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宗教の真実度 その3

●原罪と贖罪
『原罪』と『贖罪』はキリスト教の教義のキーワードとも言える。『原罪』とは人類の祖であるアダムとイヴが神の教えに背いて禁断の木の実を食べたとされる最初の罪のことである。アダムの子孫である人間は生まれながらに罪を負うとされている。『贖罪』とは犠牲を払ってその罪を贖うことである。

●免罪符
16世紀に『贖宥状』(しょくゆうじょう)というものが発行されたことがある。すなわち世界史で習った『免罪符』のことである。贖宥状が「罪のゆるし」を与えるのではなく、「ゆるしを得た後に課せられる罪の償いを軽減する」ものであるため、罪を免れる『免罪符』という表記は正しくないそうである。

そもそもキリスト教会が『贖宥状』を発行した経緯は、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の莫大な改修費用を捻出する為であった。前述の屁理屈はともあれ、「金で原罪を贖う」という考えは、おかしな壷を売りつけるカルト教団の霊感商法に似てなくもない。当然キリスト教徒の中にも反発する者がいた。それが「マルチン・ルター」である。彼のカトリック教会批判が後の宗教改革に結びついていくのである。

●公会議と教義
4世紀の昔から幾多の「公会議」において、バチカンは利子をとって金を貸す行為は一様に悪徳とし、利率に関係なく、金に金を生ませること自体が神の法に反することとして厳重に禁止していた。1860年にイタリア王国が成立すると教皇領は接収されたため、ローマ教皇庁とイタリア王国政府が関係を断絶し関係が悪化した。1929年になってようやく教皇ピウス11世の全権代理ガスパッリ枢機卿とベニート・ムッソリーニ首相との間で合意が成立し、ラテラノ条約が締結された。この条約によってバチカンは独立国家となり、ローマ教皇庁には現在の金額にして1200億円もの巨額の資金がイタリア政府から支払われることとなったのである。

●バチカンの蓄財と投機
この巨額の原資を得たことによってバチカンは財産管理局を設け、カトリックに改宗したユダヤ人、「ベルナルディーノ・ノガーラ」を財産管理局長に任命し、資産運用を一手に任せたのである。これを契機にバチカンはそれまでの教義に反して、急速に為替投機や株式投資を熱心に行うようになったのである。さらに驚くことには、その投資先は戦車や銃火器を作る軍事産業や避妊具を生産する企業にまでに至った。さらに金塊への投資を通じて金相場を独占するロスチャイルド家との関係が強まって行くのである。

●ヒトラーと教会税
バチカンは「正教条約」を各国政府と盛んに結んだ。(イタリアと交わしたラテラノ条約もそのひとつ)1933年にはヒトラーが率いるドイツともこれを締結した。バチカンがヒトラーを正式に認めたことが後ろ盾となり、ヒトラーはその勢力を益々拡大していったのである。この条約により第二次世界大戦中まで、バチカンは毎年ドイツで徴収される莫大な「教会税」得ることとなった。この税はドイツの全勤労者が納めるもので、ドイツ政府に所得税の8~10%を支払っていたという。1943年には何と当時の金額で1億ドル(現在の価値で数十兆円)もの巨額の資金が流れたという説もある。

次回へ続く

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