さて、翌朝目を覚ますと
カーテンの隙間から朝陽が射し込んでいました。
おっし、雨は上がった。
今日はルカさんの繋がりから
伊勢神宮で一般の人が入れない所で、参拝させていただける事になっていました。
朝食を済ませ、ルカさんと私は正装してバスにのりました。
お部屋の清掃はお任せで。はい。
正装で思い出したけどこのホテルの内装はとても微妙でした。
和なのかアジアなのか南国なのか・・。
ううむ。。
特にコンセプトは内装でいや、ないそうですが。
ホテルの人には、ないそですよ。
さて、伊勢神宮内宮の入り口でツアーの皆さんと離れ
ルカさんのお知り合いの伊勢神宮元宮司さんと合流しました。
帽子をかぶったお洒落なおじさまです。
まずはこの五十鈴川に架かる橋を渡る時に思った事があります。
写真が悪すぎですが、この手前にあるのは 「柵」 しがらみです。
これがあるお蔭で、大雨などの時上流から一緒に流されてくる木などが
直接橋にぶつかることがないのだそうです。
橋を守るための設備なんです。
私は「しがらみ」と言うものが大嫌いでした。
しかし、橋のしがらみの事を聞いたときに、目から鱗がはがれそうな気がしました。
はい、まだはがれた訳ではないので 汗
つまり、しがらみというのは必要なものではないかな、と思った次第です。
この事はまだ自分の言葉でうまく現せないので、目から鱗がはがれた時にまた書きます。
さて一生はがれますかどうか。
それにしても、山が美しい。
この緑のグラデーション。
夏に向けて若葉は緑を深くしていくのでしょう。
山はいいな。
海もいいけど、やはり私は山だな。
元宮司さんがいつもそうされているということで、
私たちはお参りの前に五十鈴川の流れで手や口を清めました。
なんと珍しいオナガドリがいます。
絵や写真で木の枝にとまって長い尾を垂らしている姿しか見たことがありませんでしたが
このような場所で本物を見ると、殊の外神聖な感じがしました。
他のツアーのガイドさんの声が聞こえました。
今日の皆さんはラッキーですよ。
オナガドリがみられるのは稀な事ですから。。
毎日そう言っておられるのかも知れませんが、うれしい言葉ですね。
こういうのはよい嘘。
見事な杉やヒノキの中を散策。
ヒノキも杉も区別がつかない私。
葉っぱを見ればわかるのよね。
昨夜の雨のお蔭で、空気がなおさら綺麗です。
元宮司さんもこんな様子は初めて見たとおっしゃったこの木の根元。
表面が雨で洗われて、このような模様が現れたのでしょうか。ダジャレではないですけど。
見事な大樹です。
たまたま伊勢に来る前日に
テレビで伊勢神宮の周りの素晴らしい森の事を放送していました。
珍しい鳥も生息しているようですが、
散策している時も聞いたことのないような鳥の声が聞こえました。
森はいいな。
木々の隙間から木漏れ日が射し
近くや遠くで鳥の声がする。
頬に当たるのは、木々が清めてくれた新鮮な風。
芽吹いた若い葉の香りがする。
五十鈴川の水で口を漱いだ時その水は甘かった。
そんな時に、元宮司さんが
「五感」という言葉を使われました。
五感。
私たちは便利な時代に生きて本来持っている五感が鈍ってしまったのでは、
と感じました。
どんな時代になっても自分はこの五感を大事にして
いや、さらに磨きをかけて死にたい、なぞと
大袈裟なことを想いつつ階段を下りておりましたら
突如宮司さんが、ちょっと待った!
