先日の三上寛ライブの後記で柴村犬吉さんがライブの模様を
以下のようにビビットに伝えているのでご紹介します!!
<柴村犬吉ライブ後記>
24日の日曜日なんて日は、
西荻窪に位置する、奇特なロック・バー“ZEN PUSSY”にて、
なんとあの日本が誇るパンク・レジェンド、三上寛が
ソロ・アコースティック・ライヴを行う!という事なので、
それを観ずに何を観る!?といった感じで
期待に胸躍らせながら、強風の中、肩で風切り、
iPodでうしろゆびさされ組を爆音で耳に響かせつつ、
電車にゆらり揺られて西荻窪へGOだ。
店に着き、野口1枚+野口ハーフとギネスビアー代を支払い、入店。
身動きが取り辛いほどに凄い客入りでビックリする。30人近く?
しかもすぐ横のテーブル席に寛さん、すでにいるし!!
どうやら普段店に置いている椅子を移動させて、店内奥で演奏できるように配置したようだ。
足りない分は床に座布団を敷いて地べたに座らせるように配置してあった。
前列の座布団席しか空いていなかったので、そこで体育座りする。
ちょうど横のカウンター席に大学さんも居て少し談笑。
今日は寛さんの奥さんも同伴しているとの事。
どれどれ、うほっ奥さん、とっても美人じゃあないか!
やるなぁ寛さん。
ギネスビアーをンゴキュッゴキュとやってると、
まずはオープニング・アクトとして、
ZEN PUSSYの店長兼、エロスの神に祝福された酒やけ声のセックス・ボム、プッシーと、
ZO-3ギターを持った丸山さんのプロジェクト・ユニット、
“丸山ケイコ”の登場だ。
おもちゃのマイクを握り、なんとそのまま肉声で唄い始めるプッシー。
どぎついほど真っ青なチャイナドレスに着飾った光夜蝶は
「リクエストは受け付けません」という張り紙を足に貼っている。
「セックスの回数が週8回だったのに週3回になりました~♪」や、
「私は穴ぼこ♪N・O・B・A(何の略だよ!)♪穴ぼこ♪」
「心中を前提にお付き合いしませんか~♪」など
本人の体験談も取り入れた、勃起中枢を刺激する下品で極端でポップな
リリックが満載でかなり面白い。店内爆笑。
しかも「次はアシッド・フォークやりまーす」「次はフラメンコやります」
「レゲエはやりませ~ん」と1曲ごとに音楽ジャンルを変えてきて
(バックの演奏はZO-3が一本だが)飽きさせない。
また、歌だけでなくフラメンコ・ダンスを所狭しと披露され、
その瞬間、西荻窪のバー内は、血潮はずんだ熱狂のエスパーニャと化した。
会場の熱気に思わずギネスビアーをお代わり。
外では北風ピープー吹いている中、店内に熱風を呼び、
お客の雰囲気を暖めた丸山ケイコのステージングが終わり、
いよいよ店内入口付近にいた寛さんが腰を上げて店内奥へと移動する。
ステージらしいステージがなく人が地べたにひしめいていたので、
「ええ?ここでやんのかぁ?」と苦笑しながら、
やりにくそうにしている寛さん。
だがギターを一音鳴らし始めたら、そこからもう怨歌始めである。
しかもマイクを通さないで、肉声で放つ音の衝撃波!
完全なアンプラグド!!
休憩を挟む、約50分×2ステージの2部構成。
聴きこむごとに味わい深くなる名盤「1979」と、
柴村犬吉的2007年ベスト10アルバムに選出した「吠える練習///白線」を
中心としたセットリスト。
『夢は夜ひらく』、『海』も演奏された。
寺山修司作詩の曲『戦士の休息』の
「さぁらば~と~もよ~~~♪」という詩の部分でいつも涙ぐんでしまうな。
普段、エレクトリック・ギター1本で演奏されている楽曲も、
アコースティックギターで演奏されると、また違った印象を受ける。
狭いところで、身体いっぱいに何かが憑依したように咆哮し、
予想できない人智を越えたアクションをする寛さん。
ほぼ寛さんの最前で地べたに座っているおいらは距離があまりに近すぎる。
それは、反射した光からアコースティックギターに自分の顔が写り込むくらいの距離。
身体を反らして避けないと、危うくぶつかってしまい
演奏のジャマをしてしまう。
しかし、空いたスペースぎりぎりまで突進して、
お客ひとりひとりに手渡しするかのように言葉をぶつける。
寛さんの歌の前では、すべての、あらゆる、
言葉、生物、慣習、情緒、世俗、宗教、人種が自由だ。
しがらみや規制、差別にも縛られる事はない。
その縦横無尽に飛び交う情念の言葉の塊をぶつけられて、
ポカーンと口を開けたまま、ただただ見つめている事しか出来ない。
こういう時、日本人に生まれて良かったと思う。
日本語の言葉がダイレクトに頭に伝わるから。
真剣に寛さんの言葉、演奏の一音たりとも逃すまいと緊張感すら漂うが、
1曲終えるごとに店内大喝采。
寛さんも満面の笑顔。
それを観て嬉しくなるおいらも笑顔のまま、痛くなるほど手を叩く。
2ステージ目を終え、鳴り止まない程の拍手の後、
興奮の収まりが付かないお客から「アンコール!アンコール!」の声。
タバコを軽く一服した寛さん、
普段はやらないというアンコールをやってくれるようだ。
これには驚いた。
そして、そのアンコール曲がなななななんと、
『負ける時もあるだろう』!!
これまで4年近くライヴへ通っているが、遂に初めて聴けた。
しかも最後のアンコールで、コレをやるなんて全く予想できなかったし、
格好良すぎだ。
♪
気が遠くなるほどの永い孤独
もう誰にも もう誰にも 気づかせはしない
お前の熱い魂が 誰にもそれを気づかせはしない
♪
負ける時もあるだろう
沈んでしまう時も
だけどこれから先は
自分で決めるしか他はない
♪
いつだってそうしてきたはずだ
いつだってそうだったはずだ
いつだってそう思っていたはずだ
いつだってそうやってきたはずだ
ヤバイ、鳥肌が頭頂部から足の指の毛穴部分まで総勃起した。
地べたで体育座りのまま、目頭を熱くさせる。
何なんだよチクショウ!心に響きすぎるよ!
オリジナル・アルバムではオーケストラをバックに唄われたこの曲。
アコースティックギター1本だと静かで力強く張り詰めていて、
更に言葉の重みがズッシリと伝わってくる。
曲を終えて、両手がぶっ壊れるんじゃあないかという位に拍手。
寛さんが「(アンコールも)やってみるもんだな」と笑顔で呟いていた。
お店の常連客のおじいちゃんが感極まって
寛さんにブチューーと熱い接吻を交わしてたのには笑ったよ。
こんなに打ち震えたライヴを見せてくれて
チケ代が野口1枚+野口ハーフなんて安すぎるぜッ!!
ビデオキャメラで撮影している人がいたので ←小生です(sharaku)
是非「三上寛 Live at ZEN PUSSY」としてDVDで発売してもらいたい。
あと、イースタン・ユースの極東最前線のゲストに
これほどピッタリのアーティストもいないんじゃないかなと本気で思う。
4月末にもまたもや寛さんがZEN PUSSYで演奏をするという話を聞いた。
これはまた行かねばならぬ。