分」「登録取消」などの強力な権限を有しているのですから、悪質なブリーダーを排除するために積極的に権限を行使すべきでしょう。
事なかれ主義や無責任体質では済まされないところです。