ちょうど私の足元にあった石を指して
「これは天から降ってきた石ですから、またいではいけません」
おっと、、いや~危ない危ない。(グレーの三個に割れたような石がそうです)
ってか、もうちょっと早く言ってくださいよぉ。
「私たちはここに来させていただいて
お参りさせていただいているんです。
これは強制でもなんでもないですが、私は階段の真ん中は歩きません。鳥居をくぐる時もそうですが
端を通るようにしています」
とおっしゃいました。
確かにこの時
私は階段の真ん中を歩いており、この石は階段の真ん中に埋まっていました。
その他にも、別に強制ではないが、とご自身が何十年もしてこられた参拝の仕方などを
お話してくださいました。
また、こういう場所でよく木がつるつるになっていますよね。
多くの方が触ってつるつるしていると、つい触りたくなるものですが
実はそこには、悪い気を持った人の気が残っている場合もあるので
触らない方がよいそうです。
どうしても触ってみたい人は・・・企業秘密 笑
さて、いよいよ特別な参拝の場所につきました。
お祓いをしてもらって、先頭をうら若き宮司さん、ルカさん、私、元宮司さんの順に
参拝場所へと向かいます。
ルカさんはご存知でしたのでしょう。
その場所の玉砂利が他のそれよりも大きい事を。
ルカさんはヒールのない黒い靴を履いておられましたもの。
それを知らなかった私は、普通のヒールの黒い靴。
玉砂利に嵌らないように、つま先に力を入れて歩いておりました。
さて、四段ほどの階段のある鳥居をくぐります。。。
すぽっ ! ! 激汗
何と階段を上がった所で私の左足から靴が離脱 爆汗
つま先に力が入り、かかとの方がおろそかになっていたのです。
階段を転がり落ちる靴。ガーン。
後方の元宮司さんは、何事にも動じずに私が靴を履くのをまってくださり
私たちは何事もなかったように、前方のルカさん達に追いつきました。
なんという、失態。
神様の前で、靴が脱げた。
シンデレラならぬ
神殿でアララ 大泣
気持ちを落ち着かせて参拝させていただくと、
ふいにありがたさがこみあげてきて
目頭ば、熱くなり申した。
私のような一般のおばさんが
このような場所で神様に手を合わせることが出来るとは。
靴が脱げたことは、前を歩いていた宮司さんとルカさんは知りません。
元宮司さんと私だけの秘密です。
あっ、しまった。
こんなとこで公開してるし。
元宮司さんのお話はとても貴重なものばかりでした。
伊勢湾台風の時にここでも沢山の木々が倒れたが
そのお蔭で参拝する通りの隙間が広がり、お参りがしやすくなった、
というお話を聞きました。
参拝者が格段に増えたのだそうです。
伊勢神宮の木々は自ら被害を受けることで
神宮の神様とより多くの人々を近づけてくれたのかも知れないな、と思いましたし
自然と人との共存についても考えました。
元宮司さんのお話からは沢山の学びがありました。
それもルカさんとの出会いのお蔭です。
本当に有り難い経験でしたが、靴の事を思い出すと、非常にくつ~です。
おっとこれは時間制限のあるツアーでした。
お昼を食べる時間はなくなってしまって、とりあえずその辺を歩いて何か購入し
バスに戻ります。
ま、私は缶ビールをプシュッとしましたけど。。
このツバメの巣は伊勢神宮の近くのお店屋さんにあったのですよ。
ようく見ると雛の頭の産毛。
禿げの進行するおじさんのわずかな希望のようです。
それにしても、なんとまあよい場所にお子様をお産みになったものです。
さて、ツアーも終盤。
伊勢湾クルージングから帰途へつきます。
イルカが見える事もあるそうですが、この日はトビウオを見ただけでした。
晴れていれば絶景でしょうが、まあこれなら充分です。
イルカはいなかったけど、ルカさんがいましたから。
そのルカさんと船室で話し込み過ぎて、
添乗員さんにさんざ言われていた、バスに乗り込む時間を忘れてしまい
またもやギリギリに乗車した私たち。
これだから、ツアーは大変。
そしてバスは再び高速に乗って一路新宿を目指します。
ルカさんは途中少し眠っておられましたが
私は一睡もせず色んなことを考えていました。
靴が転がった事を思い出すと、思わず笑ってしまう自分がいました。
神様神様どうぞお許しを。次があるとしたら靴と足をセメダインでとめて行きます。
ルカさんが目を覚ました後は、またもや途切れることないおしゃべりをして
私の武勇伝もいくつか聞いていただきましたが
なんとまあ、ルカさんという人はとてもとても素晴らしい方で
モロッコで開催される世界唯一女性だけの国際ラリーAICHA「RALLEY des Gazelle」に
日本人として初めて出場された方でもありました。もうびっくりも何も。
その時のエピソードも、
私が吉野山でタヌキのタクシーに乗ったのとは比になりません。
最後の休憩地は駿河湾の見える所。
陽は落ちて行き、海に漁火がともり始めました。
あなたの心の絵筆でこの海に漁火をともしてください。
なんちゃって。
宣伝してあげたぞ~~HISさん。
ちょっと文句はあるけどまあ許す。
バスは順調に走り続け、予定より一時間も早く新宿に到着。
長時間の運転で、さぞお疲れであろう運転手さんも
最後までとても良い笑顔でお客様を見送ってくださいました。
ありがとうございます。
素敵な運転手さんと、いまいちの添乗員さんにねぎらいの言葉をのべ、
ルカさんとともに山手線に乗り、途中でルカさんは下車。
ガラガラとスーツケースを引いて帰宅するとまだ誰も帰っておらん。
仕方なくロッキー君をお外に出して、ご褒美をあげて
お留守番を褒めてあげましたとも。
不思議な事に、長時間のバスの旅にもほとんど疲れていませんでした。
ま、いつものようにほっつき歩くこともなく座っていただけですからね。
翌日はお土産を持って、絵画教室にルンルンと出かけましたとも!!
若いってイイネ。
?
さて。
これは千葉で偶然出会ったルカさんとの伊勢神宮への旅でしたが
逢って二度目で泊りの旅行とは不謹慎な、と思われる方は
スルーしてくださいって・・・いまさらか!
お伊勢参りで靴の脱げたつる姫の旅。
楽しんでいただけましたでしょうか。
またも長くなってしまってすいませんでした。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
感謝をこめて
つる姫