横田安正談
12月11日「ゆうぽうと劇場」で行われた「CASA BLANCA」は全席が埋まり、異様な興奮と感動を残し無事終了しました。我々もTV局仕様のカメラを2台使い、スタッフも増員して撮影しました。
今回の公演は音楽に日本の童歌(わらべうた)を英語にアレンジしたものを使うなど実験的な試みが多く大変でした。本番先日から劇場での稽古が始まりましたが、長嶺ヤス子の怒号が場内に響きわたり、凍りつくような緊張感に包まれました。本番当日の稽古も時間ぎりぎりまで続きどうなることかと思いましたが、幕が開くとさすがプロの面々、素晴らしい舞台が展開されました。フラメンコ・ダンサーのアントニオとイサックはヴェテランらしく安定した演技を披露したのは勿論ですが、とくに目を惹いたのはアメリカ黒人ダンサーの美しく力強い踊りでした。リーダーのデリック・ミンターは、オクラホマ州立大学の舞踊・演劇科の助教授を務めるアメリカを代表するモダン・ダンスの踊り手で長嶺ヤス子との共演の経験も豊富、抜群の存在感を見せました。一方で若いリチャードとラシャンは惚れ惚れするような柔軟さと肉体美を披露してくれました。死と生の世界が交錯する舞台なので池田瑞臣さんの振り付けも大変ユニークでとても面白い舞台となりました。長嶺ヤス子は文字通り渾身の演技、一瞬一瞬に命をかけていることが良くわかりました。まさに「自分の肉体と精神を一枚づつ剥ぎ取りながらの演技」です。長嶺は舞台に死に場所を求めているな、というのが私の実感です。しかし、こんなに素晴らしい舞台がたった1回だけの公演とは勿体ないかぎいです。
久しぶりの現場復帰を果たした私ですが、本番が終わった翌日から腰痛が襲い困っています。日頃から腰痛予防の体操を行い2年以上も腰痛から開放されていたのに、やっぱり精神的な疲労が身体の異変をもたらしたんですね。